※この作品はR-18です。

種付けファイター達也くん   作:minnie_remon

58 / 92
6章 『最強』の称号(X5年6月 ~ X6年1月)
6-1 REAL無差別級グランプリ


 総合格闘技ルールでもあっさりと連勝を飾り、もはや達也の実力は単なるキックボクサーの域に留まらない事を証明した試合から数日後、某週刊誌が気になる記事を掲載した。

 それは、フジテレビの人気アナウンサー・サトパンこと佐藤真美と達也の熱愛疑惑を報じるものだった。

 記事には、達也と真美は取材を通じて知り合い、真美の熱烈なアプローチによって交際に発展。今では真美は「長身・イケメン・巨根」の三拍子が揃った達也にメロメロになっている…というような事が書かれていた。

 だが肝心のツーショット写真は掲載されておらず、熱愛の確たる証拠となるような事は何一つ書かれていなかった。また、その週刊誌自体がかなり低俗なエロ中心の三流誌という事もあり、どうせガセネタだろうというのが世間の受け止めだった。達也も真美も特段のコメントを出さず、記事は世間からすぐに忘れ去られた。

 このガセ記事は、達也の人気に全く影響を及ぼさなかった。それは記事が出た直後にFAILYが東京の新宿にあるスポーツセンターを借り切って開催した、女性やちびっ子を対象とした格闘技講習会(参加費無料)の盛況っぷりを見ると一目瞭然だ。実はこの時期、FAILYは凄まじい達也人気のおかけで入門希望者や問い合わせが以前とは比較にならない程に増加しており、その全てを受け入れるには大阪のジムだけではとても賄いきれないレベルにまで達していた。そこでオーナーの晴香は近い将来本格的に東京進出する事を目論み、そのための実験的試みとして、東京のファンの感触を確認すべく今回のイベントを実施したのだった。

 イベント直前という最悪のタイミングでの週刊誌報道に晴香は不安を隠せなかったが、いざ蓋を開けてみると不安は全て杞憂に終わった。イベントには講師の達也目当てで参加希望者が殺到、三流週刊誌のガセ記事などどこ吹く風の圧倒的達也人気を見せ付け、講習後の握手会ならぬ腕相撲会では達也の腕を握りたいという若い女性が長蛇の列を作った。もちろん女の子の力では両手で挑んでも達也に勝てる訳はないのだが、優しい達也は時折りわざと負けてあげたりしながら楽しい時間を過ごし、イベントは大成功で幕を閉じた。FAILYは近い将来の東京進出に確かな手応えを掴んだのだった。

 そんなやる事為す事全てが絶好調の達也に新たな展開が訪れたのは間もなくの事だった。

 

 

 6月、REALは日本最強の男を決める『REAL無差別級グランプリ』の開催を発表した。近年REALのリングで特に好成績を残す日本人選手8人により総合格闘技のトーナメント戦を行う。8月に1回戦、10月に2回戦を行い、大晦日の決勝戦で名実ともに日本最強の男を決めようというのである。

 もちろん、達也には真っ先に出場オファーが届いた。というよりこの企画そのものが、達也の参加が前提になっている企画と言っても過言ではなかった。達也に提示されたファイトマネーも莫大だった。

 達也は二つ返事でオファーを受諾した。もちろん莫大なファイトマネーに魅力を感じたから…ではない。すでに死ぬまで遊んで暮らせる程に稼いだ達也にとってお金は二の次、魅力に感じたのはやはり何と言っても日本最強の男という称号だった。元々そんなものを目指していた訳では全くなかったが、実際に日本最強の男という称号が手の届く所にあるとなると、それを掴み取りたいと思うのは当然だった。男の子として生まれた以上、一等賞に憧れるのはごく普通の感情。それは普段無欲な達也でもやっぱり変わる事のない、言ってしまえばオスとしての本能なのである。

 加えてこの頃の達也は、総合格闘家としての自分自身の実力にかなりの自信を持つに到っていた。香菜にタップを繰り返したのは遠い昔の話、達也の実力は今やFAILYの男子選手程度なら束になってかかってこられても全く問題なく全員撃退できるレベルにまで達していた。今回のグランプリ開催は、達也にとってこれ以上ない最高のタイミングだった。

 しかし言うまでもなく、グランプリ開催を喜んだのは達也だけではなかった。REALのリングに上がるような選手は皆、自分こそがナンバーワンに相応しい男なのだと信じて日々厳しいトレーニングに励んでいる。トップ選手がこぞってグランプリへの出場意思を示したのは当然だった。

 そんな選手たちの中で誰よりもグランプリに闘志を燃やしていたのが、金田悠希だった。

 1年半前の大晦日では達也を相手に苦杯を舐めた金田だったが、あの時の膝蹴りは偶然であり不運な出血さえ無ければ金田が勝っていたという声は今もって少なくなかった。金田自身も負けを認めておらず、達也との再戦を希望し続けていた。金田にとって今回のグランプリは最強の称号を懸けた大会であると同時に、待ちに待った達也へのリベンジの舞台に他ならなかった。

 そういった事情は、もちろんREAL運営サイドも承知している。だからこそ、発表されたトーナメント表はファンの興味を最大限そそるような組み合わせになっていた。

 達也の名前はトーナメントの左端にあった。対して金田悠希の名前はトーナメントの右端。つまり両者が順調に勝ち進めば、日本最強の男の名を懸けて大晦日に激突する事になる。REAL史上最高視聴率を叩き出した2年前の夜と同じように。

 トーナメントの発表と同時に、出場する8選手の意気込みも発表された。以下、達也と金田のコメントである。

 

小野達也

「このような素晴らしい大会に出場する機会を頂けた事を光栄に思います。もちろん優勝が目標ですがあまり先を見すぎても仕方がないので、まずは8月に行われる1回戦でファンの皆さんに満足して頂けるような試合ができるよう全力を尽くします。応援よろしくお願いします」

 

金田悠希

「できれば1回戦で小野選手と戦いたかったが、こうなったら彼に決勝まで勝ち上がってきてもらうしかない。2年前の借りを倍にして返して優勝したい」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。