始業式の翌日の昼休み、タカトシは生徒会室に子小走りで入って来た。
「遅れて申し話ありません!」
「遅い。今日は大事な会議があると言っただろうが。」
「まだ学校の事わかってなくて生徒会室がどこかもわからなくて。」
「そうか・・・・津田は入学してまだ日が浅いからな。よし、今日はこの私が桜才学園を案内して回ろう。」
シノは席を立ち桜才学園を案内する。
「ここが保健室だ。」
「?」
「ココが女子更衣室だ。」
「??」
「ココが使っていな教室だ。」
「???」
体育倉庫に来てタカトシが反応しないのでシノは不安な表情で言った。
「男子生徒がドキッとするところを紹介しているのだが、不満か?」
「うん。」
「ココが音楽室。グランドピアノの上が使いどころだ。」
「偏見な紹介するな!」
津田のツッコミが炸裂した。
そしてところ変わって2-Bの教室を案内される。
「ココが私たちの使っている教室よ。何か困ってることがあったら来てね。」
「はい。」
「でもこうして見ると少子化が悪いって思わないわね。」
「どういうことですか?」
アリアの言葉にタカトシは首を傾げる。
「三年性になってP組まであったら大変。」
「クラスのイメージカラーはピンクだな。」
「うんうん。」
シノの言葉にアリアは頷く。
「アンタら年がら年中脳内ピンクだよ!」
そして次はトイレを案内される。
「ココが女子専用トイレ。男子は教員用トイレを使用するように。なお、ここでは用を足す以外にナプキンを装着したりする。」
「異議あり。私はタンポン派よ。」
「すまない、今の発言は撤回する。自分を基準に語ってしまった。」
「男子の前で女子の悩みは処理しきれまセーン。毎回続くの?」
「私はもう慣れた。」
困るタカトシに対しスズは答えた。
それから一緒に廊下を歩くと生徒から挨拶される。
「挨拶されるとは流石ですね。」
「まぁ慕われないと人の上には立てないからな。君も副会長として尊敬されるように頑張れ。」
「尊敬する人たちはいますけど自分がその人たちと同じようにはとなると無理ですね。」
「蔑まれる方がいいのか?M・・・・・なんだな。」
「俺は断じてMではありません!後めんどくさいMは知っているので相手にしたくないです!」
そして最後に屋上に案内される。
「ここが屋上よ。」
「へー。結構眺めがいいね。」
下を見降ろすスズの隣にタカトシが立つ。
「私、高いところが好き。」
「へー。」
「人を見下ろせるから・・・・・・・・・・・・笑えばいいじゃない。」
「前に言った殺し屋の人、上限162cm下限146cmはみんな下僕って言うけど、それより高い人間は見下す感じで嫌いなんだって。」
「・・・・・・・・同じ境遇とかって意味のフォローなのかもしらないけどいろいろ情報が多すぎて処理できないわ。てかそんな情報よく知ってるわね。」
「一回捕まってその人の性癖を知ったから。」
「・・・・・・殺し屋に捕まるってアンタどんな生活してきたのよ。」
「ヤギが中心の生活。」
ふとタカトシがある事に気づいた。シノが扉から一歩も屋上に来ようとしないのだ。
「あれ、会長は来ないのですか?」
「いや、わたしは・・・・・いい。」
「・・・・・・・・・・・苦手なんですね、高いところ。」
「そんなわけないだろ!これは・・・・・・」
「これは?」
「楽しくて膝が笑ってるのさ。」
「上手くないし!もうバンビだし!」
生徒会室に戻るとシノは本題に入る。
「さて、今年から共学となり男子生徒が入る事となったのだが、我々生徒会にとって生徒たちの垣根をなくすことが大きな課題ではないだろうか。」
「流石シノちゃん、いいこと言うわね。」
「共学になって我々は様々なものを共有することになるからな。」
「例えば?」
アリアに言われ顎に手を当て一つ出す。
「プールの水とか。」
「今年の夏はドキドキね。」
「辞任は認められるのだろうか?」
「最近いじめが社会問題になっている。と言うわけで、我が校でも緊急アンケートをした。
「いじめはいけないこと?」
「当然だ。」
