わりとそのままなサブタイ
――6日目:黒竜山脈、腐肉峡谷
さんざん指でイかされて目を覚ますと、夜だった。
みんな温泉のすぐ傍で、野宿してて。
ご飯してたので食べさせてもらって。
ミナ様とシオン様は、疲れたからってすぐ寝て。
寝てた私が、ルーネ様と見張り的なことしてます。
で。
「――ということらしい」
「はぁ」
ルーネ様から、半ば失神中のあれこれを教えてもらいました。
シオン様ってNTRスキーだったのか……びっくり。
この体が元からビッチだったのは、納得しかない。
「で、貴様は実際に異界の霊魂なのか?」
「はい。そんな感じです」
そこを変に隠さなくてよくなったのは、助かる。
いずれボロが出そうだったしね。
「文字や言葉は、元のアルマを引き継いでいるようだが……」
「名前がスラスラかけた時はびっくりしました」
「ああ、そうだったな。そして、今も私と奴隷契約状態にある」
「痛っ! それやめてくださいよ! 逆らったりしてないじゃないですか!」
「……ふむ。契約状態に間違いはなさそうだな。つまり異界では名などなく、肉体の名が魂にも刻まれているわけか。貴様の名はアルマでよいのだな?」
「はい」
正直、前の自分は忘れたいしアルマでいいや。
異世界来て、PN名乗るとか恥ずか死ぬ。
NTRスキーのシオン様もそっちの方がプレイが捗るでしょ。
「では貴様が以前に言っていたシメキリとは何者だ?」
え? 聞くトコそこ?
そんなこと言ったっけ? 寝言かな?
しかし“何者”てことは人名だと思ってるの?
「ええっと、その、かつて私を支配していた恐ろしい存在……みたいな」
間違ってはないよな。
入稿とか印刷所って言ってたら、なおめんどくさいことになってたわ。
「はっきりせん言い方だな。つまり、貴様は異界でも奴隷で、シメキリとかいう主に仕えていたわけか」
「まあ、そう……です」
間違ってはない……な。うん。
「フン、貴様はこの世界に来て、私の奴隷となったのだ。シメキリとやらは忘れ、この私に全てを捧げろ」
「…………」
「シメキリとは恋仲だったか? だが、もはや貴様は私の道具であり玩具にすぎんぞ」
「っ!」
不意打ちやめてwwwww
噴くわ!
その悪人ロールしてますってドヤ顔で「〆切」って言うのやめろwwww
「己の立場を知れ。そして、せいぜい捨てられぬよう尽くすのだな」
「っ……はい……わかって、います」
クッソwwwww
やっぱルーネ様、厨二病だろ! ミナ様とシオン様はキャラ作ってる感じあるけど、明らかに素で言ってるぞこれ!
「フン、なら顔を上げろ。そして得意の物語でも語るがいい」
「……ぐ……うぅ……」
誰のせいで顔上げられないと思ってんだwww
しかも、これ絶対、本人かっこいいと思ってるだろ!
後で黒歴史になっても知らんぞ!
「顔を上げろ」
「っ……おやめ、ください」
いたっ、いたい! 刻印使うのやめてってば!
けど命令してもミナ様と違って怖くないっす、ルーネ様。
って、痛みを強めるのやめて!
「っ、い、痛いです! わ、わかりました。では、異界にある名所、水龍を敬う園について話させていただきます」
クソがぁ!
だったらこっちが耐えた痛みにふさわしい、エロ話で対抗したらぁ!
