逆行転生TSF 作:逆行物増えろ
うーん、誘惑かー。
果たして男と性自認している僕に勇斗くんを目覚めさせる事ができるのだろうか?
正直勇斗くんに自分で考えた女らしさを見せるのはとても恥ずかしく感じるし勇気が必要だ。
それによって僕らの関係がどう変わってしまうのかが分からなくてちょっと怖い。
それでも望む未来の為には変えていかなかればいけないのだ――。
体育とかで着替えがあるときはいつも通り勇斗くんの隣で着替えているけれど、最近は一応助言に従って全部脱いだりしないように気を付けている。
体操服を先に着てから下の服を体操服の中で脱ぐというもので他の女子がやっていたのを教えてもらったのだ。体操服が軟らかい素材でできているからできる荒業だ。
これに伴って周りで少し変化したこともある。
先ずは委員長だ。何度か着替えについて注意を受けていたのだが着替えのやり方について聞きに行くと「やっと女の子としての自覚が出てきたか」といった感じで満足そうにしていた。
ちょっと違うけど結果は変わらないし気にしない気にしない。
今まで気を揉ませていたみたいでゴメンね?
後は体育の前になると僕の周りに集まってきていた勇斗くん以外の男子達だ。あからさまにガッカリしていたのが面白い。見られる立場になってわかったが、思った以上に自分に向かう視線というのは気が付くものなのだ。
これからはそういうことをせず、女子にちょっかいをかけずに優しくしていたら、良いことあるかもしれないよ?
そして僕自身にも変化があった。
僕としては男のつもりでいるのだけれど、意識して胸を隠す様になってからなんとなく胸の辺りを見られるのが恥ずかしくなった。
関係あるのかないのか、隠す様に着替えていると周りからの視線が強くなった気がする……隠されると暴きたくなるのかな?
……前世から自分の小さめの体躯や周りに付いていくだけの性格に少しだけコンプレックスを感じていたのだ。しかし今ではそれを感じることはなくなっていた。
逆に自分の身体や行動一つでこうも周りを振り回せるのだなと、見られる恥ずかしさとは裏腹にほの暗い快感を伴った感情が湧いてしまう……。
―――これは、イケナイ感情だ……。
「おーい、悠季ー!サッカーしようぜ!」
……まぁ肝心の勇斗くんは全然なのだけれども。
でもそれでこそ勇斗って感じで少し嬉しさもある。
「うん、わかったよ!」
僕頑張るよ、勇斗くん!
昼休みが終わるとうちの学校では掃除の時間だ。僕は教室で勇斗くんは下駄箱と残念ながら受け持ちが違う。玄関で別れて教室に入ると腰に何かがぶつかってきたので咄嗟に抱き止める。
「うわっと!」
「助けてゆうくん!」
その正体はクラスメイトの花村愛梨ちゃんだった。
「木村さん花村さんを渡して」
逃げてきた相手は委員長だった。かなり御立腹のご様子だ。
愛梨ちゃんは僕を盾にして後ろに隠れている。
「えーと……」
「今日という今日は絶対お説教しますからね!」
うーん、また愛梨ちゃんがワガママ言ったのかな?
愛梨ちゃんはクラスで一番、学年でもかなり背の小さな女の子でその愛らしい雰囲気に多くの人に可愛がられているせいか少々……わりとワガママが多いのだ。
何でも自分の思った通りになると思っているその考え方に委員長がキレてしまったのだろう。
「あー……僕からも言っておくから今日は見逃してあげてくれないかな?」
「ダメです!ちゃんと言っておかないと本人の為にもなりません!」
委員長は凄いな、この歳でちゃんと人の為を思って怒れるなんてそうそうできる事じゃない。僕だったら衝突を避けて流してしまうだろうから。
「うん、そうだね。ちゃんと納得してもらえるように話してみるよ……だからそんなに気を張らなくても大丈夫、安心して?」
「はぁ……木村さんは甘いですね、誰に対しても……」
「うん、ゴメンね」
「まぁいいです。ちゃんと本人に解らせてくださいね」
そういって委員長は掃除に戻っていった。
「愛梨ちゃん、ちょっとお話しよっか?」
「えー……」
愛梨ちゃんには多分解ってもらえたと思う。
最初はイヤイヤと聞く耳持たなかったけど根気よく言葉を交わしていたら最後には頷いてくれた。
愛梨ちゃんが僕に特に懐いてくれていたのも大きかったのかもしれない。毎回愛梨ちゃんのワガママの後始末をしていたせいか僕を完全に信頼しきっていた。
最近では暇さえあれば僕の膝の上に座って腕を回してくる。
完全なお子様体型なので他の女の子と違って全く緊張しないのが救いか……。
僕の胸の中でグズっている愛梨ちゃんの背中を撫でて落ち着かせているのだが……これは僕の職務なのだろうか?
