「う、う~ん・・・・」
シノは生徒会室で書類作業をしながら体をイゴイゴと動かしていた。
「かゆい・・・・」
「背中ですか?良かったらかきましょうか?」
「いや、あの日なんだ。」
「配慮が足らなくてすみません。」
流石のタカトシもこの問題は解決できなかった。
タカトシとスズは一緒に階段を降りていた。
「萩村って普段運動しているイメージないけど大丈夫なの?」
「どうしてそんなこと聞くのよ。」
「いや体育祭の後って大抵筋肉痛になる奴が多い光景が定番中の定番だろ?だからな。」
「そりゃ鍛えているもの。普段からつま先立ちで歩いているから。」
「退艦とか良さそうだな。」
タカトシとスズが生徒会室前に到着すると花束を持ったアリアと出くわした。
「お帰りなさい。」
「「ただいまです。」」
タカトシはアリアの持っている花束に気づく。
「それどうしたんですか?」
「緑化委員の子からもらったの。」
「綺麗ですね。飾りますか?」
「でもここに花瓶ありませんよ。」
タカトシの提案に対しスズが重要な点を指摘する。
「アレで代用しよう。」
アリアが提案したのは尻のオナホであった。
「なんで花瓶ないのにこれあるの!」
タカトシのツッコミが炸裂する。
そんな時ノックをして生徒会室に畑が入ってくる。
「あら、素敵ね。」
「眼科医って目を良くしてもらって!」
「今月の桜才新聞です。注目は生徒会長の支持率98%。」
シノとアリアはハイタッチする。
「やったねシノちゃん!」
「いや、これはみんなの力のおかげだ。」
「いえいえこれは大したものです。」
「そうですよ。」
「そうか?」
「いいと思います。」
三人から褒められて少しシノは照れる。
「まぁ主な理由は時分でなきゃ誰でもいいでしたが。」
その瞬間場の空気が凍り付いた。
「いい話が台無しだよ!」
「津田、その指どうした?」
ある日の生徒会室でタカトシの指の処置にシノが気付き質問をする。
「ああ、割った皿で切っちゃって。」
「っ!!」
「大変でしたよ。結構血が出ちゃって。」
「っ!!!」
シノは耳を抑えて膝を丸める。
「ああ、ダメッ!痛い話は苦手だ!」
その後横島が来て手の蚯蚓腫れをシノが指摘する。
「横島先生、その蚯蚓腫れどうしました?」
「ああ、これ?これは鞭の跡。」
「痛いですか、痛いですか?」
そこからは口にできない下ネタを言う横島。
(聞きっぱなしだよ!)
因みに鞭は本数が少ない方が結構痛い。
わかりやすく鞭を振る力を100としてバラ鞭を20本とする。すると一本当たり5の力に分散される。
しかし一本鞭の場合100の力では済まない。玉に鞭の先端が鳴ることはあるがそれは音速を超えた時である。冗談抜きで目に当たれば失明もする。
なので使いこなせる人は相当センスと練習を積んでいる。
昼休みの食堂で三葉はとんかつ定食(ご飯大盛)を注文した。
「ムツミよく食うね。見ているだけで腹いっぱいになるわ。」
同じ柔道部員の同級生が話しかける。
「こんくらいよゆーよゆー。」
そんな時タカトシが三葉に声を掛ける。
「あ、三葉も今日食堂だったんだ。」
そんなタカトシを見て三葉は顔を赤くする。
「あれ?なんか急に食欲無くなっちゃった。」
「このピュア・・・・・・・」
ある意味一番健全なのはこの学校でこの子である。
二年生教室廊下でシノは進路希望の用紙を見ていた。
「進路希望か・・・・・・大学へ進学するつもりだが、先のことを考えるのは難しいな。」
「そうだね~。」
そんな二人に横島がアドバイスをする。
「深く考える必要ないわ。適材適所、自分御能力にあった好きな場所を選べばいいのよ。例えばエロい妄想が得意なら教師。」
