第三章 前哨戦
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買い物へ向かったが、彼女が疲れて
眠ったので翌日になった。
「~♪」
安全装置(セイフティ)を外しスライドを引き
薬室(チェンバー)に弾丸をくわえ込ませ、ふたたび
セイフティをかけてマガジンを引き抜く。
それを繰り返した後に、耳元で
撃鉄(ハンマー)をゆっくりあげる。一連の動作を
所持するハンドガンすべてにおこない待つ彼女。
喧騒とろくでなし共が集うBAR〈クリスティ〉に
やはり彼女は溶け込み、くどいてくる輩も
円谷くんとわたしが対応するまでもなく
テーブルに叩きつけた。何度も顔面を
打ち付け「やめでぐだざい“……お、お願いしまふ」
濁音交じりの懇願と情けない悲鳴をあげたら
解放していた。なんと慈悲深いっ。
太ももの上に乗った白いかけらを、手で払い
彼女は師匠(せんせい)が来るまで同じ行動を
繰り返した。
「おおっ──」
「その声は阿笠おじいちゃん?」
丸眼鏡型サングラスかけたスキンヘッドの
アフリカ系アメリカ人に見える日本人、
阿笠
になるため、生まれてきた異能者の我が師っ。
サングラス越しでも、涙うかべる師匠に
抱きつく彼女。笑顔から逆再生の真顔へ変わり
「お姉ちゃんは?」と訊ねる。
「それは奥の部屋で話すゾイ」彼女を
抱きかかえたまま、師匠はカウンターの
裏へ向かう。わたしと円谷くんも後に続いた。
「どうじゃ、スゴイじゃろ」リボルバーなどが
並べられたガラスケースを自慢げに叩く
師匠。だが、彼女が肘で叩き割り
物色しはじめた。
わたしは師匠に頭を下げた。二百年からの
付き合いだからか、怒らず力なく笑って
済ませてくれたのは感謝するしかないっ。
まずはステンレス製のM629をつかみ
銃身を外す。太いM500のマグナポーテッド・
バレルに、回転弾倉(シリンダー)も同じ
ヤツへ変えたっ。わたしは弁償代としてコインと
5.56mm弾三発を師匠に渡し、弾薬が並ぶ本棚から
超大型の五十口径拳銃用マグナム弾、.500S&W
を一発ほど彼女に投げ渡す。すぐさま弾を込め
シリンダーを耳元へよせて回した。
カチッと音が鳴った同時に
出入りドアから先ほど牙を折られた
アメリカアカ・オオカミが突入する。
「あっ」彼女がクセで発砲っ。雄オオカミの
頭部がマグナム弾で四散して、弾き飛ばされた。
首から上を消失し仰向けになって動かない。
「博士ゴメン~」頭をかきながら会釈する
彼女。床に散らばったガラス片をほうきで
集める円谷くんは「死体どうします?」
眉をひそめつつ、師匠に訊ねた。
「あとで“ミンチ”にするぞい。テキトーに
そこらへんに置いて大丈夫じゃ」
「ついクセで……」
「気にしなくていいんじゃぞ。きっと、
強盗じゃ。いくら死んでもかまわん」
「二百年経つと人は変わるねぇ~」
円谷くんがやりきれない表情を浮かべてる。
やはり
激しい後悔に襲われるのだろう。
『ザザ……博……』
「哀くんからじゃっ!!」
「おねえちゃん──」
『まさか……ウソでしょ……』
二百年ぶりの再会。イリジウム・スマホ越しだが
果たされた!!!!
そこから二百年前の言語である
『英語』を使い、姉妹は会話はじめた。
「良かった。無事で」
『あたりま……でしょ……』
「会いたい。スゴく会いたいよ」
『私もよ……レイ……』
雑音交じりでも彼女はうれしそうだ。
だが、時間はないっ。
「場所わかる範囲で」
『頭蓋骨が積み立てられた壁の……』
「カタコンベじゃな。ストリップ地区の
南方面にある集団墓地じゃ」
「墓地はベイカー共和国の外です。新ベイカー
共和軍に救助要請
「しゃっ!! 出撃すんでっ!!」
円谷の言葉を流し、彼女は
姉を助ける為の部屋にある必要品を
かき集めていく。
「円谷くん、自動拳銃は二つ持っとき。
投げナイフも同様や」
「わかりました」
「阿笠おじいちゃん、なんかブチかませる
変わったハジキあらへん?」
「ほっほっほっほっ~これならどうじゃ」
「へっー
じゃん」
「そうじゃ。半径五メートルまで巻きこめる
7.62x39mm“エア・バースト”弾を使用可能な
特殊バージョンぞい。傾斜マズルブレーキ
付いとるから、手振れも安心じゃぞ」
「あんがと」
わたしもコルトMk.IV(マーク4)シリーズ70
という民間用M1911ハンドガンを選び、
さらには、“ただ理想のライフルを造ろうと
思い造った”マグブル社製の古代ローマ時代、
難攻不落の要塞から取った『MASADA』名を持つ
オプション装備が可能なハンドガードの
カービンモデルのAKMSU、FN ハースタル社製の
ハイパワーM7 カスタム とワルサー社製のP99
ミリタリー、45口径ハンドガン二つを
円谷くんは選んだ。
「二人とも、念のためコレも」ガリル社製
軍用小銃、その7.62×51mm弾対応型
狙撃銃(スナイパー・ライフル)バージョン
であるARMを、チェスカー・ズブロヨフカ
国営会社製のサブ・マシンガンのVz 85こと
“スコーピオン”を肩にかけた円谷くんに。
二脚(二本の脚を持つ支持装置。
バイポットとも)と栓抜き付ハンドガードを
持つイスラエル製を選択するとは流石だっ。
わたしには、ショートアウター・バレルの
レミントン社製ショットガンである
M870 スキャッターをくれた。
コンパクトなボディーアーマー(プレート・
キャリアとも)に、メッセンジャー・バックや
戦闘に必要な装備品を素早く取り出すための
肩から吊るして使う胸当ての軍用の弾帯
〈チェスト・リグ〉などを、わたしと円谷くんは
身につける。
彼女も、師匠からもらった
イリジウム・スマホを懐へ。さらには
モスバーグ社製ショットガンの軍用モデル、
ピストル・グリップ付きコンパクト・
クルーザーなどをバック・パックに入れた。
「そんじゃ~行くで」先ほど自らが組み立てた
マグナム・リボルバーを懐へしまい
彼女はバックを背負う。
「すみませんー」
AOPE隊長のドール・ビッグホーンは
部屋に来たと同時に、わたしたちは
外へ出た。残されるビッグホーン。
すまない! 今は時間がないのだっ。
プレート・キャリア=5.11 TacTec
チェストリグ= コンドル・タクティカルギア
MCR7
メッセンジャーバック=Maxpedition Gleneagle
製。博士が改良してレディース並みに小さく
容量はドラえもんレベルに。
他にもINOVAライトやリモート・バッテリー・
パックなどを装備してます。