※この作品はR-18です。

公爵家次期当主好色物語   作:ルペッタ好き

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アドバンスト・チェス:
コンピューターを使用して行われる変則チェス。電脳による演算、検索能力と、人脳の発想力が合わさって強い。
一方がコンピューターを使用しないハンデ戦では、コンピューターを使っていない側が勝つのは難しい。






アドバンスト・クラウン

 俺の鼻先にラティアの尻の感触がある。衣装越しだが、この感覚は正直たまらん。

 今すぐにも襲い掛かってしまいたい。たぶん、ラティアも「仕方ないヒトね」とか言いながら受け入れてくれるだろう。

 

 まぁ、今の俺は紅の鱗に紫の瞳の巨龍の姿に変化していて、ラティアがその鼻に当たるだろう箇所に座っていると言うだけなのだが。そのうち人間形態でスカートめくり上げて、このツンと澄ました尻肉に顔を埋めてやるから覚悟しておけよ。

 

 アスタロト卿から派手にやってくれと言われたので、今の俺の全長は通常変化状態の30mに『倍加』による512倍をかけた数値。

 結構な大きさだが、俺がこんな技を身に着けたのもすべては物のサイズを極限まで半減し続け、ついには消滅させてしまうという恐ろしい白龍皇の技に対抗するため。ホント、アルビオンとかいう龍はふざけてやがる。

 身体がデカければ鱗だってそれに合わせて分厚くなる。もうミサイルでも何でも持ってこい状態だ。

 

 だが、それでも俺にはラティアの感触が分かる。何故なら俺だから。

 

 幸いドラゴンフォームだと交尾器官を体内に仕舞いこめるので、クソデカ勃起チンポを地上に見せつけつつの飛行ではない。俺は露出狂ではないのだ。むしろ、女の穴の中に仕舞っておきたいタイプ。

 

 この形態のモデルは、俺にとって最も身近なドラゴンであるドライグだ。そのため、両耳の後ろ辺りにそれぞれ2本、鼻先と顎の下にも各1本の計6本の角がある。いずれはドライグとの違いを出すためにこの辺りも変えていきたいものだな。

 

 で、この角を起点にして風よけの結界を構築しているので、ラティアは俺の両眼の前かつ鼻先の角の後ろの位置に座っているわけだ。

 

 しかし、ラティアも可愛いものだ。俺とゆったりとした休日を楽しみたいから、寿命を半分寄こせだなんて。それやったら自分の寿命だって周囲の半分になってしまうだろうに。

 

 俺はこのことは一向に構わないと思っている。

 何故ってゼクラム祖父さんが一万歳超えてピンピンしていることだし、純血悪魔の寿命って何万年とかだろうからな。それが半分になったところでなんら問題ない。どうせ使い切れやしないのだから。

 寿命で死んだ純血の上級悪魔の話って、実のところ聞いたことがない。死亡したわけではないが、いつの間にかいなくなっていたという話ならば時折耳にするが。

 肉体的な死よりも、悪魔にとって深刻なのは生きることに飽きてしまうことだ。生き続けることに疲れ果ててしまうのか、何もかもがどうでもよくなってしまうらしい。そして、だんだんと活動が衰え死んでいるのと変わらない状態になってしまう。精神的な老衰、魂の死だ。

 まぁ、何かその『飽き』を解消するような出来事があれば復活することもあるらしいが、長い生の中で大抵のことはやり尽くしてしまったからこその心の老衰なので、なかなかそう上手くはいかないらしい。

 というか、そうやって復活した場合はほ(・)と(・)ん(・)ど(・)そ(・)の(・)こ(・)と(・)し(・)か(・)頭(・)に(・)な(・)い(・)状(・)態(・)に(・)な(・)っ(・)て(・)、(・)後(・)先(・)考(・)え(・)な(・)く(・)な(・)っ(・)て(・)し(・)ま(・)う(・)らしいので、色々と問題行動を起こしてしまったりするとも聞く。それ以外は自身の命さえどうでもいいのだから、それはまぁ、そうなるだろう。

