フルダイブヴァーチャルゲームから未来へ転移したら世界が滅んでた件 作:罪袋伝吉
クエスト担当のオカマは本当はオカマではなく、割と仕事が出来る奴だったり。
戦国ゲームとか、ロボットバトルとか……。
私の名前?あらん、ハンドルネームはわかるでしょ?『ディーン・ボンド・バーズ』よぉ、ウフフフッ。
おえっぷ。言ってて吐き気してきた。やっててすんげぇ気持ち悪りぃ。正直こういう演技は疲れるのでやめていいか?本当にこう言うのは無理なんだよぉぉ。
つか、俺はオカマのロールプレイを強いられてるんだ!三澤葉子女史に!!つうかナンパなんてしてねーっての!ウチの企業の公式プレイヤー枠埋めなきゃ運営さんに迷惑かかるっーか、運営さんにイヤミ言われてんだぞマジで!つか向こうの担当のねーちゃんに
『ベガスバニーさんはクエスト発注をいつもいつもご丁寧で明確な仕様書付きで送られてきますが、まったく公式プレイヤーの登録はなさってませんよね……。ふつうは企業のクエスト発注は公式プレイヤー選出オーディションとかキャンペーンコラボなどで行われるものなのですけど、いえ、資金をそんなに提供なさられても、ええ、ウチの社長は喜んでますけど、ええ、そろそろ公式プレイヤーを用意していただければ……』
とか涙声で言われてんだぞ?!つかあれ絶対、事務担当じゃなくて、マジで運営のシステム担当の人やぞおい!!
俺の名前は『梶鹿洋治』。
黒田鉄雄と聖愛美の幼なじみの一人で、まぁ、今は愛美ん家が経営しているカジノグループで働いている。
前の部署は営業一課。役職は前に主任に抜擢されたのばかりだった。これでも営業成績は良かったんだ。
つか愛美のコネで入ったとかいう奴がいるが、そもそも就職活動中に愛美がグループの試験を受けないかと言ってきたから受けて就職しただけだからな?きちんと受けてた他の会社も内定来たからな?なめんなよ?
だがそんな俺だが、主任になってたった3日でいきなり上司に呼び出され、
『ウチのグループが今度ゲームに出資する事になった。君にはその企画部門に移動してもらう。これは会長命令なので拒否は許さん』
という辞令を下されたわけである。
そうして企画部門の事務所と言われて行ったのがどっかで見たような、というよりも昔からよくきて見知った愛美ん家。
そして企画部長に愛美、あとは鉄雄を除く幼なじみの『的場美佐』と『景生祐希』。後はメイドのおば……いや、おねーさんと、そしてなんか厳つくて筋骨隆々なヤクザみたいなおっさん。
どんな理由でこの人選になったのか、誰か教えてくれよ、と思うも多分愛美が幼なじみの俺達を集めたんだろうなぁ。いつも一緒にいるメイドさんと厳ついおっさんはお目付役かなんかで。
とは言っても企画のプランニングは非常にキモを押さえたものだった。
とりあえず、俺はこの企画に際して2日ばかり徹夜して纏めた資料データをもって会議に望んだ。
新しい経営戦略としてのVRゲームへの出資と協賛は確かに今時と言えば今時の流行ではある。だが、新規参入をやるにしてもどこのどんなゲームに参入するか慎重に考えねばならない。
何しろゲームはピンからキリまであり、当たるゲームもあればはっきり言って大爆死するゲームもある。
また、定番化するようなロングヒットなゲームもあれば一時的な流行でたった1、2年で終了するゲームもある。
例えば、クラフト系で単純だが奥が深く、家族でも楽しめるようなものなら定番化しやすいが、アクションゲームでラスボスを倒して終わりというものなら例え流行に乗ってもその寿命は短くなりやすい。
あとは出資に際して重要なのはウチの企業のカラーだろう。やりようによるとは思うのだが、たとえばカジノグループがご家族みんなで楽しめるディフォルメされたようなキャラが出てくるようなほのぼのしたゲームに出資し、カジノ色を全面に出したとすれば、それはもうそのゲームへのテロ行為のようなもんで、社会的に炎上しかねないだろう。
逆に退廃的な犯罪都市が舞台のゲームに出資したとしよう。そのゲームがよほど大ヒットでもしていない限り、ウチの企業イメージが悪くなるどころの騒ぎではない。
などなど、つらつらと全員に説明したわけなんだが。
……え?もう出資するゲームは決まってんの?
あのな愛美。俺、いろいろとゲーム各社の資料データを集めて傾向とか徹夜して纏めてたんだけど?
