999には寝台があるそうで。特に原作アニメでの描写はないのでそこらへんは読者様のご想像にお任せ致します。
この旅を始めてから、一体何年が経ったのだろうか。旅の始まりは人間狩りをしていた機械化人を殺して、そいつから奪った金と999の切符を手に入れたことだった。人を殺しては金を奪い、その金で他の星へと移り、また金が尽きたら罪のない機械化人を殺す。その繰り返しがいつの間にか当たり前になってきてしまった。自分の倫理観がとっくに壊れていることなどは嫌と言うほど理解している。それでもこんな生き方をしているのは、慣れか、これしか食い扶持の稼ぎ方を知らないせいか、将又強盗殺人の快楽が俺を駆り立てるのか。今となってはどうでもいいことだ。
さて。もう何度目か分からないが、今はトレーダー駅の待ち合わせ室にいる。もっとも、待ち合わせる人などいないのだが。そんな孤独な俺を背景にして、駅周辺を様々な人が行き交っている。ここトレーダーは、旅人と旅人が、出会い、語り合い、友情が芽生える所と言われているのだ。ここで出会って結婚、なんて人も数多く知っている。
「隣、いいかしら?」
母性を感じさせる声が上から聞こえてきた。振り向くと、足まで届くんじゃないかと思うような長い金髪と、黒い喪服らしきファー付きのアウターを着た美しい女性が俺を見下ろしていた。近くを通った人が皆振り返り、彼女の顔を拝んでいる。顔を見た者は皆息を飲み顔を赤らめる者さえいる。
「……どうぞ」
「フフッ…ありがとう」
女はキャリーバッグを通路側に置き、隣の椅子に座った。普通の男なら絶頂モノなのだろうが、俺は警戒心を強める。何せ数え切れない恨みを買った人間だ。どこで誰が襲ってきてもおかしくはない。美人局だとしたら、この女に着いて行った末路には俺の剥製が出来上がっていることだろう。どう考えても、他に空いているにもかかわらずわざわざ俺の隣に来たということには理由があるに違いない。
そんな俺の心配を余所に、長い間お互い何も喋らなかった。次に乗る999の発車時刻が迫った為に、俺は席を立った。すると女は俺の後をついてきた。
……これまでアクションが無いということは警戒しすぎたか?ただ同じ列車に乗るってだけの可能性もあるにはあるなぁ。
『まもなく、銀河鉄道999が発車致します。お見送りの方は……』
とうとう車内まで着いて来られてしまった。座席と寝台がメチャクチャ近い。999は乗客が多くはない。そんな中でいつもの制服と黄色く光る目が特徴的な車掌がわざわざこんなに近くに配置するはずはない。
恐る恐る、対面の寝台に座りじっとこちらを見つめる謎の美女に話しかけることにした。
「なぁ、あんた」
「やっと話しかけてくれましたね」
綺麗だがどこか俺の内側まで見透かしていそうな目を細め、女は笑った。
「……他にも寝台は空いてるぞ」
「えぇ。そうみたいですね」
女は一才俺から目を逸らさない。
発車する999の揺れに俺はバランスを崩しかけるが、彼女は微動だにしない。
「私を見たことはありませんか?」
はて、この女は何を言っているのだろうか。こんな美人と会っていたら忘れはしないだろう。今のようなストーカー行為をしていたら尚更だ。
「…やはりあなたは気づいてはいなかったのですね」
「俺はアンタとは初対面だぜ。それでこうも付き纏われちゃあ気味が悪い」
「ごめんなさい、あまりこういう経験がないものだから」
すると女はスクっと立ち上がり俺の寝台に移ってきた。俺は咄嗟に距離を取る。しかし彼女はすぐにその差を詰めてきた。
「何をっ!?」
「わからない?この胸のトキメキが…」
俺の手は女の掴まれ、その柔らかな膨らみの部分に当てられた。アウターの上からでも分かる量感に思わず男としての部分が反応してしまう。
「あなたは機械化人を殺しては、その魔の手から人間の若い子達を守っていた。機械になりたがる人を思い留まらせた。私の使命には背くけれど、私の心は確かにあなたを愛してしまった。あなたの理屈はどうだって良いの……この愛を受け止めてくれさえすれば……」
