―達也―
亜美さんと対面して抱いた第一印象はやっぱり「真面目そうな人」だった。容姿で人を判断するのは良くないけど、どう見ても遊んでいるようには見えない。おそらく夜の街なんて全く無縁のタイプだろう。
そして、これは顔写真を見た時も思った事だけど、普通に綺麗な人だなとも思った。パートナー(彼氏)不在という事だけど、これだけ綺麗な人なら彼氏を作る事ぐらい簡単だろうと思えてならなかった。というか黙ってても男の方から勝手に寄ってきそうな気がする。
なんて、思っていると。
「ほ、本日は私なんかのために貴重なお時間を割いて頂いて、本当にありがとうございます。た、達也さんの子どもを身ごもれるよう全力で頑張りますので、どうかよろしくお願いします…」
「え、え…?」
あまりにも畏まった挨拶に、思わず目が点になってしまう。俺の子どもを身ごもれるよう全力で頑張るって…
「い、いや、硬すぎますってっ」
場を和ませるように言う。でも亜美さんは緊張しているのかそれとも本来の性格なのか、ずっと畏まったまま。言葉遣いも異常なまでの敬語だ。
「と、とりあえずリラックスしましょう」
いくら何でもこれじゃ種付けなんてできないだろ、そう思った俺は急遽予定を変更して、まずはユルいトークで場を和ませる事にした。
………………………
………………
………
「それすっごい分かります。暇を持て余しすぎるっていうのも困っちゃうんですよね」
ベッドに並んで腰掛けてトークする事およそ15分。亜美さんは言葉遣いこそ敬語だけど、表情の硬さはもうすっかり取れていた。口調も初対面の時とは見違えて滑らかだ。
「達也さんって、女性にモテますよね?」
「どうしてそう思うんですか?」
「だって、男の人と話しててこんなに楽しいの初めてですから」
「ホントですか、そんな事言われるとマジで嬉しいですね」
まあ、トークの内容なんて正直言ってほとんど覚えてない。それだけどうでもいい話だったって事だ。でもそんなトークで楽しんでもらえるなんて、改めて自分のコミュ力に感心するぜ。(←自画自賛)
とはいえ、こんなホストみたいな事をしに来た訳じゃないから。
「じゃあ亜美さん、そろそろ始めますか?」
「えっ、あ…」
ピクっと亜美さんの方が震えて。
「そ、そうですね…あの…よろしくお願いします」
深々と頭を下げる。だから俺も、亜美さんに頭を下げてから。
「では、すみませんけど下の方を脱いで頂いて、ベッドに横になってください」
「は、はい…」
亜美さんは恥ずかしそうな仕草を見せながらも、小さく頷いてからそっと背を向けた。
それを見て俺も、自らの準備に取りかかるべく下着に手をかけた。
………………………
………………
………
「ん、んんんっ、んんっ…」
亜美さんの口の端から、艶めかしい声が小さく漏れる。出してはいけないと念じていながらも我慢できずに漏れ出てしまう儚くか細い声は、紛れもなく俺の指先によって紡ぎ出された声で。
じっくりと時間をかけた愛撫によって、亜美さんの秘所はもう愛液でトロトロになっていた。さすがにここまで来れば準備OKだろう。
「はぁ、はぁ、ぅぅぅ…」
その時、ふいに視線が合ったけど、亜美さんは恥ずかしそうにさっと顔を逸らした、そんな仕草を見て、俺はふと未華子ちゃんから聞かされた前任者の話を思い出す。
(そりゃ、童貞の男にこれは無理だよなあ…)
種付けでは、男性が女性を100%リードしなければならない(…ってのも確か種付けマニュアルに書かれてた筈)。でも、それはそうだろう。女性はあくまで依頼者でありサービスを享受する立場なのだから、一連の流れは全てこちらが主体的に提供すべきなのは当然だ。
でも、いくら事前に予備知識を詰め込んで、あるいは風俗とかで練習していたとしても、素人童貞の男がいきなり見ず知らずの女性を前にして、指だけでアソコを優しく濡らしてあげられる訳がない。俺だって童貞の頃は絶対に無理だった。
(アレだな…そこそこ経験積んでて良かった…)
やっぱ経験値って大事なんだなと、改めて噛みしめながら。
「じゃあ、そろそろ挿れますね」
ハッキリとそう告げると。
