秘密を知った士道君は何を思い、答えを出すのか!?
~士道side~
中学生の時、俺が帰り道を歩いていると桜が満開の道にある女の子を見かけた。
年は……俺と同じくらいか、少し上。真珠のような肌、モデルのような体型、そして片目を隠し、お嬢様のような優しいオーラ。俺はそんな彼女にいわゆる一目惚れをしてしまった。
「どうしましたの?」
突然、彼女から話しかけられ驚く。そして顔がキスをするぐらいの近さで心臓が飛び出るほどドキドキしている。そして片目を隠していた髪が揺れ、金色の時計のような目が見えた気がした。
「あ……あの、俺と一緒に……お茶でも……しませんか?」
それが彼女に言った最初の言葉だった。
~狂三side~
私はある目的のために様々な場所を転々としている。今の季節に桜をしっかりと見ておこうと思い、桜がよく綺麗に見えると言われている場所に来て桜を眺めているとある人にじっと見つめられた。
特徴的な青い髪、学生服を着ているから私と同じか少し下。彼の眼には優しさが満ち溢れ、困っている人を見捨てることができないお節介焼きな人だと思った。私は彼に近づき何をしているかを聞くことにした。
「どうしましたの?」
そう聞くと彼は、驚き戸惑っているようだった。その顔を見るとたくさんからかいたくなってしまいそうな人でどんなことでも本当の事だと思ってしまう騙されやすい人でもあると思った。そうして彼の顔を見ていると彼は、
「あ……あの、俺と一緒に……お茶でも……しませんか?」
と言ってきた。何だろう?新手のナンパか、ただ単に天性のプレイボーイなのか?私は彼が面白そうだと思ったので彼とお茶をすることにした。
~士道side~
俺は今、人生最大の事をしてしまった……何故かって?一目惚れをした人にお茶に誘ってオッケーをもらったからだ。このチャンスを無駄にしないように俺は頑張る。
「で、何頼みます?俺は決まってますけど……」
俺は良く行っている喫茶店に来ている。ここには色々と来たことがある。両親と妹ともそして友達とも。だからマスターは俺のことをよく知っており、今日のことは秘密にしてくれるとも言っていた。マスターには感謝である。
「そうですわね……このケーキセットにいたしますわ」
そうして注文が決まったのでマスターに頼む。いつもの様にマスターはコーヒーを淹れ、俺の所に持ってくる。
「士道君、いつもの。あんまり気を貼りすぎてはいけないぞ?」
マスターは経験豊富なのでアドバイスをたくさんくれる。それで俺は窮地を助けてもらったりしていた。
「分からました、ちょっと……頑張ってみますよ」
そうしてコーヒーを一口飲む。ある日からブラックでも飲んでみたいと思い飲んでみた所意外といけたのでそこから俺はいつもブラックを頼んでいる。
「いつも、ブラックを飲んでいらっしゃいますの?」
彼女にそんなことを言われるが……その一言一言が脳に響き甘い記憶として残される。
「………まあ、大人の真似事と良く……言われますけど」
ブラックコーヒーを飲んでいると大人になりたいの?とかを言われる。でも俺はこれが好きなんだ。変えるつもりは無い。
「では、自己紹介でもしましょうか。わたくしは時崎狂三と申しますわ。最近、此処に来たばかりですの」
その名を俺は一生忘れることは無いだろうと思う。初めて恋をした人だから。
「俺は五河士道。ただの中学3年生です」
本当に何も言うことは無いのだ、一つだけ隠していることがあるとすれば……彼女には俺と同じような病気を発症している時期があったのではないかと思ったけど、違ったのだろうか?