 

 しかし、うむ……。ハーレムが順調に大きくなっていけば、女の人数も多くなるわけだから、やはり時間は重要だな。2000人とかになったら、1日1人では一年間かかっても順番が回らないわけだし。さすがにそれでは、ムラムラしちゃって我慢できずに浮気してしまいましたと言われても文句が言えん。放置にも限度があるってものだ。

 一日働いて、一日じゅぽじゅぽとお休み。そんな領主生活もいいものだろうな。仕事に追われる生活なんてやっていられない。毎日が休暇か休暇前日、実に素晴らしいな。たまらんね。

 

 さて、このラティアヒップの堪能に意識を割いているドラゴン形態での飛行。速度は軽く音速を超えていると思うが、それで周辺に被害は出していないつもりだ。

 魔力はイメージ。風を乱さず飛ぶ方法は、レイヴェルの特性が教えてくれた。ドラゴン形態でも禁手化は出来るのだ。人型形態と違って衣装が変わったりはせず、角などの身体の各所に宝玉付の装身具が付くような感じだ。それで『王』さまっぽくなるので、イメージ元のドライグよりも見た目は豪華かもしれない。

 そう、乱暴者のドライグと違って俺はちょっとは気を遣う男。なので、うっかり羽ばたいて森を暴風でなぎ倒したり、貧弱一般平民を家ごと吹き飛ばしたりはしないのだ。賠償請求されちゃうからね。

 社会生活なんざクソくらえな野良ドラゴンと違って、悪魔の社会の中で暮らしていくのはいろいろと世知辛いのだ。他人様の領地上空とか気を遣ってしょうがない。

 

 イメージ次第でわりと万能な魔力が豊富に無かったら、こんなこと出来なかっただろうな。

 

 野生動物やら野良魔獣が騒いでいるかもしれないが、尻尾垂らしたら地面に擦りそうな低空飛行もしていないし良いだろう。この速度で尻尾を地面に触れさせると、たぶん渓谷とかそういうのが出来てしまいそう。下手な山よりデカイし。

 

 などと考えつつ、アスタロト領からグレモリー領までを一直線に飛んで帰って来た俺は、このままラティアを両親に紹介する予定だ。 

 面識はあるし、話もしてあるが、一応ね。その後はしっぽり……とは残念ながらいかないので、また送って行くつもりである。

 まぁ、派手に目立つことは出来ただろう。アスタロト卿がそう言った理由はいくつか考えられるが、どれが正解なのか、あるいは全部が目的なのか、もしかして大外れなのか、その辺りはよく分からない。

 ただ、悪いようにはされないだろうという謎の自信が俺の中にあるだけだ。まぁ、勘である。

 アスタロト卿は悪魔なので、もちろん悪いヒトで間違いない。ただ、それならそれでわざわざラティアをくれたりはしないだろう。悪魔は合理的だからな。

 

 

 

 

 ―○●○―

 

 

 

 

 その夜、多くの平民達が恐怖に震えた。巨大な、あまりにも強大な龍が自分たちの頭上を通過して行ったからだ。

 その龍の身体は、山よりも大きかった。その龍のオーラは強大で、そして平民悪魔たちにとって何よりも恐ろしかったのは、その龍の途方もない魔力だった。

 公務などで姿を現した際に感じ取る、純血の上級悪魔たちの魔力。領主一族のそれは平民達からはかけ離れていて、種としての違いを痛感させられる代物だ。だが、あの龍の魔力はそんな貴族たちの魔力ですら足元にも及ばぬほどのものだった。

 魔王。かつての旧き四大魔王を知るいくらかの者たちは、天を横切る巨龍の魔力が魔王のものすら超えていることに気付き、床に、道路に、大地に平伏した。どうかあの恐ろしい者の目に留まりませんように、どうかあの龍の機嫌を損ねませんように、と身を縮めて畏まるしかなかったのだ。

 

