「…………」
「…………」
風呂から上がりっぱなし、というか。
最初から服を着る気などなかった、というか。
とにかくルナとの爛れたセックス合宿の途中だった全裸の少年は、これからのセックスに対する期待で元気いっぱいの股間を揺らしながら風呂場に入ろうとしており、湯気の狭間から現れたイズミはそれを目の当たりにすることになる。
一瞬で今までの人生が脳裏にてノンストップ上映される。ああこれが走馬灯なのか、と少年は納得する。
イズミの目つきはあまりにも険悪だった。氷点下、あるいは敵意の塊と呼ぶほうが相応しいか。
ルナと同じく彼女もまた賞金稼ぎであり、すなわち並大抵の男では問題にならない攻撃力を持っている。
そして少年は並大抵以下、ただの中学生である。
ころされる。
たすけて。
魂まで凍えるような視線に磔にされて、少年は命乞いの言葉を心の中だけで呟いた。
口は錆び付いたように動かない。
恐怖が一切の行動を縛り付けていた。
が。
「……ルナにしては小さい」
ぼそりとイズミが呟いた言葉で少年はきょとんとする。
小さい?
おっぱいのことだろうか。いや、そりゃ男なのだからあるわけがない。
おちんちんのことだろうか。いやいや、ルナにはついてない。
いやいやいや。
そもそもそういうのはあるとかないとかで語るものであって、大きいとか小さいは言葉として不適格だろう。
ドキドキしながら硬直している少年に、イズミはキスでもしそうなほど顔を近づける。
そして。
「…………?」
目を見開く。
その瞬間、少年は理解した。
この人は目が悪いだけだ。しかも眼鏡取ると輪郭しかわからないレベルで。
「!!」
わたわたと洗面台に取り付いて眼鏡を取り、顔にかけて少年を確認する。
「きゃああああああ!!」
バッと片手で胸を隠し、もう片方の手でどこからともなく銃を取り出す。それを迷いなく少年に向けて4発発砲。
ダン!
ダン!
ダン!ダンッ!
……少年の顔の左右とわき腹の横に弾痕が刻まれる。
少年は失禁した。
「へえ? つまりルナといつものようにエッチなことしてたわけね?」
イズミがツカツカと歩き回りながら少年を尋問する。
少年は自分の尿溜まりに正座させられていた。せめて片付けてから、と懇願したのだが「ハァ?」と銃に弾を補充しながら三度ほど聞き返されたので諦めた。少年の防衛本能が危険を告げていた。
まあ幸い全裸だ。汚れたのは肌と床だけだ。
床を雑巾掛けしてシャワー浴びれば済む程度の被害で命が助かるなら、決して悪い話ではない。
床材に穴が開いたのは少年のせいではないし。
……などと考えている間にもバスタオル巻き姿のイズミは目の端を吊り上げていた。
「それでルナが寝ちゃったからこれ幸いにと私のシャワーを覗きに来た、と」
「違います……」
マンションの構造上、玄関-バスルーム間とリビング-寝室間は全くルート的に重ならない。
少年とルナが上がってイチャついている間に、玄関を上がって即座にシャワーを浴びにいったらしいイズミは、ルナと少年の裸族生活に全く接触しなかったわけである。
完全な不可抗力であり事故だ。
冷静沈着な彼女なら主張するまでもなくわかってくれると思ったのだが、どうやらイズミは思ったほど冷静沈着ではないらしい。
「ったくこれだから男ってのは嫌なのよ性行為で勢いづくと女を肉穴としか思わなくなるんだから。いい、女性にも人権ってものもあれば選ぶ権利もあるしプライバシーってものもあってね」
「…………」
すごく基本的なところの講釈が始まった。
今さら「実は湯船にザーメン浮いてたので僕やルナさんはともかくあなたが気持ち悪いんじゃないかと思って」といった少年の気遣い的なものは認めてもらえそうにない。
というかピストルが怖いので与えられた質問以外は答えられない。
「聞いてるの? 適当に聞き流してルナのところに逃げ込めばいいと思ってない? 世の中そんなに甘いものじゃないんだからね?」
脱衣所の隅にある保冷庫から金色の缶ビールを取り出しつつ銃で少年を指すイズミ。お願いだからせめて指で、と少年は懇願した。
心の中だけで。
指摘して逆切れされるのが一番怖い。
