ついにアスラ王国第2王女、アリエル・アネモイ・アスラはアスラ王国に帰還。
王座獲得のために動き出した。
しかし、アスラ王国国内はまさに伏魔殿。
送られてくる暗殺者の数はラノア王国にいる時の比ではない。
対するアリエルの手勢は『泥沼』ルーデウス・グレイラットただひとり。
昼も夜もなく襲い来る暗殺者を日々ひとりで対処し続ける日々。
だが、そんな日々がいつまでも続けられるわけがなかった。
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くそっ。
アスラの王都ははっきり言ってめちゃくちゃだ。
何というか、これまでの常識が通用しなさすぎる。
誰もが裏切って当たり前。
笑顔の裏で毒を盛り、お辞儀しながら暗殺者の手配をする。
アリエルは少しでも味方を増やすべく、比較的味方になってくれそうな貴族の元を訪れては口説くと言うことを繰り返している。
だが反応は芳しくない。
アリエルが言うには「今はまだ、私たちがあっさり殺されるか見ているのでしょう。私たちについた後に私たちが死んだら、次に殺されるのは自分ですからね」ということらしい。
そこで俺たちがやっているのは、『正面から口説きに行って、暗殺者を送られても全然死ぬ様子がない』という姿を見せること。
要するに自分たちの命を的にかけて、負けない自分という姿を見せ続けることだった。
俺は反対した。
現状でアリエルを守れるのは俺ひとり。
並みの暗殺者ならともかく、剣神流、水神流、北神流の聖級以上が出てきたら勝てるかどうかはわからない。
これまでの情報収集で、第一王子グラーヴェルと宰相ダリウスのもとには水神、北帝がいることがわかっている。
もし彼らが出てきたら、俺ひとりでは守れない公算が高い。
だが、アリエルはそれを承知で自らの命を的にかけている。
俺を全面的に信頼している――というわけではない。
だが、もう他に方法はないのだ。
アリエルは失いすぎた。
護衛騎士も。侍女たちも。優秀だった、派閥の貴族たちも。
だからもうあとは暗殺者を呼び寄せては俺が始末する、という手段でしか、健在をアピールすることしかできないのだ。
もはや戦況は不利どころか敗勢。
いつ王手がかけられてもおかしくはない。
いや。
実のところ、もう詰んでいるのかもしれない。
ただアリエルが認めないだけで。
だが俺はアリエルの最後の剣。
最後まで、アリエルと行動を共にすると決めていた。
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そうして。
どうやら、おしまいの日が来た。
その雪の日、アリエルは比較的大きめの貴族の元を訪れた。
その貴族は第一王子派、第二王子派のどちらにも属しておらず、取り込むことができれば大きな力となるはずだった。
その貴族はすでに100人を超す暗殺者に襲われてなお健在なアリエルに賞賛の言葉を贈り、自分にできることがあれば協力は惜しまない、との言葉を引き出すことができた。
だが、その返答はそれぞれの王子派も予期していたものだったのだろう。
つまり。
これまでは雑多な暗殺者を送っておいて、そのうち死ぬだろうと思っていた相手が、自分たちとある程度同じテーブルに上ってくる。
で、あるならば。
多少は本腰を入れて、暗殺を行う必要が出てきたということなのだ。
アリエルの馬車が止められたのはその貴族の屋敷からの帰路だった。
どちらの手勢かはわからないが、剣士が約100人。
「先に行け!!」
前から打ち合わせていた通り、俺が引き受けることにして俺は馬車を飛び降りた。
あるいは第二陣の暗殺者の群れがこの先にいれば、もうアリエルは終わりだ。
だがもう選ぶ余地はない。
100人の剣士を前に、その場でアリエルの馬車を守りながら戦うのは無理だ。
少しでも勝算があるのは、俺がただひとりで相手をすることのみ。
アリエルの馬車がいなくなるまで、道を塞いで立つ。
幸い、馬車の姿が見えなくなるまで敵が動くことはなかった。
「『泥沼』!!」
できる限り巨大な『泥沼』を、なるべく多くの剣士が巻き込まれるように放つ。
「うおおおっ!」
いきなり出現した『泥沼』に足を取られ、剣士たちから悲鳴が上がる。
「『
急いで放ったので放てたのはわずか3発。
剣士たちのうちひとりは眉間を撃ち抜かれて倒れたが、ふたりは剣を抜いて岩砲弾を弾き返した。
くそっ。
100人いるとは言え、こいつら雑魚じゃない。
……もう駄目かもしれないな。
だが、俺が死んでも、アリエルが生き抜くことができるのなら、それでもいい。
あの、世界一の美女を守って死ねるのなら本望と言ってもいい。
今日の貴族を味方につけることができたので、これからは貴族の手勢が守ってくれるはずだ。
ならば、この100人にアリエルの後を追わせなければ、俺の役目は果たしたと言える。
……たとえ、俺がここで死んでも。
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雪が降りしきっている。
「『
俺は森の中を走りながら魔術を放つ。
「ぐあっ!」
よし、ひとり倒した。
これで――67人目!!