 紅蓮の炎のような鱗を持つ龍が飛び立った現場にいた者たち──アスタロト家の宴会場に集っていたベルゼブブ派の多くの貴族──は、アスタロト卿の判断に恐怖とともに納得していた。

 本家の血を引く姫君を狙っていた貴族は多く有ったが、あんなバケモノと争おうと考える者は今や誰もいない。

 ラティア姫をグレモリー家に出すこと。それに抗議しようとしていた者の多くはリヴラクスに会ったことのなかった者で、会場で彼を見かけた時点でその魔力に恐れ戦いていた。

 そこにダメ押しのように『赤龍帝の籠手』で『倍加』を重ねられたその力を思い知らされ項垂れるしかなくなってしまったのだ。

 

 強い強いと噂には聞いていたが、まさかこれほど途方もないとは……。

 あんな怪物に誰が勝てるか。あの超越者に並ぶ者があるとすれば──同じ超越者である二柱の魔王しかいない。

 

 平民も貴族も、多くの者がそう感じた。そして、グレモリーの一族の気性を思い出し安堵したのだ。あの龍帝の敵ではないということに。

 

 

 

 

 ―○●○―

 

 

 

 

 さっきからラティアが静かだ。会話がないのも悪くはないが、俺には少し気になることがあった。

 

「なぁ、ラティア」

「なにかしら?」

「アドバンスト・クラウンって何のことか分かるか? アスタロト卿が言っていたが」

 

『進士の冠(アドバンスト・クラウン)』。なんとなく予想はつくが、確定ではない。周辺には空しかないが、一応情報遮断用の結界を張っておく。

 

「ベルゼブブさまが内戦後に製作された、純血の上級悪魔の力を大幅に高めるための品よ。戦後間もない頃は混乱していて、『悪魔の駒』による戦力補充もまだ始まったばかりだったから、他勢力に攻め込まれる危険も今よりずっと大きかったわ。下級悪魔を主とする軍の戦力もそのほとんどが失われてしまっていたから、緊急時のために必要だったのよ」

「そういうことにするのか」

「違うわね。最初からそういうものだったのよ」

 

 最初から、『それ』はそのためのものだった。平民たちが『それ』のことを勘違いして、雑誌などで取り上げて面白おかしく騒いでいただけ、と。

 誰も『王』の駒が実在するなんて証言していないからな。

 というか、それが確かにそういった名前のものであると断言できるのは、製作したアジュカ・ベルゼブブさましかいない。その製作理由についてもこれは同じだ。

 『駒』と呼べば『悪魔の駒』の一種のような印象になってしまうが、名前を変えるだけでそれは違うものに化ける。

 

「今まで隠しておく必要があったのか? そのアドバンスト・クラウンのことを」

「完成しなかったのよ。欠陥があったの。開発に同じアスタロト家の技術を使用したからなのか、『悪魔の駒』と同時に使用すると誤作動を起こしてしまう。それに、初期ロットの生産後に判明したことなのだけれど、アドバンスト・クラウンには最悪の場合死に至るような副作用を引き起こす危険性があることも分かったわ。それでも、力を欲して使ってしまう者が出るかもしれない。だから、ベルゼブブさまはそのことが分かった時点で製造を中止されたの。犠牲者を出さないためにね」

 

 まぁ、俺が使うとロクデモナイことになるらしいしな。副作用と言えば、副作用だなそれは。

 

「そうなると、ロイガン・ベルフェゴールたちは、新薬の治験に参加したようなものか」

「ええ、外部勢力から悪魔を守るために戦力は必要。でも、アドバンスト・クラウンには副作用の危険がある。それがどの程度のものなのか、発生してしまう条件はどんなことなのか、それらを調べるためにその身を捧げて取り組まれている勇敢な方たちね。実戦では危険だからレーティングゲームの場を借りて試してくださっているのよ」