底知れぬ恐怖と性的興奮が頭を支配する。官能的であり、かつどこか冷たさと狂気を孕んだ女に圧倒される。いつの間にか俺は優しく寝台に押し倒されていた。その長い金髪が俺の視界をカーテンのように塞ぐ。目の前に、ゾッとする程整った女の上気した顔がある。手が震え、動悸が止まらない。
「私はもう母に縛られない……その新たな人生の伴侶として、受け入れては下さりませんか?」
光が遮られた中で、切れ長の目が閉じながらどんどん近づいてくる。まず高い鼻が俺のそれに当たり、吐息を感じた直後。
「んっ…はぁ…ちゅ…」
渇いた口内が女の舌と唾液で潤う。初めてなのか、どこか辿々しい。それでも俺を犯さんと蛇のように長い舌は届く範囲全てを舐めまわし、俺の舌を強姦する。
お互い息が切れ始める。それでも女は俺を離さない。細身のどこにその力があるのか、俺の服と自身の服を強引に脱がしていく。細身なこの体のどこに隠してあったのか、抵抗しようにもビクリとも体を動かせない圧倒的な力に、俺は成す術が無かった。
「!!!!………ッッッハァ!ハァ!」
やっと解放されて酸素を急いで取り込む。俺が咽せている間にも、発情した暴走機関車は止まらない。少々乱暴な手付きで服を脱ぎ捨て、隣の寝台へ次々と放る。落ち着いた頃にはアウター同様黒のレースがあしらわれた男を誘う下着が見えていた。細い脚や腰とは対照的に、それなりの膨らみが見える臀部と胸部。
「あなたの裸も見せて?」
女は俺のコートの胸元を下のシャツごと掴むと、一気に引きちぎった。
この女やはり只の人間ではない。しかし機械化人のようにも見えない。未知の遭遇に俺はただ震えることしかできない。いつも機械化人と対峙する時の得物も今は手が届かない。
そうこうしているうちに下着まで剥ぎ取られてしまった。フェロモンに当てられた愚息だけは他人事のように元気であった。
「ずっと、ずっっとあなたのことを見てたわ。機械の部品を集めなければならない私にとって、その部品となる人たちの目を覚ませていたあなたに惚れてしまうなんて。人生って不思議ね。でも今は分かるわ、どうして今までに会った人たちが愛に執着するのかを。永遠の命を欲しがるのかを。」
_______私の体に、永遠を刻んで_______
クチュ……ズプ……
微かな水音と共に、熱が肉棒を先端から包み込んでいく。根本まで達したら、次は暖かくスベスベとした肌の温かさが全身を包み込んだ。
「やっと…やっと繋がれたのね…」
幸せを噛み締めるように顔を擦り付けてくる。名前も知らない女にこうも擦り寄られるのはまだ気味悪さが残るものの、肌を重ねるとどうしてか心まで絆されたような感じがする。恐らく彼女は愛を知らないのだろう。親の愛情さえ受けたことのない者が、初めて俺という人間に愛情を抱いたのだ。容姿の美しさも相まってか、もう既に憎めない存在になっていた。
「おい、上下逆にするぞ。こういうのは俺が主導でありたいんだ」
「えぇ…好きにして頂戴」
ごろっと転がって壁際に。ブロンドヘアーがベッドに広がる。薄ら赤い小さくて凹凸のハッキリとした顔が、星夜の中で一際煌めいて見える。
クチッ、クチュッ、ズチッ………
ゆっくりと腰を前後させる。穴はとても狭くかなりの力で締め付けてくる。勢いよく腰を振りたいところだが、厳しい。それでも膣壁がしっかりと扱き、子宮口が亀頭に吸い付いてくるおかげでメチャクチャ気持ちがいい。全身抱きしめられ、甘い匂いに包まれる。……あぁ、ダメになりそう。
パチュッ、パチュッと音が響く。汽車の音が聞こえないこの寝室では、唯一の音だった。
何度目か分からない口付けをやめ、もう一度顔を見る。唇が離れ少し寂しそうな表情をしている。左右全くの対称で、メイク要らずの雪肌。長い睫毛に縁取られた優しい目は、遠い昔の母との記憶を甦らせる。この女に依存したい_______そう願ってしまうような。
「アッ…ンン……ハァ…イキそう……アァァ!!」
どこをとっても美しい女の膣を我が物顔で犯して喘がせているのが自分だと再認識すると、急に睾丸が収縮し熱い物が先端まで登ってくる。
びゅるるーっ、びゅーっ、びゅーっ、どびゅっ!!
