気がします。
2001年
あれから6年が経過しました。聖美さんも
名前を“野薔薇”に変え、顔も整形したんです。
原型はありませんでした。昔とは別人。
切り揃えた短い茶髪、オレンジ色の瞳と
小顔で目鼻口のバランスが良い……
男性芸能人みたいな顔立ちしておりました。
『ザザ……じゃね……ゴラァ』
「殴り込みや」
「現場おさえてるし、普通に児童相談所ですって
名乗れば」
「殴り込みや」
「あっ……うん」
見た目は18歳ぐらいですが、
児童相談所員として働いてる聖美さん。
そばにレインも居ます。あの一件から
いっしょに暮らし始めたんです。
キレたら止まらないレインのストッパーとして
姉のように接しながら睦まじく……
「誰っ?」
「知るかボケぇ!!!!」
家庭に問題がある家へカチンこんでました。
その日もレインが盗聴していたアパートの一室へ
乗り込んでいきました。家には俊樹くん、5歳と
パチンコ中毒のごく潰しな両親が暮らしています。
「うわあぁぁっっ!!!!」
まずは父親の腕や脚にホームセンターで購入した
ナイフ類を突き刺し、動きを封じて片側の鎖骨へ
親指と人差し指、中指をねじ入れ
抜き取りました。
「アギャアアアアアアアアアア」
狂ったように叫ぶ夫を見つめる妻は
さりげなく台所から包丁を握り、聖美さんへ
襲いかかったら「アブナイアブナイ」H&K社の
USP後継版であるP30をベースにした45口径
軍用自動拳銃、HK45。その
千切れ飛ばしました。さらに無表情で眉間を撃ち
妻の後頭部に弾丸が炸裂しました。近くで
倒れてる夫に三発、叩き込み「男の子はどこや」
部屋を探り始めます。
「にゃーっ、にゃーっ、にゃーっ」
「ミッケ」
押入で虚空を見つめる痩せ細った男の子、
俊樹くんを発見してガスの元栓全開。
部屋を火事に見せかけ、家を爆破しました。
実は予定と違ったらしいんです、聖美さん曰く
俊樹くん救助して逃げる手筈だった。でも
レインが急に「夫婦は処理、部屋はふっ飛ばす」
って言い始めたそうなんです。後に理由を
問いただしたら「猫祭りの家……あそこの一部を
感じってもうた」とポツリ呟くだけでした。
猫祭りの家──例の彼女が破壊した呪いの家
ことです。妙な言い回しが気になりますよね。
『あそこの一部を感じた』この部分が、後々……
遥かに恐ろしい出来事が起きることを
予言していたのは皮肉としか言いようが
ありません。
もしかしたら──直感的にレインは恐ろしい
“ナニか”を察していたかも知れませんが。