ナツメと妙な雰囲気になりながら会話した日より数日。
翌日が定休日となったそんな日、いつもの俺の部屋。
「お邪魔、します。」
「……上がってくれ。」
バイトを終わらせてから一度別れて再び合流。
もう何度も行き来してるはずなのに、今日は何やら妙な雰囲気を漂わせながら。
ナツメのその手には、何やら少し大きめの紙袋が見える。
「ぁー…………売り言葉に買い言葉だったら別にいいんだけど。」
「今更。 ……それに。」
「それに?」
「絶対、他の人には見せたくないから。」
そんな気恥ずかしくなる台詞を言って赤面。
俺も赤面。
しかし。
「良くは知らないけど、巫女服なんかよく見つけてこれたな?」
「あの、チャイナ服のときと同じ場所だから。」
「また妙なルートで……。」
「嫌ならいいけど?」
つーん、とした態度に謝りを入れて。
ナツメ自身も冗談だと分かっていたのか、苦笑しながらにそれを受け取り。
こほん、と一つ息を整えた。
そして、目を伏せながら。
「……ねえ、昂生。」
「お、おう?」
「ちょっと、お願いがあるの。」
「お願い?」
……また妙なサプライズだろうか。
妙に頬が赤いのが見えて。
何か恥ずかしいことでも言うのか……みたいな。
そんな事を気にしながら、小さく頷いて。
――――恥ずかしいから、後ろ向いててくれる?
そんな囁きにも似た声に、反射的に頷いて。
それでからあれ、と思い直し。
爆発的に顔が赤くなった気がした。
なんだろう、「恥ずかしい」以外の感想が浮かばない。
「な、何よ。」
「いや、後ろって……。」
「見たいんでしょ?」
「そりゃそうだが、っていうか良いのかよ!?」
「……昂生以外だったら、死んでもお断りだけど。」
……顔を真っ赤にしながら、互いに見合っている状況。
ただ、それはどうにもからかっているようにも似ていた。
話が進まない、そんな風に判断し。
後ろを向いて、出来る限り無心になった。
それを見て満足したのか、少しだけ時間を置いて。
「
しゅるり。
ぱさり。
そんな衣服が落ちる音だけで、後ろを向きたくなる自分を必死に抑える。
何度も何度もしてるはずなのに、こうなるとぜんぜん違うように感じるのは何故だ。
「……良いか?」
「まーだーでーすー。」
んしょ、と溢れる小声でさえ。
普段は気にしない言葉でさえも気になって仕方がない。
そんな自分を抑えて、五分くらいは経っただろうか。
「良い、よ?」
ナツメの声掛けと同時に振り返った。
ここまで必死になったのがいつぶりだろうかというくらいの速度で振り返った。
其処にいたのは。
「……どう? 変じゃない?」
赤袴や白い上着、というパーツ単位では見慣れていても。
それを統合した事で、清楚な感じが漂う格好へと変貌したナツメの姿。
似合うだろうことは分かっていたけど、ここまで変わるものか。
「似合う……けど、うーん。」
「何?」
「……怒るなよ。」
「怒るようなこと言うの?」
「バイトしなくて正解だったなー、って。」
見てしまえば、学校の比じゃないくらいにナンパが来てたかもしれない。
それは――――俺でも、間違いなく嫉妬するだろう。
あの時では、ちゃんと動けたかは。
はっきり言えないけれど。
「なにそれ。」
苦笑交じりの言葉に、苦笑で返す。
「いや、俺もよくわからない。 言葉にしにくい、って言ったほうが良いかな。」
「そ。 ……それで。」
「お、おう。」
「……似合う、って言うなら。 何か、してもいいんじゃない?」
上目遣い。
多分、それは誘ってるんだろうなぁ、と。
大分鈍い俺でも理解するような言葉と行動に。
くらり、とさせられて。
それを合図とするように。
押し倒すように、ベッドへと倒れ込めば。
潤んだ目で、何かを呟いて。
何かを、囁き返した。
結局、次の日は太陽が黄色く見えた。