※この作品はR-18です。

種付けファイター達也くん   作:minnie_remon

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プロローグ.2

 夏休みの真っ只中だというのに、桜水台(おうみだい)学園の体育館には大勢の生徒が詰めかけていた。特に3年生の女子は全員集合してるんじゃないかって思うほど。

 かくいう私も、その一人なんだけど。

 正面に用意された大きなスクリーンに映し出されている映像は、やっぱり体育館。でも、桜水台学園の体育館なんかとは比べ物にならないくらいに、広くて立派。

 そのど真ん中で戦うのは、真っ白な道着に真っ黒な帯を締めた長身の男。

 達也は、桜水台学園が誇るスーパースターだ。一昨年、昨年と圧倒的な強さでインターハイを連覇した。校舎にはその快挙を示す大きな垂れ幕が今も盛大に提げられている。

 そして今日、全国大会3連覇の大偉業を懸けて、高校生活最後の試合を迎えている。

 今日をもって、達也は空手を辞める…らしい。だから、達也の道着を姿を拝む事ができるのは、多分これが最後。

 今大会、達也のここまでの試合は圧巻の一言だった。…いや、違った。ごく普通の、いつも通りの達也だった。あまりに一方的過ぎて、ハラハラさせられる瞬間すら無い。まるで大人と子ども。達也の拳が、蹴りが容赦なく相手の体に突き刺さり、その度に体育館は沸き上がった。

 圧勝に次ぐ圧勝。そしてあっという間に、決勝戦を迎えた。

 見ている誰もが、達也の勝利を信じて疑わない。でも、それも当然だ。一瞬のピンチも無く、圧倒的な勝利だけを重ねてここまで勝ち上がってきたのだから。達也が負ける姿を想像しろって方が無理な話だ。

 現に、決勝戦も明らかに達也が押していた。ポイントでも確実にリードを重ねて、勝利はもう目前だった。

 周りのみんなは、その瞬間を今か今かと待っていた。もう優勝は間違いない、その瞬間の感動を早くみんなで分かち合いたい…と。

 そんな中、私だけが周りのみんなとは違う感情を持って試合を眺めていた。

 頭にちらつくのは、この前の約束で…

 

 …やっぱり、達也は優勝しちゃうんだ。

 …ホント凄いな。でもそうだよね、達也が負けるとこなんて今まで見た事無いんだし。

 …でも、って事は、達也と付き合う…んだよね、私。

 …いつからだっけ、達也の事を特別に意識するようになったのは。

 …達也と付き合う事になるなんて、幼い頃は想像もしてなかったな。。。

 

 その時、だった。

 相手選手の蹴りが、達也の顔面を捉えたのは。

 

(え…?)

 

 支えを失った体が、物理法則に従うようにぐらりと崩れて。

 そのまま、顔面から落ちた。

 

(嘘…?)

 

 周囲から悲鳴が上がった。でも、それも一瞬。直後には凍り付くような静寂が体育館を包んで。

 スクリーンには、うつ伏せのままぴくりとも動かなくなった達也の後ろ姿が、大きく映し出されていた。

 

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