「いくら何でも6時集合は早すぎるだろ・・・・・」
まだ暑い日差しが昇らない桜才学園校門前に向かってタカトシは歩いていた。
天気は晴れており、まだ人通りもない状態である。
そんな桜才学園の校門前に私服姿のアリアとスズが話していた。
「おはよう津田君。」
「遅刻するかと思ったわ。」
「流石に社会人経験ありますから大丈夫ですよ。」
三人が話しているとシノがやってくる。
「待たせたな!」
シノの方を向くとそこにいたのはサングラスにグラサン、そして膨らましたイルカと浮き輪を手にして楽しみにしているシノの姿があった。
「ああ、これか?そんなに乗りたかったら乗せてやってもいいぞ。ただし、私が一番だがな」
「遊び心が泳ぎ出してる!」
タカトシがツッコミを入れるとクラクション音が鳴る。
本当は警告などのために使うので呼び出したりするのに使うのはマナー違反であるのでやめましょう。
「おーっす!さー乗った乗った。っ!」
横島はシノの浮き輪に気づく。
「・・・・・それ、乗らないから空気抜いてくれる?」
一行は横島の車で海へと向かう。一人、空気が抜けたイルカに涙を流すシノを乗せて。
「そういや津田、あんた海には行ったことあるの?」
「何度か。探偵事務所の依頼で行ったこともあるけど一回難破して無人島に漂着したときもあったよ。」
「どんな経験よ!」
「始祖ノ鳥島って言うところは本当に死にかけたなー。あはははは・・・・・・」
「それってもしかして羽鳥さんの所の島?」
アリアがもしやと思い話しかける。
「なんだアリア知っているのか?」
「うん。鳥マニアのおじいさまいてそれをいろいろ相続したって話があったから。皆ウソって言ってたけど、恐竜がいたって本当?」
「あ~、そういやいました、いました。危うく食われるかと思ったことが何度あったか。」
「・・・・・・・・・あんた、よく生きてたわね。」
「うん、ほんとね。帰りなんか背中に乗って帰ったから、ある意味すごい経験だったよ。」」
そんな話をしていると海が見え、シノとスズは身を乗り出して海を見る。
海水浴場。多くの人やカップル、友達がパラソルを差し、ビニールシートや椅子を置いてくつろいでいたり泳いでいたりした。
更衣室で水着に着替えているシノとアリアは女性にしかわからない話をしていた。
「ああ、しまった!私としたことが剃り残しが・・・・」
「まぁ大変!剃刀貸しましょうか?」
「すまないアリア。」
シノはアリアから剃刀を借りる。
「あったー。今日はちゃんとカバンの中に入ってたわ。これがナイト海に沈んじゃうし、水着も着れないし。」
「何の話だ?」
「え?」
ガチャ、ゴトン!
「なぁ!?」
貞操帯はものすごく重いのであった。
「おお~、人多いなぁ~。」
「シノちゃん、決まってるね。」
「ふっふっふ、今日の日のために買って来た甲斐があるな!あの日が近いから!」
「いつ来ても大丈夫だね。」
海に来ても女性は大変だと言うことをタカトシは実感した。
一人パラソルの下で呆然と海を眺めている横島にタカトシたちは話しかける。
「引率兼ドライバーの横島先生。引率らしく、何か一言。」
流石に仕事と言うことをさせようと思うシノの心遣いがあった。
「皆あんまりはめを外し過ぎないようにね。ハメるのはいいけど。」
「アンタは理性を戻してきなさい!」
シノは一人空気入れでイルカを膨らませていたがなかなかうまく膨らまなかった。
「重労働だ。」
「俺がやりましょうか?」
「いいのか?」
「全然大丈夫ですから。」
タカトシが代わりに空気を入れ始める。
体重も掛けているので空気の入り方が違う。
「おお!」
「流石ね。」
徐々に膨らんでいくイルカ。
「だんだん大きくなっていくわ!」
「そうだな!」
「ココに針がありますが刺してもいいですか?」
「すまん、津田!やめてくれ!」
「わぁ~い!」
シノは子供のようにはしゃぎながら海へと向かう。
「楽しそうですね。」
「イルカ、好きなんだね。穴の所の形がいいのかしら?」
「すみません,風でよく聞こえませんでした。」
二人は海に入る。
すると突然波が襲ってくる。
「きゃっ!?」
(そういや漫画やアニメじゃ水着が流されるって話があるよな?)
