※この作品はR-18です。

なんのチートもないけど私は元気です   作:神谷涼

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 書けば書くほどポンコツに……。



34:失墜カウントダウン

――8日目:黒竜山脈、旧グリムファング城塞跡

 

 約三百年前に黒竜グリムファングと化したはずのクラウディア将軍……を名乗る魔物が今、勝手にこけて。

 ルーネ様に踏みつけられていた。

 真剣な様子で、シオン様が問いかける。

 

「この城塞の司令官だった姫将軍、クラウディア閣下かい?」

「いかにも! 誰を足蹴にしておるか、わかったならこの無礼な足をどけよ!」

「やかましい。それ以上騒ぐならば、首を切り落とす」

「やめよ!」

「騒ぐな」

「ぎゃー! 刃が当たっておる! 首に! 首に!」

 

 少なくとも本人はそう思ってるみたいだけど。

 騒ぐなって言われて、叫ぶなよ……。

 みんな呆れてるじゃん。

 体はエロい癖に、酷いポンコツヒロインだなー。

 

「うーん……ミナとアルマちゃんで、そのクラウディア閣下の脚、開いてみてくれる?」

「は? あ、はい」

「手の方が危なそーっすけど、切り落とさなくていいっすか?」

「ひっ、危なくないぞ!」

 

 子供か。

 肘から下が悪魔っぽい籠手みたいな手してるんだよね。 

 さっきまで引っ掻いてた石畳に、めっちゃ爪痕ついてるし。

 爪の方は折れてないし。

 引っ掻かれたらやばそう。

 

「ねぇ、クラウディア閣下。その爪でボクたちを傷つけたら、両腕を斬り落とさせてもらうね。あまり重傷だったら、危険だし首をはねる。いいかな?」

「よくない! よくないぞ!!」

「…………」

 

 もうルーネ様、黙って斬首スタンバってるし。

 こっちもミナ様と目配せして。

 いっせーので、開脚させてみた。

 暴れそうな尻尾も掴んでおく。

 

「ぎゃーーーー! 王女の股を拡げるでない! 余! 王女! 偉い! そなたら! 下!」

「なんでカタコトっすか」

「暴れないでくださいね」

 

 腕を切り落とされたくないからって、全身でそんなにのたうち回らなくても。

 踏みつけられてるから、だだっこポーズにしか見えない。

 でも爪で石をガリガリ引っ掻いてるんだよなぁ。

 しかも石がそれで削れてるし。

 尻尾もびちびち跳ねてるけど、こっちは攻撃力なさそう。

 

「離せ! 離さんか!」

「彼女は、脚を閉じようとしてるかい?」

「がんばって閉じようとしてますね」

「筋力は人並みっす。演技にしては加減うますぎ」

「踏みつけたルーネを退かせずにいるからねぇ。肉体面の戦闘力はたいしたことなし、と」

 

 ああ、筋力チェックだったのか。

 確かに怪力持ちって感じはないなぁ。

 これが全部演技だったらすごいけど、ならそもそも怪談で悲鳴あげて捕まる意味ないよな……おしっこ漏らす意味も。

 とりあえず、ランタンで股間を照らしてみる。

 

「人間と変わらなさげっすね。牙が生えたり、強酸が出たりしねーっすよ」

「血管ないみたいな肌だけど、粘膜は普通にピンクですね」

「どこを触っておるかー!」

 

 元気だなぁ。

 ミナ様が、鞘付きナイフでツンツンしてるだけじゃん。

 私の時みたいに、即手マンじゃないし。

 しかし、純白肌とか青肌とか赤肌とか紫肌のキャラって、粘膜の色は作家によって違うもんだけどなぁ。この子はフツーの人間と同じカラーリングなのね。

 盛りマン気味で、ちょっと脚開くと後ろからでも見えそうな恥丘してるなぁ。

 うーん、しかし。

 

「キレイな尻で、手足長くて、背も高くて、好みの体なんすけど……色気ねーっすね」

「本当ですね」

「なにをー!」

 

 声も艶っぽいのに、内容が子供すぎる。

 体は成熟してるのに、反応がロリだ!

 見た目は魔王軍四天王、中身はこどもっていうか……。

 CVキャスト間違ってる……いやキャラデザが……違う、脚本ズレか!

 サキュバスかと思って期待したのに!

 いや、ポンコツ処女サキュバスも最近は多いか?

 

「んー、股開いたら、いつでも濡れてるアルマちゃんとはえらい差っす」

「ぜんぜんひくついてないし、おしっこしか出てませんね」

 

 ま、これでもエロにかけては(漫画で描く)プロだからな。

 こんなリアルレイプ待ち魔物娘とは、格が違う。

 大いに見直してくれていいのよ。

 こんな私でも胸を張って誇れる、数少ない長所だからね!

