※この作品はR-18です。

遊戯王Cruel 猟奇的殺人デュエルと少年少女の破綻   作:胡麻野すり子

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お久しぶりです!
今回は短めですが、生存報告も兼ねて投稿します!

また、アンケートを取りたいことがありますので、よければご協力いただければと思います。
あとがき部分にあるので、是非お願いします。

では、始まります!


マッドドクター編
第33話 タバコとドクター


 

 

 欠伸を噛み殺して、『孤児院』アジトの廊下を歩く。

 あー、眠い。気まぐれに早起きなんてするんじゃなかった。

 三文の徳より二度寝が一番欲しい。

 

「今日はなにすっかなぁ……」

 

 ぽりぽりと後ろ髪を掻きつつ、誰かふらついてないかとアジトを探索する。

 今日は……誰がオフだったか。

 指を折りながら考えていると、曲がり角から見知った影が現れる。

 

「あら?おはよう、廻理。随分と眠そうね」

 

 そこにいたのは、顔半分が焼け爛れた綺麗な少女。

 黒い革ジャンに黒のショートパンツ、それから黒のタイツと、黒づくしの女の子だ。

 唯一黒くないのは、下に着たドクロと「DEATH」の文字がプリントされたダサい……ユニーク……ハイセンスな白シャツくらいか。

 そんな感じで装い新たに、長い黒髪も後ろで括ってポニーテールにした、鳴金葛(なりがね かずら)さんがそこにいた。

 

「おはよう、葛さん。キミは朝でも元気そうだねぇ」

 

「最近は調子がいいのよ。環境が変わったかしら?

 梨々華(りりか)も元気そうだし……こういう場所が性に合っているのかしらね」

 

「あははっ!ここを気に入ってくれてるみたいで嬉しいよ。

 足りない物とかあったらホールに置いてる目安箱に入れといてね。

 可能な範囲でドクターが対応してくれるから」

 

「以外にマトモな運営をしているのね…………ベッドどころか毛布もなかったときは終わってると思ったけど」

 

「その辺は自腹だよ。QOLを上げたかったら頑張って貯金してね」

 

「イカれてるわね…………とりあえずアメニティを充実させるように投書しておくわ」

 

 女の子って色々大変なんだなぁ……。

 そう思ったけど、突っ込んでいったらセクハラになりそうなので、適当に話題を反らした。

 

 そんなこんなで楽しく会話していると、ふと葛さんが声を上げる。

 

「あっ、そうだ。そのドクターさんが貴方を呼んでいたわよ」

 

「ドクターが?うわぁ、嫌な予感しかしないなぁ……」

 

「ふぅん、大変なのね。まぁ頑張って。応援しているわ」

 

 そう言って、葛さんは何故かぎこちなく口元に手をあてる。

 それから彼女は、その手をボクに向けて倒した。

 

「………………それは、なんだい?」

 

「?こうするとやる気が出るって聞いたのだけど、違った?

 確か、りっぷさーびす?って言うんだったかしら?」

 

「……たぶん、投げキッスかな?というか誰から聞いたのさ」

 

「最近会った子……鬼陽子(きひこ)さんだったかしら?その子から教えてもらったわ」

 

「あぁ……あの子か」

 

 なんか変なこと吹き込まれてるな。

 でもまぁ、葛さんが馴染めてるみたいだしいっか。

 

「ちなみに正解はこうだね」

 

 同じように口元に手を添え、スムーズに投げキッスをして見せる。

 どうせなんでリップも鳴らして、媚びっ媚びの顔の作ってみる。

 うん、これで「は?キモ」って言ってもらえたら悪ふざけとしては完璧だな。

 

「………………それ、いいわね。もう1回いいかしら?」

 

「葛さん?」

 

「アンコール、アンコール」

 

「葛さん?」

 

 な、なにが琴線に触れたんだ……?

 よく分からなかったが、それからボクは唇が擦り切れそうなくらい投げキッスをさせられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『孤児院』がアジトに使っている廃研究所の最奥。

 切れかけの電灯が照らす薄暗い廊下を進んだ先に、その部屋はある。

 

 コン、コン、とボクが二度ノックすれば、部屋から声が帰ってきた。

 ドアを開ければ、そこは硬いベッドが並んだ、無機質な病室。

 ”保健室”という表現が適切なのだろうか?