《今の波はすごかったねー。水着が波に流されちゃったよー。》
(・・・・・・・・・・とか。)
これでも健全な男なのでそういうことを考えてしまう。
そしてそれは別の形で現実になる。
「今の波はすごかったねー。水が膣に入っちゃったよー。」
アリアは恥ずかしそうな顔でタカトシを見る。
「海で頭冷やしましょうか。」
一度上がった一同は浜辺に立ち、シノがある事を提案した。
「皆で沖まで競争しないか?」
「よーっし!」
「私、足の着かない場所では泳がない性質なので遠慮します。」
するとなぜかビニールプールを連想する。
「誰だ!ビニールプールを連想した奴は!」
スズが屋台を見つけて少し背伸びをする。
「何か飲む?奢ってあげるわ。」
「ゴチです。」
タカトシたちは屋台の店の人に飲み物を頼む。
「オレンジジュース。」
「ゼロコーラ。」
店員はタカトシの方を見ながら「300円です。」と言った。
「まぁ・・・・・・これくらいで腹を立てるほど子供じゃないわ。」
「そうか。それと力入れすぎると容器の中身が溢れるぞ。」
アリアが一人の時チャラ男からナンパを受けていた。
「ねぇいいじゃん、ちょっとだけ。」
アリアは困っていた。
「悪い萩村、持ってて。」
そう言うとタカトシは二人の間に割って入る。
「すみません、この人連れの人なんで他を当たってもらえませんか?」
「あ?ふざけんじゃねぇぞテメェ!」
男は眼を飛ばす。しかしタカトシは怯まない。
「脅しですか?あまりやりすぎると自分を小さく見せますよ。」
「こんの!」
「タカトシ君!」
チャラ男は拳を振るうがタカトシは受け止める。
「・・・・・・・・・・荻さんが言ってたな。素人ほど大振りすぎるって。」
「てんめ!」
今度は逆の拳で殴ろうとするがそれも受け止める。
「片手を取られている時に同じ方に攻撃するのは馬鹿のすることだって言ったな。」
実際そうである。もし仮に受け止められたとしたらその受け止めた腕を狙った方がいい。肘を内から外に向かうように衝撃を与えれば一時的に手が緩み距離を取れる。
両手が捕まれると人間思考が著しく停止する。そこでこんな対処法がある。
まず片足を蹴って股を広げる。
「おっ!」
次に思いっきり砂浜を蹴り上げ一気に股間に一撃を与える。
「おうぅ!」
そこで悶絶する男に留めの目つぶし。
「ぎゃああああああああ!」
男は目と股間を抑えながらエビ反りに倒れる。
「よっこいしょ。」
タカトシは中腰になって男の足を掴むと回転を始める。
「色々冷やしてきなさーい!」
海へ思いっきり投げるタカトシ。
しかし人間なので重いが、男は眼面から母なる海へとダイブする。さながら犬神家の状態である。
「ちょっと場所移動しましょうか。」
「そ、そうね・・・・・」
流石のアリアも容赦のなさには驚いていた。
休憩中、シノがタカトシにある事を教える。
「津田、シャツが裏表逆だぞ!」
「ええ!」
タカトシは少し恥ずかしそうに着替える。
「気づかなかった。」
「うっかりさんめ。まぁ私はナプキンを裏表逆に突けて大変な経験をしたがな。」
「すいません、共有できません。」
休憩がてら昼食を取っていた時の事であった。
シノが紙コップにうっかり力を入れてしまい中身が水着に垂れてしまう。
「ああ、しまった!中身が水着に垂れてしまった!」
「スポーツドリンクだから目立たないんじゃ?」
不意にタカトシはそう思った。
「本当に目立たないか?」
タカトシの視線の先には漏らしたように見えてしまうシノの姿があった。
「いや、やっぱ隠して。」
夕焼けが海に沈み始め、タカトシたちは帰ろうと思っていた。
「綺麗・・・・」
「うみ、楽しかったな。」
「そうですね。臨海学校の時にはゴミ清掃も入れた方がいいのでは?」
「たしかに海に来て開放的になって野外プレイをする輩もいるから掃除は大切だ。」
「普通に美化意識持って!」
残念なシノを頭にツッコミを入れるタカトシ。
「海に来てよく思うことがあるのだ。」
「何がですか?」
「よくパニック映画でサメが出てくるだろ?」
「鉄板ですね。」