担任は安心して僕に任せているみたいだ……これ、貴方の仕事では?
やっと落ち着いたのか愛梨ちゃんは顔を上げて僕の胸元を見ている。
「……?」
「大丈……うひぃっ!」
何が起きたのか一瞬理解できなかった。
愛梨ちゃんは何を思ったのか僕の服を大きく捲り上げて胸を露出させ、もう一方の手で僕の胸を鷲掴みにしたのだ。
思わず奇声をあげてしまったせいで周りのクラスメイトが僕に注目している。
そんな中で皆の前に僕の胸が晒け出されてしまった。
掴まれた事によってささやかな胸に立体感がうまれ、普通は誰にも見られてはいけない成長を始めたばかりのおっぱいが強調されている。
「~~~っ!」
僕は服を戻すのも忘れて胸を隠してしゃがみこんでしまう。
「花村さんっ!」
僕と愛梨ちゃんの様子を見ていた委員長が飛んできて愛梨ちゃんに説教を始めているが、僕はそれを聞く余裕も無く頭の中は混乱しっぱなしだ。
どうして!?何でいきなり服捲るの!?というか胸揉まれてるの皆に見られ―――!?
つい最近まで男としての認識で何も考えず脱いでいた時とは比べ物にならない感情の大波だった。
僕の認識の変化も大きいのだろうが、自分の意思を介在しない突然の露出がこうも恥ずかしいものだとは思わなかった……。
チラリと周りを窺うと遠巻きに男子達が集まってこちらを見ていた。
その視線にまた恥ずかしさが込み上げてきて、また地面へと視線を戻してしまう。
うぅ……どうしてこんな……。
愛梨ちゃんが助けを求める目をこちらに向けているが今回ばかりは擁護できない。しっかりお説教されてください。
今回はまだ相手が僕だったからよかった(よくもないのだけれど)。自分の身体の変化を気にし始めた他の女の子相手だったらその子にとても恥ずかしい思いをさせてしまっただろう。
そう、男の価値観のある僕だったからよかったのだ。誰か女の子の為になれたのだ。男として嘆く事じゃない。
他の女の子の身代わりになれたのだ、と男としての矜持で平静を取り戻すのだ。ビークールだよ。
平静を装って服を戻し立ち上がる。正直、まだ顔は赤いだろうし視線は定まっていない状態だ。それでも僕の男としての小さなプライドで見栄を張る。
「えっと愛梨ちゃん、何でこんなことしたのかな?」
委員長の説教で涙目になっている愛梨ちゃんに問いかけてみる。説教ばかりでも辛いだろうしね……。
途切れ途切れではあったが理由を説明してくれた。
要約すると「私と違って柔らかくて気になったから見て触ってみたかった」ということらしい。
周りの男子が小声で「柔らかいのか……」などと復唱している。恥ずかしいのでちょっと黙っていて欲しい。
愛梨ちゃんはそれが悪い事だとは思ってなかったみたいだ。
見られると恥ずかしいし女の子はみだりに肌を見せるとのでは無いのだと教え様とするのだがなかなか理解してもらえない。
って、こらこらこらっ!「私は恥ずかしくないよ?」って自分の服を捲って見せつけようとするんじゃありません!
自分と価値観の違う相手に考えを理解してもらうのってこんなに大変なんだな。
言葉を尽くした結果、納得はしてないみたいだけどそういうものなのだと一応分かってはくれたみたいだ。
これからも愛梨ちゃんの動向には気を付けておかないとな。
……今日は本当に疲れたよ。帰ったら翔に慰めてもらおう―――。
あっ、それから先生?いい大人でしょうにこちらに丸投げしないでください。そろそろ怒りますよ?
今回は悠季と周りの変化の話です。
話の流れが突然過ぎるので2話に分けたり間に閑話入れようかとも思ったのですが特に思い付かなかったのでそのまま投稿します。
前回に引き続き読み辛かったかもしれません。すみません。