俺は森に入り、追ってくる剣士たちをゲリラ戦法的に少しずつ倒していくことで、なんとか数を減らすことに成功していた。
――と。
「ぐうっ!!」
木の上から突然暗殺者が4人、飛び降りてながら斬りつけてきた。
『予見眼』が発動し、落ちてくる人影が見えたことで、かろうじて致命傷を避けることができた。
「『
「ぐああっ!!」
逆に剣が届くほど接近していたことで、その暗殺者たちは魔術をよけることができず、火に包まれる。
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その暗殺者は最初の『泥沼』のそばにいた。
あるいは仲間が俺を仕留めたのなら、すぐアリエルの後を追えるようにしていたのかもしれない。
――だが、それがお前の油断だ。
その暗殺者のすぐ近く。
『泥沼』の中から俺が姿を現す。
ざばっ!!
「なにっ!?」
「うおおおおおおおおっ!!」
別の暗殺者から奪った剣を手に、体当たりをする。
剣は暗殺者の腹から背中に抜ける。
俺の服が返り血に染まる。
これで――100人!!!
「ぜーっ。はーっ。ぜーっ。はーっ」
数時間ぶっ通しで戦い続けたせいか、呼吸がなかなか整わない。
全身傷だらけだ。
重大な怪我はなかったとは言え、戦いながらでは細かい傷は治している暇がなく、俺の身体は殺した暗殺者の返り血だけではなく、自身の血もかなりの量浴びていた。
――だが、これで暗殺者にアリエルの後を追わせないようにすることは成功した。
あとは、いつものアリエルの隠れ家まで辿り着ければ――
「!!」
『予見眼』に次の瞬間の情景が浮かぶ。
『俺が切られて、倒れる』
実際には切られる瞬間が『予見眼』に映るわけではない。
切られるのが分かったのは『予見眼』に噴き出す血が映り、そして俺の視界が突然空に向かったから。
咄嗟に身体を大きくのけぞらせる。
切られて噴き出す血が視界に入る――つまり、切られるのは身体の全面だ。
「なんとっ!?」
声は、耳元で聞こえた。
そして、姿の見えない、声の持ち主の一撃は。
俺の喉を掻き切っていた。
ぶしゅっ!!
血が噴き出す。
ぐっ!!
咄嗟に手で押さえて止血する。
――だが、発声に関わる器官をやられたのか、声が出せない。
……これは俺にとって致命的な状況だった。
俺はほぼ全ての魔術を無詠唱魔術で放つことができる。
唯一の例外は。
治癒魔術。
――俺は、今噴き出す血を止める方法をなくしてしまった。
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俺の首を掻ききった男は、すでに10メートルほど離れたところにいた。
「おやおや、よく切られることに気付きましたね。勘ですか?」
男は……なにやら素っ頓狂な格好をしていた。
パラボラアンテナのように広がった頭髪。
虹色の上着。
膝丈までのズボン。
1本の刀を手に持ち、3本の刀を腰に下げている。
――傾奇者か、道化師か。
そして、明らかに。並みではない力量を感じさせる姿。
駄目だ。
この喉を切られた状態で、戦える相手じゃない。
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ルーデウスの喉を掻ききった剣士が、うやうやしく一礼する。
「さて、
ぼちゃんっ!