「言っておくけど私の裸はキミが思ってるほど安くないからね? あの痴女のせいで勘違いしてるかもしれないけど本来女の肌っていうのはね……」
ぷし、と缶ビールを開けて説教が始まる。
銃に安全装置はかかっていない。酒の勢いでやっちゃいけない真似をした先輩を少年は何人も知っている。
少年はまた失禁しそうだった。
イチかバチか逃げるか。いや九割がた大変な目にあいそうな気がするが、酒が進んでからふとした拍子に頭蓋に穿孔されては泣くに泣けない。
逃げるだけなら最悪死にはしないだろう。手とか足が数ヶ月ほど不自由になるかもしれないが。
しかし友達の家でゲーム大会のはずが、妙齢のお姉さんに射殺されかけたとなったら両親はどう思うだろう。泣くかもしれない。それとも中学に入って悪の道に片足突っ込んだ報いと諦めるだろうか。
イズミがヱビスをくいっと口元に持ち上げる。飲む。飲んでしまう。
すぐベロンベロンになる体質だったらここが最後のチャンスだ。
少年は意を決して立ち上がろうと肩と膝に力を込めて、
銃声。
「!?」
「きゃっ!?」
少年は硬直。
そしてイズミの持っていた黄金のアルミ缶は破裂していた。
纏うバスタオルと言わず顔と言わず、そこら中がビールで汚染される。
「い~ず~み~?」
銃弾はドアの外から。
全裸のルナが怒りにヒクつく顔を無理やり微笑みに変えようとしている。逆に怖い。
「る、ルナ?」
「バンバン音がしてると思ってみれば……ビール片手になーにしてるのかなぁ?」
「ちょ、いきなり撃つことないでしょ」
「ふぅん?」
ルナは片手の甲を腰に当て、片足に体重を乗せ。全裸でも堂々たる佇まい。
逆に裸なのを指摘するのが無粋なことのように思えてくる。
「じゃあその銃はなにかなぁ?」
「わ、私だって自分の身を守る権利が」
「ほほーう?」
ビキキ、と青筋。
そして次の瞬間、ルナの姿が掻き消える。
いや。ワンステップでイズミの懐に飛び込んでいた。
近距離ゆえに素早過ぎる動きに少年の目が追いつかなかったのだ。
「それが!!」
ビュッ、と宙を水平に薙ぐ長い足。
イズミの銃が正確に真横に蹴り飛ばされる。
「ヒトの!!」
さらに足を下ろさず、捻った体を反発させて後ろ蹴り。
イズミのバスタオルをつま先で引っ掛け吹き飛ばす。
「カレシを!」
軸足を踏み変えて、イズミの手にあった破裂したビール缶を天井に打ち上げ。
その足をドンとフローリングに打ち付け、イズミを体で壁に押し付けつつ、背中越しに銃口を見せる。
「ビール片手にイジメてくれる理由になるっての?」
「ちょ、ちょっと落ち着きなさいって!」
ふぁさり、とバスタオルが床に落ちる。
全裸の美女二人が身をぴったりとくっつけ合い、片方は獰猛な笑み、片方は焦りきった降参のポーズ。
字面にすると華やかに見えなくもないが、多少広いとはいえ端から端まで数歩分しかない脱衣所でダイナミックアクションはあまりにも刺激的だった。いろんな意味で。
少年はまたちょっと尿漏れした。
「つまりお風呂で鉢合わせした程度で中学生相手に威嚇射撃? なにそれアンタほんとに大人?」
少年の横に正座させたイズミといくらかの問答の末、ルナは本気で呆れた顔をした。
「だ、だって私はルナと違って自分を大事にしてるし」
「あたしだってそこそこ大事にしてるけど」
「女として断固抗議させてもらうわ」
「見解の相違ね。それは置いといて。その『大事にする』行為がオチンチンに毛も生え揃わない男の子に過剰反応? 冗談でしょ」
「その毛も生え揃わない子相手に辺り構わずエッチしてるのはどこの誰よ! エッチできるってことは女を襲えるってことでしょう!?」
「丸腰の中学生に襲われるの怖がってるんじゃブレイド=ロアが泣くわよ?」
隣に全裸美女、正座。
目の前に全裸美女、仁王立ち。
非常に素晴らしいシチュエーションで激しく勃起しているが、とりあえず尿の掃除をさせてほしい少年である。
「それにしても……ルナがカレシ、ねぇ」
少しむくれながらもイズミは少年を横目で見、せめてもの抵抗のつもりか、皮肉げに肩をすくめる。
「何よ」
「だーって初めて聞いたもん」
