鋼の錬金術師 賢者の石を持つ彼女はアラサー女でした 作:木桜 春雨
その男のことは僧であるということしか知らなかった、名前を聞かなかったのは怖かったからだ、男が自分達と同じではなくイシュヴァールという聞いたことのない国の名前だったこと、優しくし接してくれるが、もしかして何か理由があって、そんな風に振る舞っているのではと思ったからだ。
疑いたくないと思いつつも知らない場所での生活だったので無理もない、だが少しずつ、信用しても信じても好意を素直に受け取ってもいいのではないだろうと思った時、迎えが来た。
保護の目的で自分達を連れに来た軍の人間、目的は石を造るというが、それがどういう意味なのかわからなかった、人の命を使って石を造るということを知ったのは、いつだったろう。
子供達だけでも安全なところに逃がそうと皆で話し合ったが、どうやって施設から見つからずに抜け出すことができるのか悩んだ、そんなときイシュヴァール人の男達が助けに来た 抜け出した後、イシュヴァールに戻れば軍は探しに来るだろう、だから、考えた色々な方法を考えた、何通りも、そして結論を出した。
犠牲は最小限にして、軍を欺く、騙して、そして、これから先に犠牲は出さない、続かないということを彼らに教えなければならない。
黒髪が多いのでシン国に逃がした方が安全だ、子供のいない夫婦達がいれば自分達の子供として育てるように預けよう、若い女達は髪を染めて変装して、男がいれば夫婦のふりをして、絶対に生き延びようと約束した。
「君は俺と夫婦ということで」
真っ白に染めた髪を撫でながら男は大丈夫と安心させるように声をかけた。
「国に弟さんがいると聞いたけど」
「大丈夫だ、あいつも大人だ、分かってくれる」
恋人がいるのではと聞くと自分は僧侶で修行中の身だからと笑っていた、弟はイシュヴァール人特有の白い髪と赤い目の弟は自分より体も大きくて、自分よりも頼りになるんだと笑っていた。
ほら、あそこが○○ですよ」
数日前までは聞き取れなかった異国の言葉が今では理解できるのは不思議なことだ、有益で自分にとって、これはいいことなのだと思う反面、気になるのは時間だ。
いつまで、こちら側にいられるのかとていいうことだ。
数日前、扉を開けることに成功し、別の世界に行くことができた、ここで色々な知識を学んで自分のものにして戻れば、あちらでもっと完璧な石ができる筈だ。
「ハイムさん、どこか行きたいところはありますか」
自分のことを外国人の旅行者と思っている女と知り合ったのは数日前のことだ、不慣れなので案内を頼みたいと申し出ると女は最初驚いた用だが快く引き受けてくれた。
不思議なことに最初は読めなかった文字が彼女の説明を受けると理解できるようになった、文字も簡単な子供用の物語は読めますかと言われて見せられると半日ほどかかってようやく言語を理解する事ができたが、黙っていた彼女には。
(ソロソロ、時間ぎれだ、戻ル用意をしたほうがイイ)
その日、戻れという声が聞こえてきた、それは真理の声だ。
「本当なら期限はとっくに切れている、特別サービスをしているつもりなんだがな」
「もう少し頼む、彼女が図書館に連れて行ってくれる約束なんだ、個人では見られない珍しい書物を見ることができると手続きもしてくれたんだ」
少しの沈黙の後、それは無理だなと真理は首を振った。
「あの女は、もうすぐ死ぬからだ」
どこか含みのある言い方だと思った、どうしてと聞くと石だと答えが返ってきた。
「石と相性がイイ、あの女の親族モ、多分、気にナルなら、聞いてみろ」
「祖父が、いなくなったの、祖母と不仲って訳じゃなかったし、不思議なんだけど」
自分の身内の話だというのに、本当に不思議だと女は笑いながら男を見た、これは人間の強がりというものだろうか。
あっ、これアンデルセンの童話、少し古い翻訳だけどハイムさん、読めるかな」
その日は近くの古本屋に行くことになった、こんなところに童話があると手渡された本は人魚姫という童話だ。
上半身か人間で下半身が魚、本の挿絵を見ていた男は本と女を見て思ったが、いや気のせいだと、かぶりを振った。
その日、約束の時間より少し早く男は待ち合わせの場所にいた、この数日で色々な事を自分は知ることができたので。
「何ダ、ソレ」
頭の中に響いてきたのは真理の声だ。
「花だ、こちらの世界の女は、こういうものを喜ぶんだ」
勉強したのか、人間みたいな行動だなと真理は笑いながら、遅かったなと言葉を続けた、何を言っているのか、分からなかった。
すると笑われた、決まっているじゃねえかと。
夢を見ていたのかと男は思った、ほんの数日、こことは違う世界にいた、あの数日は有益だった。
あの後、扉を開こうとしたができにかった、真理にいわせるとあちらから人間を呼び寄せたせいだろう、石を造る為に、詳しい説明を求めたが真理本人にも分からないらしい。
それに行くことができたとしても、あちらの言葉などを再び理解する事はできないのではないかと言われた。
何が起こっているのかわからなかった、ただ、映像が消えた後、部屋の中にいた全員が無言になった。
「おい、寝てるのか、どうしたんだ」
エンヴィーは声をかけた、大丈夫か、起きているかと、様子がおかしい、こんな時、人間なら医者がいれば、思わず視線が、この中で錬金術師で医者でもあるティム・マルコーに向けられた。
その視線に気づいた彼は迷ったが、決心したのか彼女に近寄り声をかけた。
「私は医者だ、気分はどうだね」
わずかに俯きかけていた顔がゆっくりと上がった。
「お医者さん、ですか」
女がぽつりと呟いた、イシ、石を造るんですかと。
「石を造ったら、皆、助けてくれます、か」
マルコーは返事に困った。
「混濁しているのよ、意識が」
それは女の声だ、突然、エンヴィーは口元を押さえた、緑色の液体が生き物のように飛び出し、人の形、女の姿になった。
「久しぶりね、元気そうで安心したわ」
自分の姉のような存在、死んだと思っていたのにエンヴィーは驚いた。
「あら、死ぬわけないじゃない」
そういって美女はベッドの上の布に包まれたものを手に取った。
「貴方には不要、この石は使えないわ」
そういってショウ・タッカーを見る美女は笑った。
「この石は人間には無理、ホムンクルスでないと使えないの」
タッカーの顔が歪んだ、どうして、何故と歪んだ顔を、まるで面白いものでも見るように、そしてどうするのと笑った。
オリジナル設定が濃くなってしまいましたが、最後まで書くぞ。
真理クンを出しました、ハイムは、エドの達のパパではなくお父様と思ってくれたらいいです、家弓3のボイスはセクスィ、だ。