高校2年生になると学校行事としては学校祭と修学旅行が主になるだろう。しかし、修学旅行にはあまりいい思い出は無かった。
「は~い。修学旅行の班を決めますよ~」
2年4組の担任のタマちゃんがそんなことを言っているが俺は気にせず窓の景色を見ていた。
「五河~班組もうぜ~」
「………」
「お~い。五河?おら!」
「………」
「死んでる!?先生!!五河の意識が在りません!」
教室が騒然となるが俺は普通に意識を飛ばしていたらしく、気づいたら保健室に居た。
「………はっ!!何故、保健室?」
俺は記憶を辿ると確かタマちゃんが修学旅行の班がどうのこうのとか言っていた気がする。それで俺は修学旅行か……行きたくないな……と考えていたはず。それで考え込んでいたせいで此処に運ばれたのだろう。
「とりあえず出るか……誰か居るのか?」
俺はベットから出て、周りを見渡す。おかしい、保健室で一人でも寝ていれば教諭は一人絶対に居るはずなのだ。何故居ない?しかも何か学校が恐ろしいほど静かだった。
「これは……どういうことだ?」
俺は自分の教室に入ると誰も居ない。時刻は午後で放課後になったばかりである。それならば生徒の一人や二人居るはずで、廊下や玄関には人が溢れているはずなのに誰も見当たらない。
「携帯は……使えるけど……連絡はできない。家に帰ってみるか……?」
学校から出てみようと考え、荷物を持ち学校を出ようとするが何かに阻まれた。
「っ……壁?校門から出られない?しかも何で新品みたいに学校が綺麗になってるんだ?」
色々とおかしい部分はあった。俺が寝ていたベットも新品同様で、教室も埃一つすら見当たらない綺麗な教室だった。
「俺は……閉じ込められた?何のために?」
一人で考え込んでいると目の前に空間に孔が開いた。
「?……孔?入ってみるか……」
俺は孔の中に入り学校から出た。
「………っ……ん?」
起きるとまた学校だった。孔に入り意識がなくなった後の記憶はない。
「シン、起きたかい?」
とりあえずは現実の様だ。令音さんが居るということは恐らく眠っていたのだろう。
「っ……」
頭が痛い、脳味噌をかき回されているような感覚。気持ちの良いものではなかった。
「体の異変は君がよく知っているだろう?一応調べさせてもらったが、天使の暴走が起きたようだ。幸い君だけに被害があっただけで特にけが人などは出ていないよ」
「それは……良かったです……ぅ……」
「無理をしない方がいい。家に帰って体を休めた方がいい、彼女らには私から言っておく」
「すいません……帰りますね……ぁ……」
頭を抱えながら俺は学校から家の玄関を開ける。
「あ……っ……ぐっ……がはっ……」
俺は知らないうちに吐血していた。そして玄関で意識を消した。
「相変わらず俺は脆いな……仕方ないから俺が頑張るか……」
俺は自分が吐いた血を掃除しながら今日の夕飯を何にするか考える……今日は魚にしようかと考え掃除を終える。
「よし!飯作るか!」
そうして夕飯の準備を終え、この後どうしようかと考えていると誰かが帰ってきたようだ。不味い、俺が此処に居ることはまだバレてはいけない。俺にバレるのはいいが彼女らにバレるのは不味すぎる。なので俺は意識を切り替えた。
「ただいまなのだ!!」
「十香、あまり騒がない方がいい。彼が帰っていて休んでいる」
「まあ、大丈夫でしょ~士道君はそんなことで起きる人じゃないし」
「あらあら、でも起きてしまうかもしれませんわよ?」
「士道君は鈍感だしね~」
「でも……静かには……した方がいいと……思います」
そうして五人と一匹がリビングに入ってくると彼が倒れているのを見た。
「シドー!?大丈夫か!?」
「………意識はない。見る限り夕飯の準備をし終わって私達が帰ってきたのと同時に倒れたとみられる」
「何やってるんだか……士道君を部屋に運ぼうか……」
そうして体を持ち上げようとすると彼から血が溢れ出す。
「血?士道さんには切り傷などはなかったはずですけど……何故こんなにも血が……」
「これ、不味いよ!止血しないとどんどん出てきちゃうよ~!」
「士道さんは……大丈夫なんですか?……死んじゃったり……しませんか?」
その日、五河家では恐ろしいほどの騒ぎが起こった。