「は、はい…お、お願いします」
亜美さんは意を決したようにギュッと目を閉じた。
「体勢はこのままがいいですか?それとも、他にご希望の体勢があったりしますか?」
体位は女性の希望が絶対的に優先されるルール。だから、挿入前に確認してみると。
「あ、あの…大丈夫…です。達也さんに全てお任せします…」
おそらくそう言うだろうなと予想していた答え。それを受けて、俺も。
「分かりました。じゃあこのまま挿れますね」
正常位での種付けを宣言する。記念すべき一発目の種付けはやっぱりオーソドックスな体勢がいいだろう、なんて思いながら。
「…うん、よし」
モノの先を入り口に宛がい、その濡れ具合を再度確認する。
余談だけど、俺のモノは大きい。正直、かなり大きい方だと思う。コンドームにしたってジャストフィットなサイズのものがなかなか見つからず、市販されてる最大サイズのものでもキツめに感じるぐらいだ。正直に白状すると、これまでの実体験でも挿れるのにはかなり苦労してきた。
だから亜美さんの秘所の愛撫には丁寧に時間をかけた。これだけ濡れてれば何とか大丈夫だろう…おそらく、きっと。
「じゃあ、いきますね」
亜美さんの腰を捕まえるように引き付け、挿入の体勢を整える。
「ひぅっ…」
亜美さんの体が小さく震えた。10歳以上も年上の女性が見せる細かな仕草に、何とも言えない可愛らしさを感じながら。
ゆっくりと、挿入を開始する。
「はうぅぅぅぅぅぅぅぅっっ……」
モノを潜らせていくのと同時に、亜美さんから声が漏れる。やはり痛みはあるだろう。その締め付けの強さからも、お互いの性器のサイズがやや不釣合いである事は否めない。
とはいえ、悪いのは一方的に俺。俺のモノのサイズがちょっと日本人離れしちゃってるのがいけないのだ。不必要な苦痛を与えてしまっている事に、チクリと胸が痛くなるのを感じながら。
でも、進むペースは緩めない。中途半端に止めるのは優しさじゃないから。
掘削機が硬い岩盤を穿つようなイメージで、前へ前へと進んで。
「あっ、ああああああっっっ…!!」
ついに亜美さんの口が開いてしまった。痛そうな表情を見て、また胸が痛むけど。
それでも心を鬼にして一定のペースで進んでいると、ある所でモノ先がコツンと奥の壁にぶつかったのが分かった。行き止まりに達したのだ。
でも、行き止まりでありながら行き止まりでないのが女性の体の不思議な所。今度はその壁をさらに奥へと押しやるように、さらに先へと進む。
「んああああああっっ!!ま、待ってっ…!!」
と言われても、待たない。ここで待つと、再出発にはより大きな苦痛が伴うから。
「あああああっ…あっ…んはあああああああああっっっ…!!」
そしてついに、モノ先が真の終点らしき部分に辿り着いた。
(ん…)
試しに下腹部に力を込めて2度3度小さく腰を突き出してみるけど、やっぱりこれ以上奥には進まない。正真正銘の最深部だ。
それを確認して、まずは小さく安堵する。やっぱり男として、奥まで届いたという事実は嬉しい。
行き止まりの壁をモノ先でグリグリと押して、これから俺の精子を吹きかける場所をじっくりと下調べして。
「亜美さん、一番奥まで入りましたよ」
「はあっ、はあっ、はあぁっ…」
亜美さんは胸と肩で息をしていた。ただ、俺の言葉を聞くと、少し安心したような表情になったようにも見える。
「でも、ここからが本番ですからね」
「はあっ、はあっ、あ、あの…」
「どうしました?」
亜美さんが何か言いたそうにしているから聞いてみると。
「お、お願いです。少しだけ、休ませて頂けませんでしょうか…」
「分かりました」
少しだけ腰を引いて、ぴたりと動きを止める。種付けは女性の希望する形に沿って行われなければならない…いや、『種付けは』と言うより『性行為は』が正しいだろう。女性の苦痛は極力和らげる、そんな事は性行為における基本中の基本だ。
「安心してください。無理に動いたりなんて絶対にしませんから」
ニコリと笑顔を作ってそう言うと、亜美さんは本当に安心してくれたように、安らかな表情でひとつ息をついたのだった。