「ほ――――――・・・・・・・えっ!!」
この人が教師で大丈夫なのかを本気で考えさせられる瞬間であった。
ある日、タカトシたちはアリアの家にお呼ばれされた。
「いらっしゃーい。」
「本日はお招きありがとう。」
「いえいえい。ずいぶん遅かったけど道に迷った?」
「ええ。と言っても車でじゃなくて門をくぐってからの方で。」
この時タカトシはGPSマップ見れば早かったと後で気づいた。
アリアの屋敷の中は洋風で入り口には壺と石像が置かれ、それ以外はシンプルに物が置かれていない状態であった。
「おお・・・・・」
「広い・・・・・」
タカトシとスズは家の大きさに驚く。
「出島さん、みんなを部屋に案内してあげて。」
「かしこまりました。」
突如現れた出島にタカトシたちは驚く。
「メイド・・・・」
「何メイドなんですか?」
「どういことだ?」
タカトシの発言にシノは尋ねる。
「メイドと言っても一括りじゃないんです。掃除、洗濯、接待と分野ごとに分かれてるそうですよ。探偵業してた時に教えてもらったんです。」
「なるほど。」
シノはタカトシの説明に納得する。
「私は送迎や家事全般をやっていますので。」
「オールラウンダータイプかぁ~。」
「出島さん、私ちょっとお手洗いに。」
「行ってらっしゃいませ。」
そう言いながら出島は貞操帯のカギを差し出す。
(あの鍵、前に見たな・・・・・・あれってそうカギだったのか・・・・・)
タカトシは一人修学旅行の時のカギを思い出したが、心にとどめた。
三人は出島の後ろに付いて歩き部屋へと向かう。
しかし、しばらく歩いても入る気配が無い。
(もしかしてこの人・・・・・・いやまさか。いくら広いとはいえども流石に把握しているはずだ。)
タカトシはそんな淡い期待を寄せていた。
「迷いました。」
「おーい!」
タカトシはツッコミを入れる。
「すみません、最近このお屋敷に来たばかりで。この仕事自体始めたのも最近なんです。」
そんな時アリアが部屋から顔を出し手招きする。
タカトシは出島の話を聞く。
「そうなんですか。」
「以前は開発関係の仕事を。」
「機械ですか?」
「いえ、肛門とか。」
「・・・・・・・・学校の方ですか?」
「いえ、違います。」
「・・・・・・・」
変態なお嬢様の家には変態なメイドが就職してしまったのだ。
「しかし、あのお方にはかないません。」
「あのお方?」
「ええ。なんでも殺し屋で身長制限の厳しい御方で彼女が育てた下僕は皆従順でMの方々からは調教されたいとの声が相次いでいます。」
なんとなく当てはまる人がいたタカトシは確信が無いので彼女の所属している組織の名前を出す。
「・・・・・・・・・バレンティーノ。」
「お知り合いなのですか!できればぜひとも連絡先を!」
出島はタカトシの手を握り懇願する。
「出島さんは俺よりも高いですからガブリエラの基準以上過ぎて不可能って言われますよ!」
「そ、そんな・・・・」
出島は膝から崩れ落ちる
「津田、何かあったのか?」
「え~っと・・・・・・なんと言ったらいいのか・・・・・・」
流石にどう説明すればいいかわからないタカトシであった。
「ここが私の部屋だよ。」
アリアが紹介したのは自分の部屋。広さはリビングよりも広かった。
一同部屋の広さに見惚れる中、シノは部屋の外に気づく。
「おお、ここから立派な木が見えるな。」
「私の両親にとって、思い出の木なんだって。」
「察するに、あそこでプロポーズしたんですね。」
スズは定番の回答をするが、アリアは否定する。
「う~ん、惜しい。正解はあそこで種付けされて私が生まれました。」