「ああ?……あ?」
言葉を忘れていた感覚、俺が俺でなくなった時間があった気がする。
「起きた~?士道君?遅いお目覚めだね」
時間を見ると午後7時、夕飯の時間で準備をしていたので彼女らは勝手に作って食べたのであろう。
「すまん。体調が悪いっていうか……幻覚を見たっていうか……何か今日は俺がおかしかったみたいだ」
「大丈夫?でも、修学旅行には行けそうだね。士道君は班には含まれないようになったみたいだよ?部屋はよく分からないけど私と狂三ちゃんと同部屋だし……誰が仕組んだんだろうね?」
俺は心当たりしかなかった、令音さん恐ろしい人。
「起きてくれて良かったよ……ご飯食べて準備して一緒に寝よ?今日は私が居てあげるから……安心して」
そうして起きて二人と下に降りる。リビングに行くと精霊の方々が勢ぞろいしていた。
「で、この状況はいったい?」
「士道が倒れたっていうから、話を皆に聞いてもらおうかなって……貴方自分の体のことも言わないなんて……馬鹿じゃないの?」
体の異変は精霊を封印し始めた後から起こり始めた。体が異常に発達したり、身体に知らないうちに傷ができたリなど……そのせいであまり言いたくはなかったが全部話した。
「何で隠してたの……私が見たときは無かったのに……」
「あの時は隠してたんだよ……見えないように頑張って隠してた……まさかこんなにも自分に返ってくるなんてな……」
あまり、言いたくはなかった。そうすれば彼女らは俺を刺すことに躊躇ってしまうからだ。それだけは避けたかった……彼女たちの幸せを第一に考えてきた俺にとっては失態であった。
「暗い空気にはしないの!!はいはい。とりあえず皆分かったわね?士道は無理をしない、皆は士道が変だったらちゃんと見てあげる。これでいいわね?」
それでお話は終わった。
「それで……何で風呂に一緒に入ってるんだ?別にいいけど……理由を聞かせてもらえるか?……狂三にも言ってないだろ?」
いつもなら、狂三と一緒に入ってくるはずだし。でも俺は一人で入ったつもりだったが何故居る?
「気にしないの~背中洗ってあげるからさ……ほれほれ~」
いつも通りに胸で洗われる。白い泡で彼女の体が一部隠されて何となく体をじっくりと見てしまう。
「ん~?どうしたの?士道君?次、前洗うよ~」
あの日、俺が1週間眠った日に強引にやってから……なんだか俺に対する歪み切ったものが消え、優しいものになった気がする。しかし刺したがるのは変わらないが、狂三も同じく優しいものに変わった気がする。
「………ああ!っ……っが……」
頭がイタイ、イタイ、イタイ。
「っ!!士道君?頭こっちに持ってきて!」
そうして胸の辺りに頭を動かされた。安心するような母親のような……そんな愛を感じた。
「はぁ……はぁ……」
目の前が真っ赤に染まっている。しかし痛みは止まった。暫くはこうしていないと落ち着かないようだ。
「良かった……効果は絶大だね……やっぱり士道君も男の子だね」
「当たり前だろ……お前のことは好きなんだからな……後、我慢が出来そうにない」
「後で部屋に行こ?あっちで二人っきりになった方がいいでしょ?ここだとバレちゃう」
そうして風呂を出ると、司令官様が顔を青ざめてこちらを見ていた。
「正気を持つのよ五河琴里……私は夢を見ているの……夢よ」
「そういえば琴里が見るのは初めてだったか……今更か」
「そうだね……部屋に行こ?」
そんな青ざめた妹を無視し部屋に行きベットに座る。そうすると悠乃は飲み物持ってくる~と下に行ってしまった。
「記憶が無くならない内に書いとくか……」
7月20日
最近起こり始めた異変が皆にバレてしまった。それにあの夢のようなものは一体何なのかは分からなかった。しかし、明日から修学旅行なので楽しめるようにする。あまりいい思い出はないし、何か嫌な予感はしなくもないが、あの双子に会えそうな気がする。答えを聞かせてもらい、俺達で手助けを出来ればしようと思う。
私は飲み物を取りに行ったときに一応日記を書くことにした。
7月20日
士道君が思ったよりも体にダメージを負っていることを知ってしまった。あの時も隠していたと言って私は悲しくなった。なので今後は控えるように頑張る。明日から修学旅行なので士道君を休ませてあげようと思う。