フフフッと笑うイズミ。眉根をぎゅーっと寄せるルナ。
少年は意味が分からずにイズミを見上げようとして、彼女のおっぱいが先に目に入って釘付けになりそうになりながら頑張って視線を上げる。
「ルナってばねー。『セックス』はすごく経験豊富だけど、特定の相手と長続きしたことないの、私の知る限りね」
「そうなんですか?」
「ま、まるで私が恋愛下手みたいな言い方しないでよっ!」
ルナが怒る。頬を膨らませる様は子供のようで可愛かったが、イズミはフフンと笑った。
「そーねー。下手かどうかはわかんないわねー。そもそも恋愛なんて、する気なかったみたいだし」
「…………」
「?」
黙るルナ。少年は再びイズミを見上げる。
「なんとなくわかるでしょ? この子がセックスと恋愛、ドライに切り分けてるの」
「……ええと、ほんとになんとなくは」
少年もセックス観、恋愛観が発達しているわけではない。どちらも覚えたてだ。
ただ、なんとなく。
いくらルナと抱き合ったとしても、それだけでは彼女の心は近づいてこない気がしていた。
「ルナにとってはエッチなんてスポーツと大差ないの。いきなり襲われたら話は別だけど、正面切ってひと勝負申し込まれたら相手が誰でも気軽にOKしちゃう類の」
「そ、そこまで安くはないわよっ。一応選んでるもん!」
(「一応」程度なんだ……)
まあ少年との出会いの発端となったリトルギャング事件自体、ルナのそういった身軽なセックス観がゆえに笑い事で済んでいる。
もしルナが「まとも」ならば深い心の傷を負ってもおかしくなかった。
「そんなんだからルナのオトコ関係は派手だけど、相手をカレシとか言ってるの見たことないの。っていうか初めて聞いたわ」
「う……」
ルナが渋い顔をする。イズミは半笑い、してやったりの表情。
少年は期せずしてルナに少しは認められていたことを知り、躍り上がりたいところだったが尿を掃除する方が先だと思い自重した。
「そ、それが何よっ。そもそもお凹なイズミにそのへんあれこれ言われたくないですー」
「お、お凹ぉ!? 何それ、随分な言い方してくれるじゃない!」
顔を近づけあって睨み合う全裸美女二人。
とはいえ現在、形勢的にはルナの完全優勢状態。
皮肉とはいえ、ルナを刺激したのは失策である。
「……ふっふーん。いいこと考えちゃった」
「う……な、何よその笑い方」
少年が未だ見たこともない不気味な笑みを浮かべるルナ。
そして。
浴室でイズミはルナに組み敷かれていた。
イズミの両腕を脚で押さえ、イズミの両脚をMの字に割り開く。
シックスナインに近い姿勢で、ルナは邪悪な笑みのまま。
「はーい、御開帳ー」
「な、やめてよルナ!?」
少年の前には、ルナとは随分付き方も形も違うイズミの性器が開けっ広げられている。
「しゃーらーっぷ。戦場で敵兵に向けるならともかくね、日本の一中学生に実銃向けるなんて笑えない真似したんだかんね、あんた。お詫びに一発くらいさせてあげるのが誠意ってもんでしょ?」
「む、無茶苦茶言わないでよ、私初めてもまだなのにっ!?」
「いまどき面倒がられるだけよー? そろそろ四捨五入も迂闊にできなくなる女のマクなんて」
「っぐ……」
気にしているらしい。
が、それとこれとは別問題だと思うし、それに。
「……ルナさんも初めて会った時、僕に銃突きつけましたよね……」
「ちゃんと誠意も見せたでしょ? っていうか張り切ってお尻処女持ってってくれたよねキミ」
「……!!」
イズミが震え上がった。
「お、お尻はやめて……!」
「…………」
少年は、そうか、お尻は結構怖いのか、と得心する。
ルナはそれからも結構させてくれたが、一般的にはいきなりアナルセックスは非常識極まりない。
ちょっとだけ「前は駄目だけどお尻ならいいわよ」とか言い出すエッチな漫画的展開も期待していなかったわけではないが、それは割とファンタジーらしかった。
「ふふーん。じゃ、前ならいいんだ」
「よ、よくはないわよっ!? で、でもお尻はホントに勘弁して」
「ぢ?」
「アンタのお尻に噛み付くわよ」
「ご、ごめーん」
なんというか、妥協ではあるようだが。