つかガンスモークフロンティアに決定してるって?ああまぁ、あのゲームなら妥当だとは思うけどなぁ。
というか決まってんなら早く言えよ。
だが、ガンスモークフロンティアは俺もよく知っており、出資する上で問題なさそうだと思っていたゲームの一つだった。
ゲームその雰囲気はウチのグループにおそらくよくマッチするだろう。
と、そこで愛美にいつも付いているメイドさんがなんか出張って来た。というか俺の直属の上司って愛美じゃなくてこのメイドさんなのかよ?!つか係長なんかい!!
そして今回の出資計画がウチの会社の宣伝とか利益とか、そういうものは二の次なのだと知らされた。
ようするに『鉄雄と愛美をくっつける』、それだけ。
アホなんじゃないか?それともバカなのかコイツ等。
そんなもん正直なところ直接告白しろやぁぁぁっ!!
ええ、俺は愛美に面と向かってそういったさ。だがなぁ、あの三澤葉子女史がその都度その都度、鬼みたいな顔してどう考えてもカタギじゃねぇオーラ出して殴って来るんだよぉぉ……。ビビビビビって、ビビビビビって、まるで某ゲゲゲのゲー的な速さの連続ビンタとかで暴力で俺を黙らせさせるんだよぉぉぉ……。
ああ俺仕事辞めたい。辞表提出してもいいですか?ええ、駄目ですよね……。
つうか鉄雄に教えてやりたい。とっとと愛美から逃げろってな……。
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【サウザンド・ソード大阪城ステージ】
「足軽隊!全面っ、騎兵の一団に火縄一斉掃射ぁ!!」
所変わって、ここは戦国群雄割拠のFD・VRヒストリカルウォーシミュレーションゲーム【サウザンド・ソード】である。
今、このゲームでは季節恒例イベントであるギルド対抗の合戦トーナメントが開かれていた。
このイベントは春夏秋冬の計四回行われているが、それぞれ国や地域毎に分かれて連合を作って大戦争をおこなうというものである。
このトーナメント形式の戦闘はVRtubeや各メディアでも公式で放送されており、その視聴率はかなりのものでこの大規模な集団戦闘祭りが行われている時には他のゲーム動画配信は視聴回数が落ちる為、大抵放送をずらして行うほどなのである。
そして現在その決勝戦がおこなわれており各陣営が西と東に分かれて戦っている。
西に『獅子王騎士団』『北欧戦士団』『ケルト十字騎士団』『西洋剣術研究会』などの西洋系のギルドの混成部隊。
東に『鎌倉武士団』『薩長同盟』『弓術研究会』『日本剣術道場組合』『火縄保存協会公認足軽隊』などの日本のサムライ達の混成部隊。
この、西洋騎士対日本のサムライの対決もこの恒例イベントではよく見られる組み合わせだが、前回の
それぞれが城を背に戦っており、西洋側がロード・キャメロット、日本側が大阪城ともう分ワケのわからない状況である。
なお只今それぞれの陣営が城攻めの真っ最中であり、現在城門を破った日本側がリードしている。
「長弓隊、鎌倉武士の意地を見せろ!向こうは軽装騎兵、速さはあるが装甲は薄いぞ!」
「弓術研究会、鎌倉さん達に後れを取るな!合わせて矢の雨を降らせなさい!!」
鉄砲足軽隊と弓隊がそれぞれ、大阪城の城門に殺到する騎馬ライフル兵に矢玉を惜しみなく食らわせている。
騎馬ライフル兵は確かにその速力は脅威だが、正面に火縄の三段撃ち、上空から降り注ぐ矢とあっては抜けるのが難しくその列も崩れていく。
だが、武田騎馬のように撤退をしようとはしない。それは彼らも長篠の合戦を知っているからだ。ゆえに突撃の速度を緩めはしない。
「その意気やよし!だが終わりだ!大筒ぅ、ぶちかませぇ!!」」
鉄砲足軽隊のうしろから、火縄銃よりも大きな轟音が一斉に鳴り響く。抱え大筒とも言われるそれはもはや手に持つ大砲であり火縄銃の一種である。口径はもちろんのこと弾の威力も飛距離も段違いである。
ドゴドゴドゴドーーーン!!