 もっともボクは学校に行ったことがないのでどうなのかは知らないのだが。

 

「ドクター。葛さんに聞いて来たんですけど、何用ですかー?」

 

 言いながら部屋の奥へと進む。

 ベッドの列を抜ければ、小難しい本やら正体不明の小瓶が収められた棚の列に出る。

 

「あ?…………あー、廻理か。よく来たな。まぁ座りね」

 

 部屋の奥の奥、カーテンで仕切られたそこに入れば、茶髪の女性がいた。

 くたくたのシャツにボロボロのズボン、その上に汚れた白衣を来た、20代後半くらいに見える野暮ったい女性だ。

 

「ちょっと待ってろ。タバコ切れた」

 

 顎で指されたキャスター椅子に座れば、女性は横に置かれた机をひっくり返し始める。

 それから少しして、安物のライターの火がついた。

 

「ふぃー……待たせて悪いな」

 

 タバコに火をつけながら、女性は悪びれなく言い放つ。

 

 …………これが、『孤児院』唯一の大人。

 『孤児院』の顧問にして、闇医者。

 ドクターこと、祈崎悲贋(きざき ひがん)。

 

 どっからどう見てもダメ人間みたいな彼女は、気怠そうに頬杖をついて、タバコの煙を吐いた。

 

「ドクター、禁煙してたんじゃないんですか?」

 

「ああ。最近は水タバコにしてた」

 

「禁煙してないじゃないですか」

 

「うるせぇな……いいだろいつもの銘柄じゃないんだから。

 まぁ結局水タバコとかよく分からんからタバコに戻したが」

 

「じゃあやっぱ禁煙してないじゃないですか」

 

「別にいいだろ。どうせもうワタシの肺はクッソ汚ねぇし…………スゥ……」

 

 ドクターはそっぽを向いて、タバコを吸う。

 かと思えば、彼女は思いっきりむせだした。

 

「ゲホ!ゴホ!オェ………………スゥ……ゲホッ!」

 

「なんで無理して吸ったんですか」

 

 吐きそうなくらいむせてる。

 なのに無理して、悲贋は煙を吸う。

 

「昔お前には話したが……この銘柄はとっくの昔に絶版しててな……。

 店から消える前に買い占めたはいいが…………ゴハッ!……今となっては古すぎてめっちゃ不味いんだわ」

 

「イカれてる……」

 

 ボクはこんな大人にはなりたくないなぁ。

 尊敬できる部分はもちろんあるけど、でもやっぱこうはなりたくないなぁ。

 

「あー…………そう、そうだ。仕事の話だ。そう、ワタシはその話がしたかったんだ」

 

 ドクターがタバコを咥え、クリアファイルを取り出す。

 そこからクリップで止められた紙束を、ボクへ手渡してきた。

 

「えーとなになに…………闇医者を殺せ?」

 

「ああ。今回頼みたいのは、闇医者殺しだ」

 

「ふーん。コイツ、なんかやったんですか?」

 

「そうだな……ここ最近のサイコデュエリストの話だ」

 

 彼女はペンを手に取り、メモ用紙に走らせていく。

 

「『強姦殺人鬼』、『半グレ集団』、『その頭』……お前が戦ったっていう『八重峰墓丹』もだったか?」

 

「八重峰は依頼達成のために報告書上サイコデュエリストにしただけですよ」

 

「そうか、それはオフレコにしておくな。

 あとは……鳴金葛は天然だから除外か。

 これ以外にも、近頃ウチのメンバーがサイコデュエリストと戦うことが多くてな」

 

 パチン、とキャップを閉じてペンが置かれる。

 

「天然のサイコデュエリストの出現確率は極小。普通はそう何人も出てこん。

 なのに、大量のサイコデュエリストが出てきている。何故だか分かるか?」

 

「……何者かがサイコデュエリストを作っているから」

 

 イグザクトリー。そう言ってドクターが背もたれによりかかる。

 

「人造サイコデュエリストのメカニズムは複雑だが、手術に関しちゃ比較的簡単だ。

 ワタシみたいな天才なら、設備があればいくらでも作れる」

 

「で、そのドクターと同じくらいの天才を殺してこいと」

 

「ああ。この技術を持ってるやつが余所にいるのはよろしくないからな」

 

 単純に正義感……という問題ではない。

 これは組織間の武力の問題だ。

 

 サイコデュエリストは兵器と同義だ。

 故に、その兵器を作れる闇医者は非常に重要なわけで。

 飼い主様からすれば、他組織に兵器を量産できる土壌があるのが許せないのだろう。

 

「まぁ背景は分かりましたし殺りますけど、ターゲットの目星はついてるんですか?」

 

