プロローグ
あたしらの生きてる世界こそが、クソの
はきだめなんじゃ」これは“猫の集まる家”
“辺獄につながる場所”と呼ばれる〈呪いの家〉を
破壊した少女の言葉だ。
「あたしがやってんのは浄霊やない。
少女の名はレイン。自称『ドーベルマンの
後継者』と名乗る無造作に伸びたクセのない
黒髪、やや幼さを残す澄んだ綺麗な目、
白く見えすぎる肌が特徴の着飾らない
端麗な美少女。赤いフード付きコート、
セーターとニーハイソックス。丈が短い
スカートをいつも着ている。
95~21年の間に世間を賑わせた事件は
すべて呪いの家から端を発している。
それらの出来事に一人の少女が関わり、秘密裏に
未解決というカタチで真相を暴き解決へ導いてきた。
これは私が、少女に対しおこなったインタビュー
と呪いの家に関連する資料を再構成してまとめた
暗闘の記録である。
1995年
これは連続幼児誘拐事件の犯人とされていた
今は亡きM君(仮)の話。
『これは~』
「イヤ」
M君はいつも通り、ボクがやってる怪談ライブの
録音を流しながら帰宅途中の幼稚園児を
車へ乗せていた。その園児……女の子が
録音テープを取り出したから「返して」と
言ったけど、胸に抱えて離さないので
肘打ちしようとしたら、
「ぎゃっ」フロントガラスを貫き、
.30カービン弾(7.62×33mm)が喉と胸部に
叩き込まれる。正面からアメリカ製
自動式軍用小銃、M1カービンを連射しながら
歩いてくる中学生ぐらいの少女。
サングラスかけたレインが、太陽を背に
現れたんですよ。ドアを開けてアスファルトを
這いずり逃げようとするM君。だが、背中を
踏みつけられてしまう。S&W社のリボルバー、
後頭部から脳が飛び散せたM君を置き去りに、
彼女は「大丈夫やで~すぐ送ったるから」
関西弁でかたまる女の子をなだめつつ、
血がこびりつく穴だらけのフロントガラスを
粉砕してアクセルを踏み込んだ。軽自動車は
ゆっくり発進し女の子が通う幼稚園まで向かった。
レインはいつの間にやら姿をくらませました。
都内で起きる連続誘拐事件の犯人として、実は
M君をマーキングしていたレインはついに
犯行現場を目撃したんです。すぐさま、車を
マチャミ(きっとママチャリ、軽快車のことを
指してる)で追跡。待ちわびたその時に
正面……百メートル先から狙撃したらしい。
使用したカービン・ライフルとスナブ・
リボルバーゴミ処理事業やってる知り合いに
マイクロ派の焼却炉で溶かしたそうです。