「言っておくが、艶話はするなよ。我々は見張りをしているのだからな」
「違う話にします」
「おい」
「だ、だって……」
今日はルーネ様と一回した後は、ミナ様に手で弄られてただけだし……失神はしてたけど。
「はぁ……貴様のいた異界は、そういうことばかりしているのか?」
「ま、まぁ(私は)そういう話が中心ですね」
「中心なのか……平和そうではあるが……」
エロ漫画描いてたからって、そこまで呆れなくても。
「こっちに比べれば平和ですよ。一部の人以外は、武器も持ち歩きませんし。魔法も使いません。鎧を着ている人なんて、ルーネ様で初めて見ました」
「よく略奪や強盗が起きんものだな」
「(日本では)そうそう起きることではありません」
「貴様のような我欲のない奴隷ばかりなら、そんな社会にもなるか」
「虐待とか過労の方が問題でしたよ」
「カロウ?」
「働き過ぎて倒れたり死んだりするんです」
「虐待と何が違うのだ?」
あれ? この世界は過労ってないの?
虐待は通じてるっぽいのに。
「虐待は、いわば娯楽です。立場や数で優位な者が、捌け口として弱者を嬲ります」
「わからんでもないな。貴族はよくやるし、平民でも多々あるだろう」
よくやるんだ。
「過労は当人が働き過ぎた結果、体や精神がおかしくなって倒れたり死んだりするんです」
「確かに、老人や子供を働かせるとたまにあるらしいな」
清潔なクセに、嫌なトコがリアル中世だな!
「い、いえ、普通に大人です。老人や子供に働かせるのは、どちらかというと虐待なので……」
「病人を働かせるということか?」
「基本的に健康な人ですね。途中で病気になっても働き続けて倒れる例も多いですけど」
「それは、無理に働かせた者による虐待ではないか?」
「場合によりますけど、基本的に無理やり働かせるわけじゃないんですよ」
「無理やりでもないのに、どうしてそこまで働くのだ? やめるなり休むなりすればいいだろう」
「そういう人は過労で潰れませんよ」
自分だって無断欠勤で社会人からドロップアウトした身。
ちゃんと通い続けてたら……惰性で潰れるまで通うんだろな。
何を以て過労とするか、ストレスとするかは、人それぞれ違うんでしょけど。
はぁ。
ヤな話させないでほしいなぁ。
フェラでもクンニでもするのに。
「つまり、逃げだす決断のできん奴が磨り潰されるわけか」
「……はい」
そういう言葉、使わないでほしいなぁ。
「やはり奴隷が一般化している社会なのだな。貴様を見ていても、よくわかる」
「えっと……私は一応、仕事は辞めましたよ」
「上司を殺したのか?」
あー、ルーネ様やミナ様は殺したんでしたっけ。目的は違うけどシオン様も。
上司に限らず、殺してたら違ったのかなぁ。
でもどうせ、自分を追い詰めて苦しめるだけだもんなぁ。
「殺したりは……しませんよ。仕事がきつかったから――」
迷惑かけた自覚はある。
でも、最初から働くんじゃなかったとか、成人するまで生きてるんじゃなかった、って思いの方が強い。
会社とか上司とか、そんなに昔じゃないはずなのに……もう、ほとんど思い出せないしな。
「仕事がきつかったから、もう行くの、やめたんです」
「ん? 仕事とは自ら向かうものなのか?」
「はい? ええっと、住み込みじゃないのかってことですか?」
「そうだ。奴隷なら仕事場に閉じ込めておくだろう」
それはガチな奴隷労働だよ。
「いえ、自宅から職場に通うんですよ。けっこう遠かったです」
「……なら、貴様のように行かないだけで逃げられるのではないか?」
「そうですよ」
「それで働き過ぎて死ぬのか」
「はい」
「…………」
なんか変かな。
「立って、服を脱げ」
「あ、はい」
するのかな。
「いや、やはり着ておけ」
「え。あ、はい」
んん? 服もどし。
「背中を向けろ」
「はい」
くるり。
「動くなよ」
「はぁ」
あれ? なんか剣を抜いたりしてる?
