九校戦1日目が終わった後に起きたかもしれないif物語
もし、深雪と花音が同室だったら・・・
もし、達也が一人部屋ではなく、五十里啓と同室だったら・・・
これは、いくつものifが重なって生まれたもしかしたらの物語・・・
1話はif導入部のため、エロはありません。
九校戦~幕間<起こり>
九校戦一日目の競技が全て終了した。
達也が所属する第一高校の戦績は上々。
ささやかな祝勝会をした後、達也がホテルの自室へと戻ると、そこには
五十里が祝勝会を先に上がったのは知っていたため、同室である彼がいることに疑問はない。
しかし、その婚約者である花音がいることに達也は疑問を覚えた。
「五十里先輩と千代田先輩は明日のピラーズ・ブレークの打ち合わせですか?」
達也は真っ先に思い至った疑問を口にしたが、彼らに打ち合わせの雰囲気は感じられない。
ならばと思い、彼らの返答を待ったが、二人は顔を見合わせただけで返答がない。
達也が『どうしましたか?』と再度問いかけたことで、五十里はようやく口を開いた。
「司波君、急な話で申し訳ないのだけれど、今日、この部屋に花音を泊めていいかな?」
「それは...本当に急ですね。念のための確認ですが、ベッドはどうするんですか?」
達也と五十里に割り振れられた部屋はツインのため、当然ベッドは二つしかない。
この部屋にソファはなく、花音が寝るとしたら、必然五十里と同じベッドになるだろう。
そもそも、達也はベッドのことを聞いておきながら、自分が今夜寝る場所を考えいた。
朴念仁と揶揄される達也でも、今日はこの部屋にいないほうが良いということは察せられる。
「それなんだけど、深雪さんとはすでに話がついてるの...」
花音の言葉に達也は首をかしげる。
「ほら、私って深雪さんと同室でしょ?『今日だけ啓と一緒の部屋で過ごしたいな』って言ったら、『お兄様』なら部屋の交換に頷いてくれるでしょうと断言していたわ」
花音の爆弾発言に達也は思い切り顔を顰めたかったが、詳細を聞きくまではと何とか耐える。
「深雪が・・・俺と千代田先輩が部屋を入れ替わることに了承したのですか?」
「ええ。深雪さんは私に気を遣ってくれたみたいね。私、明日は、ピラーズ・ブレイクの決勝戦を控えてるから、今日ぐらいは啓と一緒にいたほうが良いと考えてくれたみたい」
深雪がこの場にいたら、真意を確かめるところだが、あいにくこの場に深雪はいない。
いくら、婚約者同士だからといって、結婚前の男女が夜を共に過ごすことを手助けしたと知れれば、深雪も達也も評判を著しく損なうだろう。
達也自身は、評判を気にすることはないが、深雪がいらぬ風評にさらされるのは好ましくない。
達也はため息をついた。
ここでどんなに倫理を説いたところで、五十里と花音がこの部屋に泊まることは覆せないだろう。
ならば、今回のことがバレないように手を尽くすべだ。
「五十里先輩、俺はこれから学外の友人に会ってきます。もしかしたら今日中に部屋に戻らないかもしれませんが、心配は無用です。では、俺はここで失礼します。」
「ごめん。司波くん、この埋め合わせは必ず...」
五十里の言葉には、同士に向けるような信頼の念が込められていた。
女性に頭が上がらない者同士と思われているのだろう。
達也は五十里の言葉に会釈で答えると、そのまま部屋を後にした。