「でも、私の父は毎晩母にいじめられて喜んでいるけど。」
「それは合意の上の行為だよ!」
アリアの言葉にタカトシはツッコミを入れる。
昼の時間。生徒会室は日当たりが良く温かさが眠気を誘う。
「食べた後の温かさで眠くなりますね。」
「お昼の後だもんねー。」
タカトシがアリアと話している側でスズは昼寝をしていた。
「ちなみにスズちゃんはお昼の休みを取らないと午後まで持たないの。」
「気持ちは理解できる。俺もよく昼喰った後寝てるし。授業中も眠気が邪魔するし。」
その言葉にスズは頷く。
「ちなみにスズちゃんは寝ている間も応対可能よ。」
「優太くん以外にこんなに才能ある人はじめて見た。」
放課後の生徒会室でスズはタカトシに言った。
「私、舐められたくないからこのポーズを取るようにしているの。」
腰に手を当て胸を張るポーズを取るスズ。
「しかーし!このポーズには大きな問題がある。前ならえの戦闘を彷彿させる。このジレンマどうしたらいいの!」
「まずは腕を組んでみてはどうか?」
「こう?」
スズは言われたとおり腕を組む。
「少なくとも前ならえは消えた。後は自分で考えて。」
「よりよい学園生活を送るためには生徒の声も大切だ。そこで、目安箱を設置しようと思う。」
「会長、目安箱って前にも設置しましたけどあまり投書なかったですよね?」
スズの言葉にシノは頷く。
「だから今回は入れたくなるように一工夫を入れてみよう。」
そう言うとシノは目安箱の投書口にマジックであるものを書いた。
女性の生気を現すマークである。
「そ、そんなにじっと見るな。」
「会長が書いたんでしょ。てか何照れているんですか?」
「俺は本当はこの人がMなんじゃないかって思う。」
翌日、アリアが目安箱を持って生徒会室に入って来た。
「今回はいっぱい当初来てるよー。」
「うむ、みんなで確認しようじゃないか。」
生徒相室の机の上に目安箱の中身が広げられる。
「結構来てるけどふざけてるのも多いな。」
不意に一枚手に取るとそこにはタカトシを狙った脅迫文があった。
『会長に手を出したら穴ブチ抜きます』
「・・・・・・・・・これは流石に警察案件かな?」
そう言うとタカトシは公衆電話に向かおうとするがシノが止める。
「待つんだ津田!流石に落ち着くべきだ。」
「でも流石にこれはいけないでしょ。生徒会でもこれは議題に取り上げるべきじゃないですか?」
「確かに・・・・・・だが誰が書いたかわからないだろ。」
「そうでもないですよ。」
「なに?」
「これワープロじゃなくてボールペンで本人が書いたみたいです。はねや止めの癖が一緒なんで。警察で筆跡鑑定したらわかるかと。」
「だが実際検証する時に誤魔化すだろ。」
「普段使ってるノートを見たらわかりますから。そっちの方は慎重になって書くもんじゃないですよ。」
「なるほど。では生徒会として脅迫文に関することも注意しよう。」
夕方になりシノはタカトシにある事を言っていた。
「今日は全校集会でスピーチを行う。そこで津田君も一緒に壇上に立ってもらうぞ。」
「えっ!大勢の人の前だと緊張するな。」
「なんだ情けない!私は大勢の人に見られると非情に興奮するぞ。」
「めんどくさいよ自覚あるM!」
ある昼休憩時間、生徒会室にアリアしかいないときにタカトシは尋ねた。
「結局副会長って何をすればいいんですかね?」
「う~ん、そうね・・・・・会長の補佐役なんだからシノちゃんが困ったときに手を貸してあげたら?」
「なるほど。」
「でもシノちゃんって勉強できるし運動神経もいいし、礼儀や作法、家事も完璧。特にないわね。」
「俺の意味は一体・・・・・・」
そんな話をしているとシノが入ってくる。
「今日は早いな。ここに来る途中で財布を拾った。心苦しいが持ち主を特定できるものが無いか調べさせてもらおう。」
シノが財布の中身を見て確信する。
「持ち主は女だな。」
「なんでですか?」
「中にゴムが入ってない。」
「・・・・・・・・・・・俺も財布に入れてないよ。」
タカトシは改めて財布の中を見る。