髪の毛とかスパっと斬るのかな。
ロングの方が好きだけど、立場は奴隷だし、鎧に引っかかって痛い時あるし。
まあ、首を斬るかもだけど斬首は冷たい感じで、痛くはないって話も聞くしな。
「ひゃっ、つめたっ」
首筋に剣をぴとっと当てないでほしい……びっくりする。
「もういい。こちらを向いて再び座れ」
「はぁ」
剣も鞘に戻したみたい。
なんだったのか。
「貴様は無能だが、命令を抵抗なく受け入れる。己が死ぬかもしれん命令でもな」
「まあ、死ぬだけなら別にたいしたことないですよ」
ルーネ様、痛めつけずサックリ殺すのわかってるし。
「従順な貴様でも、異界では“不真面目”な部類なのか?」
「従順かもしれませんけど……勤勉じゃないですから」
「体が使えるなら、どうとでもやりようはあるだろうに……わからん世界だな」
元の体の美醜とかは、言わない方がいいんだろな。
「そこはお互い様ですよ」
「そうなのか?」
「私がする物語も、この世界で通じなさそうなこと、いろいろ変えてますから」
「ほう。ならば貴様も、物語の才能と技術は持っているのだな」
「え? そ、そうでしょうか」
「というか他は体くらいしか取り柄がないだろうに」
「それはまあ、物語を作る仕事をしていましたし」
「なるほど、語り手だったのか。実際、私が見聞した中で、貴様の物語は間違いなく最も面白かったからな」
「うぇ? うぇへ、ひへへへへ」
不意打ちやめてくださいよー。もー。
フェラとかしてあげたくなるじゃないですかー。
うぃひひひひ。
「気色の悪い笑い方をするな」
「酷っ!」
「貴様の人付き合いが、ミナほど巧みでないことはよくわかった」
ぐぎぎ、上げて落としてくれて!
そこまで言うならわかりましたよ!
敢えて脚色ほぼしてない話、聞かせてやんよ!
「……では、敢えてこちら向けに変えていない物語をいたしましょう」
「ほう」
「私のいた世界では知る人ぞ知る、裏の世界の物語です」
「語り手だけあって、そのような禁書じみた話も知っているのだな」
「私たちの世界には、ニンジャと呼ばれる特殊な訓練を積んだ超人的暗殺者がいます」
「そんなものがいるのか」
「その中でも、平和を守るため魔物討伐を専門とするニンジャ……魔に対することから対魔忍と呼ばれる者たちの話です」
・
・
・
結局は艶話かって、めちゃくちゃ怒られた。
見張り交代で起こしたミナ様やシオン様も、断片的に聞いただけでドン引きだったよ。
ふっ。
ふははは!
計画通り!
これで転生前の私や異界について、聞いてくることもないはず。
一週間程度でも過去は思い出したくないし、あちらの話を根掘り葉掘り聞かれたくないのよ。思い出すとほら、いろいろネガティブになるし……。
なお、当然ながら現代日本への印象はもっと酷くなりました。
一方でアルマはアルマで、ルーネ様から話を聞いてこの世界の貴族女性って全員クソビッチなんやなと考えています。
作家として褒められるとキョドる主人公。
お礼はフェラとクンニしか頭に浮かばないけど。
せっかく連続で提示してるので、今回はアルマのスペック。
●アルマ
武力:E (元の体も戦闘訓練もしたことがない一般人枠)
体力:D (旅ができる程度の体力はある、徹夜ックスにも慣れてる)
知性:E+(思考停止しがち、ものごとを深く考えようとしない、騙されやすい)
教養:D (読み書きは体にしみついた反射能力的にできる、一般常識や貴族知識や法術は一切不可)
感覚:E+(危機感が薄くて鈍い、警戒心もない、体が過敏なので少しだけボーナス)
魅力:D+(空気を読まず話しかけられる、距離感がないだけなので関係維持は困難)
能力値的に最低。
現代知識は、今のところ偏ったエロ漫画知識と物語披露にしか使われていない。学生だったわけでも、社会人生活送ってたわけでもなく、現代知識チートするにはいろいろと足りない。さらに当人の思考能力&記憶能力もあまり高くない。
元の肉体の感覚は悪くないのだけど、危機意識が低いために「メガネなしでもよく見える!」程度の認識。