オレの名前は坂東裕也。
この物語の主人公である。
都内の工場で梱包作業員として正社員で働いてきたが、つい先日人事担当の人からある理由をきっかけにリストラされた。
その理由は今チマタで噂になっているあのウイルスで、社員それぞれの出勤日数を減らすのはもちろん、経費削減の為として、今月いっぱいでクビを言い渡されたのだ。
「はぁ・・・・・・。ついてねぇな」
そう思いながら俺は会社から出て駅の近くの自販機でお茶を買った。
しかし、お茶を買ったつもりが出てきたのはブラックのコーヒーである。
(業者め・・・・・・ちゃんとメーカーぐらい覚えとけよな!!)
そう思いながら俺は真っさらなコーヒーをゴミ箱に捨てようとすると70は過ぎてるであろう老人に声をかけられた。
「そこのお主、そのコーヒーの缶、まだ新しいじゃろう?」
「それがどうかしたのかよ!?」
「自分の気に入らないものが買ったら出てきたからと言って、捨てるようなヤツではこの先いい人生を送れやせんぞ!!」
その老人はまるで俺の事を知っているかのようだった。
「もし良ければワシに譲ってくださらんか?ちょうど喉が渇いて仕方ないのじゃ」
「ヘンなじぃさんだな・・・・・・。オレ、コーヒー嫌いですから良いですよ。譲ります!!」
「うむ、これでこそ立派な社会人!!この年寄りを助けたお礼としてお主に力を与えてやろうぞ!!」
そうとう喉が渇いてたのか、コーヒーを一瞬にして飲み終えたじぃさんが今度、オレの目の前に立ち、軽く念を唱えたのだ。
「久しぶりにお主のような欲望にうぬぼれた若造に出会えて感激じゃわい・・・・・・。これでお前さんに出来ない事は何もない。力の使い方はお主に任せる!!」
そう言ってそのじぃさんはオレの目の前を去っていった。
それにしても不思議なじぃさんだったな。
「ちょっと、アンタこんな所で何してるのよ?」
「あっ、部長、お疲れ様です・・・・・・」
全く運の悪い光景だ。
じぃさんと長話ししなきゃ部長に捕まらなくて良かったんだ。
「うん・・・・・・、お疲れ様!!良い返事ね!!明日も期待してるから、宜しくね♪」
次のひとことでオレは笑いが止まらなくなった。
力って、もしかして・・・・・・。
「期待って?なんの事でしょうか?オレ、毎日エロい事ばかり考えてて、セックスするしか能のない人間ですよ」
やってしまった。
リストラを目前にし、こんなセリフを吐いてしまっては、完全にクビは確定である。
「そぅそぅ、そのアンタの能力がウチの会社には欠かせないのよ!!ほら、今すぐ会社に戻ってきて。私とセックスしなさい!!」
オレの予想は結果を遥かに覆すものだった。
オレが部長に向かって“セックスするしか能のないダメ人間です”と告白すると、それを理解し、一瞬にしてオレのリストラを取り消したのだ。
しかもオレは部長に招かれるかのように会社に舞い戻ってきた。
もう18時は過ぎてるので誰も残ってはいないが、『早くして!!』と言わんばかりに服を脱ぎ始める。
「さぁ、早くココにアンタの大きなヤツ、ぶち込んでくれる?」
「こんなにイヤらしい部長だとは・・・・・・、全くしょうがないですね!!」
普段の部長からは考えもしないセリフが、次から次へと飛び出してくる。
「ナニこれ?アンタって、こんなテクニックがあったのね・・・・・・。これは、全女性社員に告知しなきゃ!!」
「ちょっと待ってくださいよ・・・・。それはオレのやる事ですよ・・・・・・。せっかく人を支配できる力を手に入れたんだ・・・・・・。オレだけの世界を作り上げるためにまずは、ココのヤツらから支配してやる!!」
どうやらオレがあの老人からもらったチカラは、『世の中を支配する権利』のようで、オレにお願い=命令された人間はみな、オレの言うとおりになるらしい。
なお、このチカラには常識変換作用も備わっていて、一度チカラが発動すると興味が優先され、通報も一切されない、まさに、夢のようなチカラである。
「部長、これでアンタはオレの奴隷だ!!」
「ありがとうございます。ご主人様、これからご主人様の世界征服達成のため、全力でサポートさせて頂きますわ・・・・・・」
いい気味だ。
チカラが本物と分かった以上、もぅあんなボロアパートに住む必要はない。
今日からしばらく部長の家に泊まり込んでやる。