そこまで言ったところで、男――『北帝』オーベールは眉根を寄せた。
ルーデウスは、オーベールが一礼をした瞬間を逃さず、再び背後の『泥沼』の中に飛び込んだのだ。
「さて、どうしたものか」
後を追おうにも、『泥沼』があまりにも広すぎる。
泥の色も濃いため、どっちに行ったかもよくわからない。
どちらかの方向に進んだところでもし反対に上陸されたら、手がかりを失う。
「んー。ま、いいですかな」
先ほどからの戦い。
『泥沼』ルーデウスの情報が多くなかったので、オーベールはルーデウスの戦術を観察していたのだ。
100名の部下を捨て石に。
ルーデウスが無詠唱魔術を使うことについては知っていた。
そして、ルーデウスが治癒魔術のみ無詠唱では扱えないことも。
先ほどの戦いを見てもそれは間違いない。
ルーデウスは治癒魔術を使う時だけ詠唱魔術を使っていた。
本当は使えるとか何らかのフェイクという可能性もあるかもしれないが、さっきの状況下では無詠唱魔術で治癒できることを隠すほどの余裕はなかった。
「あの喉の傷は魔術で治せなければいずれ失血死。いずれにせよあと30分程度の命でしょうしね」
そう言うと、オーベールは
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帰らないと。
アリエルを守らないと。
俺は雪の森の中、身体を引きずるようにして歩いていた。
殺した暗殺者の衣服を破りとって当て布として血止めに使っているが、よほど深く切られたせいか、全く血が止まらない。
もしかしたらさっきのやつがアリエルの元へ向かっているかもしれない。
治癒はできなくても無詠唱魔術は使えるのだ。
突然後ろに現れたから対処できなかったが、先に攻撃することさえできれば、勝ち目がないわけではないはずだ。
だから歩かないと。
アリエルの元に行かないと。
――と。
後ろにさっきのやつがいないか振り返る。
……俺の歩いた跡は、控えめに言って血まみれだった。
血が止まってない。
遙か彼方まで俺の足跡と血の跡が続いていた。
失血死ってどれくらい血を失うと死ぬんだっけ。
血がなくなりすぎて頭が回らない。
まぁいいや。
まずはアリエルだ。
さっきの剣士がアリエルの元に行っている可能性は低いのかもしれないけど。
行かないと。
せめて。
死ぬ前に。
ひとめ。
もういちどだけ、アリエルの顔が、みたい。
あの美しい顔を。
俺にだけ見せる、艶やかな表情を。
美しい身体を。
完璧なバランスの肢体を。
あと――いちどだけ――……
そうして。
俺の意識は。
暗黒へ落ちていった。
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「ルーデウス! ルーデウス!!」
どこかに寝かされている。
誰かが俺にすがりついている。
身体が――動く。
手を動かして、すがりついている誰かの頭をなでる。
「ルーデウス……!」
その誰かは俺が手が動き頭をなでたことで、俺の覚醒に気付いたようだ。
「ああ……ルーデウスッ!!」
誰かとは、アリエルだった。
俺の手を両手で抱きしめるようにすると、ぽろぽろと涙をこぼす。
「あ、ん、んんっ」
……声も出る。
完全に喉笛を切られていたはずだった。
――と、そこで、ベッドサイドのテーブルにあるものがあることが気付く。
使用済みのスクロール。
スクロールは特殊な塗料で描かれており、使用すると魔方陣を構成する塗料が揮発してしまうため、同じスクロールは二度と使えない。
ぞくり。
背中に悪寒が走る。
「おい……アリエル、そのスクロールってまさか」
アリエルは――珍しく、伝えるのを逡巡したが、すぐ、
「……そうです」
そう言って俺の手を強く握りしめた。
「この――莫迦やろうっ!!!」
思わず声が出た。
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アリエル陣営の虎の子。
秘中の秘。
母であるアスラ正妃から受け継いだ、最後の奥の手。
――死者さえ甦らせ得る、
これまで誰が喪われても、これを使うことはなかった。
当然だ。
誰に使うか決まっている。
アリエルが死んだ時だ。
それを、この莫迦は。
ただの護衛が死にかけだからって、使いやがった……!