もはや粉微塵、騎馬ライフル兵は吹き飛んでいく。
「ぎゃーーーっ!!そんなもん違反やろがぁぁぁ!!」
騎馬ライフル兵の隊長と覚しきヘルメットに赤い房をつけた男が吹っ飛びながら叫んだが、残念ながら抱え大筒は戦術武器として使用を認められている。
「ふははははは、悪く思うなよ『ミオ・ハリマー』!冬にしてやられたお返しだ!」
どうやらそれが騎馬ライフル兵の隊長の名前のようである。大筒を抱えた胴鎧の女足軽が火薬の煤のついた顔で豪快に笑う。
「覚えてろよ『茜丸』!夏にまたやってやるからなぁ!!」
吹っ飛びながら会話が出来るのはゲームだからだが、地面に身体が落ちる前にミオ・ハリマーは戦死扱いになり、フィールドから消えた。
ミオ・ハリマー以下騎馬ライフル兵達は今後、合戦が終わるまで俯瞰で戦況を眺めているしか出来ないのだ。
「うぉーい、道をあけろぉ。鎌倉騎馬弓隊、出陣する!!」
「おう、サウザンド・ソード七本槍『鬼姫・夕子』出るっ!!」
長い大弓を持った重装の武士達と槍や薙刀、大野太刀を持った戦国武将達が馬に乗り、列を成して駆けてゆく。
「ほい、いってらー!お土産は大将首でいいよー!!」
『茜丸』葉『鬼姫・夕子』にそういいつつ手を振る。『鬼姫・夕子』は
「ゲームじゃ首取れないわよ!行ってくる!」
と笑いながら馬上で手を振って駆けて行った。
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【オーバーキル・アームズ】
「ああもうっ!『ユミナ』、あんた寝返ったってーの!?」
オーバーキルマシン『ブルーセイレーン』のブースターをふかしてランカーライナーの『アレッサ』は自分の後方から飛んできた多弾ミサイルを避けつつ言った。
「あらぁ、あのくらい避けれるでしょう?というか前方から三機来ましてよ?」
ブルーセイレーンの後方からミサイルをぶっ放したのはアレッサの相棒でやはりランカーライナーのユミナのオーバーキルマシン『ソル・フェア』である。
アレッサが避けたミサイルは前方から来た敵の機体の一体に直撃。コクピットのモニターにキルサインが出た。どうやらユミナが撃ったミサイルは敵への攻撃だったようだ。
「ったく、お前はいつでもあたいを巻き込もうとしやがって!なんかあたいに怨みでもあんのかよっと!」
アレッサはブースターを吹かして機体を加速させ、外に弧を描くようにして敵の一体に接近する。
「恨みはないですけれど、ムカつくんですわ。というか今日は『サウザンド・ソード』の決勝でしょう?視聴率取れないのになんでプレイしなきゃいけないんですの?お馬鹿ですの!」
お嬢風の口調で辛辣な事を言うユミナだが、実際の話、今回の配信はライブではなく録画用のプレイである。
「どうせお前、あっち(サウザンド・ソードの事)の中継見ないだろ?つーかそれなら付き合ってくれても良いじゃん。どうせ休日デートに誘ってくれるような男がいるわけじゃあるまいし?」
ぶっきらぼうな口調でアレッサがいう。
「そんな身の程知らずな殿方なんて眼中にありませんわね。ただログイン中に気になる情報が入って来たのでそちらの真偽の確認を優先したいだけですわっと!」
ユミナはそういいつつ敵の長距離ライフルの射撃を最小限の動きですんなりと交わし、即座に長距離ライフルで正確に狙撃し、敵の右腕を破壊した。
「好きな実況者に彼女でも出来たんかぁ?うわー炎上だぁ」
敵を追い込むためにナパーム弾をばら撒きつつアレッサが心底どうでもいいと思っている感じで言う。
ユミナに好きな実況者などいないことなどとっくに知っている。だが、入れ込んでいたゲームプレイヤーが一年前から姿を消してしまった、とは聞いていた。
別のゲームのプレイヤーで、ユミナはそのプレイヤーに会うために何度もそっちのゲームにこっそり行っていたし、アレッサも付き合わされて数回行った事もある。
とはいえユミナと行ってアレッサがろくな目にあったことはなく、最初にログインした時はめったに起こらないバッファローのスタンピードイベントに巻き込まれてバッファローの群れに轢かれて即死し、次に行った時には移動中の馬車がギャングに襲われて銃で撃たれて即死。その次に行った時はユミナが入れ込んでいるプレイヤーがよく現れるサルーンにやっとたどり着くことが出来たがそこにいた友好的なオカマ(そのサルーンの名物らしい)に、そのゲームの定番のお祭りイベントのロデオ大会にでないかと言われてホイホイでたところ暴れ馬に振り落とされて二人ともなんか首の骨を折って即死。
なお、ユミナもアレッサもどちらも件の『スティール・ガン・ロード』氏には一度も会ってはいない。