 

「アルマちゃん……」

「はい」

 

 ミナ様から聞いたことのない真剣な声。

 告白かな。

 

「アルマちゃんのこと、最中に変な顔して奇声を出す残念な女だと思ってたっすけど……これに比べれば色気あったんすね」

「…………」

 

 ひどくない?

 渾身のアヘ顔&ボイスだったのに、今まで奇声扱いだったの?

 この世界にはまだアヘ顔文化がないの?

 ていうか、なんでルーネ様とシオン様も頷いてるの?

 

「最中にキセイを出す? そやつ、腹に虫がおるのか?」

「「「ぶほっ」」」

  

 待てやゴラァ!

 なんでこの魔物娘にも残念扱いされるのか!

 他の三人、みんなして噴いてるし!

 これはさすがに、エロ同人作家としてマジギレ案件ですわ。

 三人には逆らえない奴隷の身だけど。

 

 今はさらに下のポジがいるしな。

 脚を開かせてたクラウディアの、脚の間に入り込む。

 掴んだ尻尾を軽く引っ張る。

 

「おい、近づくでない、虫使い」

 

 ふ、ふふっ、煽ってくれるじゃねーの。

 覚悟はできてるんだろな。

 さっきまでの凹んでた私とはもう違うんだからな。

 

「誰が虫使いですか!」

「ひぎゃっ!!!!」

 

 ばちーんと、思いきり尻を平手で叩いてやる。

 しっかり育った尻して、叩いたら卑猥に尻肉揺らすクセに!

 尻尾がアクメったみたいにピンってなるクセに!

 

「王女だか魔物だか知りませんが、今の立場わかってるんですか!」

「ひっ! やめよ! 余は尻を叩かれるような年齢ではない!」

「だったら、相応の会話をしなさい!」

「余はそなたらよりぃぎぃ!」

「立場を知りなさい!」

「な、なにを……いだっ! 痛い! 止めよ!」

「この砦は滅びたんですよ! あなたは捕虜なんです!」

 

 オラッ、くっころしろよ!

 

「よよよ余を辱めれば身代金が得られぬぞ! わかっへぶっ!」

「身代金なんかいりませんよ! あなたは我々の鬱憤を受けて、苦しみ抜いてから惨たらしく死ぬんです!」

「ひぎぃ! 死にとうない!」

 

 それでも元女騎士か!

 そして、外野がなんか言ってるけど知ったことか!

 

「この砦で死んだ兵士に悪いと思わないですか! せいぜい苦しんで死になさい!」

「い、いやだ! 兵士なんぞ、余のために死ぬのが当然ではないか! なぜ余が死なねばならん!」

 

 あ、クズだったわ。

 すーっと冷静になった。

 ていうか、思えばこの世界に来てからクズしか見てない気がするぞ。

 ルーネ様をチラっと見て……己の首を指で示す。

 わかってくれたみたいで、頷いてくれた。

 

「あなたのようなクズは死んで当然です!」

「いやだ! 兵士如きのために死にとうない! 余はまだまだ幸せに生きる!」

 

 すげーエゴイストっぷりだな。

 

「なら……せめて私たちに役立って見せなさい!」

「裏切れと言うのか? 裏切ったら殺さんのか?」

「ええ。裏切って、私たちのために働いてくれるなら、有能なクラウディアを生かして……幸せな生活を送らせてあげますよ」

 

 と、冷静になられても困るから一撃。

 ばちーんと……いい音するなぁ。

 叩いた後も尻肉が震えてるし。

 叩くごとに、というか力むと尻尾がピーンってなってる。

 言動からはとてもそうは見えないけど、この体と同じか、あるいは年上じゃまいか。

 

「ひぎゅっ! わ、わかった! そなたらに味方する!」

「本当ですか?」

 

 尻を軽く撫でてから、手を振り上げて見せる。

 

「うぎゅ……ほ、本当に、そなたらに付くから痛いことは、もう止めてくれぬか……うぐ、えぐ」

 

 泣き出した。

 何歳だよ、ホントに。

 やさしく尻を撫でてやる。叩いた尻は火照って熱い。

 けど……血管とかないのか?

 こっちの掌もかなり痛いくらい叩いてるけど、ぜんぜん尻が赤くならないなー。

 尻尾をしゅこしゅこ扱いてみたけど、特に反応なし。

 感度ゼロか、ゴミだな。

 それに汗でぬめってはきてるけど、感じて濡れてたりしない。

 騒ぎまくってる様子から見ても、マゾっ気皆無かな。

 

「将軍ならわかるでしょう。口約束じゃ意味ないんですよ。ね、ルーネ様」

「……ああ。これにサインしろ」

「えぐ、うぐ……ペンを……」

 

 予備で持ってるような話でしたもんね。

 奴隷契約書。

 

「刻印の指輪も持ってねーっすよね? 代わりに血判状として、血で書いてもらうっす」

「ひっ」

 

 タイミングよくナイフを持ったミナ様が近づく。

 

