少年は陰気な街を歩いている。
否、以前ほど街は陰気ではなくなった。
街をうっすらと覆っていたリトルギャングの陰鬱な影は、一人の女性によって吹き払われた。
無論、不良グループそのものは中心を失って瓦解したとはいえ、さしたる時間が経ったわけではない。
今も活気のない商店街にその名残を見ることは出来る。
しかしもはや、大通り以外の道を使えば男なら即座に財布をゆすり取られ、あるいは女なら女としての無事を保証されない……という無法地帯ではない。
安全に街を歩くためだけにリトルギャングに加担する必要もなくなったのだ。
その事実は権勢の暴虐に耐え忍んでいた少年少女たちに確かな希望を与えていた。
少年はリトルギャングに雑用という名の使いっ走りを任じられてからというもの、部活や塾、習い事などする時間はなくなって、それらは辞めていた。
そのリトルギャングがなくなってしまった今、少年の家路は早い。
あまりにも早くて、むしろどう時間を潰そうか迷うくらいだ。
少年の家には娯楽がない。自室にそんなものを求める心は一年以上にも渡る奴隷生活で失ってしまった。
かといって誰か外に遊ぶ相手がいるかといえば、これまた奴隷生活によって交友もめっきり減り、何もないと言えた。
普通だったらこれはこれで絶望的な状況ではあるが、少年はさほどそれを気にしてはいない。
足取りは軽い。
その少年の通学路の途中。
寂れた雑貨店の前に、スポーツカーのボンネットに腰掛けた不審な人物がいる。
真っ赤の派手なロングヘアにハンチングを乗せ、レンズの小さいサングラスをかけた女。
ロングコートは寂れた街にマッチした野暮ったいグレーのものだったが、留めていない前の隙間からは、喉の下、胸の谷間からヘソ下までの生肌が丸見えだった。
どう見ても変質者だ。控えめに言っても変態だ。
その変態は少年を見つけると、にこやかに手を振った。
少年は誰も見ていないのを慌てて確認してから、走ってその手を止めに行く。
「やっほ。今日暇? あたし超暇なんだけど」
「それはいいんですけど、もうちょっと目立たない恰好してきてください」
「あら、目立つ? いい女のオーラを隠すって大変ね」
「どう見ても犯罪者です」
「ありゃー、滲み出てたのは危険な香りの方だったか。これでもおねーさん結構色々とシュラバくぐってるからねー」
「多分そういう意味ではないです……」
少年は脱力する。この女性は常々本気なのか冗談なのかわからない。
確かなことは、その過激な露出ルックを取りやめる気はなさそうだ、ということだった。
色々な意味で見た目危険なその女、ルナ・姫木は自称凄腕のバウンティハンターである。
自称ではあるが、パートナーのイズミの反応や時折見せる桁外れの動きのキレなどを見るに、事実ないしはそれに近い存在ではあるのだろう、と少年は思う。よくわかっていないが。
コートを脱いでスポーツカーの後部に放り込んだ彼女は、深いスリットの入った……これはなんというのだろう、イブニングドレス? というにはどうにもしっくりこない、白い衣装を着ている。
何故しっくりこないかというと、背中や胸元も「大胆」という言葉では生温いほど切れ込み、開放されているからだ。正直どうやって服が脱げずに留まっているのか少年にはわからない。
多分、普通のパンツを穿いていたらその上端が見えるのは確定……といった風情の正中線は、少年のような「何もいやらしいことなんか考えなくても勃つときは勃つ」というような精力余りまくりの世代にとって、一種の暴力といえるほどのいやらしさである。
それもこれも、ルナ本人のプロポーションがやたらに良いせいなのだが。
中学生ごときでは、どんなに発育が良くとも有り得ないほどに豊満でありながら、弛んだ所は一切なく、その猫のようにしなやかな肢体は超人的な瞬発力と柔らかさを併せ持つ。
ならば触り心地が悪いかというとそんなことも全くない。女性とはかくも柔らかく、かくも気持ちの良いものか、という感慨で少年を虜にする程度には
「あのさ、そろそろ乗りなよ?」
少年はそこでハッと気付く。ルナの胸から下腹部の露出部を見つめて、多少の時間トリップしてしまっていたようだった。
「そりゃまあ、あたしのカラダ見てビンビンになるのはキミみたいなトシだとしょーがないし、むしろ歓迎? って感じだけどさ。さーすがにここではちょっと……ね?」