「イッッッ……クゥ…!……ハァ、ハァ、ハァ……」
ビクビクと腰が痙攣する。射精してしまった。名前も知らない女に。自分には不釣り合いなくらいの美女に。社会の底辺でしかないと思っていた自分にも、ついに女運が回ってきた。それも特上のものが。そう思うと全く萎える気がしない。ここでこの女を、自分のものにしたい_______
「まだ硬いわね……もっと、気持ち良くして下さる?」
俺は力一杯女の体を抱きしめて強引に口付けし、全く思いやりのない自分本位の腰振りを再開する。
「アッ!アッ!アッ!アッ!!はげ、しいっ!!アアン!!」
ぱんっ!ぱんっ!ぱんっ!ぱんっ!ぱんっ!ぱんっ!ぱんっ!ぱんっ!ぱんっ!ぱんっ!ぱんっ!ぱんっ!ぱんっ!ぱんっ!ぱんっ!
亀頭が出そうなくらいまで腰を引き、一気に体重をかけて子宮に突き刺す。この女の卵子を使って、俺の遺伝子をこの世に残してやる!
「っはぁ!いいっ!!いいのぉ!!もっと!もっとぉ!」
大きく耳元で喘ぐ女の首に顔を埋め、種付けプレス。さっきまでの警戒心はどこへやら。もう頭はショートして気持ちよくなることしか考えられなかった。
「アンッ!ハァ、ンン!!……フフ」
女の不敵な笑みは、見えていなかった。
翌朝。起きたら横に真っ裸の女が寝ていた。とても幸せそうな寝顔である。その下にはピンク色の乳首がピンと立った乳房が、テカテカと光っている。恐らく俺が舐め回したんだろう。揉むとベタベタして気持ちが悪い。
とりあえず備え付けの寝巻きを着てシャワールームへと向かう。
道中、いつもの車掌に出会した。コイツはいつ休んでいるのだろうか。
「お客さん、切符を拝見させていただきます」
そういえば切符をまだ見せていなかった。俺は胸元から999の切符を差し出す。しかしその胸元から首にかけて、おびただしい数の赤い痕跡がついていた。
「……お客さん、他にもお客さんがいるんでね?その……もう少し自重そていただると、こう……」
顔馴染みなはずなのに、どこかよそよそしい彼の様子で察する。やっぱりヤりすぎだよなぁ……
「すいません」
「い、いえ!それでは……メーテルさんにもよろしくお伝えください」
彼はそう言い残してそそくさと退散してしまった。そうか、あの女の名はメーテルと云うのか。
少し歩いてシャワールームに着く。股間のベタつきが気になってしょうがない。少し乱雑に下着まで脱ぎ捨て入浴しようとした、その時だった。真後ろからだった。
「あら、あなたもこれから浴びるの?……お互いの体、念入りに洗わなきゃね」