「じゃ、じゃあ……」
少年のガチガチに勃起しきった太い逸物は、イズミに入ることをかろうじて許可されたようだった。
「そ、それとっ!! ゴムつけて、コンドームっ!! せ、せめてそれくらい当然でしょ!?」
「……野暮天ねー」
「いえ、普通だと思いますよ……持ってないけど」
「あたしも持ってないー」
最近では少年とばかりしているルナである。
それ以前からピル服用の上での生セックスが基本だったし、今はピルすら服用していない。
少年の若く濃い精液が自分の卵子を輪姦し、妊娠させる……絶頂の瞬間のその赤熱する妄想はルナに今までと別次元の悦楽をもたらしてくれたし、もしも孕んだら産んでもいいかな、とすら思っている。
実際そんな簡単に孕まない、とタカをくくってはいるが、どちらにしてもルナにとってはゾクゾクする危険な快感であった。
が、イズミはルナに組み敷かれたまま、パタパタと手を振って指示する。
「もうっ……わ、私のハンドバッグの、内側の隠しポケットっ!」
少年は勃起を揺らしつつ、ハンドバッグを探る。
「……ありました」
「うっわー、イズミったら準備万端ー」
「…………っっ」
イズミは無言。ルナの大きなお尻に隠れて顔が見えないのをいいことに、黙秘することにしたようだった。
少年はそれの包装をピッと破る。
「あ、ちょっと待って。貸して」
「ルナさん?」
「ん」
ルナはコンドームを口に咥え、少年を手招き。
そして、少年の逸物に、にゅるるるっと装着させていく。
「うわ」
「えへへ。いちおー、こーゆーの好きなヤツもいたからね♥」
「む……」
ちょっとだけ、嫉妬心。
少年はイズミのセックスを終えたら必ずルナにもリベンジしよう、できれば僕の名前以外口にできなくしよう、と分不相応な目標を胸に誓いながら、イズミの股間にゴムに包まれた逸物を押し付ける。
さすがに怖いのか、ピクッとイズミは反応した。
「ほ、本当にやるの……?」
「今日からイズミも一人前よー」
「っ……馬鹿にしてっ」
イズミの口ぶりが少し怯えとは違う色を帯びた瞬間、少年は逸物を押し込む。
「っっ……ぐ、いぅっ……!!」
イズミの股間は、ルナとは比べ物にならないほどにきつく、固かった。
緊張のしすぎだ。そして濡れが足りていない。
少年のそれは亀頭まですら入りきっていないのに、もう進めそうになかった。
「あらら。イズミったら……」
「や、やっぱり無理っ……!!」
「駄目ねー。そんなんじゃ辛いだけよー」
「せっ、セックス……なんてっ……」
「しょーがないなぁ」
ルナは困り笑いをした末、接合部に口を付ける。
否、クリトリスを中心として、挿入途上のままにイズミの快楽を引き出そうとし始めた。
「る、ルナさん……!?」
少年はルナのその行為に少し驚く。
「ちゅ、んじゅっ……えへへ。実は私、女の子の相手もそこそこできてね♥」
「や、ちょっ、そこ、待っ……ひあああっ!?」
ルナの愛撫は的確で、悶え苦しむだけだったイズミに瞬く間に快楽を植えつける。
最初からセックス巧者のルナを常に相手していた少年には、そんな気の利いたテクニックはない。少年はじっと待つしかない。
が、その作業は数分ですっかり完遂されたようだった。
「は、は、あああっ……」
「出来上がりー♥ ほら、いっちゃえ♥」
ぼんやりと体を弛緩させるイズミ、その股間の上で笑顔を浮かべるルナ。
少年はルナの手助けを受けたことをちょっとだけ情けなく思いながらも、そのままイズミの奥へと侵入する。
「っ!!」
ぶちち、と何かが引っかかる感触。だが、イズミはビクンと身を跳ねさせただけで何も言わない。
少年はそのまま、おもむろにイズミの奥底まで侵入してしまった。
「は、入りました……」
「うんうん。じゃ、一発二発、イズミに満足させてもらっちゃいなさい」
「え、ま、待って、二発なんて聞いて……」
イズミが始めて反応したが、少年はそれを聞き届ける前に腰を動かし始めてしまっていた。
「え、やっ……あ、あぁ、あああっ!?」
「っく、う、うっ……」
少年の腰の動きは細かく、そして速い。
野性的ともいえる。若さ任せ、勢い任せの無酸素運動だ。