「そ、そうですね」
「……いや、でもキミがやってみたいんだったらココで即ハメってのも悪くないけど?」
「やめてください。通学できなくなっちゃいます」
色々な意味で開けっぴろげ過ぎるルナに、少年は可及的速やかにツッコミをすることしかできない。
それ以上は、指摘通り突っ張った股間が説得力を奪っていた。
少年と彼女はセックスフレンドである。
リトルギャング壊滅事件以降、たまに(というか週に複数回)ルナが少年の前に現れ、相棒のイズミと一緒に暮らしている自宅兼事務所であるマンションに引っ張り込んで、退廃的なセックスに耽っているのだった。
「ルナさん」
「んー?」
全開の窓に片肘をかけつつ、左ハンドルの高級スポーツカーのステアを片手で回すルナ。
少年が見ても美しくて、恰好いい。今までにこんな何をしてもサマになる女性は見たことがないほどに。
だからこそ。
少年はおずおずと、疑問をぶつける。
「何で僕なんですか……?」
「なにが?」
「その、ルナさんのセックスの相手……確かに僕はちょっとペニス大きいみたいですけど、それだって別に常識破りってほどじゃないし……」
「ま、そーね。確かにオチンチンの大きさだけなら黒人とかハンパないのいるしねー」
「……やっぱり、昔はそういう人とも付き合って……?」
「別にー? エッチしたコトはあるけど付き合ってたわけじゃないわよ。昔、作戦待機中に夜這いかけられたから一本勝負って感じ。さすがに大きすぎてしんどかったわー」
「…………」
少年にはルナのそういう軽さが理解できない。
男の側の醜い性欲は不良グループの行動で知っている。同級生の女の子にも毒牙にかけられた娘もいた。
が、それだけに女性にとってセックスはもっと重いもので、言ってしまえば神聖なものだという認識があったのだ。
ありていに言って、女に夢を見ている。
だからこそ、気が弱くて通りすがりの自分が、彼女のセックスフレンドに選ばれた事に対して疑問と期待があった。自分に何か運命を感じる要素があったのかも、とか。
ルナはそんな少年の若さを苦笑いした。
「キミとのえっちは好きよ? でもそれだけ。あたし、キミのことベッド以外ではなんも知らないもん。知らないのにそれ以上好きも嫌いもないでしょ」
「……それなのに、セックスはできるんですね……」
可愛らしい落胆にルナは笑う。
自分を特別だと思いたい。恋を特別だと思いたい。セックスがその果てのものだと思いたい。
誰しもある欲目だ。
「あのね。別にあたしはオチンチンの大きさだけでキミを選んだ、とも言ってないわよ?」
「え……?」
「えっちっていうのは結構いろいろ噛み合わせがあるからねー。呼吸とか、性格とか、体力とか満足度とか。ホントにぴたっと合う相手って珍しいって言えば珍しいのよ?」
「でも……」
「確かに私、今キミに恋してるわけじゃないわ。キミがそれに不満なのもなんとなくはわかってる。でもね、イチャイチャしてケッコンしてシアワセになるよーな出会い方じゃないし、あたしは多分そういうの似合わないし。第一キミがそーいうことできる歳になったらあたしもうオバチャンよ?」
「でも、だとしてもっ……その頃になってもルナさんはキレイなままたと思いますっ」
「生きてたらねー」
ドキッとする少年。
ルナはステアを切る。マンションの駐車場に入った。
「ま、別に死ぬつもりもその兆候もないけど、イズミの言う通り、あたしって危険な女だからね。約束は出来ない。それでも……」
ギッ、とサイドブレーキを引いて、そのまま助手席の少年にガバッと覆い被さり、ほっぺたにキスをする。
「少なくとも今、キミとのえっちは好きよ。……キミも楽しんでくれるといいな?」
「は……はい」
「よし、いーこいーこ♥」
少年は軽く抱きしめられて頭を撫でられる。
香水と微かな体臭と、胸の谷間の暖かさが頬に残った。
ルナは自分だけ長めのシャワーを浴びると、戻ってくるなり少年に飛びついてベッドに押し倒した。
「えーい♥」
「むふわっ……あ、あの、僕も……今日暑かったし、シャワー……」
「いーの、男の汗臭さはチャーミングよ♥」
少年の要求を突っぱねて、少年に馬乗りになって脱がし始める。