「私有地じゃないとできない行動!」
豆知識として、当時の貴族でない身分の者は部屋の構造上個室が無いので外でSEXを行っていた。それが青姦の由来である。
そんな時、出島がお茶を持ってくる。
「皆さま、お茶が入りました。」
「ありがとう。」
アリアは出島にお礼を言う。そして一同席に座り紅茶とケーキを楽しんでいると出島が声を上げる。
「あ。」
一同出島の方をも見る。
「すみません、お嬢様。コンタクトを落としてしまいました。ドジっ子の如く。」
「あら大変。」
「皆で探そうか。」
一同手探りで探すがなかなか見つからなかった。
(・・・・・・・・・そういや出島さん、一度もしゃがむ仕草や傾く仕草してなかったな。)
タカトシが見た時にはティーポッドを持っている時だった。
コンタクトが落ちるのは大抵下に傾いている時。
つまり彼女は落としていないのである。
「あった?」
「いや、縮れ毛は三本ほど見つかったが。」
「まぁっ!」
シノの発見にアリアは驚くがタカトシは区内でツッコミを入れる。
「まじめに探せ!」
そしてタカトシはこっそり出島に尋ねる。
「出島さん、少しお手洗いに行きたいのですが案愛をお願いできますか?」
「はい。どうぞこちらへ。」
出島はスタスタと歩き始める。
シノたちがいる部屋から少し離れたところでタカトシは足を止める。
「同化されましたか?」
「出島さん、落としたのはどっちのコンタクトでしたか?」
「右目です。」
「今日の天気は?」
「腫れです、窓から見えるので。」
「俺たちは今日道に迷ったでしょうか?」
「ご自身が言ったのではないですか。」
「七条先輩の髪の色は?」
「栗色です。」
「コンタクトはどっちの目ですか?」
「左目です・・・・・・・・・・・あっ!」
「やっぱり・・・・・・・」
出島の失言にタカトシは溜息を吐く。
「どうせそんなのだと思ってました。黙っておきます絡み付けた振りはするので勘弁してください。」
「どうしてわかったのですか?」
「・・・・・・・・鏡見てください。」
コンタクトをしている目としていない目では瞳孔の大きさが異なる。故に観察するとよくわかるのだ。
「タカトシ様は探偵の経験があったのでしたね。」
「それは七条先輩にかかわる人間御身辺調査ってことでいいですか?」
「はい。お嬢様に不埒な理由で関わる輩は速やかに排除するように旦那様から言われておりますので。」
「なるほど・・・・・では警察犬に関しても?」
「はい。個人的には公表して欲しいのですが・・・・・・まぁそこは個人の考えですので。」
「わかりました。」
七条毛とはいえど交友関係の不安はぬぐえない。個人情報を暴かなければならない時もある。
表立ってニュースになることはないが世の中にはVIPのご子息が狙われる事件が多いらしい。なので目立たないようにするか、もしくはそう言った調査などをするという話は珍しくはないらしい。
時間は過ぎて夕方の六時の鐘が鳴る。
「あら、もうこんな時間。皆ご飯食べてって。」
「いや、そこまで厄介になるには・・・・・」
アリアの提案にシノは遠慮気味になる。
「いいのいいの。今日はみんなのために滅多に食べられないご馳走を用意したの。」
その言葉にシノとスズは期待するが、タカトシは冷静に考えた。
(そういや七条先輩普段高級な食材を弁当にしているよな?それに庶民じみたのが好きって・・・・・・・なんとなく、縁もゆかりもないあれを思い浮かべるのは俺だけか?)
そしてタカトシの予想は的中する。
アリアがみんなに出したのは、カップ麺であった。
(まぁ普通にこれを出されて文句は言えないな・・・・・・しかし場の空気を・・・あ!)