「ええ、士道さん……ですわね。明日、お暇でして?出来ればこの辺りのことを案内してほしいですの」
明日は休日、土日で休みである。こんなことを言われ、はいと答えなければ男が廃るし俺の頑張りが無かったことになってしまう。
「いいですよ。明日は俺も暇だったので……日曜日も案内しましょうか?」
これで二人でいる時間を増やす。妹に散々これだから彼女できないんだぞー、とか言われていたが今の俺は違う。
「いいんですの!ありがとうございます。では土曜日と日曜日に此処の案内をよろしくお願いしますわね?」
そうして俺は人生初のデートに誘うことに成功した。
家に帰り、夕食を食べながら妹の琴里に聞く。
「なあ、琴里?デートする時に行くべき場所は何処だと思う?」
話をしたら、妹は箸を止め震え出した。
「ええ?おにーちゃん?もう一回言ってもらっていいか~?」
「デートする時に行くべき場所は何処がいいか分かるか?」
ぶっ……と吹き出すと、普通にゲーセンとか高台がいいんじゃないかと教えてくれた。
「ねえ……おにーちゃん?彼女……できたのか?それだったら喜ぶけど……」
まだ彼女ではないので言わないでおく。しかし、妹にそれを言うとネタにされそうなので絶対言わないでおく。
「彼女はできてないし、女の人と出かけることもないぞ。ただ単に聞いてみたかっただけだ」
妹はそれに安心したのかお風呂入ってくるのだ~と言い、食べ終わった皿をキッチンにおいてリビングから出る。俺はこれを隠し通せるのだろうか……と考え始めるのだった。
~狂三side~
私は隠れ家に帰ると、一人ウキウキしていた。何故なら彼に恋心を抱いてしまったからである。でも、彼からは霊力を感じているそれも……莫大な。それならばその恋心を利用し彼を堕とせば私の物になり”悲願”を叶えられる。そう思うとウキウキして気分が高まる。こんな感覚は何時ぶりだろうか。
「明日は、士道さんとのデートですわね……どの服を着ていきましょうか……」
私のクローゼットには黒い歴史なるものが封印されている。彼も同じような物を発症しているとも思った。彼ならば可愛いからそれずっと着ててほしい。後写真を撮っても?とか言ってきそうだと思う。
「少し気合を入れて行きましょうか……」
私は明日と明後日のために服を選んだり勝負下着を選んだりして夜を過ごした。
~士道side~
デートに待ち合わせるのは初めてなので凄く早く来てしまった。待ち合わせの時間の1時間も前に来てしまったので今回のデートプランを確認する。
俺のデートプランは土曜日に此処から離れた場所を見せ、日曜日にこの辺りを紹介し、いい時間になったら高台へ連れて行き告白する。という流れで昨日の夜に頑張って考え出した。中学生が頭を捻って出したものだと言っても信じないほど緻密に練られている。そうして頭の中でシュミレーションを繰り返す。
「お待たせしました。士道さん?」
その声で現実に戻る。彼女の私服は黒を基調としたワンピースで見入ってしまうほど美しかった。
「………いえ!俺も来た所ですから。気にしないでください」
そんなことを言うが彼女にはバレているようだ。くすくすと笑う彼女の顔を可愛かった。
「あら、デートに来た時のお約束のセリフですわね」
そうだ、お約束のセリフを口が勝手に行ってしまったのだ不可抗力だから仕方ないと思っておく。
「そうですね……取り合えず、今日は少し遠い有名な所に行きましょう。天宮市にはそういう観光名所、結構多いですよ」
そうして彼女を案内する。オーシャンパークなどの娯楽施設、観光名所を彼女に一つ一つ紹介する。このために俺は色々と昨日調べ尽くした。彼女の反応は上々の様で楽しそうにしていた。
「今日はここまでにしましょうか……明日は中心街辺りを紹介しますね」
遠い所の観光名所などの有名である場所を紹介し終え、時間も暗くなっていたのでお開きにする。
「ええ、とても楽しい時間でしたわ。士道さんがこんなにもよく知っているなんて博識ですわね」
博識ではない、調べたんです。
「いえ、そんなことはありませんよ。では明日、この場所で」
そうして、彼女と別れ家に帰ると妹が玄関で待ち伏せしていた。
「おにーちゃん!お帰り~!やっぱりおめかししてたんだね~!」
家から出るところを妹には見られていた。しかし、彼女のことを言っていないので分かっていな様子だ。まだ教えるのには早いとも思う。
「飯にして、風呂入って、寝るか……あっ~~。今日は疲れたなぁ」
そう言って、夕飯を作って食べ風呂に入り寝る準備をする。明日、彼女に告白をする……駄目だったとしても友達でもいいから彼女と一緒に居られる絆のようなものが欲しかった。あわよくば色々と……と妄想していると自己嫌悪に陥る。
「はぁ……明日か……狂三は……答えを出してくれるか?」
俺はそんなことを思いながら眠りにつく。
~狂三side~
私は彼を今すぐにでも攫って私の物にしてしまいたい。だけど私の秘密を言って目的のために私に殺されなさいと言って聞くだろうか?そもそも人間なら恐怖に陥るし死にたくはないだろう。でも、不公平である。彼には明日私の秘密を教えることにして繋がることも視野に入れながら彼のことを考えていた。
「士道さん……逃がしませんわよ……貴方の大切な物を壊してでも、わたくしの”悲願”の一部となっていただきますわ」
~士道side~
今日は気持ちが悪いほどの快晴だった。なんだか嫌な予感と不信感を持って今日に臨んでしまった。彼女には秘密があるのではないか?そんなことを朝、思いついてしまいそんなことを考えながらデートに臨んでしまった。俺は忘れることにし、狂三に紹介する場所の確認をしていた。
「士道さん?どうしましたの?」
確認していると彼女の顔が目の前にあり、後ずさる。
「すいません!気づきませんでした。結構待ちましたか?」
彼女が此処に居るということは俺は確認作業に熱中しすぎて気づいていなかったことになる。それは大変失礼だと思いそんなことを聞く。
「いえ、来たばかりで士道さんが考え込んでいたもので話しかけたらそんな反応をされてしまいましたわ、悲しいですわ、泣いてしまいますわ」
彼女はウソ泣きも得意なようだ。その顔も可愛い。
「本当にすいません!でも、今日はサプライズもありますからお楽しみに」
そうして、彼にとっては告白の。彼女にとっては最後のデートになる。
二人で中心街を周る。水族館や商店街など……俺がよく利用する場所を周ると店主の人が色々と話しかけてきて困る。それでも彼女といる時間は楽しかった。
「………!!綺麗ですわね……」
時刻は午後6時。さっき夕日が沈み暗くなると星が輝き始めている。最後に此処に来たということは俺は人生最大の事を話さなければいけない。
「まあ、此処は俺のお勧めの場所ですよ。偶に此処に一人で来て考え事しますね」
あながち間違っていない。此処は最近来る場所なのだ。
「ああ、でも……この関係は……今日で終わりですわね……」
そんなことを彼女が言う。俺はここしかないと思い話す。
「今日で終わりなんて言わないでください。俺も終わらせたくはないんですよ……だから俺と付き合って下さい!!」
俺は彼女の方を見て告白をする。よく噛まずに言えた俺。偉いぞ!!