財布の中のお札は数枚は同じ方向に向いているが一部は逆さまだったりする。
次にレシートが少ない。古いのでも一週間前の物でテーピングを買っている。
「運動部ってことまでは絞れましたね。おそらく部活帰りにドラッグストアで買ったんだと思います。」
「そこまでわかるのか!すごいな。」
「ええ、まぁ。後何かわかる者は・・・・・・・ん?」
ふとタカトシは財布の中にある銀色のネジのようなものを見る。先が摩耗して潰れているのが分かった。
「会長、部活動の時間に陸上部に顔を出してみませんか?」
「どうしてそう思ったのだ?」
「これです。」
そう言うとタカトシはピンを手に取る。
「それがなぜ陸上部だと思ったのだ?サッカー部なども考えられるのでは?」
「確かにサッカーのバッシュにはスパイク在りますけどあれは構造が違います。陸上のスパイクはネジ式で交換できるようになっているんです。土用とそうじゃないところ用に。」
「ほう・・・・・君は知っているのだな。やはり脚フェチなのか?」
「勝手な推理で偏見を持つな!」
そして会議を始めようとするとき、スズが来ていないことにシノは気づく。
「では会議をはじめ・・・・・・・萩村がいないぞ。」
「まだ来てないみたいですよ。」
すると息良いよく扉を開けてスズは叫ぶ。
「こんな体でも、来てるわー!」
彼女は整理二日目であった。
タカトシは校則を読み上げる。
「校内恋愛禁止、髪染め禁止、買い食い禁止、廊下を走るの禁止、携帯電話禁止、ジャージで下校禁止。ここの校則厳しいですね。」
「当然だ。学校とは勉学に励む場であり、学生として逸脱した行為は一切認めない。」
「そうでしょうか?勉強するだけならテキストなんかでもできますし、今なら通信教育もまかり通ってしまいます。」
「それに関しては同意見よ。それになんでもダメとすると生徒の積極性に支障をきたす場合があります。」
「俺としては携帯電派の使用を許可してもらいたいですね。」
「どうしてそうなのだ?まさか出会い系を!」
「そんなもん登録してないわ!」
シノの斜め上の推測にツッコミを入れるタカトシ。
「例えば会長が呼び出しをするとして学校放送を使ったとします。生徒の中には噂好きなのもいるかもしれませんし、情報の機密のためにも必要かと。」
「なるほど・・・・・・だが一個人の意見では学校は動かないぞ。」
「では今度の目安箱に学校に改善して欲しいところを項目ごとに出してもらうと言うのはどうでしょう?校則や学校施設に関することなんかも含めて名前はなく署名を集めるんです。」
「なるほど。全校生徒を利用するのだな。」
「と言うよりも民主主義を利用するところですけどね。」
シノはタカトシに感心する。
「しかし津田は私たちよりも経験豊富なようだな。まるで年上だ。」
「実際年上ですよ。」
「・・・・・・え?」
シノは驚いた。
聞いていたアリアもスズも驚いていた。
「ちょっと待ちなさいよ津田。あんた何歳なの?」
「18。15から三年はバイトしてたからね。」
その言葉に驚く一同。
「津田はどこでバイトをしていたのだ?参考までに聞かせてくれ。」
「探偵事務所です。と言っても探偵事務所は今締めてますけどね。」
「何か問題でもあったのか?」
「経営者本人が警察に戻ったんです。」
「なんと!経営者は元警察官だったのか!」
「色々あったんですよ。と言ってもアニメみたいな難事件とかは無くて離婚問題や不倫とか、探し物とか色々です。警察の方からの協力とかもありましたし。」
「なかなかおもしろそうだな。一度会ってみたいものだ。」
「全力でオススメしません!」
タカトシは改めて生徒手帳を見る。
「結構覚えること多いな。」
そう言うとタカトシは指を嚙んだ。
「津田、指を噛むのは癖なのか?」
「え?ええ・・・・・爪だと深爪とかしちゃいそうですし。」
「癖は一度つくと厄介だから気を付けた方がいいよ。」
アリアが癖について注意する。
「私もお尻弄るのクセになっているけど何とか踏みとどまっているわ!」
「それはもう性癖開通してるでしょ!」