そうして帰ってきた悠乃は飲み物を机に置き俺に一直線に抱きついて来た。その後キスをした。
「ん……ちゅ……れろ……」
「ちゅ……れろ……ちゅば」
熱いキスから始まった行為は、その後も激しくなった。
「ねぇ……士道君」
行為が終わった後、悠乃が隣で聞いてくる。
「どうした……」
「私達って、もう離れない?」
離れない……か。俺は離れないといけなくなりそうだと思った。
「離れはしないさ……でも、いつかは来るだろうな」
それまでは、一緒に居よう。隣に居る体をそっと抱きしめながら眠りにつく。
しかし、眠っても二時間程度なので深くは眠ることはできなかった。
「士道君?……そろそろ起きて、準備しよ?」
彼女が起き始めたので俺も起きる。
「準備しようか……」
そして、修学旅行先の或美島に着いた。
「修学旅行……か。いい思い出は無かったんだがな……いい思い出は狂三と出会ったことぐらいだ」
「あらあら、そんな風に思っていただけるなんて光栄ですわ」
そんな話をしながら四人で資料館に向かう。班は俺は省かれていたので、知っている奴と行動すれば何かあった時に直ぐに対処できる。道を歩いていると風が吹き荒れ始め、台風が来たような感覚になった。
「ん……皆伏せて此処に居てくれ。そろそろ……来る」
そうして着たのは久しぶりに見る彼女たちの姿。オレンジの髪の毛、どう見ても双子。
「相変わらず勝負ばっかしてんな……だからって喧嘩は良くないっての……!!<絶望ノ王>……」
そうして二人がぶつかり合う瞬間、俺は二人の起こした風を粉々に斬った。二人はこちらを向くと驚いた顔をしてこちらに抱きついて来た。
「あ、士道じゃん!ん~この匂い。落ち着くわ~」
「快感。やはり、この肉体は士道の物です」
「二人とも?俺の約束は……覚えてるよな……」
二人はそれを聞き俺に顔を向ける。
「うん……答えは出たよ……私は死にたくない……夕弦と一緒に生きたい!」
「肯定。夕弦も耶倶矢と一緒に生きたいです」
答えは俺と同じになった、だから同時にキスをすれば戻らなくていいので一件落着となる。
「良く言った……お前らを死なせはしない……とりあえず資料館行くか……皆~?動くぞ」
そうして、資料館に行った所案の定そいつは誰だ案件になったが令音さんがどうにかしてくれた。マジ優秀。
「で、何故シンが<ベルセルク>と知り合いなんだい?」
「ある時に勝負を挑まれて返り討ちにしたら知り合いました」
そうして彼女らをデレさせる、ことになったのだが船との連絡ができない状態にアドバイスは出来ないと言われた。
「そうですか…今日は終わりですかね……」
「そうだね……明日の海で二人をデレさせればいい。その前には連絡できるようにこちらも尽力する」
そうしてホテルに行き、風呂に行こうとしたところ六人に呼び止められた。
「で、何故こうなった……しかも女湯……」
何故か癒してあげるからこっちに……と言われ十香、折紙、悠乃、狂三、耶倶矢、夕弦の六人と一緒に露天風呂に入っている。こんな風に入っていると、”家族”を感じた。
「ん……?士道?何その傷」
耶俱矢が俺の体に傷が付いていることに気づいたようだった。
「あ~なんて言ったらいいか……精霊を封印すると俺の体が切り傷まみれになるって言った方がいいか?」
知らなかった三人は驚く。隠していたことに怒り始めるのは大体わかっていたが。
「まあ、そんなことは気にすんな。じゃ、お前らの体を洗ってやろう!!」
そうして六人を絶頂させてそういう関係になってしまったのは仕方ないと勝手に思っておく。
「はぁ……はぁ……士道君……容赦ないね」
「すまん、やり過ぎた……って誰か来た!逃げるに限る!」
俺はすぐさま霊装を展開し、空を蹴った。
「危なかった……部屋に戻るか……荷物はあいつらに任せよ……」
そうして一人で部屋に戻り彼女らの帰りを待つ。数分後彼女らは部屋にやってきて荷物を持ってきてくれた。
「悪いな、まさかあんなに早く人が来るとは思わなかったぞ」
「こっちも、来ないと思ってたんだけどね~。しばらく時間あるし……さっきの続き……ね?」
六人に迫られるのは正直疲れると思ったが、あまり疲れを感じなかった。時間は過ぎて……明日。