「でもあれがもしイカやタコだったら18禁映画になってしまうのではないかと!」
「B級映画でサメとタコの合体とかありますけど、全然ないですよ。」
B級映画はパリピキャラとかがニャホニャホするシーンはあるけど結構短い上に必ず死
んでしまうのでお約束でもある。
そんな中スズはうつらうつらと舟を漕いでいた。
「萩村、大丈夫か?」
「平気・・・・・」
「まぁ無理もない。私もクタクタだ。早く帰ろう。」
シノの言葉に一同賛成するが、アリアはある一点を見つめていた。
「シノちゃん、横島先生寝ちゃってる。」
「なら早く起こして・・・・・・・」
シノは言葉を失った。横島はあろうことかビールを飲んでそのまま酔いつぶれていた
のだ。350ml6Pを飲んで。
「宿、探すか。」
「そうね。」
夜になって一同は近くの旅館にチェックインしていた。
「すみません女将さん、急に押しかけて。」
「いえいえ、とんでもないです。前回助けていただいたお礼であればこのくらい当然です
よ。」
女将とタカトシは知り合いであった。と言うよりもまだ洋が探偵事務所代表をしていたころに丁度依頼があったのだ。
と言っても内容が海に出る謎のお化けの調査なのだが、心操はただ単に酒癖の悪いおっさん(女将の旦那)がシーツにくるまって徘徊していたというだけであるが。
後にダンナさんは女将の手によってきっちり絞られました。
「それにしてもドライバーの人が飲酒なんて、飛んだ御笑い話ですねぇ。」
「ええ、全くですよ。」
そんな光景を少し離れたところからシノたちは見ていた。
「津田がここの人と知り合いだったのには驚かされたな。」
「けどそのおかげでこうして偽装することなく止まれているから感謝しないとね。」
「ま、こういうのはありがたいわ。」
一同寝泊りする部屋に来ると各自の荷物を確認する。
「しまった!携帯の充電が切れている!」
「良かったら俺の充電器使いますか?」
「用意がいいな。」
「外付けバッテリーがあるので充電が危なくなった時のために持ち歩いているんです。」
「なんと!最近はそんなのが出ているのか!」
「一般常識の範疇ですよ。あと会長ってまだガラケーなんですか?」
「そう言う津田はスマホだな。私はこっちが使い慣れているんだ。」
「でもスマホって結構便利ですよ。動画とか見れますし、ネット検索もガラケーより見やすいです。電話するための人には問題ないかもしれないですけどキーボードタイプの方にすれば文字打ちも結構楽ですから。」
「なるほど。エッチな動画も外でどこでも見放題なんだな!」
「は~い、頭の中のデータを消去して初期化しましょうねー!」
不意にタカトシは思ったことを一同に訪ねた。
「男と外泊って抵抗ないんですか?」
「そうだね、津田君は安全な人だけど。」
「そこを親にアピールする必要があるな。」
タカトシに言われてアリアとシノは考える。
「津田君は二次コン。」
「他は?」
「津田はボーイズラブ!」
「よ~し。喰らいなさい!」
「「ああん!!」」
タカトシのクナイが炸裂した。
二人は痛みと快感を感じた。
旅館の風呂に三人は入っていた。
「いい気持ちだね~。そうそう、ここの旅館混浴もあるらしいわ。」
「らしいですね。」
「男の人と入浴ってドキドキするね~。」
アリアは少し連想する。
バスタオルで胸元から足まで隠している女性の姿と、勃起した肉棒にタオルを掛けてのれんのようにあっている男の姿を。
「そのタオルの使い方はないと思います。」
久しぶりに入ったスズのツッコミはキレが衰えていなかった。
「ふむ・・・・」
シノは足だけを湯船に付けて風呂の中で立って考えていた。」
「風邪ひきますよ。」
スズが注意するがシノはお構いなく話し始める。
「ならば覗きに行くか。」
「まぁ。」
「えええ!い、いいや待ってください!まだ心の準備が!」
「そうか、ならば私が偵察に行こう。」
シノはそう言うと風呂の中を泳ぐように移動し覗きに行く。
数秒後、シノは水しぶきをあげて驚く。
そして顔を赤くしながら戻ってくる。
「どうしたの?」