「莫迦とは何ですか!!」
俺に負けない剣幕で、アリエルが怒鳴り返した。
「これを莫迦と言わなくてどうするんだよ! なんで――なんで俺なんかのために虎の子の一枚を使った!?」
「どうせあなたがいなければすぐ私は死にます! 同じことです!」
「そのために今日貴族との約定を取り付けたんだろうが! これからは俺がいなくても戦える!」
「――嫌です!!!!」
アリエルの目から大粒の涙がぼろぼろとこぼれていた。
――と。
アリエルの顔がぐっと近づいてくると、俺の口唇を奪う。
「嫌です……。あなたのいない人生なんて。あなたのいない王座になんて。私、興味ありません……!!」
「アリエル……?」
そんなバカな。
それは、アリエルから最も遠い言葉のはずだ。
呪いのように仲間の死を背負って進んできた王女。
誰もが彼女に言って死んだ。
「どうか、王になってください」と。
だから彼女は王になることを決めた。
どんな犠牲を払ってでも。
そのためにさらに何人の友が死んでも。
そのために何人の敵を殺しても。
そんな彼女が、王座に――興味がないなんて。
それを言ってしまったら、今まで彼女に尽くし死んでいった皆は何だったのか。
「ずっと……ずっと前から思っていました。私は、王になっても誰かを心から愛することなんてできないんだろうって」
王たらん。
王たるべし。
その言葉に応え続ける人生に、愛など入る余地などない。
彼女は理想の王として君臨し、理想の王として王朝を存続させるべく子をなす。
「私は王位を手に入れたら、夫が分からないようにして数人子を産んだでしょう。夫に権力を与えないために」
「でも。……でも、さっき死にそうなあなたを見て気付きました」
「……何を」
「あなただけです。……私が子をなすのは、あなたしかいません。あなたを……」
再度、キスをしてくる。
「愛しているんです。あなた以外、誰も考えられない。私の
「アリエル……」
そっと肩に手を置く。
アリエルは、そのまま俺の方に向かって、倒れ込んできた。
---
「はぁっ……」
ぺちゃぺちゃと音を立てて、俺の舌とアリエルの舌が絡み合う。
「ルーデウス……」
「アリエル……」
見つめ合う。
アリエルの瞳は、まだ涙で潤んでいた。
「……お願いがあります」
「何だ」
「全力で、抱いてください。……私の決断が、間違いじゃなかったってことを、
「……わかった」
ぎゅっ。
アリエルの身体を、力強く抱きしめる。
ベッドに腰掛けた状態だったアリエルを、そっとベッドに横たえる。
さっきまで視界の端にいた侍女たちは、いつの間にか席を外していた。
俺は全裸だった。
さっきまでの服は俺の血と返り血で、血まみれだったからだろう。
そっとアリエルの服を脱がす。
暖炉が、ぱちぱちと音を立てていた。
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アリエルの身体はほんのりと赤く色づいていた。
先ほどの告白。
それが、気持ちの高ぶりというだけでなく、身体の高ぶりとしても
――いつ見ても、アリエルの身体は美しい。
流れるような金髪も。
桜色に染めた頬も。
決して華奢ではないが、たくましくもない、肩周り。
強く主張するというほどではないが、控えめでもない双丘。
その頂点は、十分な愛撫を繰り返されたかのようにぴんと立ち、俺の手を待っているかのようだ。
「ああ……ルーデウス……」
うっとりとした表情で俺の名を呼ぶ。
何をしてほしいか、言わなくてもわかった。
そっと、手を乳房にそえる。
どっ、どっ、どっ……。
アリエルの興奮が、心臓の音が、手を伝って俺にも流れ込んでくる。
きゅ。
乳首を軽くつねる。
「あうっ……」
それだけでアリエルは強烈な愛撫を受けたかのように身を震わせた。
「ルーデウス……下も、下も、お願いします……」
おねだりをするように、俺の顔を両手で抱えながら、アリエルは呻いた。
「わかった……」
そっと手を下腹部に伸ばす。
くちゅっ……。
そこはもうしとどに濡れそぼっていた。
「はぁん……ルーデウス、愛撫はもういいです。ください。ルーデウスをください」
「ああ」
身体を起こすと、アリエルの両足を開く。