「それは立派な心掛けだな。役得でもなければやっていられない。なにせ自分の命の危険もあるのだから」

「そうね。彼女たちの献身もあって、ベルゼブブさまは多くのデータを得られたわ。だから、現在の時勢もあって公式に発表されることになったのよ」

「ああ、堕天使側の進軍か」

「前魔王血族の残党の活動が活発化していることについても併せて発表されるそうよ」

 

 そっちもある程度は広まってしまっているようだし、どこかで公式に声明を出しておく必要はあるか。

 

「なら、いざとなればア(・)ド(・)バ(・)ン(・)ス(・)ト(・)・(・)ク(・)ラ(・)ウ(・)ン(・)が(・)あ(・)る(・)ってことは、外交的にも意味があるわけか」

 

 堕天使に旧魔王残党どもめ、来るって言うならこっちには純血の上級悪魔の強さを10倍から100倍にまで強化する代物があるぞ! 平均数十倍に強化され、最上級悪魔クラスから魔王クラスが量産された状態の現悪魔政府とやり合えるとでも思っているのか! ああん!? 滅殺するぞゴラァ! みたいな感じかね。言葉を飾らなければ。

 

「強い手札を見せて、戦争を回避する方向性なのかもしれないわね。わたくしには政府の方針まではわからないけれど」

 

 実際に量産配布せずとも、その手段を取れるってだけでもデカイからな。弱けりゃなめられ付け込まれ、蹂躙され奪われるのが異形の世。強いから偉い。武力とは政治力でもある。

 

「これ以上のことはベルゼブブさまに聞いてちょうだい。わたくしはあの方の姪というだけだから、そこまで詳しいことは知らないのよ」

「分かった」

「貴方がゼクラム・バアルさまと懇意にしていること、そこに期待していると仰っていたわ」

 

 ベルゼブブさまとしては今の御時勢を考慮して、そ(・)う(・)い(・)う(・)こ(・)と(・)に(・)し(・)て(・)や(・)っ(・)て(・)も(・)い(・)い(・)といったところで、そこにおそらく何らかの条件を付けるだろう。外部勢力との武力衝突の可能性が高まる中で、内輪もめは避けたいのだろうな。レーティングゲームは本来、こういうときのための戦力維持が目的だったわけだから。

 

 あとは大王派にいるというリュイたちにアドバンスト・クラウンを売りつけた者たち、それから使用者たちがそれを呑むかどうか、か。

 

 とはいっても、「平民が噂していたような『王』の駒なんてありません。あるのはアドバンスト・クラウンです。アドバンスト・クラウンは悪魔が生き残っていくために作られたモノです」とまではベルゼブブさまが個人的に言ってしまえる事柄だ。正式に発表もされていなければ、文書にも残っていないわけだから、仮にどこかに『王の駒』なんて名称があったとしても、「仮称です」で済む。政府予算がつぎ込まれたのかどうか知らんが、そうでなければ完全に個人の所有物だしな。名前も目的・用途もベルゼブブさま次第になる。

 たしか、出来れば全部回収したいということだったはずだ。もしくは使っていることを公表させるだったかな。

 まぁ、自身の管理下に置きたいのだろう。強い力の手綱を握っておきたいって考えは理解できるところだ。

 

 どうするかな。なんか、これ俺に現魔王派と大王派の間で動いて調整しろって言われているような感じなのだが。

 大変面倒くさい。苦手なんだよな、そういうの。世渡り上手くないので。

 だが、それもこれもリュイを正式に俺のものにするため。

『女王』レイヴェル・フェニックス。第一『騎士』ラティア・アスタロト。第二『騎士』メイドのリュイことロイガン・ベルフェゴール。誰にも文句を付けられなさそうな布陣の側近だろう。

 となれば、その実現のためにやるしかないな。ふむ、そうだな……。

 

「データ取りのために使われている試作品なら、それこそメンテナンスが必要だよな」

「そうでしょうね」

「そろそろ点検しておかないと、最悪の場合なんらかの不具合が発生することもあり得るよな」

 