タカトシはある事を思いついた。
「七条先輩、先輩の会社には食品関係はあるんですか?」
「あるよ。でもどうして?」
「いや、その・・・・・・普通よりの高いけどおいしいカップ麺なんて売り出したらって思って。それに普段食べられないって言うのなら俺たちもモニターとして試食出来たらなーって。」
「なるほど!確かに私じゃ慣れてるからシノちゃんたちの意見も聞いてみたい!ありがとう、津田君。」
(よし、これで場の空気は持った。後は・・・・・・)
「でも一般的なカップ麺御価格もリサーチしておかないと赤字になりかねませんし。」
「それも伝えておくね。出島さん、お願いできる?」
「畏まりました、お嬢様。」
そして夜になり、帰る時間となった。
「今日はごちそうさまだった。」
「また来てね。出島さん、みんなを門まで送ってあげて。」
「畏まりましたお嬢様。」
シノが礼を言い、アリアは出島に送るように頼む。
「大丈夫なんですか?」
屋敷で迷子になっているのを知っているので不安になるタカトシ。
「失敬な。自分が使える屋敷で迷子になるとでも?」
「なってたでしょうが!」
「自分の住む家の庭くらい目隠ししてでも歩けます。毎晩目隠しして散歩プレイしてますから!」
「この人の採用を再検討した方がいいと思います!そしてさようなら!」
タカトシたちは七条艇を後にした。
ある日の英語の授業。
横島先生はタカトシを指名した。
数学の授業でも世界史の授業でも。
そして午後の生徒総会。
今日タカトシは立つ機会が多かった。
そして雑用として荷物も運んだりしていた。
下校時間稲荷シノと並んで歩きながらタカトシは話す。
「いや~、今日は立ちっぱなしで疲れました。」
「それはいかんな。早く処理してくるんだ!」
「字がちげぇよ!」
因みに真面目な話。
一日中勃起していると最悪男の男が失うことがある。
これは実例があり、バイアグラの過剰摂取によって勃起症状が治まらず、喪失した事例がある。
なので異常なまでに勃起症状が続いた場合は真面目に病院に行った方がいい。恥など捨てて健康大事に。
「あ!」
タカトシは渡りを鵜化とスズとアリアと歩いていると校庭に入ってきた犬に気づく。
「犬が入り込んでる。」
「どこどこ?」
しばらくアリアは外を見るが何の反応も示さない。
「そんな人どこにもいないよ。」
「なんでそっち連想するかなぁ!」
ある日の生徒会室でタカトシはスズと一緒にいた。
「萩村、これ16:30からじゃなかったっけ?」
「あ、いっけない。それにしてもよく私が書いたってわかったわね。」
「“口”の書き方とか結構丸く書く癖があるからな(本当は低い位置だからって言いたいけど本人傷つける方止めとこ)」
さりげない彼なりの気遣いであった。
風紀院の五十嵐カエデは委員会の活動報告書を生徒会に届けに来ていた。
タカトシが対応をする。
彼女は極度の男性恐怖症であるため通常なら逃げたり固まってしまう。
しかし彼女は屈強な精神でその場を乗り切ろうとしていた。
「あっ。あのっ!これ受け取ってください!」
渡しているのは報告書なのだが、畑から見ればラブレターを渡す初心な女子高生の光景にしか見えなかった。
「誤解生むのと畑さんはカメラ構えない!」
「なんの!」
タカトシが投げたクナイを畑は板でガードする。
「甘く見ないでください、津田副会長。何度も同じ手が通用するとお思いですかっ!」
後頭部にクナイが命中する。畑は頭を抑える。
「一芸だけで彼方を制圧できると俺は思ってないですからね。手はいくつも用意するもんですよ。」
「副会長は忍者ですか!」
珍しくカエデがツッコミを入れた。
新聞部部長の畑さんは常にスクープを取るためにカメラを所持している。
「もはやカメラは体の一部。」
「そうなんですか。」
「具体的に言うと性器の部分。」
「分かりにくい強調だよ!魂とかって表現にしろよ!」
「スクープのためにも張り込みをします。」
