逆行転生TSF 作:逆行物増えろ
僕達は本日、林間学校へとやってきている。
地元から少し山側へと登った場所にあるキャンプ場で一泊二日の日程だ。
今は一日目の日程が終わって班ごとに飯盒炊飯でカレー作りをしているところだ。
班員は僕、愛梨ちゃん、委員長、そして勇斗くんだ。
ハーレムじゃないか勇斗くん、嬉しかろう?
―――そんな冗談はさておいて、周りが全員女子というのはやり辛いだろうなぁ……。
勇斗くんを憐れみの視線で見ていたら睨み返されてしまった。
とりあえず食材の下処理なんかは僕と委員長が、火起こしは勇斗くんと愛梨ちゃんが、と分担してやっていたのだがほぼ全ての作業が終わってしまった。
現在ちょっと暇である。
委員長は委員長の仕事として他の班が上手く夕飯を作れているか確認しに行ってしまい、暇を持て余した愛梨ちゃんもそれに続いて他の班へと遊びに行ってしまった。
残った僕と勇斗くんがカレーと飯盒の様子をみているところだ。
「ふぅ……もうちょっとで完成かな?こっちはこのまま煮込めば良さそうだけどそっちはどうかな?」
「後は蒸らせば終わりみたいだな」
飯盒でのご飯の炊き方か書かれたしおりを見ながら勇斗くんが答える。夕飯がかかっているせいかその横顔はいつに無く真剣だ。
こんな些細な事であってもたまにみせるその表情は素直に格好良いと思ってしまう。昔から僕は、この横顔に弱いのだ。
勇斗くんを見ていて手が止まっていたのに気が付いて慌てて視線を手元へと戻す。
前世の時は班が違ったこともあり、こうして並んでご飯を作るなんて初めての経験かもしれない。
そんな事を考えているうちに僕らの周りに男子達が集まっていた。
他の班も進展状況はそこまで変わらないはずだ。手が空いて暇になった男子たちが勇斗くんに会いに来たのだろう。
男子達の会話に混ざりながらも鍋を見ていたのだが、ふと自分の前に立つ男子が殆ど会話に参加していない事に気が付いた。
疎外感を感じているかもしれないので話を振ろうとその子を見上げてみたのだが、何故か僕の方を見ていた。
何だろう?と思っていたのだがその子の視線が僕の顔ではなくもう少し下を見ているのだと分かった。
僕の顔より下……胸元?
―――っ!
思い至った瞬間、恥ずかしさから咄嗟に襟口を隠そうとしてしまったが、寸前で手を止めて別の動きで誤魔化す。
……本当は今すぐにでもどうにかしたい。だけどそれをしてしまうと周りの子達にもこの子が僕の胸元を見ていたという事が分かってしまう。
曲がりなりにも女の子である僕に気づかれたと知ってしまったり、他の子達にバレてしまえばこの先ずっと気まずいままだろう。まだ多感な少年期だ、これが切っ掛けになってグループから孤立するのは望むところではない。
僕も元々男だ、そういうところに目が行ってしまうのはしょうがない事だと解っているつもりだ。
それにこの子は水泳の授業でも女子に興味を持たずに遊んでいる様な子だったはずだ。
……もしかしなくても僕が目覚めさせてしまったのだろうか?
子供だと油断していた僕が悪かったのだ……この子を傷付けないために今は甘んじて受け入れよう。
顔が赤くなっている自覚はあるが火の側にいるので言い訳はきくはずだ。
恥ずかしいので無理矢理目の前の鍋に集中していたのだが、いつの間にか会話が無くなっている事に気が付いた。
視線だけで周りを窺ってみると男子達の身体が全員僕の方へと向いていた。
もしかして……他の皆も気が付いちゃった……?
逆行した最初の頃は男子に見られても全く気にならなかったはずだ。でも最近は女の子としての精神が大きくなってきたのか全然大丈夫じゃない。
「おっおい、あれっ……!」
「ん?……やばっ!」
「……おっぱい」
「結構膨らんる……」
僕はもう、顔から火が出てしまいそうだ。
「……真っ白だ」
「もうちょっとで全部みえそう……」
「乳首はどんな色なんだろ?」
「ちんちんがなんか変……」
勇斗くんはまだ気が付いていないみたいだ。僕の胸が他の男子達に見られていることに気付いたらどう思うのだろうか?
男同士の友情を確かめる様に黙って一緒に見るだろうか?それとも自分以外には見せたくないと庇ってくれるだろうか?
……勇斗くんは飯盒に集中したままだ。
僕のせいで幼気な少年達が性に目覚めてしまった若干の罪悪感と多大な羞恥心を感じながらも胸元を隠せずにいる。
そんな時だった、委員長が戻ってきたのは。
「あれ、あなた達?」
「うぇっ!委員長!?」
「あっ!お帰りー!」
途端に慌てだす男子達、助かったと胸をなでおろす僕。
「ちょっと木村さん!―――っというかあなた達まさか!?」
「「ごめんなさいー!!」」
近付いてきた委員長は今の僕達の状況を正確に理解したみたいだ。慌てた様子で僕と彼等の間に割り込み視線を遮るとそのまま男子達を睨みつけた。
それを受けた男子達は一目散に逃げて行った。
やっぱ凄いや委員長……。
「何か悪い事でもしてたの?」
「い、いえ、勘違いだったみたい、何でもないわ!……今度は誰かに見られる前に注意しないと」
「なにか言った?」
「い、いいえ!何でも無いわ!」
慌てた様子で何でもないと言う委員長。多分僕が男子達に見られていたのを知ってしまう事で傷付くと思ったのだろう。こんな事にも気を利かせてくれる委員長はとっても優しいのだ。
ゴメンね委員長……本当は全部解ってるんだ……でも助かったよ。
「ふーん?そっかぁ」
その後は委員長とともに愛梨ちゃんを呼び戻して、何も気付いていなかった勇斗くんも一緒に皆でご飯を食べたのであった。
夕飯はちゃんと美味しかったです。
前話ですが若干の修正を行いました。大筋に変化はありません。
投稿したものを読み返してみたらそれを書いた二、三ヶ月前とは感性が変化しているのか、多数気になるところが出てきたんですよね。
多少は読みやすくなっているといいのですが……。