※この作品はR-18です。

なんのチートもないけど私は元気です   作:神谷涼

1 / 37
たぶん高校生以来かなっていう、フル一人称小説です。



01:人生エンドコンテンツ

 

――16日目:城塞都市ヘルベンド、迷い猫亭

 

 固めのベッド。

 ごわごわした、お布団。

 あったかい人肌。

 

 ああ……またシてしまった。

 いや、されてしまったと言うべきですか。

 ぜんぜん拒めませんね。

 チラと横を見れば、満足したルーネ様がスヤスヤ寝ています。

 事後ゆえ乱れてなお輝く金の髪、作り物めいた白い肌。大きな乳房が作る深い谷間も、きれいな鎖骨も、今は見えない紅い瞳と、長い手足も。本当に均整のとれた美しい人です。

 ええ、寝顔だけなら女神像みたいですよ。

 本当に……おみ足の間に、かつての私より凶悪なモノがあるとは思えません。いや、ジェンダー的なアレコレより、当人の表情や言動の問題なのでしょうね。

 

「……よく寝てますね」

 

 声に出して呟いても起きたり、身動きしたりしないし。

 髪を撫でてみても反応なし。

 出会った頃は私が少し動くだけで、目を覚ましてたのですが。やはり私が逃げたり、寝込みを襲ったりしないか警戒していたのでしょう。そう考えると今は信頼されて……いるといいのですが。

 それにしてもよく寝てますね!(二回目)

 賢者モードですか、事後疲れですか、そうですか。

 私としては、布団の中がべったべたに濡れて冷たいのが気になるんですけど。

 主に下半身が。

 いつもと違ってルーネ様、一回で満足して寝ちゃいましたし。現在進行形で私の中から、流れ出してますし。最初の頃みたいにつながったまま寝たりしてくれなく……

 

「いや、そうじゃないでしょ」

 

 思わず口に出してセルフツッコミです。

 というか、すっかり頭の中の一人称も「私」になってしまいました。

 素の口調も、丁寧語ですし。

 

「はぁ……完全に調教されてしまいましたね」

 

 こんな、くっころ系女騎士の人に……。 

 暗黒騎士とか名乗ってる、センスも性欲も中二並の人に……。

 

 

  ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

――0日目:別世界のとある汚部屋

  

「このまま徹夜を続けて、いつもの二倍のスピードを保てば、何とか待ってもらった印刷所の入稿期限まで…………ギリギリで、間に合……わない」

 

 たかが同人、されど同人。

 少年漫画家を目指して、なぜかエロ漫画で商業デビューしたって折れなかった心が。

 ついに折れた。

 直前までゲームしてたのは心に棚。

 

「マイ人生…………終了……」

 

 イベント後の生活費が……あ、ダメ、寝る。

 ドリンク剤で退散させてた眠気が一気にきた。

 意識が、途切れる。

 

 

  ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

――1日目:黒竜山脈ふもとの洞窟奥

 

「うぇ……寝ちった」

 

 起きると猛烈に臭かった。

 こう、ゲロとか糞尿的な意味で。

 口の中も、異臭と変な味。

 泥酔した時に経験あるが……まさか上から下から垂れ流したのだろうか。

 二徹の寝落ちで?

 いや電気つけっぱで寝たのに暗いし、なんか金臭い。鼻血?

 それに、ここってお布団の上じゃないよね。めっちゃ硬い。ごつごつしてる。床でもない。

 

「あ、原稿……」

 

 もうダメだろな、どう自分をごまかすかなって。

 短い社畜時期で頻繁にしでかした寝過ごしと同じ反応で、目を開くと。

 

「え」

 

 薄暗い洞窟みたいな中に寝転んでて。

 周りに人がいっぱい死んでた。

 

「え?」

 

 びっくりするくらい大きな声が……知らない声が、喉から出た。

 子供の声? いや、女の声か?

 

「ほう、起きたか。神官の術が間に合っていたようだな」

「しんかん? おちました……」

 

 誰かの声に、反射的に答えてしまう。

 そうだよ。落ちたよ……声が女声になったとかより、そっちが問題だよ。

 

「ああ、残念なことに生き残ったのは私だけだ。意外と落ちついているな。心は壊れていなかったか」

「なんとか、次回まで……あ、そうだコピー誌でも……」

「こぴーし?」

「落とした以上、仕方ないし……」

 

 データをプリントアウトして……いや先に印刷所に……。

 起きなきゃ。

 

「痛っ? え? 立て、ない?」

 

 激痛。そして腰を起こせない。

 持病の腰痛じゃない。もっと脚の方の……え? 同業の人がよくなってるっていう痛風?

 

「ああ、股関節が外れているな。簡単な回復術で関節は治せん」

「は?」

 

 初めて、我が身を見た。

 女体だった。

 しかも全裸。

 やたらテカって艶っぽい肌、柔らかそうなたっぷりした乳房、細いウエスト、むっちりした太腿、前から見える尻、そして死んだカエルみたいに開きっぱなしの脚と。大事な場所が見たくても見えないくらい付着した大量の白濁。いや、よく見たら体中にべったりと……最初の肌のテカりもこれかよ。事後ってか凌辱後やん。

 

「え? なにこれ」

「記憶の混乱か。まあ三日間でも、連中の相手はきつかったろうからな」

 

 呆然として、言葉はろくに耳に入らない。

 だが。

 突然、金属の籠手に包まれた手が、脚を掴んできて。

 

「いだああああああああああああああ!!!!」

 

 一気に目が覚めた!

 しかも生えてないせいか、堪える暇もなくちびった!