 あれだ、車検みたいなものだ。ブレーキが壊れかかっていたりしたら大変な事故に繋がってしまう。何せ詳細はベルゼブブさまにしか分からない代物だ。

 そういうことにしてもらおう。

 

「怖いことを言うのね」

「俺は悪魔だからな」

 

 ベルゼブブさまに頼んでメンテしてもらわないと副(・)作(・)用(・)で(・)機(・)能(・)不(・)全(・)に(・)陥(・)っ(・)た(・)り(・)、(・)最(・)悪(・)の(・)場(・)合(・)は(・)死(・)亡(・)も(・)あ(・)り(・)得(・)る(・)とか伝えれば、使用している者も言うこと聞くだろう。摘出と機能停止自体は出来るようだしな。

 

 俺が『赤龍帝の籠手』に抱いている不安感と同じだ。『聖書の神』がこれに何を仕込んでいるか分からないのが怖くて仕方がないってヤツ。

 

 

 

 ラティアを家に連れ帰ったら、何故か母上に叱られてしまった。

 領民共が怯えてしまったとかどうとか。平民のことなど知るか! とは思うものの俺は母上に弱いので困る。

 グレモリーの領民どもは、俺の魔力が超越者クラスなことも、『赤龍帝の籠手』の所有者であることも知っているはずなのに何を今さら怖がるというのか。何年も前から分かっていたことだろうに。

 まぁ、今後の統治にあたってプラスに働く要素も少なからずあるようなので、石を抱えさせられることはなかったが。強い次期当主さまってのは、領民的にはプラス印象なのだそうだ。

 そりゃそうだ、弱いよりずっといい。ルヴァル義兄上がレーティングゲームで活躍するたびに、フェニックス領の平民達は大喜びらしいから。

 

 ラティアと俺の両親の顔合わせ(以前から知り合いだが)兼今後の打ち合わせも済んだので、今度は転移して彼女を家まで送って来た。

 それでまたグレモリーの屋敷に帰ってくると、レイヴェルがプルプルプリプリしながら寝室で待っていたわけだ。

 

「拗ねてるのか」

「ラティアさまばかり、ずるいですわ!」

 

 はい、「ずるいですわ」頂きました。そう言いながら、俺の胸に顔を埋めて、うーうー、ヤダヤダとするレイヴェルのなんと可愛いことよ。やはりゼウス神も愉しんだという、正妻さんにヤキモチ焼かせて盛り上がるプレイは、実に素晴らしいものだ。可愛い、愛でたい。

 

「何を怒ってるんだ。ラティアをエスコートしろって言ったのはレイヴェルだろう?」

「そうですけど……、でも、私、まだドラゴンの姿の旦那さまに乗せて頂いておりませんわ!」

 

 その後、俺の上に跨って騎乗位で腰振りしまくるレイヴェルの姿があった。この乱れようが実にたまらん。よいよい。

 ラティアの尻圧によって昂ったものを別の女に吐き出すのも悪くないものだ。

 

 

 

 そんなこんなで時は過ぎ、冬の社交シーズンも後半戦の半ばに入った。残りは4分の1ってところ。

 俺の社交場巡りも、残すところはグラシャラボラス家とバアル家のみ。これまで交流の無かった御家と、ラスボスみたいなところだな。まぁ、ラスボスの方が慣れているのだが。

 

 ラティアを『騎士』にすることには成功しているので、フィールド完成後に過ごす20年間でじっくりとっぷり味わって行くとしよう。

 そして、リュイはこれからが大詰めだ。

 

 そうして無事にアドバンスト・クラウン問題が終わってリュイをものにしたとしても、ソーナにはまだ手を出せない。なので、その次のターゲットはイリューカ・グラシャラボラスになる。

 

 グラシャラボラス家は次期当主のクリューハも女性なのだが、次期当主なのでソーナと同じ問題がある上に既婚者だ。しかも、両刀な男装の麗人と聞く。美しければどっちでもこいらしい。

