アイツは昔から変わらねェ。
「リンチされたら一人ずつ闇討ちじゃ」
中学時代、転校して早々に番長だった
江崎含むクラスメイトに金属バットで
ボコられた俺。神社でうずくまるところへ
「風ひくで、にーちゃん」どんぐり拾い食い
してるアイツに助けられた。
そこから俺とアイツ……レインは
クラスメイトにお礼参りして行く。
半数以上は病院送り、リーダー格の
柄崎と加納は首をへし折られかける。
なんやかんやアリ、地元を支配していた
バカ三兄弟の末を殺しかけた後に
巡回中のデコ助(警官)へ銃を乱射しちまった
レインを庇い、
俺とレインは関係を深めた。柄崎と加納ともに
金融屋〈カウカウファイナンス〉やり始めて
いまに至る。
唯一参加しなかった竹本、俺、レインの
関係は続いてるぜ。特に竹本は、自分の
ファッションブランドで作成した布を
定期的に送ってんな。
いろいろあったが……
「レインをお願い。あの娘はキミのことを
兄みたいに思ってるから」
「キミならレインを託せる」
金主のシンジさん(アイツのお袋さん)から無担保、
無利子を条件に金借りて、世話してンのが現状だ。
まぁ──それを抜きにしても
俺は面倒みるだろうが。
それよりも先日。
「おねえちゃんをストーキングされとる」
レインから相談……というより
殺しの打ち合わせだな。金星のめぐみとか
つー宗教のガキが、アイツが姉みたいに
思ってるチューボの娘ちひろに
ちょっかいかけてるみてェだ。
「名前はわかってンのか」知ってんのは
承知で確認した。
「“落合ひろゆき”ってブタや。
で許嫁設定やったのを、引きずりアヤかけとんねん。
ちょっちシメたるわ」めずらしくガキを殺すのかと
思いきや、違うみてェだった。少し
安心しちまったが、念のため作戦を聞いた。
「駅に呼び寄せて、見つけたら脚を撃ち
ボッコボッコにしたる」まだ殺すほうが
マシに想えるぜ。
すぐさま「ドーナツ屋いかない? 話したい
ことあるから」ちひろのモノマネして
誘き出した。
「きたきた~」木曜日、お気に入りの
蒼いポンチョを身に包みガスマスク付けた
アイツは、心を躍らせてやがンの。肥えたガキが
三時ごろに駅の改札を通り、姿みせた。
黒いパーカー目深く被ってやがる。
堂々と歩いて行き顔を確認、贅肉を蓄えた
あごしゃくりにらみつけてんだ。
異様な姿でアイツはまっすぐデブを
見つめながら、突如、片脚を撃ち抜く。
「ぎゃあぁああっ!!!!」汚ねェ
悲鳴をあげるブタ。うずくまるソイツの
弾創を踏みつけた。
レインは耳元にささやいてたが、遠くにいる
俺は見ちまった。デブが背中をさぐり
折りたたみナイフの刃を立てやがったのをな。
「さがれ! レイン!!」俺は渡されていた
使い捨てオーストリア製自動拳銃、グロック19を
抜き撃つ。手ブレ防止機能付き
一瞬……間があいてからアイツは
サプレッサ付き中国製トカレフTT-33で
頭に三発ほど叩き込んだ。
「逃げてー逃げてー」走って戻ったアイツと
ともに俺の四輪駆動車、ハマーH2へ乗り込み
駅から離れた。海外にいるシンジさんへ
電話入れて、通話関連の裏工作を頼み
俺とレインは使った道具を解体。
シンジさんの弟分で、俺と因縁があった
ヤクザの滑皮。そいつのゴミ処理事業やってる
企業舎弟が持つマイクロ波の焼却炉で処分した。
ニュースじゃ『中学生、不審者に銃撃される』
ぐらいしか報道されてねェし、おとなしく
しとけば問題ねぇだろ。
「おかあさんに怒られちゃったね~」当たり前だ。
『できれば……人通り少ない場所で
やってほしかった。まぁ次は気をつけてね』
俺も注意うけちまったよ。
とりあえず、ほとぼりが冷めるまで
おとなしくするしかねェな。
アイツも数週間前にどこぞ教師を拉致、
全盲にした件で満たされてるし大丈夫だろう。
手ブレ防止機能付きサプレッサ:コンペセンター(
銃口制退器)風の見た目かつ効果もある
レインのお手製品。