長い足も、その間の白い肌も、興奮によるものか桃色に色づいている。
アリエルにあてがう。
「は、はやくぅ……」
アリエルは待ちきれないかのように腰をくねらせる。
ずぶりっ……
俺が腰を送り出すと、アリエルの秘所はにゅるにゅると俺を受け入れた。
「ああーーーーーっ!!」
アリエルが声を震わせる。
にゅるっ。じゅぶっ。じゅくっ。
俺が腰を動かすたびに、結合部からは湿り気のある音が立つ。
「ルーデウス、好き、好きですっ……ずっと、ずっと私と一緒にいてください……」
夢中になっているのか、アリエルがそううわごとのように囁く。
「いいんだな」
ぱんっ。
深く腰を打ち付ける。
「あぁんっ!! ……ルーデウス、な、なにがですか……?」
「いいんだな。……お前を、愛して……お前とともに、と願って」
ぱんっ。ぱんっ。
「は、はいっ! そう願ってください。私も同じ気持ちです。……死んでいった皆には申し訳ないけど」
王から人へ。
今この瞬間は、ただの恋する女として。
「大丈夫だ」
「……?」
「皆アリエルの幸せを願って死んでいったんだろう? ……祝福こそすれ、恨みになんて思うものか」
「……!」
アリエルは更に瞳から大粒の涙をこぼす。
「そうですね……」
アリエルはぎゅっと俺の身体にしがみつく。
「ルーデウス……もう、私……」
「ああ、俺も……限界だ」
性行為という行動について、精神の占める割合は多い。
先ほどのアリエルからの熱烈な告白が、もうすでに準備のようだ。
じゅっ、じゅっ、じゅぷっ。
「あっ! あぁんっ! はぁんっ!」
びくん、びくんと俺の一突きごとに身体を震わせ、白痴のように口をだらしなく開けるアリエル。
……これまでも俺はアリエルのことを世界一の美女だと思っていたが。
今は少し違う。
俺はまだアリエルのことを十分に知っていなかったのだろう。
こんな――こんなに美しくて、こんなにいやらしい。
「はぁん! あぁんっ! ルーデウスッ! ルーデウスッ!!」
上から、下から、よだれを垂らしながら、快感に溺れるアリエルは、それほど美しかった。
「ダメです……イッちゃう! イッちゃいます!!」
がくがくとアリエルが身体を震わせる。
ぎゅうぎゅうと
「お、俺も……!」
「はいっ! 出して! 奥に! 一番奥に出してくださいっ!! あっ、イクぅぅぅぅぅぅぅっぅっ!!!!」
「うっ! アリエル! アリエルっ!!」
電流が走る。
俺の股間に生じた熱は出口を求めてさまよう。
すぐに出口は見つかった。
俺から発射された精は、アリエルの一番奥へ。
どくんっ! どくっ!
身を震わせて受け止めるアリエル。
「……っ」
「……」
ふたりして荒い息をしながら、ベッドに倒れる。
しばらくして。
俺の腕枕で寝ていたアリエルが、そっと俺の顔を見上げ、囁いた。
「……我が王配」
「……なんだ、我が王」
「……二度と、死にかけないでください。というか寿命でも私より先に死ぬことは許しません。貴方が死んでいいのは私が死んだ後です」
「……寿命は、どうにもできないな」
「……でも、約束です」
そう言って、アリエルは俺に口づけをした。
長い、長い、口づけを。
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甲竜歴425年。
アスラ王位についたのは、下馬評を大きく覆し、アリエル・アネモイ・アスラ第2王女であった。
一時は人々の口にすら上らなかった。
すぐ政争に巻き込まれ死ぬと思われていた。
だが彼女は幾度となく死地を脱し、少しずつ、少しずつ協力者を集め、実に数年の歳月をかけて政敵を打ち倒したのだ。
その陰には常にひとりの魔術師がいたとされる。
ルーデウス・グレイラット。
詳細は不明だが一説には『水神』『北帝』すら倒したという。
彼は生涯に渡りアリエルを支え続けた。
彼の死がいつであったかについては知られていない。
だがアリエルが長い統治の果てに
アリエルの跡を追うように死んだという説もあれば、アリエルの菩提を弔うため人里離れた山奥に住んでいると言う説もある。
だが――どうやらアリエルよりは長生きしたこと。
それだけは確かなことのようだ。
アリエル√の話はこれにて完結です。