妖精さんのいるリフレ 作:七花
妖精さんのいるリフレ。
最近、インターネットの裏情報で話題になっているお店だ。
妖精さんってのはもちろん隠語。
つまり、わかるよな?
その。
ろ、ロリがいるって意味だ。
どうせ疑似ロリだとは思うんだけど。
「だ、だよな?」
ごくりとつばを飲み込む。
それもそのはずだ。
俺は今、その店の目の前にいる。
まさかこんな近所にあるとは思わなかった。
繁華街を抜けた雑居ビル。
そこの8階の通路に、ひっそりと看板が置かれていた。
見つけたのは本当に偶然。
今日はたまたま大学が休校で。
バイト先のウー〇ーのお届け先が、このビルの7階だったのだ。
で、間違えて8階で降りて、見つけちゃったってわけ。
届けるべきもんを届けると、大急ぎで8階に戻ってきたのだ。
「………………」
ちょっとだけ逡巡してから、ドアノブに手をかけた。
俺は、ロリコン。
小学生に触れたくてたまらない。
この機会、逃したくない。
覚悟を決めて、ドアノブを回した。
とたん、甘い香りが鼻をくすぐった。
ミルクとラベンダーのお花を混ぜ合わせたような、甘美で幼げな香り。
こ、これって、女児っぽい香り?
続いて、舌足らずな声が俺の耳を撫でた。
「お兄ちゃん、だぁれ?」
ふわふわした、この世界の悪意のすべてから隔離されたような無垢な声。
目をやると、淡い栗色髪の少女がいた。
少女というよりも、幼女だ。
4年生ぐらいだろうか?
どう見ても、疑似ロリには見えない。
り、リアルロリ?
これはガチなのか。
「だぁれ?」
もう一度少女がつぶやく。
ことんと首をかしげる様子がたまらなく可愛い。
手には、小さな猫さん人形を持っている。
あぁぁぁ、そんなところも可愛いよう。
と思っていると。
「あ。にゃーちゃん、すき?」
少女が目を輝かせる。
にゃーちゃん?
「んふふ。涼音の、にゃーちゃん」
猫のぬいぐるみを嬉しそうに持ち上げて、手の部分をフリフリした。
そっか、涼音ちゃんっていうのかぁ。
お名前ゲットしちゃったことに感動を覚えていると、涼音ちゃんが猫さん語を話した。
「にゃんにゃんにゃん」
なんて言ってるのかな?
「にゃんにゃん、おにーちゃんは誰ですか?だってさ」
「うへぇ!?」
びっくりした。
振り向くと、後ろにも女児が。
涼音ちゃんよりもちょっとだけ大きい。
5年生ぐらいかな?
活発そうな青い瞳の女の子。
女児に挟まれた?
「き、君は?」
「私は彩音よ。珍しいね、涼音がなつくなんて」
「そ、そうなの?」
「んふふ。お兄ちゃんはにゃーちゃん好きだからにゃん」
涼音ちゃんは楽しそうにニャーニャー言っている。
「ふぅん……ま、いいや。それで? お兄さんはお客さん?」
「え、あ、はい」
お客さん、という言葉に、がぜん現実味が増してくる。
頭をメルヘンからリアルワールドに引き戻されたみたいだ。
そ、そうだよな。
ここは妖精さんがいるリフレ。
つ、つまり、アレなお店。
ってことは、この子たちが……してくれるんだよな?
俺は彩音ちゃんを見て、それから、後ろでまだにゃんにゃん言ってる涼音ちゃんを見た。
「??」
涼音ちゃんは俺と目が合うと、一瞬不思議そうな表情をしてから、にぱっと笑った。
「えへへ」
猫さん人形の手を俺にフリフリしている。
俺が振りかえしてあげるとニコニコ。
こ、こんな子が、お客さん取ってるのか?
「はぁー」
彩音ちゃんがため息をついた。
「真正のロリコン、か」
人聞きの悪いことをつぶやく。
いや、否定できないけどさ。
「えっと、初めてだよね、この店」
「は、はい」
「じゃ、まず初めに説明ね。このお店は、あくまで純粋なリフレ店です。性的なサービスは一切行っておりません」
「え!?」
思わず問い返してしまった。
「あたりまえでしょ?」
彩音ちゃんがジト目で俺をにらむ。
「市から認可を受けた、児童福祉法第147条に基づいた、第4種サービス業です。孤児院の社会勉強の一環として運営されています」
そ、そうだったのか。
「サービス内容としましては、上半身コースと下半身コースがあります。それぞれ、30分ごとに4500円。また、眼精疲労に効くヘッドマッサージもございます」
「「ふむふむ」」
俺と、涼音ちゃんの声が重なった。
「え?」
「お兄ちゃんのおひざ、おっきいね」
い、いつのまにか涼音ちゃんが俺の膝の上に乗ってきていた!?
小っちゃくて柔らかくてあったかいぞ。
「もぅ。どうしてそんなに気にいっちゃったのかしら」
彩音ちゃんがまたため息をついた。
「ま、いいわ。続けるね」
「お、おぅ」
こほんっと咳払い。
「えっと。建前は、今ので終わり」
建前?
彩音ちゃんが、手に持っていたメニュー表を、裏返した。
そして、ささやくようにして言った。
「当店では、裏オプションとして、様々なメニューがございます」
少女の唇が、絶対に口にしてはならない単語を紡いでいく。
「キスに始まり、フェラ、手コキ、アナルリップ、素股、本番、その他いろいろ」
メニュー表を読む俺の目が、血走っていく。
「ただし」
彩音ちゃんが、歌うように言った。
「これらすべては、少女との自由恋愛の末に行われたことという前提になります。無理やり行うことはできません。すべての決定権は、女の子側にあります」
「つ、つまり、交渉しろと?」
「そういうことです」
物分かりが良い、とばかりに、うなづいた。
「お客様が、どれだけ女の子に好かれているか。そして女の子がそれを許してくれるか。すべては、お客様次第なのです」
小悪魔のように微笑む。
「頑張ってね、お兄ちゃん」
その表情が、異様なほどに扇情的で、俺は思わず股間がビクンとはねた。
続きます。