学生服はルナの手にかかれば浴衣かなにかのように手早く脱がされてしまう。
舌なめずりするルナ。
見上げる少年。
落ちるバスタオル。露になる互いの体。
ルナの魅惑的な乳房は少年の顔の上に垂れ下がり、思わず少年はゆさっと手で持ち上げてしまう。
「えっち」
「……ルナさんの身体の方が、えっちだ」
「……斬新な意見ね」
「いやいやいや」
胸をたぷたぷさせながら思わず突っ込みを入れる少年。
「……触ってるだけでいいの?」
「な、舐めたりしゃぶったりもしてみたいです」
「挟ませたりとか挿入とかは……?」
「し、したいです」
「どれか選びなさい」
「……挿入で」
「うわ、正直ー。ちょっとぐらい見栄張ってもいいのに」
「……じゃあ……挟んで」
「ほんと、男の子ってパイズリ好きよね♥」
嬉々とした様子で少年のまたぐらに上半身を押し付けるルナ。
濡れた髪が濃厚なシャンプーの香りを振りまき、少年に女性との接触を改めて実感させる。
「えい……はむっ♥ キミのだとちゃんと挟みながらしゃぶれちゃうのよね……」
「は、はいっ……」
「それ、それ、それ♥」
ルナは軽く上体を前後に揺すりながら少年の逸物を胸の谷間に通していく。
指の間から見える乳首、貪欲に亀頭を見つめながら時々少年を見上げるいやらしい目つき、唇。
それらがいちいち少年の知る世界とは一次元違う、目くるめく淫猥さをかもし出す。
「……はーっ……はーっ……」
「ふふっ、いい感じに息が荒くなってきたな、しょーねん♥」
「はいっ……く、ヤバっ……出そ……」
「もうちょっと頑張れー。粘り腰は男のステータスだぞー♥」
「っく……!」
少年は歯を食いしばる。が、未だ性欲のコントロールもうまくいかない、精通からだって何年も経ってはいない中学生にそれは難しい注文だ。
唇を噛んで乳圧に耐えること、数十秒。
それでもチラと目が合ったルナの面白がるような目つきにスキを突かれ、吐き出してしまう。
「ふぐッ……あ、ああっ!!」
「きゃっ♥」
びゅるっ、びゅるっ、と青臭い精液がルナに振りかかった。
「……もー、ホント一度目は我慢が足りないんだから……」
ぺろぺろと鼻や頬、唇にかかった精液を舐めるルナの声に、しかし叱責の色はない。
どちらかというと「二度目は頑張るわよね?」という期待の方が滲んでいる。
少年の性欲に火がつけば、一度や二度の射精で満足するなんて有り得ない。まだ夕方というにも早い時間だが、これから夜遅くまでルナに彼の性欲は叩きつけられ続けるのだ。
その展開を互いに予感して、シンクロするように軽く震え。
「る、ルナさぁんっ!」
「きゃあっ♥」
少年はルナを押し倒す。ルナも拒まない。
自分のザーメンで汚れているにもかかわらず、少年はルナの胸を揉みしだき、頬を唇を鼻をついばみ、そして存在感のあるお尻に、犬のように自分の腰を振り当てる。
入れたいとか、どこに入れるとか、そんなことを考えているわけでもなく、ただ本能的にルナの身体を貪りたがるジェスチャーだった。
「きゃ、もぅっ……そんなに、んむっ、焦らないのっ……ほら、キミが入れたい穴、あるでしょ? おちんちん入れるとこ、あるでしょ?」
「はいっ……はい、入れますっ……ルナさんの穴、入れますっ……!」
少年は必死になって下半身を擦り付ける。そして探り当てたのは……肛門。
「……そう、ソコっ……♥」
ルナは少年に激しく尻穴を犯されて以降、病み付きになった。
自分で触るのとは全然違う。
直腸の奥の奥まで熱い肉に押し開かれて蹂躙される、それでいて愛情深く愛でられてもいるような、しつこくて濃厚なピストン。
それはルナの新しい性感として大きな位置を占めていた。
が。
「こんどこそ……先にメロメロにしちゃうんだからっ……♥」
ルナはほくそ笑む。気持ちよくなるのは大いに結構、そのために時間をかけてアナル洗浄までしたのだ。
だが、百戦錬磨の性豪たるルナが、触れられたことのない弱点とはいえ中学生にいいように弄ばれ続けるのはプライドが許さなかった。
今度こそ。慣れ始めて自分を制御できるようになってきた今日こそは、逆に少年に参ったと言わせてみせる。
ルナが少年に執着する理由の半分ほどがここにある。まあ単に悔しかったのだった。
が。
「っ……は、ぐっ……き、きたぁっ……♥」
「ルナさんっ……!!」