生徒会長のシノは生徒からの信頼も厚く、よく相談を受けている。
「会長は人望ありますね。」
「ああ。生徒会長としての当然の責務だ。私は口も堅い。ちなみに下の口も堅いぞ!」
「自分に関することは口が緩いんだね。」
そんな話をしているとスズが話しかける。
「ちょっと津田、この報告書間違ってるわよ。」
「え?・・・・・・・・あ、変換ミスった。」
「ちょっと気がたるんでるんじゃないの?そこに座りなさい。」
そう言われて椅子に座るタカトシ。
しかし丁度スズと同じ目線になった。
「そこに跪け―!」
「色々落ち付こうか。」
ある日の事、生徒会長が新聞部から取材の話が出て来た。
「新聞部から取材のオファー?」
「はい。」
シノの言葉にスズが返事をする。
「するとインタビューをされるわけか。練習しておく必要があるな。」
シノは顎に手を当て考えているとアリアが助言をする。
「津田君、インタビューの指導してあげたら?詳しいでしょ?」
「なんで俺が?」
「AVでよくあるじゃない、インタビューのシーン。」
「よろしく頼む。」
「よろしくしないよ!」
そして取材当日。
「新聞部の畑です。本日はよろしくお願いします。」
「う、うむ・・・・・・こちらこそ。」
シノは緊張しながら返事をする。
「あまり緊張なさらなくていいですよ。」
「そ、そうか。」
そう言うとシノはセクシー写真を撮るかのようなポーズを机の上で取る。
「いや、今日は多い日でな。経っても座っても辛い。」
「じゃあ仕方ないですね。失礼します。」
「おー、すまん。」
畑も寝転がってインタビューする。
(本来ならツッコミを入れるべきだろうけど敢えてやめよう・・・・・・)
タカトシは我慢した。
「では次に写真撮影を行います。」
「えー、恥ずかしいなぁ。ポーズ撮った方がいい?」
「ノリノリですね。」
アリアにスズがツッコミを入れる。
「いえ、紹介記事に使うので皆さんは普通に立っていてください。」
「なるほど、ギャルゲー式画面撮りと言わけだな。」
「なんでそんなの知ってるの!」
「では最後に、男子生徒会長の津田君から今後の抱負を一言。」
「そうですね・・・・・・・最大限で最大減の微力を尽くす、でしょうか?」
「それはどういう意味でしょう?」
「俺に出来ることって皆さんからしたら微々たるものなので微力を尽くすことしか思いつかないんです。最小限で出来たらよかったんですけど流石にそれでは無理なので。」
「なるほど。そう言えば18歳と言うのは本当なのですか?」
「ええ。」
「ではどうして高校進学をしなかったのですか?」
「そうですね。最初は高校卒業しようと考えてなくて学歴問わず時給900円の言葉に乗ってそれで働いていたんです。」
「やはり難事件なんかにも関わっていたんですか?」
「そんな事件はドラマの中だけですよ。周りに人は結構特殊な人たちばかりでしたけど、そんな事件はありませんよ。」
タカトシは笑顔で答えるが嘘を吐いた。
世界が隠しているシークレットドーベルマン、日本警察の闇に非人道的施設、そしてヴァレンティーノファミリー。それもお笑い点綴小説を書くにはもってこいの材料ばかりである。
学校が終わってタカトシは自分の部屋のベッドでくつろいでいた。
すると電話が来た。
「あ、因幡さんからだ。」
タカトシは電話に出る。
「はい、もしもし。」
『おーっす、タカトシ。元気かー?』
「ええ、まぁ。ツッコミが必要な生活になりましたけどね。」
『お前のツッコミキャラは変わらねーなー。そういや頭いい学校に進学したんだろ?なんかあったか?』
「入学初日に生徒会副会長を任されました。」
『スゲーじゃねーか。でも大変そうだな。』
「そっちの方も大変でしょ?」
『まあな。緒方がしつこく家に入ってくるからもうあきらめた。ステラは嬉しそうだけどな。』
「でしょうね。荻野さんとはどうですか?」
『相変わらずあのケチ毛髪触らせてくれねーよ。まぁ、怒らせたら俺が消滅しかねないけどな。』
「塵も残さず消えそうですね。」
そんなたわいもない話をしながら夜は更けていった。