はっきり言って、あのゲームはアレッサには向いていないどころか絶対ウチらを殺しにかかっとるやろ、と思ってウヘェとなった。
「あのねぇ、私が実況者なんて方々を好きになるなんてあり得ませんわ。……尊敬する『スティール』様が復活するかも知れないという連絡があちらのゲームで友人になった方から届きましたの。つーか、こんなマッチなんてやってらんない!とっとと片付けてスレとか覗きに行きた~いっ!!」
途中から素が出とるがな、とアレッサは、
「そーですか、ヨカッタナー」
とアバターの目を和み目にする。おそらく向こうのゲームでの友人とはジェーンとかいう金髪のアバターの女の子なのだろう。
あの娘もなんかおかしな奴やったなぁ。それにドジっ娘やったし。
そんな風に思いつつも、アレッサは慣れた機体捌きでナパーム弾でヒートしてたまらず逃げようとしている敵の機体をさらに追い込む。
その間にユミナの機体が三連装レールガンを撃って敵の機体をわざと回避させて敵を壁際の真ん中へと誘導させた。
「ええ、これが本当ならビッグニュースだわ!うふふふふふふふ……」
素のユミナのそういう含み笑いはなんというかレアで視聴者には人気なのだが、同性で素をしっているアレッサからしたらすんげぇ不気味に聞こえる。
「さよかー」
もう心底どうでもいいとアレッサは適当に相づちをして、それでも確実に機体を操作する。その辺はランカーライナー、しっかりと戦闘している。
敵が回避軌道に乗った辺りをアレッサは勘で合わせてラピッドレーザーを掃射、そして回避不可能なマップの壁際へ追い込む。
もう、敵に逃げ場はない。
二機の敵機体は急加速するアレッサとユミナの機体に左右から挟まれるような形で迫られ、そして、それぞれが同時に青と赤の機体のプラズマブレイドによって同時にぶった斬られた。
交差して通り過ぎる青と赤のオーバーキルマシン。
バヂバヂバヂバヂ……と斬られた敵機体から火花が飛び散る。そして、ドカーンと盛大に爆発。
「は~ぁ、というか最高に極まりましたのに、サウザンド・ソードに視聴者吸われてたった5万人ですか。もったいない」
「まぁ、後で編集動画アーカイブにあげるから、そっちで伸びるだろ。たぶん」
デストロイ・エネミー。ミッションコンプリート
二人の機体のモニターに、作戦終了と出た。
「ところで、またガンスモークフロンティアに行きません?スティール様の噂が本当が確かめたいのよ」
「あたしは行かねー!あんたあそこでどんなけ酷い目にあったのか覚えてねーんかい!!」
二人はそう言い合って、ライブを終了させたわけだが。
しかし、通話を全てオープンにしていた事に全く気づいておらず……。
ガンスモークフロンティアに再びスティール・ガン・ロードが現れるという噂が巷に燃え広がる事となったのであった。
【梶鹿洋治】
・営業課のエース。実は有能。
・ゲームのカジノが18禁になってたのは、愛美のジジィが口出ししたためで、コイツが悪いのでは無かったりする。
・多分、一番の苦労人。
【茜丸】
・火縄銃の研究と保存をしている歴史協会に祖父が参加しているため、火縄銃が好きになったという日本史を専攻する大学生。火縄銃をぶっ放す事が大好きな物騒なお嬢さんであり、サウザンド・ソードの日本系ギルドで有名な火縄銃使い。もはや名物。
・ギルド『鉄砲足軽隊』の隊長で、火縄銃保存会や種子島観光協会などがスポンサーである。
【鬼姫・夕子】
・サウザンド・ソードにおいての有名人であり、ワールドにおいて槍の名手の一人に数えられている。なお、七本槍と言われているが、特に槍に銘があるとかではなく、ワールドにおける槍の名手として言われている。さらに七本槍には西洋や東洋、中華、アジア、中東などのプレイヤーがいる。
・ギルド『関ヶ原東西連合』のエース。
・古剣術道場の娘で、スポンサー企業は古武術や古剣術などの道場や日本剣道の協会、警備会社など。
・茜丸とはゲームを通じて友達となった。
【アレッサ】
・青いカラーのロボット兵器『ブルーセイレーン』のライナー。中距離~接近戦が得意でとにかくスピード重視。
・相棒のユミナとは高校の同級生。
・バイクや自動車メーカーの経営一族の娘であり、スポンサーはモーターサイクルなどのレース系の会社などが多い。
【ユミナ】
・赤いカラーのロボット兵器『ソル・フェア』のライナー。重装甲かつ長距離戦用の武装を好むが、特に不得手な距離は無い。
・大病院の経営者の娘であり、スポンサーは医療用光学機器メーカーや医療機器メーカーなどが多い。
・スティール・ガン・ロードのファン。