「探偵と似てますね。」
「だからいろいろ持ち歩いています。」
「傘に防寒具、食料。空のペットボトル?」
「それ用足し用。」
「オムツにしなさい。張り込みの常識よ。」
張り込みの時一人だとトイレで現場を離れるわけにはいかない。時として三枚が朝寝でオムツを履いて一日中張り込みをすることも珍しい話ではないのだ。
雨の日。タカトシはシノと一緒に外を見ていた。
「俺、雨って好きなんですよ。」
「ほう。自家発電による音をかき消してくれるからな。」
「・・・・・・」
別の日。その日も雨で今度はアリアといた。
「俺、雨嫌いなんです。」
「そーなんだー。足音が聞こえないから落ち着いてソロ活動できないもんね。」
スズと二人だけの時にタカトシは口をこぼした。
「どっちを選んでも運命が変わらない状況って最悪だよな。」
「え?・・・・・・あ~、まぁ諦めて忘れた方がいいんじゃない?」
「・・・・・そうだね。」
雨が上がり、タカトシとシノは並んで廊下を歩いていた。
「今日の朝礼で校歌を歌っただろ?」
「はい。」
「君、歌詞を覚えてないだろ。」
「っ!?」
「口パクだったからな。」
「その、難しい言葉もそうですが声に自信なくて。」
「気持ちの問題だ。アニソンと思えば簡単だろ!」
「無理ある解釈!」
職員室前までくるとシノは足を止める。
「私は仕方なく横島先生に会いに行く。津田は先に生徒会室に言っておいてくれ。」
「会長にまでそこまで言われる横島先生って・・・・・」
教師としての威厳が無い横島なのであった。
シノは日誌を届けに職員室に入ると横島は難しい顔をしていた。
「難しい顔をしてどうしたんですか、横島先生?」
「開いた口がふさがらなくてね。」
「何かあったんですか?」
「だからデカイのでヤッたら緩んだの!」
「私の口が塞がらなくなった。」
堂々と言ってしまうあたりもうダメなのかもしれない彼女であった。
一方生徒会室に入ったタカトシはアリアと会った。
「お疲れです。」
「あ、ちょうどいい時に。」
そう言うとアリアはクッキーを差しだす。
「クッキーにワサビ入れて見たの。」
「大丈夫なんですか、それ?」
「まぁ騙されたと思って食べて見て。幼馴染のヒロインが非処女だったくらいの感覚で。」
「分かりにくい例え!」
因みに処女膜はスポーツしている女性は大抵破れることもあるそうです。
外国には処女膜を直す医者がいるそうですが、処女じゃないといけないって言う男もたいてい変態ですよね。
純潔をささげるって意味で大事にしているのは素晴らしいと思います。
生徒会室には生徒一同が集まっていた。
「来週はいよいよ文化祭だな!」
「秋の一大イベントだから胸が躍るね!」
その言葉通りアリアの胸は躍っていた。
「踊らすな!」
持ってないものの妬みであった。
桜才学園では生徒一同文化祭に向けて準備に取り掛かっていた。
廊下でタカトシはムツミから文化祭でする内容について聞いていた。
「柔道部は文化祭で招待試合を行います。応援よろしく!」
「今度はどことするの?」
「異種格闘技です!」
用紙には桜才柔道部VS英稜空手部と書かれていた。
「無事に帰って来いよ。」
最大限のエールをタカトシは送った。
今度は生徒会室でアリアから頼まれごとをしていた。
「急なことで申し訳ないんだけれど、演劇部の先輩から文化祭の劇手伝うように頼まれちゃって。練習に付き合ってくれないかな?」
「いいですよ。
「ありがとう。じゃあさっそくこの“メイドと犬が戯れる”シーンを―――」
「一応確認しますけど、どっちがどっち?」
シノが生徒会室の前に来ると演劇の練習の声が聞こえて来た。
「わん。」
犬役はタカトシであった。
「お手。」
「わん、わん!」
「ちんちん♡」
「わんわんわんわんわんわんわん!」
「っ~~~~~~~~~~~~~~~~~!」
シノは顔を真っ赤にして入る。