「え……俺って……無意識に……やってるのか?」
六人が絶頂して失神している。シーツはシミまみれ、俺の一部はたぎっている。それだけでも十分な証拠であった。
「み、皆さん?そろそろ……起きないと……不味いですよ」
それぞれがむくっと起き始める。そうすると俺の体に飛びついて俺の体を舐め始める。
「あ、あの……時間ですって!!」
朝から死にそうになりながらも、海で遊ぶことになった。
「………ふぅ……」
海の上で浮き輪に乗り浮かぶ。空を眺めながらの休暇は素晴らしい。
「士道君……本当に……疲れてるんだろうね……あれ、浮かびながら寝てるし」
他の人が見ると海で寝ている本当に疲れている人にしか見えなかったという。
「ビーチバレーでもするか……」
俺が提案して行うことになった……ビーチバレーは何か違った。スパイクで地面が抉れる。おかしい。
「お前らは手加減を知らんのか。俺からすればお前ら退場だぞ」
そうして七人で海を満喫した。その夜に動き出す影に気づいた俺は一人、海岸に出ていた。
「………来たか……世界最強の魔術師……」
俺は仮面を被ってきているので素顔は分かっていない。
「久しぶりですね。<キング>、あの時は油断しましたがもう負けません。無理やりにでも付いてきてもらいます」
DEMはこんなことしかできないんだろうか。本当に……度し難い。
「めんどくさい……それでいいです。貴方と闘い、私が勝てば付いていかなくていい」
そうして彼女との闘いが始まったが、戦況は俺が圧倒的な優勢だった。
「ちっ……何ですか……随意領域を一撃で破壊など……」
「ただ単に触れたものを壊すだけだ、もっと早くしてやるよ……<一の弾>!」
狂三の能力で急激に早くなり腕を斬り、足に深い傷をつける。
「がぁ……まだです……」
「あんたはボロボロだ。戦えない、戦えない奴は面白くない……それに船も来てるんだろう?それならお前は此処に居て助けを呼べばいい。じゃあな」
そうして魔術師を倒し、船の近くまで行く。そうすると船は俺に攻撃を仕掛けてくるが全然当たらない。
「だるいなぁ……<絶望ノ王>、宵の明星」
そうして刀の光を放ち船を一刀両断する。思ったよりも威力が大きかったようで、海も斬れてしまった。
「やり過ぎた……霊力反応がでかすぎて増援が来たら不味いな。さっさとホテルに帰ろうか……」
そうして一人で全てを終わらせると外には令音さんが居た。
「終わったのかい?」
何があったのかは理解しているようだった。
「終わりましたよ……ジャミングはあの船のせいで、エレンも暫くは動けないですよ」
「彼女たちが探し回っていたよ。顔を見せに行った方がいいと思うが……」
居なくなっただけでこんなにも慌てるなんて……うちの奴らは何なんだか。
「分かりました。封印はしておきますから……帰ったら検査お願いします」
そうしてホテルに帰り、顔を見せる。
「何処行ってたの!?探してたのに全然いないから……居なくなったと思ったじゃん!!」
「ごめん。後、あいつと決着を付けた。暫くは動けない。だから少し二人を借りるぞ」
「分かった……居なくなる時は一言!!そうしたら本当に刺しちゃうんだから!!」
彼女の愛を感じた。だけど、俺が犠牲になっても作らなければいけない物がある。彼女が悲しんでも。
「士道!!何処行ってたのよ!この馬鹿!」
「懐疑。それで話とは?」
二人を部屋に呼び出して三人だけの空間。これならばいい。
「まあ、話じゃないけど……二人ともくっ付いて目を瞑ってくれ」
二人はくっ付き目を閉じるのを確認すると……二人の唇にキスをした。
「へ?力が無くなった……封印したって事?」
「ああ……そうだなっ……っち……」
精霊を封印することで俺の腕から血がぽたぽたと落ち始める。
「困惑。これが士道の代償ですか……まずは血を止めましょう。耶俱矢?」
「了解!さっさと包帯巻く!!」
そうして右手が包帯で巻かれた。
「ありがとな……みんな待ってるし……飯食べに行こうか……」
俺は七人と過ごす日常をまだ……過ごせるのだろうか?
あああ!!ネタが無いよ~。なので、黒き女王に恋した少年ていうのと同時進行で作っていきたいと思います。