「ええ、私も同じことを思っていましたの……でぇも……」
口調が変わった。そうしていると足が白い腕に捕まれていた。
「神威霊装・三番……おいでなさい<刻々帝>」
そうして彼女の前に大きな時計が現れる。そうして彼女を見ると赤と黒のドレス、俗にいうゴスロリという服に変わり、左右不揃いのツインテールになり、彼女の左目は時計のように一秒ずつ動いていた。
「士道さんは……わたくしがこんな存在でもそんなことを言えますの?」
しかし、俺は恐怖を抱くよりも美しいと感じた。
「俺は……答えを変えるつもりは……ありませんよ。狂三さんがどのような存在であっても……」
俺は心から思う本心を言うと彼女は少し驚く。こうすれば少しは彼女から何か聞き出せると思ったからだ。
「で、貴方はどういう存在なんですか?そうして俺を狙っていた理由は?」
薄々気づいていた。こんな変な人にお茶に誘われたからと言って付いてくる人ではないと思った。でも不思議な人だなとは思っていた。
「わたくしは、精霊。空間震を起こす存在……と言えば嫌でも分かるでしょう?士道さん?」
空間震。嫌になるほど授業でやった。だからどうした。
「わたくしは、精霊の中でも<最悪の精霊>と呼ばれ、わたくしだけを狙ってくる人もいるほどですわ」
最悪の精霊?何だってんだ。
「そしてわたくしの目的は、貴方様を喰らって霊力を奪い……世界を変えることですわ」
大体わかった。彼女の後ろにある時計で過去に戻って世界を変えたい……ということだろう。なら、俺の答えは決まっている。
「大体、分かったよ。……なら俺は協力するしかないですよ」
「へ?」
彼女はそんな素っ頓狂な声を上げた。
「わたくしは貴方様を殺すのですよ?抵抗は無いんですの?」
好きな人に殺されるって良い思いではないけど俺は狂三が好きだ。彼女のためならば俺は尽くす。
「だけど、条件があります。俺が卒業するまで待ってもらっていいですか?狂三さんと死ぬまで過ごしたい……傍に居させてほしいんです」
俺はこの人と結婚でもするんだろうか?何かすらすらと言葉が出てくる。
「本当にそれだけで……いいんですの?卒業まででいいんですの?」
確認してくるが、それで構わない。家族には申し訳ないが……俺の決断を許してくれ。
「ああ、それでいい。狂三さんのことをもっと知りたい。感じたい。俺の好きな人だから……」
そうして開放された俺は彼女に抱きつかれてしまい戸惑う。心臓が飛び出てしまうほどドキドキしている。
「本当に……馬鹿なお人。わたくしの全てを話しても変える気はありませんの?」
その決断は揺るがない。俺の好きな人に泣いてほしくない。
「変えませんよ。後……こんなことをしていると……あの……ちょっと」
決して下半身が反応してしまっただけではない。決して!!
「!?あら、元気ですわね。そんなに興奮していますの?」
そういわれると困る。反応に困る。好きな人の目の前でそんなことを言われると恥ずかしい。
「これは不可抗力です!でも、これは……死ぬ前まで……取っておきたいです」
何となく、卒業するんだったらその時かな?と思った。
「分かりましたわ……貴方が私を好きなようにするのはまだ先ですわね」
そうして二人で抱き合った。
~狂三side~
私はとりあえず彼を手に入れることはできた。その代わり、高校に入るまで待って欲しいと。そして私の彼氏となった。彼には私が何をしたいかを話した、彼には精霊を封印する能力があることを言ってたので唇を触れさせないキスならばしていいと言ってある。しかし、なんだろう……この思いは……
「わたくしは初めて殿方に恋を……してしまったのでしょうか……」
彼、五河士道に恋をしてしまった。彼を喰らえば直ぐにでも<十二の弾>を使い過去に戻れるが彼の思いを尊重したかった。彼は私と一緒に居たいと言ったのだ、死ぬまでの時間。
「4月10日……今日から数えて一年。楽しみましょうか……」
そうして彼女と彼は死ぬまで恋人の関係になった。
何となく思いついたんですよ……こんな感じのよく分からない奴。
次が一番キツイ話になりそうですね。