「利き手はどっちっすか?」

「いいいい痛いのはもうやめるのではないのか!」

 

 うん、指先切られるの痛いもんね。

 気持ちはわかるけど、さっきの鬱憤はまだ晴れてない。

 それにあのスケルトンの生き地獄っぷりを見た後だしな。

 

「なら、お尻をもう百回、叩きましょう」

「ひいいい、死ぬ! こんな苦痛を百回も味わっては死んでしまう!」

 

 尻叩きで死ぬかなぁ。

 媚びのつもりか、掴んだ尻尾先がピコピコ跳ねてる。

 

「なら、わかるっすね?」

「あああ……」

 

 明らかに書類読まず、指先切られることに絶望してるぞ。

 ミナ様がすっと、素早く硬質の指先を切ると……黒い血液 (?)が出てきて、鉤爪を伝う。

 

「へぇ、お尻は腫れないのに、体液は流れてるんだ」

「ひぃぃぃ、なんか出た! 早く手当せぬか!」

 

 お前も知らないのかよ。

 

「先にサインしてください」

「心から祖国を裏切り、我々の指揮下に入ると誓い、署名せよ。偽りあらば、今の状況など児戯と思える苦しみを与え続けてから殺す」

「その羊皮紙は、本心を偽って書いたらすぐわかるっすからね」

「ウソだったら、尻を叩かれながら手足を端から切り刻みますよ」

「いいいやだぁ! やめよ! 書く! 嘘ではない!」

 

 ぺちぺちと軽めに尻を叩くそぶりを見せたら、即書き始めた。

 どんだけスパンキングが怖いんだよ。

 

 クラウディア・V(フォン)・ヨルムンガンド、か。

 

 うつ伏せになってる彼女の髪を持ち上げてみる。

 白い首に、私と同じ首輪の刻印が刻まれていた。

 それを確認すると、ルーネ様も乗せていた足をどける。

 私とミナ様も、開いてた股を閉じさせてやった。

 

「よし。よく署名した、クラウディア。立っていいぞ」

「お尻ももう、叩きませんよ」

「はぁはぁ……これでもう、痛いことはせぬのだな?」

 

 ふらふらと立ち上がり、眼球が黒いのでよくわからないけど涙目&涙声で訴えてくる。

 うーん……腕力的にもサディスト的にも、たいしたお仕置きじゃなかったはずだが。

 

「ええ、しませんよ。仲間じゃないですか」

「効くかわからんが……〈封傷〉」

「おお、傷が! 戦士の上に法術師とは……名のある将なのだな! 心強いぞ!」

「へぇ。魔物化していても人法術が効くんだねぇ」

 

 私の時と同じパターンね。

 ルーネ様が名のある将?

 わりと誰でも法術は使えるんじゃなかったっけ?

 

「うう、尻の痛みに効く術はないのか?」

「我々を裏切った時の痛みとして覚えておけ」

 

 どんだけ尻が痛いんだよ。

 まあ私も同じことされたら、同じこと言いそうだけど。

 

「さて、とりあえず砦がこうなった詳細を聞きたいね、クラウディア殿」

「ああ、かまわぬが……ん? 痛っ! 首が!」

「転んだ上に変な体勢でいたせいで、ひねったっすかね」

「関節がずれかけていたんじゃないかな」

「うぐぐ……すごく痛かったぞ。尻のような後にひく痛みではないが……」

 

 ぶつぶつ言ってるクラウディアを見て、四人でこくっと頷き合う。

 奴隷化成功。

 魔物でも奴隷化って可能なのね。

 私の同僚が一人増えたってわけで。

 このチョロインのこども思考を、しっかりエロ脳に変えてやらねば。

 まだ4Pも達成してないのに、タスクが増えて困るわー。

 




 エロになりそうでなってないようで、ややエロみがあるといえばある回。
 果たしてクラウディアはエロいキャラになれるのか!

 前回の怪談語りでは無理にテンション上げてたアルマちゃんですが、ポンコツサキュバスなクラウディア登場で、やはりこの世界はエロゲ……と認識を新たにして復活してます。

 そして。

 今回でお気づきの方もいらっしゃるでしょうが、この世界の貴族の家名は北欧神話の怪物から。
 今のところグレンデル家とヨルムンガンド家のみですが、フェンリルとかガルムとかフレスヴェルグとかあります。
 家名=家の紋章の怪物、という感じ。
 家ごとの得意部門もあります。

 平民の家名は、動物のドイツ語です。
 カッツェ家(猫)、ヴォルフ家(狼)、シュヴァン家(白鳥)など。
 トーテム崇拝はしてませんが、家の紋章が動物になります。
 基本的に村の名前が動物=その村の出身者は同じ動物家名、という構造。
 やがて流入者や流出者によって、各地に他の動物の名が入り込みます。
 メジャーな動物は、まったく交流なく同じ家名が混在する場合も。
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