「な、何をやっている津田―!」
勢い良く入るシノだったが台本を持っている二人を見てさらに顔を真っ赤にする。
「どうしたのシノちゃん?何を想像したの?」
「い、いやその・・・・・・い、如何わしいことを・・・・・・だな・・・・・」
「え~?どういう風に想像したか教えてくれない?ねぇねぇねぇ?」
「ううぅ・・・・・・」
いいように弄られるシノであった。
文化祭を翌日に控えた桜才学園を生徒会一同は見ていた。
「にわかに活気づいてきたわねー。」
「ああ、文化祭明日だからな。」
「皆胸を膨らませているのだな。」
「そうだねー。」
そう言って胸が動くアリア。
「膨らむわけがない!」
持たないものの妬みであった。
そして翌日の朝、当然ながらシノは眠れなかった。
「ま、またやってしまった。」
文化祭当日。
桜才学園には多くの一般客が押し寄せてきていた。
学園内が活気づく中、シノとタカトシは並んで校内を見回りしていた。
タカトシの目には疲労の色が見えていた。
「会長、目にクマが出来てますよ。」
「津田こそ。」
「準備が追い込みで、昨日遅くまであちこち駆り出されてたので。なんか男手が欲しかったって。」
「す、すまん!」
自分とは違って至極まっとうな理由過ぎて罪悪感を感じるシノであった。
「失礼します。」
生徒会室に出島が来た。
「演劇で使いたいというメイド服をお届けに参りました。」
「ご苦労様。」
アリアは出島をねぎらうがふとタカトシがある事に気づいた。
「いや、でも出島さん服着てきちゃってますけど?」
「ご心配なく。全裸で帰りますから。」
「ヌーディストはマナー守って!」
そんな時、横島が生徒会室に入ってくる。
「おーい、生徒会役員共。ん?」
「おや?」
初対面お二人は変な声を出す。
「ウチの顧問の横島先生よ。」
「そうでしたか。いつもお嬢様がお世話になっております。」
「いえいえ。」
「え?」
「まぁ・・・お世話になってます。」
タカトシとアリアは不満な顔をする。
「なんだその不満そうな顔は!」
顧問と言うよりおカザリな立場で夏には迷惑をかけているから打ち所の多い人とだけ言っておこう。
生徒会の仕事はたとえ文化祭であってもやることが多い。
タカトシとスズは風紀に反した出し物が無いか見回っていた。
タカトシがお化け屋敷の前で足を止めるとスズはそれを通り過ぎようとしていた。
「萩村行き過ぎ。ここだよ。」
「あははー。わたしせがひくいからみえなかったわー。」
(コンプレックスより前に言葉がひらがなな気がするのは俺だけかな?)
二人がお化け屋敷に入る。
中はそれなりのつくりをしていてなかなか雰囲気を醸し出していた。
スズは何かないかと周りを探る。
(マズいわね。こんなところで悲鳴をあげたら生徒会役員としての威厳が・・・・)
そんな時目についた遺品と書かれた段ボールの上にあるガムテープに目が行った。
「じゃあ念のために入らせてもらいます。」
「はい。」
「行こうか、萩村。」
タカトシがスズの方を向くとそこには口を塞いでいるテープでスズの姿があった。
そしてお化けが出てきたことに対して驚くが口を塞いでいるため悲鳴は上げていないことになっている。
(がんばってるな~。)
二年生の楓のいる教室では喫茶店をしていた。
「楓、お茶のお替り三番ね。」
「はーい。っ!?」
楓はお茶のお替りに行こうとするが咳には他校の男子四人が座っていた。
四人とも結構ない華鬘なのだが彼女の男性恐怖症で下手に近づけない。かといって対応しなければ桜才学園の評価も落ちる。
「はいーーーーーー!」
楓は遠くのマグカップに正確に紅茶を注ぐ技術を披露する。
「あれ?タカトシ君?」
「あっ!?」
声を掛けられタカトシが向くとそこには雄太の姿があった。
相も変わらず女性顔負けの女装をしている。
「津田、知り合い?」
「探偵事務所の今の経営者の雄太君。」
「ん?雄太・・・・・・君?もしかして、男?」