だが、そのサイズはかなりのものであり、イズミが未だ感覚的に混乱しているせいもあって、ほとんどその勢いに抵抗できないままに、性感を畳みかけるように打ち込まれている状態になる。
普段なら決して遅い方ではなく、早い射精と回復のサイクルでルナを満足させる少年も、コンドームで若干感覚が鈍い分、イズミの膣に対して長くしつこいストロークを与えることになった。
「や、ふあ、ま、まって、ちょっ、ゆるめてっ……まって、息、つかせてっ……!!」
その怒涛のピストンにイズミは息も絶え絶えとなる。
打ち寄せる快楽の大波の連続に、イズミは呼吸を安定させる術すら知らなかった。
「ガンガンいっちゃえ☆ 失神しちゃうくらい攻めちゃえ」
ルナに応援されて少年は必死で腰を振る。
イズミの膣の感触はルナの膣とも尻穴とも口とも違い、その新鮮さに夢中になっていることもあるが、なによりルナに認めてもらいたかった。
そして、ルナの言葉通りに、イズミは途中から言葉を発することすら放棄。
少年は自分の射精に気付かないまま、幾度も幾度も腰を振りたて、三度目の射精にしてようやく放出を自覚し。
「…………っ」
「う、は、あああっ!!」
そこで力尽き、イズミに覆い被さる……前に、ルナのおっぱいに受け止められる。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
「お疲れさま。……ちょっと休んだら、私ともまたやろうね♥」
「は、はい……」
「今日はエッチ合宿だもんね」
「……はい、ルナ……さん」
ルナの腰に手を回しつつ、じんわりと脳に酸素が回るのを少年は待つ。
腰を引く。
……コンドーム内に射精をしすぎて、膣から抜く途中でコンドームが抜けてしまう。
「あ、あはは……イズミったら、欲張り」
もってりとしたコンドームをイズミの膣から引っ張り出して、ルナは困った顔をする。
少年はルナに抱きつき、その耳元に囁いた。
「……ルナさんには、もっとたくさん流し込みますよ……」
「……うん、それでこそ私のカレシ♥」
ルナは頭を撫でる代わりに少年の顔を胸でパフパフした。
少年はとても幸せな気分になった。
それが今から28時間ほど前のことになる。
「……も、もう……無理ですよ……」
「えー?」
「そんなことないでしょう?」
合宿は続いている。続いてしまっていた。
当初の予定時間はかなりオーバーしていたが、それを咎めるはずのイズミはルナと一緒に少年の逸物を覗き込んでいる。
意外と順応性があったらしく、目を覚ましてからはルナと争うように少年に絡み始めたのだ。
ベッドでも、浴室でも、玄関でもベランダでも。
裸族と化した三人は寸暇を惜しんで体を重ね、今やマンションの一室はどこもかしこも性臭がする。
今はフローリングに寝転んでルナの脚に顔を挟まれつつ、二人に逸物を検分されているところだった。
「まだイケそうよね」
「そうね……眼鏡がないとよくわからないけど、硬いし」
「そ、それよりもう帰らないと、親が……」
少年が訴えると、ルナは起き上がった。
「しょうがないわねー」
「……どうするの、ルナ?」
「アリバイ作り」
ぴぴぴ、と固定電話をいじり、ルナは少年の自宅に電話をかける。
その裸体には精液が多量にこびりついているが彼女は全く気にしていない。まあイズミも似た惨状だが、ルナよりは気だるげだった。
繋がる音がする。
ルナは喉を押さえて咳ひとつ。
「あ、もしもし? あの、ええ、お友達の。隣のクラスの美留町っていうんですけど☆」
「!?」
ルナの声はいきなり高くなり、少年と同じ年頃の少女……と偽っても全く不自然に感じない声に変わっていた。
「はい、はい。実はちょっと長引いちゃって☆ 彼寝ちゃってて、代わりに、はい☆」
「……何ですか、あの声……」
「ルナの特技よ。特技って言っても結構一杯あるけど……」
「はい、じゃあ、もう一日。ご心配おかけしました。それではー」
どうやら話がまとまったらしく。
カチャン、と電話を置いたルナは指で丸を作った。
唖然としつつも、少年は愛想笑いを返す。まだ淫蕩の時間は続きそうだった。
「失敬失敬、ってね☆」