※この作品はR-18です。

四季の中、彼女と二人。   作:氷桜

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はじめのはじめ、彼女は。


そんな「もしも」の物語。

 

「ずっと前から好きでした!」

「ごめんなさい、貴方の事良く知らないから。」

 

幾度も幾度も繰り返された、「愛の告白」なんて行動。

その行動に、感情に。

何の理解も持てずにいた。

 

気付けば妙な呼び名に同性からも妙な噂が立つ。

『お高く止まってる』

『所詮今だけ。』

『ねえ知ってる、あの子って――――。』

彼方此方から伝え聞くそんな言葉に、内心で溜息を吐きながら心配さえしてしまう。

そんな言葉を聞いて、何も思わないわけではないのだけれど。

そんな言葉を言って、誰かに聞かれても良いのだろうか、なんて考えてしまうけれど。

 

(言うだけ無駄だものね。聞こえてるのが分かってて言ってるんでしょうけど。)

 

関わるだけ損だから、気にしない。

気付けば一人、唯大学を行き来しながら悩み続けるだけの日々。

ずっと、ずっと一人で。

今では一人と一匹を加えながら。

どうすればいいのか、認められるには何をすれば良いのか。

自問自答を繰り返し、その度に浮かぶのはほんの少しの変化だけ。

 

(…………どうすればいいのかな。)

 

心に傷が付いたとしたって、両親の夢を奪った私にはそれが相応しい。

でも、私の夢だから。

何度も、何度も変えようとしても。

大家さんは、首を縦には振ってくれずに。

 

(何かを変えれば、いいのかな。)

 

そんな事を思って、視線を吊るされた幕へと向ける。

『特性珈琲、今ならSカップ100円!』

苦さしか感じない、そんな液体の存在を目に入れて。

 

浮かんだのは幾度も受けた『告白』の言葉。

受け入れられれば、甘く。

断られれば、それだけ苦い味を当人に残す儀式じみた事。

海外では、そんな文化がないなんて――――テレビか何かで聞いた覚えがある行為。

それ自体には、何も思わないし……受け入れる理由も無いと断じれる。

 

知らない相手と付き合う、なんて。

私(・)自(・)身(・)を(・)許(・)す(・)なんて、考えてしまえば……震えが走る。

 

ただ、少しだけ気になるのは。

「誰か」を好きになるって、どういうことなのだろう。

甘い言葉が、誰かを救ってくれるのか。

慰めの言葉が、どれだけ癒やしてくれるのか。

共にいることで、何かが変わるのか。

――――結(・)ば(・)れ(・)る(・)って、どういうことなのか。

空想でしかないことだから。

理想でしかないことだから。

 

(……考えるだけ、無駄ね。)

 

そんな事を夢想しながら。

苦さの象徴の、黒い液体のカップを手に取って。

小銭を支払い、入り口傍の専用機へと移動して。

 

(…………ん?)

 

コンビニのガラス越しに、誰かと目が合った気がして。

――――気の所為だ、と首を振った。

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