少年のチンポが圧倒的な存在感を尻穴で主張し始めると、ルナの絶対のプライドはもろくも崩れ始める。
そう、圧倒的なのだ。
少年の欲望と熱意が肛門を突き破り、直腸内に進入してくると、ルナは全身に甘い痺れを感じてしまう。
その痺れに身を任せた瞬間、まるで体中がGスポットになってしまったかのように頭が真っ白になってしまうのだ。
「ひあっひああっ、ああいああっ!!」
「ルナさんっ、ルナさんのお尻の中熱い、メチャクチャ熱くて気持ちいいですっ!!」
「あうっ、あ、あうあううっ!!」
そしてそこに少年のピストンが加わると、もはやはずみ車が回るが如く。
体力が尽きるまで二度と戻れない、絶頂とその上の快絶の間を跳ね転がるように。
快楽の目くるめく空間へと、二人で弾け飛んでしまう。
一度ずつ一度ずつ、強くなるどころか体が素直になってしまう。少年の逸物に調教されてしまう。
それを薄々は感じながらも、ルナは尻穴を差し出すことをやめられなかった。
心地いいのだ。
気持ちいいだけではない、心の底から少年がルナを愛でているのがわかって、心地いいのだ。
「あ、あーーーっ……あ゛ー、はああ゛ーっ……っ♥」
「はあっ、はあっ、……は、ぐうっ!」
「あ゛ーーーーーーーーーっ……!!」
少年の一度目の射精が腸内に流れ込んだ。この液体が滑りやすくするだけじゃない、腸に染み込んで少年の匂いが体中に回っていくのをルナは妄想する。
そして。その一射で終わるはずがない。
少年はルナに熱い熱い欲望を持っている。ルナが気絶しかけるまで決して尻穴をこそぐのをやめないだろう。
その地獄のような天国の予感に、ルナは唇を綻ばせて。
「……きてえ……♥」
もはや排泄を忘れ、快楽授受器官に成り果てた尻穴をそっと押し出した。
少年の通学路に不審な人物がいる。
白い麦藁帽子に星型サングラス、サマーコートを着ながら結局前は開けっ放しで喉から下腹部を丸見せにした長身の女性。
「なますてー。ね、今日これから暇? あたしすごく暇なんだけど」
「暇ですけどとりあえずわざとやってますよね?」
「何を?」
「……僕を社会的に殺したいんですか」
「大丈夫大丈夫、東京はいくら変な人見たってみんな三日で忘れる街よ」
「絶対変な人にしか見えないって自覚あるでしょう!?」
「いーから乗りなって。今日はサービスしちゃうから♥」
あれから約一週間。
本日も連れ込まれたルナの自室。
そして、彼女の言うサービスとは。
「えっへへー……どう、こういうの?」
「て、照れくさいです……」
シャワー室で泡だらけになって、ルナと抱き合いヌルヌルと身体を擦り付けあうことだった。
ただでさえ柔らかくて触り心地のいいルナの肌に、石鹸の滑りが加わり、その巨乳を捕まえても捕まえても逃げる、いつまでもいつまでもその乳房を捕まえ続けられる。
少年は控えめなことを言いながらもそれに夢中だった。
「ほんっとキミってスケベだぁ……♥」
「お、男はみんなスケベですっ!」
「あ、その開き直りは良くないぞー? 『お前だからこそ俺は獣になれる』とかそーゆーのの方が」
「……よくわからないし、僕みたいなのが吐ける台詞でもありません」
「つまんないのー」
などといいながらも互いにむにゅむにゅと身体を押し付けあう行動には変わりがない。
思う存分満喫する。
そのアソビがひとしきり終わると、ルナはおもむろに少年にしなだれかかる。
そして。
「ここからが、本題」
「……?」
「キミっていっつもあたしのお尻ばっかりだよね?」
「え、ええ……」
にっ、と可愛く笑って、そして淫蕩な目つきになって。
「キミ、あたしのこと孕ませたいとか思わないの?」
「えっ……えええ!?」
「ただのえっち友達ってヤなんだよね? それなのに前の穴一度も入れてないって、あたしに膣出ししてみようとかしないのって意気地がないと思っちゃうんです、おねーさん的には」
「で、でも、それって……それじゃ、子供……」
「心配しなくてもそう簡単にデキやしないわよ。……って言いたいところだけど」
耳元でルナは囁く。
「避妊のおくすり、先週から飲んでないんだ、あたし」
「!?」
「今、中出ししたら孕んじゃうかもよ……? さすがに赤ちゃんできたらタダのセフレってわけにもいかないかもね……?」