 

「よし、入った。もう片方もか」

「ちょ、までええええええええええええええええええええええええええ!!!!」

 

 無理やり関節を戻された、らしい。

 今はとにかく、めちゃくちゃ痛い。

 涙目っていうか泣いてる。

 

「突然なにしてくれるんです!」

 

 見ず知らずの人には丁寧語。

 股関節をハメてくれた人を見てみると、黒い鎧兜にマントつけたファンタジー騎士って感じで。手までガッツリ黒い金属で覆われて、腰には剣。中二感満々なんだけど、こう鎧とかがピカピカ系じゃなくて……完全に闇に溶け込んでるっていうか……見たことない材質。フェルトとか張ってる……わけないよな。

 コスプレだと思いたいけど。

 周りに転がる死体と、慣れたとはいえ漂う悪臭が、逃避させてくれない。

 がっつり血の海で、内臓やら手足やら、散乱しまくってるし。

 明らかに、この黒騎士(仮)が殺戮シーンした後……だよね。

 

「あ、あのー」

「…………」

 

 えっ、なんでこの人黙ってるの。

 寝ぼけててよく覚えてないけど、今しがたまで普通にしゃべってたよね。

 

「えーと……」

「…………」

 

 関節なおしてくれたから、殺されないよね?

 あと、関節の痛みは引いてきたけど、股間のいろんな場所がじんじんしてる。いや他もあちこちかなり。なんか尻の方もアレ。ていうか口の中が変なのもたぶんアレだよな。

 黙ってる黒騎士から視線を離し、しげしげと自身の体を見た。

 そんな自己愛強い人間じゃないから、長らく鏡もしっかり見てないけど。これは明らかに違う体。ていうか性別が違うよ。しかも凌辱後的な痣とか、体液とか体中についてるし。痛みがなければ、他人の体で資料と思えたのになー。

 

「……ふむ。今の騒ぎでも何も聞こえんな。連中も日中に外回りはすまい。全滅させたと見ていいだろう」

 

 突然、話し出した。独り言っていうよりは、こっちに聞かせてる?

 いかにもな女騎士とか女軍人風な声と口調。

 アナル弱そうなくっころ系か。

 甲冑もよく見たらシルエットが女性だし。胸とか装甲自体盛り上がってるし。腰細いし。つまりスタイルいいし。

 

「おい、立て」

「……は、はい」

 

 ちょっと口ごもると黒騎士が手を剣に伸ばす。

 女騎士のお約束的に、すぐ剣振り回す人だとヤバイ。

 慌てて何とか立つ。まだ脚、痛い……ていうか、立つとめっちゃドロドロ溢れてくるんですけど。こう、なんか体の中から白濁が。言いたくないけど後ろからも出て来てる。両方ヤられてたのかよ。

 

「そのへんの死体から適当に服を剥げ。その姿で街に連れ帰るのは面倒の元だ」

「え。死体からっすか」

「私は着替えを用意しておらん」

「アッハイ」

 

 突然そんなこと言われても、ハードすぎるでしょ。

 ていうか、この状況自体なんなのよ。

 

「そこに転がっている明かりを使え」

「はい……」

 

 指さす方を見ると、俗にいうランタン……中に火入ってるやつが転がってる。

 これがここを薄暗くしてる、唯一の光源だった。

 うぅ、拾いにいくだけでも、溢れてくる。足首までドロォってきてるんすけど。あと後ろから出る時に音たてるのもヤだなぁ。恥じらってられる状況じゃないけどさぁ。

 とりあえずシャワーか、せめてティッシュほしいんですけど。どっちもなさそーですね。

 拾ったランタンで眺める、洞窟の中。

 転がってる大量の死体は、よく見たら人間は二人だけ。いや二人でもヤバイんだけどさ。

 鎧の男と、白い服の男。どっちも若い。ファンタジーの戦士と神官って感じですな。

 他にいっぱい転がってるのはなんか小さいし、牙とか角とかあるし、たぶん人間じゃない。背丈は1メートルくらいかな? ちんこと玉だけ人間サイズで、相対比的に巨根に見えるわ。ぜんぜん羨ましくないけど。そいつらの死体が10以上。手足が散らばったり、ほぼ真っ二つだったり、ぐっちゃぐちゃ。漏らしてる奴らも大量にいて、臭い。

 

「えと、この小さいのなんです? 人間じゃない、ですよね(ふるえごえ)」

「なんだ、さっきまでお前を犯していた連中を忘れたのか? いや、忘れようとしてるのか?」

 

 アレが、体中についてる白濁の元かー。

 異世界転生じゃなくて、憑依?

 本人レイプ目で壊れてる体に、入りこんじゃったとか?

 

「ゴブリンだ。二度と同じ目に合わんよう、思い出しておけ」

 

 やっぱりなー、お約束だわー。オークとかオーガじゃなくてよかったと思っとこ。

 しかし黒騎士さん、声に明らかな嗜虐心とか愉悦とか混ざってる。兜の中の表情も悪そう。

 こら絶対、悪人だわ。

 

「え、えとこの方たちは……」

 

 推定、戦士&神官について聞く。

 服って明らかにこの神官(たぶん)から剥ぐしかないし。

 

「このゴブリンを倒しに来て、返り討ちにあった連中だな。斥候役も連れず、よく来たものだ」

「仲間とかじゃないんですか」

「いや。私は勝った方を狩りに来た」

「えっ」

 

 漁夫の利っていうか、人間二人が勝ってたら普通に追剥では……。

 

「たいした金品はなさそうだが、上玉のまま生き残った貴様がいたのは幸いだな」

「えっ」

 

 ……んんん?

 売り飛ばすってこと?

 キレイな声して、マジ悪人やん。

 

 どうしよ。

 





他の話放置でまた始めててすみません。
本業も副業も健康状態もよくないもんで、逃避したいんですよ……。(汗)
ゆるゆる書いていければと思います。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。