5-1 スターロード
パクに勝利した時の反響も凄かったが、金田戦の反響はさらにその上を行っていた。やはり何と言っても大晦日という舞台は注目度がケタ違い、試合時間はわずか1分足らずだったとはいえその間の視聴率は何と60%を超え、直後に行われた達也の勝利者インタビューでは瞬間最高視聴率67.2%を記録した。言うまでもなくこれはREALの歴史上最高の数字であり、その割を食った形で紅白歌合戦は歴代最低視聴率を記録してしまった。NHKとの視聴率対決でも達也の圧勝だった。
日本全国のファンは、達也に惜しみない拍手を送った。何より、達也が金田のフィールドである総合格闘技ルールを受けて立ち、そして勝利したという事に賛辞を贈った。小野達也こそ真の侍だ…金田のように勝ちさえすれば何でもいいと考えているような野蛮な選手とは違う、と。パクを撃退してヒーローとなった達也は、金田の土俵に乗り込んで金田を破った事で、比肩する者のいないスーパーヒーローとなったのだった。
ただ、ファンは達也を賞賛したが、それは勝利という結果に対して…言い換えれば金田悠希という嫌われ者に黒星をつけたという結果に対しての賞賛であり、肝心の試合内容については様々な声が上がった。試合内容はスポーツ新聞やネット記事など多くの媒体で詳細に報じられたのだが、総じて「ドクターストップはやむを得ないが消化不良」という論調が多かった。「膝蹴りが当たったのは偶然」、「金田にとっては不運だった」といった論調も多く、負傷TKOではなくノーコンテストという裁定にすべきだったのではという意見や「出血さえ無ければおそらく金田が勝っていた」という意見も少なくなかった。実際、達也の勝利を喜ぶファンたちも「あのまま続けていたら達也が負けていた可能性は高い。TKO勝利となってくれたのは運が良かった」というのが正直な気持ちだった。
とはいえ、賛否はあろうが結果は紛れもなく達也の勝ちである。金田の負ける姿を待ち望んでいた無数のアンチたちは、この時を待ってましたと言わんばかりの大騒ぎ。試合後のSNSは
「金田血まみれざまぁ」
「総合ルールでキックボクサーに完敗しててウケる」
「実力も顔も(小野達也)>>>>>>>>>>(金田悠希)」
と大荒れ状態。さらに金田が試合後に自身のユーチューブチャンネルで「俺は全くノーダメージ」「あと10秒あれば小野は死んでた」「早く再戦させて欲しい」と主張するような動画を公開したところ「10秒あればお前が出血多量で死んでたわwww」といったようなアンチコメントが山のように書き込まれ大炎上。まさに手の付けられないようなカオス状態になってしまったのだった。
しかし当の達也には、そんな狂騒を気にしている余裕はなかった。
なぜなら、押しも押されぬスーパーヒーローとなってしまった彼には、『小野達也フィーバー』とも言うべき怒涛の日々が待っていたのである。
まずは挨拶代わりとばかり、年明け早々から取材の嵐。テレビ、新聞、スポーツ雑誌、週刊誌、さらにはファッション誌やエンタメ雑誌に到るまで…毎日休みなく取材を受け続けなければならない日々がしばらく続いた。ワイドショーでは達也が取材の合間に食べた昼食まで報じられる程だったのだから、達也フィーバーがどれだけ凄まじい社会現象だったかが分かるというものだろう。
そんな取材攻勢も、一ヶ月もするとだいぶ落ち着いた。だが、怒涛の日々は終わった訳ではなく、むしろまだ始まったばかりだった。取材攻勢が終わったと思ったら、今度はテレビ出演やCMといったメディア露出のオファーが山のように舞い込んできたのだ。
もちろん、達也としては嬉しい事ではあった。元来目立つ事が嫌いではない性格であり、本当は全てのオファーを快諾したい思いだった。ところが、オファーの量があまりにも多すぎて全てを引き受けるのは到底無理な話だった。
そしてどれだけスケジュールが埋まっても、やっぱり種付けはやめないのが達也で…
………………………………………
―達也―
この日俺が種付けをする女性は、優子さんという方だ。年齢は30代の後半なんだけど、お世辞抜きで全くそうは見えない。20代と言われた方が信じられるような、とにかく若々しい外見だ。ちなみに女優の深田○子さんに結構似ている。(余談だけど深田○子さんがもう40歳手前だなんてとても思えないよな…)。
そんな優子さんに種付けするのは、何と今日で7回目。女性の排卵は月に1回だから、もう半年以上も優子さんに種付けしてはことごとく失敗している事になる。種付けが成功するか否かは神様が決める事だからどうしようもないっちゃどうしようもないんだけど、6回もチャンスを頂きながら只の一度も優子さんを妊娠させてあげられないなんて、男として本当に不甲斐なく、情けない気持ちで一杯だ。
だから今日こそは、絶対に優子さんの胎内に俺の赤ちゃんの植え付けてやるんだと、いつも以上に気合いを入れて臨んだ…のだけど。