 レーティングゲームにも興味があまりなく、もっぱら音楽活動がメインなのだとか。あと結構なナルシストとも聞いている。美しい自分と、美しい眷属たちで、美しい音色を奏でるのが大好きという趣味人でなのだ。これはこれで悪魔らしくてアリだとは思うが……なかなかに難しそうだ。

 

 そんな風にいろいろ考えると、やはり妹のイリューカ狙いになるわけだな。

 

 これまで俺とイリューカには接点がない。顔を見たことくらいはあったかもしれないが、覚えがない。話したことなど皆無だ。繋がりはレイヴェルと同じ学校に通っている同級生というところだけ。

 それでどうするのかって話だが……ふふふ、俺は今回ラティアを眷属としたことで『時間』を扱えるようになった。『時間加速』を用いれば、人間界時間の1時間を10日くらいに延ばしてしまえる。

 リュイを堕としたときのことを考えると、まだこっちの遊びを知らないらしいイリューカなど10日もあればまず堕とせる。

 社交シーズンが終われば学校も再開だ。そこでレイヴェルに協力してもらって、放課後に遊びにでも連れ出してもらえばいい。そうして連れ込んでしまっても、基準時間で1時間程度ならばいけるいける。引き伸ばされた時間の中でイリューカをたっぷりと……くくく。

 俺ってヤツは、なんてワルなのだろうか。自分で自分が怖くなってしまうな。

 

 

 しっかし、大公家にお邪魔した際には、シーグヴァイラに贈った『武者断我無(むしゃダンガム)』コスプレセット……ネタだったのに普通に喜ばれてしまっていた。

 アガレス大公まで地味に欲しがってたし……。ほとんど着ぐるみなんだが、あの親子は着てしまうのだろうか? 

 アガレスを象徴する動物といえばワニなのだが……ワニ型ロボとかいたっけな? 

 いや、あったな、動物型ロボのアニメ。あれならワニもいるだろうから、そのうち贈っておくとしよう。お仕事お疲れ様ですって。

 あのアニメに出てきたT-レックス型ロボのプラモ、前世で作りかけのまま放置してたけど……どうなったんだろうなぁ。たぶん、捨てられたんだろうなぁ。 

 

 まぁ、仕事のストレスでおもしろおかしくなっている大公家は置いておくとして、この頃になると年末年始のレーティングゲームのイベントもほぼ終了し、忙しかったトッププレイヤー達もほっと一息付けるようになる。まぁ、ディハウザー・ベリアル殿はそのままバラキエルとの睨み合いに投入されたわけだが、休暇もなしとはご愁傷様です。

 

 うん、男なんぞどうでもいいな。

 重要なのは、俺専属メイドの『騎士』リュイことロイガン・ベルフェゴールの手がようやく空いたことだ。

 しばらく忙しくて顔を見られなかった女が手元に帰ってきたらどうするのかなんて、決まっているよなぁ……! 

 メイドの分際で主人にここまで手間をかけさせやがって! これはもう、お仕置きするしかないではないか! 

 

 

 







クリューハ・グラシャラボラス:グラシャラボラス家次期当主。
ゼファードルとイリューカの姉。女性にしたのはイリューカのセリフで「姉さん」「兄さん」だけで呼び分けられるから。
原作では名前もなければ出番もなく、旧魔王派に暗殺されてしまうヒト。本来なら、若手の交流ゲームに出るような口ぶりで話されていたので、同世代と思われる。
ハクリュー


ゼファードル・グラシャラボラス:
原作ではハッキリと本家出身とは書いてないはずですが、素行が悪くて有名だったのに次期当主死亡後に次期当主候補になっているあたり本家の子供だと思われる。近い年齢のイリューカが本家の子なので、分家からわざわざ素行不良者引っ張ってこないでしょうから。


イリューカ・グラシャラボラス:
首都リリスの名門学校に通うグラシャラボラス本家の子。レイヴェルの同級生。
悪魔には珍しく人間のように年齢の近い姉と兄がいることになった。
特に交流もなかったオリ主に勝手に狙われてしまって可愛そう。




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