「っ……」
少年は生唾を飲み込む。ルナはニヤリと笑う。
(引っかかった)
薬を飲んでいないというのはフェイクだ。今中出しされたら孕むかもしれないのも。
だが、少年に自主的に自分の前の穴に挑戦させるにはそういう興奮が一番だ。
尻で散々惨敗させられたルナだが、前の穴なら百戦練磨の自負がある。
プライドが許さないのだ。負けっぱなしではいられない。負けを雪ぐために少年を自分のフィールドに引きずり込む。
それが女として、否、お姉さんとしてのプライドが見せた選択だった。
「さーて。……どっちの穴、入れちゃう?」
ルナは少年の前でM字に足を広げてみせる。
「きもちいいお尻か……」
下から、指先で会陰をなぞり。
「おねーさんをボテ腹にしてモノに出来ちゃうかもしれない、おまんこか……今日はキミの自由よ♥」
「っ……」
少年は泡と湯気の視界の中、数秒逡巡して。
「……く……お、おまんこ、させて……ください」
ルナの望んだ言葉を言う。
ルナは唇をいやらしくいやらしく吊り上げた。
シャワー室、湿度100%の中。
少年はルナにのしかかる。
正常位。ルナにとっては慣れた体位だ。
久しぶりに、本来収まるべきところへと男性器が侵入していく。
「んぅ……♥」
ルナにとっては待ち望んだ展開だ。ここからなら、この状態からなら手玉に取れない男はいない。
そう、ルナは信じている。
が、奥底までペニスが侵入し、さあ一言発破でも、と目を開いた瞬間、ルナの視界は少年の顔にふさがれた。
「!?」
「んー……」
少年が首を伸ばして必死のキス。そして相変わらず激しく手加減なくルナの胸をまさぐる手。
積極的に侵入しようとする舌、吸い付けられる唇。
それらがルナから毒気を全て吸い尽くす。
「ルナ、さんっ……あの、僕、頑張りますから……」
「……え……」
「だから……その、僕の子供……産んで」
「え、えっ……!?」
少年は照れながらそう言う。それはルナが仕掛けた罠を真っ正直に信じ、そのまま返されただけの言葉のはずなのに、ルナの子宮と心臓を激しく収縮させる。
それが合図のように、少年は激しくピストンを開始する。
「え、あ、ああああっ!?」
それは不意打ちでないのに不意打ちだった。
年上女に憧れる少年の情熱は、ルナの予想を一回転振り切って、再びルナの「女」の部分を殴りつける。
確かに激しいセックス、退廃的なセックスは嫌いではない。
そして恋愛とセックスは分断可能だ。
だが、愛情と退廃的で激しいセックスが結びついた時、相乗してずっと恐ろしい快楽に繋がることをルナは失念していた。
(ああ……そっか)
無様に嬌声を欲室内に響かせながら、ルナは悟る。
アナルセックスが格別気持ちよかったわけじゃない。
ノーマルセックスなら勝てるわけでもない。
「あ、ああっ、い、ひゃああっ、ひああああっ♥」
「ルナさんっ、ルナさんっ……!!」
この気弱な少年のまっすぐで強引な愛情が、ルナに忘れていた悦楽を教えただけだったのだ、と。
そう知ってしまえば、性豪のプライドなんて、若さの前で何の役にも立たない。
ひたすら、ひたすら、キスをして抱きしめてルナの子宮に大事そうに精液を注ぎ込み、産んで産んでとせがむ目つきをする少年に、脳髄と子宮がリンチのように響かされるばかり。
「ルナさん、また出すよ、ルナさんっ……僕の、ルナさんっ……!!」
「きて、きてっ……ひあ、ああああああぁあっ!!」
しまいにはどちらが上か下かもあいまいになり、ただひたすら湯気にのぼせながら腰を振って汁を流し込まれ続け。
ルナと少年は浴室でとろけ合うように気絶する。
「ねえルナ」
「ん、何ー?」
「なんかゴミ箱にピルケース入ってるわよ? これ本当に捨てていいの?」
「あ、うんー。捨てちゃってー?」
「っていうか、まだ入ってるけど、何の薬……?」
「やくにたたないくすりー」
「……?」
少年の通学路に、不審な人物が立っている。
羽織りも帽子も眼鏡もなく、いつものポルノ寸前の服装のルナ・姫木だ。
「へろーう。ねえ、今日暇?」
「放課後からなら」
朝っぱらだった。
が、彼女は構わずスポーツカーのドアを開け、少年を助手席に押し込んで。
「じゃ、朝の一番絞りだけ中出ししてってよ。カーセックスって悪くないわよ♥」
「ええっ!?」
車は揺れ始めた。