「あむっ…んっ…んんっ…ちゅっ…」
垂れかかる雫を吸い上げるイヤらしい響きは、優子さんの口から紡がれる音。
優子さんが、口で俺のモノを奉仕してくれていた。
「あふんっ…すごい…硬くて…熱いですね…」
髪をかき上げながら、優子さんが俺のモノを奉仕してくれる。ただこれだけはハッキリと釈明させてもらうけど、このフェラチオは決して俺が優子さんに強要させている訳じゃない。優子さんが「達也さんは試合と種付けでお疲れだと思うので、ぜひとも疲れを取って差し上げたいんです」というものだから、じゃあどうせだしお願いしようかな…と(←断れよ)
まあ、こう言っちゃなんだけど、確かに最近はちょっと疲れ気味だった。大晦日の試合は精神的にも凄いプレッシャーだったし、何より試合の後がこれまた休む暇が無くて…
「っ…!?」
瞬間、モノの先に鋭い痛みを感じて、ピクッと腰を浮かせてしまう。
「あっ…す、すみませんっ…」
歯の尖った部分で柔らかい部分を突いてしまった優子さんが、咄嗟に謝るけど。
「大丈夫ですよ。一瞬驚きましたけど、全然問題ありませんから」
「あああ…本当に申し訳ありません…何という大変な粗相を…」
「粗相って、歯がちょっと触れただけじゃないですか」
「達也さんは、これからも何百何千という女性に種付けされる、尊いお方です…そんな方の大事な象徴に私なんかが…ああ…本当に申し訳ありませんでした…」
「……」
ちょっと引いてしまう。ていうか何百何千って…
ちなみに、去年1年間で俺が妊娠させた女性は…まだ先月の種付け分の結果が確定していない分もあるけど…まあ大体30人といったところだ。大きな試合が続いた事もあって、年初に達成した50人という目標には遠く届かなかった。とはいえ、やれる範囲ではよく頑張った方だろう。
そして今の所、頂いている出産報告は19件。つまり俺は、まだ21歳5か月という若さにしてもう19人の子どもを持つパパなのだ!いくら世界広しといえど21歳で19人も子どもを持つ人間なんていないだろう。そう思うと、ちょっぴり自分自身を誇らしく思ってしまう。
「本当にすみません…丁寧に奉仕しますので…どうかお許しください…」
「…いや、許すも何も全く怒ってないですから」
優子さんの様子を見ていると分かるけど…彼女は、俺と接する事に確かな至福を感じている。
しかしそれは決して優子さんに限った事じゃなく、似たような傾向は他の女性への種付けでも度々感じる事だ。種付けを始めた頃は緊張しっぱなしの女性がほとんど全員だったけど、パクに勝って有名になった頃から女性の様子はあからさまに変わり始め、筋肉を触らせて欲しいだのモノを舐めさせて欲しいだの言われるようになった。そして大晦日に金田に勝った事で、その傾向はより強まった。もはや種付けというより、俺に抱かれる事を楽しみにしてる女性がほとんど…ってのは言い過ぎかもしれないけど…
…まあ、さすがに優子さんは極端過ぎるけど。
「というか、おかげさまで俺の方も準備万端ですから、そろそろ本番に移りましょうか」
そう言って立ち上がる。すると名残惜しそうに俺のモノを見つめる優子さんの切ない表情が目に入った。
そんな表情を見て、今日こそ絶対に優子さんを妊娠させてあげよう…と思うのと同時に、
今日はちょっと強めに、犯すような感じでやってやるか…そんな思いを抱いてしまうのだった。
………………………………………
種付けを終えて、シャワーも終えて。
ベッドの上で仰向けになって妊娠ポーズを取る優子さんを横目に、服を着ていると。
「あの…達也さん」
突然、優子さんが俺の名前を呼んだ。
「何でしょう?」
「大晦日の試合、お疲れ様でした」
「見てくれたんですね、ありがとうございます」
「もちろん見ましたよ、国民的行事じゃないですか」
「はは、恥ずかしいですね」
国民的行事かどうかは分からないけど、実際にエグいレベルの高視聴率だったらしい。何でも高度経済成長期に行われた力道山vsデストロイヤーの試合が持っていた格闘技史上の最高視聴率記録を数十年ぶりに塗り替えたとか何とか…
「あの…一つ教えて欲しんですけど」
女性がおそるおそるといった感じで聞いてきた。
「あの時の膝蹴りは…狙ったんですか?」
それは、試合以降本当によく聞かれる質問だった。色んな人から、それこそ百回以上聞かれただろう。身近な人間で聞いてこないのは充希ぐらいで…ていうか何で充希は聞いてこないんだよって逆に思ってしまうけど。
「優子さんには、どう見えました?」
「え、えっと、その…もしかしたら、偶然だったりもするのかな…と」
うん、そう見えるのが普通だよなあ…と思う。
俺自身も信じられないくらいの、完璧な一撃だったから。
「まあ、終わった事の種明かしをするのは野暮なんでアレですけど」
正直言って、あそこまで狙い通りに決まる確率は3割ぐらいかなと思ってたけど。
「俺は偶然に期待してリングに上がるほど弱くないですよ」