アリアの問いに対してシノは答えた。
「いや、その・・・・・・お取込み中だったようで。」
「「っ!?!?」」
男女が混浴でと言うことはつまりそう言うことである。
そして三人は気になって終わるまでその光景を気付かれないまま覗いた。
先に風呂から上がったタカトシは一人廊下を歩いていた。
「あれ?タカトシ?」
「この声・・・・・・因幡さん!」
声がした方を見るとそこには因幡洋がいた。
「高校は行ったんだって?なんだよ彼女とデートで来たのか?」
「違いますよ。引率の先生が酒飲んで潰れたんです。それで仕方なく・・・・・」
「ふ~ん。」
そんな話をしているともう一人の人物が近づいてくる。
「洋、何をやって・・・・・タカトシか。」
「荻さん!」
荻野邦治も一緒にいたのであった。
「どうしたんですか、二人して。」
「ヴァレンティーノを追っている手掛かりでこの旅館がヒットしてな。聞き込みをしたがヤギ違いだった。」
「ちなみにどんなヤギなんですか?」
「なんでも足が10本あるヤギだ。」
「それヤギイカ!実際いるけど気持ち悪い!」
こんなやり取りも懐かしく感じる一同。
「津田副会長が大人の男性二人と話している。これは、これは売れる!」
「盗撮は感心しないな。」
「っ!?」
物陰から見ていた畑が後ろを振り返るとそこには荻の姿があった。
「あ、あれ!?」
畑は驚く。
「残念だがあれは俺の残像だ。」
「残像!?」
流石の畑も驚く。
「見たところタカトシと知り合いだね。私はこういうものなのだが、どうしてここにいるのかな?」
そう言うと荻は警察手帳を見せ階級も示す。
「ははははは!私はただ合宿でここにきているだけで津田副会長とは偶然ですよ、偶然。」
「その割にはカメラを持ってるとはずいぶん都合がいいな。」
「もうカメラを持っているのは癖なので。」
「ジャーナリスト志望か?間違ってもブラックジャーナリストには落ちぶれてくれるなよ。最近刑事事件の中でそう言った案件が増えて来ているからな。」
「肝に銘じておきます。」
そう言うと荻は端の前から去って行った。
「津田副会長が警察の方と知り合いだったとは・・・・・・・少し取材が困難になりそうですが俄然やる気が出てきますね!」
いろいろ懲りない人であった。
「ではそろそろ床に就くとしようか。」
夜も遅くなり一同寝る準備に入ろうとしていた。
「賛成。」
「じゃあ俺は離れて寝ますね。」
「そんなことしなくても君を信用しているぞ。」
「そうだよ。」
シノとアリアの言葉に感謝を述べる津田。
「ありがとうございます。でも俺はいつの間にか隣に陣取って浴衣を脱いでいる横島先生が信用できません。仕方ない、因幡さんを呼ぼう。」
タカトシは因幡を呼ぶ。
「お~っす。この人を縛ればいいのか?」
「お願いします。」
「と言ってもな~。俺はマジックテープと荒縄と針金と釣り糸くらいしか持ち合わせてないし、快感を与えれるほどの拘束じゃなくてマジの方だとしたら荒縄は危険だな。最低限呼吸出来て肉体に負担掛けない子の結び方じゃないと・・・・・・」
「色々ツッコミ要素多いよ!なんでそんなに拘束具持ってるの!そしてなぜ話しながら職人並みの手さばきでその人拘束してるの!」
因幡は話しながら横島を拘束した。
「あの人、絶対Mだ!」
「そうね、Mね!」
(認めたくないけどドM間違いないや・・・・・・)
三人は因幡の性癖を一部理解した。
朝になり、女性陣は早くに起きていた。
身支度をするので髪を梳かしたりしていた。
「津田の奴まだ寝てるの?」
スズは津田の方を見る。
「夏休みの時期だと結構遅くまで寝ちゃうこともあるからねー。」
アリアがそう話しているとシノはタカトシの方に近づく。
「津田、いい加減に起きないか!」
シノは布団を引っぺがした。
しかしこの時大事なことを忘れていた。
「なっ?!」
「まぁ!」
「ほぁっ!?」
男性によくある生理現象の一つで若ければ毎日あるであろう、モーニングマウンテン。
『//////////』
三人は顔を赤くし、シノはそっと布団を戻した。