「そうだけど・・・・・どうかした?」
シノは優太の姿をまじまじと見てショックを受ける。
「どうしたの?まるで自分よりも高身長でスタイルが良くって綺麗な毛並みでファッションセンスもあって女性と言われても通ってしまう程での女子力に敗北をしている哀れ猫リスのような目を向けて。」
「ケンカ売ってるのか―!」
スズは切れるが先ほど思ってたことは全て彼に言われてしまった。
「雄太君もそんな喧嘩腰しないで。ていうかなんで来たの?」
「えー、だってタカトシ君学生生活送ってるから、ガブリエラ以外の女性に豚の如くヒィヒィ言ってる姿を見たくって。美しい光景だよね。」
「華やかな表情で内容が黒々いよ!」
雄太のドSっぷりは健在であった。
タカトシたちは雄太と分かれた後アリアの演劇を見ていた。
内容はR18な単語が出まくってしまう演目内容である。
「七条先輩演技美味いですね。内容は問題ありまくりですけど。」
「DVDで研究したらしい。登場人物がローター入れて接客する奴だ。」
「それ年齢的に大丈夫?」
因みにタカトシは問題ないがシノとアリアは一個下なのでアウトである。
演劇が終わりアリアは生徒会室でメイド服を返す。
「素晴らしい演技でした、お嬢様。」
「出島さんもメイド服ありがとね。」
「では早速着替えますね。」
「一応クリーニングした方が・・・・・」
「いえ、メイドの私服はメイド服ですから。それに、お嬢様の使用済みの服はそそります!」
「この人の解雇を検討した方がいいのでは!」
見回りをしていた横島はチョコバナナを売っている店で足を止める。
「チョコバナナ一本頂戴。」
「はい。」
代金を払い受け取ると彼女は口にそれを運ぶ。
「っ!?」
そしてチョコバナナを前後に激しく動かし始める。
「おかしい!久しぶりのはずなのに最近口にした記憶が!」
「一応確認するけど危なくない範疇だよね?」
不意にタカトシは不安になった。
今度は出島が立ち止まった。
「アイスキャンディー一つ。」
「はい。」
出島は口に運ぶと泣き始める。
「一応聞ききますけど、なんで泣いてるのですか?」
「最近ご無沙汰なんで。」
「こっちは別の意味で安心感が無いな。」
その内危ないことをすると思ってしまうタカトシなのであった。」
演劇が終わった体育館では3on3のバスケが行われていた。
横島はスズや生徒に交じりバスケをして汗を流す。
「いやぁ、男子はイキがいいわね。偉い汗かいたわ。」
「・・・・・見た感じあまり汗を掻いているようにっ見えませんが。」
汗を拭きながらスズはそう言った。
「体の汗じゃなくてあっちの汗なんだけど・・・・・」
「津田は!ツッコミの津田は!」
「えい!」
秘孔を押して雄太は横島を動けなくする。
「あれ~?なんか急に力が入らなんですけど~?」
「なんか怖いので誰かこの人保健室に連れてってください。」
「ナイス!」
そしてタカトシは中庭の方でベンチに腰かけていた。
「疲れた。やっと自由時間だ。」
空を見上げれば日が傾き始めていた。
気持ちいいそよ風が髪を撫でるとふと眠気が来てしまう。
(ちょっとだけ休もう。五分、五分だけ・・・・・)
「津田・・・・・・津田・・・・・」
「っ!?」
タカトシが目を覚ますと文化祭は終わり雄太経路に校舎が染まっていた。
「やっと起きたか。もう夕方だぞ。」
目に見える範囲を見ればわずかなゴミだけを残して出店も片付けられていた。
「マジか・・・・・・・来年は男子生徒を各学年で割り当てて負担を減らさないと・・・・・」
「それもそうだな。それとだな、後夜祭のフォークダンス、私で良ければ付き合うが・・・・・・・」
タカトシはベンチから立ち上がり、一緒に歩く。
(まぁ、たまにはこんな終わり方もいいか。)
因みに彼が寝てた時誰も起こさなかったのは一番彼が働いていたから他の男子をこき使った。
男子は翌日禁苦痛になったのは言うまでもない。