※この作品はR-18です。

オンリー・ディーヴァ・フォーギ   作:アンデッド

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プロローグ  

 

 

 

ブリーフ一丁の男が縛り座らされていた。

ヘッドから流れる音声に悶え続ける。

 

 

『今まで我慢してきたけど、さすがにもう限界だ……』

 

『あのな。いいか? 迷惑なんだよ。その紙とえんぴつ。まずその紙とえんぴつをしまえ。それから

その水──机の上のその変な水もしまえ』

 

『授業中にラクガキなんかしてるのがおかしいっていってんだ…─少しはまわりの迷惑も考えろ。わかったか。……林もわかったのか。きいてるか、おーい。

“き、こ、え、て、ま、す、か”』

 

「ウジ虫(Maddike)が」小柄な蒼いポンチョ姿の

赤いゴーグルを光らせるガスマスクの人物は

吐き捨てるよう呟いた。

 

ブルーシートが敷かれた床に並べる

ピアス・ニードル、ガスバーナー、ニッパー。

 

「なにするつもりだと思う?」笛のように

透き通る声で問いかけた。目元に涙をためる

男に呆れたみたくため息つき、

 

「まずはバーナーで両目を焼く。お前は

おねえちゃんのことをちゃんと見てないから。

次にピアス・ニードル二つで鼓膜を破る。

おねえちゃんの話を聞かないなら

必要ないっしょ? 残ったニッパーは……

言わずもがな」

 

男は「こんなことしても……」とかすれる声で

何か言いかけたが、意に介さず、ガスマスクは

点火したバーナーの炎を両目に押しつける。

焼け潰れた眼には興味をみせず

「次は耳やな」とふたつのピアス・ニードルを

両手に持ち、耳へゆっくり先端を挿し込む。

 

 

登場人物1-1(Character1):ちひろ

 

「みてて──」のコ……レインは

わたしを喜ばせるため、満月の夜になると

雨をふらせてくれる。そのなかで聞いたことも

海外のロックバンドの歌を熱唱する。

 

「奇跡は望むちゃうねん。起こせばエエんや」

父と母に何度もそう言い続けた。

 

 

「おまえの場合は奇跡つーか、超能力だろ」

隣でレインの幼なじみ、丑嶋さんが

どやしつける。背中に飛び乗り

眉をひそめつつも抱きあげ、まわす。

丑嶋さんが笑う瞬間を見たことないけど

「スゲー不気味なやつとゴリラの微笑み似

みたいなのがある」らしい。レインとは

丑嶋さんが中学時代に出逢い、いっしょに

“お礼参り”をしたのが始まり。

二人の関係は兄妹みたいで、姉のまーちゃんと

離れて暮らすわたしは少しだけ羨ましく思う。

 

 

「おねえちゃん~」

 

どうして、このコはわたしになつくのだろう。

父と母も『レイン様』と呼び、信奉し始めた。

緑色のジャージ姿で濡れたタオル巻かなくなり

〈金星のめぐみ〉水も捨て、父は紹介された仕事を

辞めかつて務めていた損害保険会社へ復職。

保険会社に戻れたのはレインが裏で根回した

からみたい。

 

集会にも参加しなくなり完全に金星のめぐみとは

関係が断絶した。

 

「何が金星のめぐみじゃ。ただの金(・)銭(・)の(・)め(・)ぐ(・)り(・)やろ」

 

そう口癖みたいに言ってる。父と母は

洗脳されていたんだろうか。

 

 

『総合病院まえで全裸の中学校教師、

南準人さん(34)発見される。目、鼓膜、喉に

重傷。何者かによる犯行か』

 

「天罰やろ。おねえちゃんに罵声をあびせた

報いじゃ」

 

 

「ど、どうかな~」

 

三ヶ月間ほど行方不明になり見つかった

南先生。好きだったけど、両親が

やってた奇行を原因とする出来事で

わたしは嫌われてしまった。

 

「善人ぶってるヤツつーのは、大体は

周りから評判よくても内面はドブネズミと

変わらへんよ。一目みりゃすぐわかるべ」

 

レインは度々、南先生に注意するよう

遠回しに言ってきた。その通りだったかも。

でも……

 

 

「何が食いてェーの?」

 

「業務用アイスクリーム」

 

「腹下すから普通のヤツにしとけよ」

 

「ふぇーへい」

 

レインが、南先生に何かしたんじゃないかと

思ってしまうのは考えすぎだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

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