一瞬のようで、永劫のようで。
長いようで、短い時間を過ごした後。
互いが互いと溶け合って、果てた後。
気付けば、何方も折り重なるように眠り。
その肌の感触を以て、ゆっくりと目を開いた。
「ぁー…………?」
既に朝早く起きるのが習慣と化しているからこそ、目が覚めてしまった……と言ったほうが正しいのだろうけど。
少し身体を動かそうとすれば、折り重なるナツメの素肌が擦れた。
当然のように何方も何も身に着けておらず。
ベッドの下には、申し訳程度に折り畳まれた浴衣と互いの衣服が点在しているような状態。
寒さは特には感じない……ただ、肌が若干張り付く感じがするのは仕方ないと思う。
少しだけ顎を持ち上げて時計を見れば――――予想していた時間よりも三十分程早い。
何もない休日に起きるには、余りにもやることがないような時間帯。
(……喉、乾いたな。)
彼女を起こさないように、少しずつ身体を外へとずらして行く。
素肌同士が触れ合っている中、右腕は彼女に抱かれるように胸の中心にあった。
抜き取ろうとして、指先が桃色の頂点へと擦れるように触れた。
「……ん、っ。」
そんな
少しだけ硬直――――どうやら起こさずに済んだらしい。
少しばかり安堵するのと同時、生理的現象で持ち上がってしまう自分に情けなさも一つ。
起きていれば、恐らくは
何故かは分からないけれど、そんな答えを抱きながら脱出に成功。
そろりそろりと歩みを進め。
当然のように互いの部屋に設置された、自分のマグカップに水を一杯。
口をつければ、大量に失った体液を戻すかのように全身へ走る。
更に一杯を飲み干して、水を注いだそれを持ってベッド際のテーブルにことりと置いた。
飲みたいようなそうでもないような、曖昧な感じがあったから。
(こうしてると……いや、こうしてなくても、か。)
眠り姫とか、そういった何かの形容詞を付けるのが相応しいようにも思える。
彼女自身は、極一般的な女の子だと分かっているのに。
俺が抜け出た分、ぽっかりと空いた一人分の隙間。
そこから見えるのは真白い素肌と、微かに見え隠れする桃色の突起。
夏とはいえ、このままでいれば体調を崩す心配だってある。
布団を彼女に被せようとして――――ゆっくりと開かれる目と、視線が合った。
「…………悪い、起こしたか?」
「ん、ん…………ねえ、こー、せー?」
寝惚けているのか、その声は甘さを帯びていた。
子供が親に強請るような、彼女が彼氏に甘えるような。
そんな、絶対的な相手に対する感情を秘めて。
「……喉、乾いた。」
「水ならあるぞ。」
「……飲ませて?」
首を傾げて、唯その場から動くことを拒否するように呟いた。
ただ、これは何かが少し違う気もする。
まあ、役得と思うだけだけど。
マグカップから一口水を含み。
唇を重ね、ナツメの口内へと押し込む。
喉が鳴る音が二度、三度。
それをもう一回繰り返し。
唇を離し、これで満足かと目を向ければ。
「……ありがと。」
「どういたしまして。」
気恥ずかしくなったのか、布団に顔を埋めていた。
あまり深くは追求せずに。
ナツメへ、この後どうするかを問い掛けた。
「もう少し寝るか? 起きるか?」
「……………………。」
「ナツメ?」
もごもごと、何かを言っているのだけは聞こえた。
布団が浮き上がり、目だけを這い出して。
そうして、一言。
「もうすこし、一緒に、寝ない?」
「……それがお望みなら。」
布団に空いていた、一人分の隙間が埋まった。
互いに、互いを抱いたまま。
眼と眼だけが、もう一度交差して。
何方ともなく、笑い合って――――唇を、重ねた。
そうするのが自然だったから。
そうしたかったから。
それが――――