「ハハッ。今回は珍しくな。資料にまとめてるからとりあえず読みな」

 

「ふーん。…………あれ?野良の闇医者?てっきりどっかのギャングの一員かと思ってたんですけど」

 

「ギャングの一員なら無軌道にサイコデュエリストを増やす理由がないだろ。

 コイツは野良だよ。混乱を起こしたいだけか、手術が好きなだけのマッドドクターってところだろ」

 

 煙混じりのため息を悲贋がつく。

 

「ん。理解しました。で、一応聞きますけどボクひとりじゃないですよね?」

 

「そりゃぁな。とりあえずお前が教育しているベニアはつけるよ。

 あとひとり付けられるが…………」

 

「じゃあ礼々(れれ)か殺那(あやな)を呼んでくださいよ」

 

「『孤児院』トップスリーを2人も使うような仕事じゃない。

 単純な殺しの仕事でお前と組ませてみろ。骨も残らんよ」

 

 ちぇー。鳴金家のときみたいな複雑な仕事じゃないからダメか。

 となると、ボクが今一番呼びたいのは……。

 

「葛さんと梨々華さん」

 

「悪いが鳴金姉妹は研修がある。あの子らはモンスターの実体化の加減が分かってないからな」

 

「そんなぁ……」

 

 じゃあどうするか。というか、誰の手が空いているか。

 加えて単純な殺しの仕事が得意で、なおかつベニアちゃんと仲良くできそうな子がベストか。

 ふむ、みんな単純な殺しは得意だし、ベニアちゃんと仲良くやれそうだ。

 

「鬼陽子ちゃんはどうです?」

 

 迷った挙げ句に出したのは、一番ベニアちゃんのプラスになりそうな子だった。

 

「鬼陽子か。そういやずっとオフだったな。

 それじゃ、アイツに言っておこう」

 

「ありあっす」

 

 さてと、それじゃデッキの調整でもするかな。

 椅子から立ち上がり、伸びをする。

 

「あ、そうだ。線香あげていきますね」

 

「そうか。ありがとうな。アイツも喜ぶよ」

 

「あははっ。見ず知らずのガキに拝まれて嬉しいかは分かんないですけどね」

 

 棚の中に隠れるように置かれた仏壇に手を合わせ、おりんを鳴らす。

 それから線香を2つに折って、線香立てに入れた。

 

 これが誰のための仏壇かは知らない。

 少なくとも、ボクの大切な人とかではない。

 

 でも、ここはドクターの大切な人のための場所だ。

 だから、なんとなく。ボクも挨拶くらいはしたい気持ちになる。

 

「じゃあな、いってらっしゃい」

 

「"いってきます”は言いませんよ。帰れる保証はないんで」

 

 それだけ言って部屋を出る。

 なんとなく、ボクは振り返らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 遊戯王Cruel

 

 『マッドドクター編』

 

 

 

 開幕

 

 

 




読んでくださりありがとうございます。
今回から新章『マッドドクター編』が始まります。
たぶん5、6話くらいでまとまるかとは思っております。
ご期待ください!

さて、今回はアンケートがございます。
皆様にお聞きしたいのは、「この作品をR18で続けるか否か」です。

というのも、当作品はR18で連載していますが、はたしてR18にふさわしいのか分からなくなってしまいました。
描写的には明らかにグロリョナですが、抜ける作品ではない、というのが私の認識です。
抜くことを目的としない作品がR18に居座り続けるのもどうなのかと考えております。
(一応廻理とベニアの濡れ場の構想はあるのですが、いつ書けるのか、そもそも書く余地が存在するのかも定かでないのが現状です)

そういうこともあり一般で番外編を連載してみたのですが、個人的にはこちらが故郷という感覚が抜けきれずにいました。
このような経緯もあり、読んでくださっている皆様に今後のことをご相談したいと思っております。

「このままR18で」となりましたら、一般で連載していた番外編をこちらに移して、改めてCruelを再出発させます。
その際に一般版は非公開か削除することになると思います。まったく同じ内容がR18と一般に存在するのはよろしくないので……。

「一般で」となりましたら、R18版Cruelはストップさせ、一般での連載に専念致します。
R18版はそのまま残しておくつもりです。

どちらにせよCruelの物語は書いていきますので、ご安心ください。
お手数おかけしますが、何卒よろしくお願いします!

今後の連載場所について

  • R18で
  • 一般で
  • R18で(各ヒロインの濡れ場を書く)
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