※この作品はR-18です。

公爵家次期当主好色物語   作:ルペッタ好き

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また予告詐欺に……重大会議前、冬休み中のオリ主の一日(夜の部は除く)





会議の前に

 俺の目覚めはそこそこ早い。

 

 あの後、レイヴェルとはたっぷり七回の延長戦を繰り広げた。

 心地好さに身をゆだねて眠りにつき、ふと目覚めて隣を見れば、俺の腕を抱え込んですぅすぅと寝息を立てるレイヴェルの姿がある。満足そうな寝顔だ。眺めているとこっちまで頬が緩んでくる。

 彼女のトレードマークと言えばくるくるツインドリルヘアなのだが、その形が解けて緩んで細い首や胸のふくらみの上辺りでたるんとしているのが、妙に色っぽい。

 

「んぅ……すぅ……」

 

 その髪に指を通していくと、指と指の間で髪の感触が波打つように絡んで来て、こそばゆく心地よいものがある。

 

「……さまぁ……」

 

 どんな夢を見ているのだろうか。何度か彼女の髪に指を通していると、こちらの手に顔をすり寄せながら俺を呼んでくる。

 レイヴェル相手には膣出しばかりしているので、たっぷり致した後でも唇を重ねるのに抵抗がない。小さく開いてこちらを呼んでくる彼女の口に、軽く自分のそれを重ねてみる。

 

「んっ、ちゅぅっ……」

 

 無意識で反応しているのか、眠りながらでも応えてくる様子はたまらないものがある。

 昨夜あれだけしたというのに、俺の股間は立派に朝の勃起を遂げていた。起き抜けにもう一発と洒落込みたくなるが、せっかく気持ちよさそうに眠っているのだからこのまま寝かせておいてやりたくもなる。

 

『入れ』

 

 ということで、通信魔方陣で部屋の前に待機しているメイドを呼びつけることにした。

 

「失礼いたします」

「失礼します」

 

 俺の朝の憤りを沈める朝フェラ担当は、リュイにさせることが多い。本日はそれに加えて朱乃のオプション付きだ。

 抱き着かれている左腕を一旦外すと、眠ったままモゾモゾと俺の体温を探し出すレイヴェル。

 

「んぅー……」

 

 そんな彼女の首の下に改めて腕を通して腕枕に切り替えると、レイヴェルの唇がニヘラと安心したように緩み、再び寝息のリズムが整い始めた。

 

「起こさないようにな」

「承知しました」

 

 小声でリュイが応え、朱乃は無言でコクコクと頷く。俺の側だけシーツを避けてそそり立つ肉棒を見せると、メイド服のふたりがそこに顔を寄せ、舌を伸ばして来た。

 幸せそうに眠る婚約者に腕枕をしながら、婚約者を起こさないように静かにメイドからのダブルフェラを愉しむ。贅沢で背徳的な朝だ。実によい。

 途中でレイヴェルが起きたら、本日の予定をすっ飛ばして4Pに突入してしまいそうである。

 

 

 

 二人にそれぞれ一回ずつゴックンさせ、さらに朝風呂ついでに一発ずつの仕込み終えた俺は、日課の魔力トレーニングに向かった。朝は夜ほど時間をかけてヤれないので、手早く済ませがちになってしまう。

 他に誰もいない静寂と暗闇に満ちた専用の部屋で、胡坐をかいて座り込む。これをやるときは、ひとりでいたいのだ。

 男ってものは、孤独に身を置きたくなるときがあるものだ。なにかでこんなセリフがあった気がするが、はて? あれは誰のセリフだっただろうか。映画かな、たぶん。

 

 魔力はイメージ。

 

 俺のイメージする魔力は水のような形をしている。ドライグを宿した神器を持っているのだからそこは炎じゃないのかって気もするが、水の方がしっくりくるのだから仕方がない。

 魔力は眠っているときや休息に集中しているときの方が回復が早いが、そうでなくても普通の生活の中でもジワジワと消耗した分が回復していく。消費の激しい戦闘中でも、ジリジリと回復してはいるのだ。

 睡眠や休息がゲームで宿屋に泊まった場合に当たるとしたら、起きているときはMP自動回復スキル的なイメージだ。RPGでフィールドを3歩歩くごとにMPが1回復、戦闘中の1ターン毎にMPが3回復みたいなアレである。

 

 俺はこれを雨のようなものだとイメージしている。止むことなく降り続ける魔力の源となる水だ。

 悪魔はそれぞれこの雨を受け取る器を持っていて、その器で雨を受け止めることで水を溜め込んでいく。延々と降る雨の中、庭に置かれた水瓶のような光景だ。

 この水瓶の大きさが、魔力量の大小を決める。口が大きく容量の大きな器を持つ悪魔は、魔力の回復速度も最大魔力量も大きくなり、小さな器の悪魔は器相応に小さくなる。

 純粋な下級悪魔の器がバケツだとすれば、純血の上級悪魔のそれはバケツ何百杯の水量を溜められる池のようなものだろうか。

 魔力量を増大させ、魔力の回復速度を上げるには、この水瓶を大きくしてやればいい。貯水量を増やすだけなら下に掘って水深を深くしていけばいいし、回復速度を上げたければ雨を受ける面積を増やしていけばいい。

 単純にこれだけを考えると、池の表面積を拡張していけばいいだけのように思える。浅く広く面積を増やせば回復速度も貯水量も増えるわけだからな。

 だが、この水深ってものは、どうも瞬間最大放出量に影響しているように思えるのだ。水に深く潜ると水圧が増して行くが、その水圧の強さが瞬間的な魔力放出量に対応している感じだ。

 広く浅いプールのような器は、平時に恒常的に魔力を使用し続けることに向く。結界を長時間維持し続けるにはこのタイプの器が良い。

 狭く深い井戸のような器は、短期決戦に向いている。一瞬の間に強烈な圧の魔力を叩きつけて相手を打ち倒すのだ。

 

 魔力はイメージ。これは俺の中のイメージである。

 

 俺は欲張りなので、どちらも欲しい。

 器の端は浅くていい。雨を受け取る面積を増やすことが重要だ。足の付く砂浜のように徐々に広げていく。

 器の中心部は深く深く掘り下げて、海溝のように、光の届かない暗黒と超高圧の深海のように。

 そうやって出来上がった俺の魔力の器の形は、イメージの中では巨大なすり鉢型になっていった。雨を受け取る口は広く、中心部は深く深く、それは丁度この冥界=地獄の構造によく似た形状だ。

 悪魔なら誰だってこの魔力の器は大きい方がいいと言うだろう。だが、こういったことをする者はいないらしい。少なくとも長い伝統を誇る大王バアル家の次期当主であるマグダランは習ったことがないと言っていた。それが偽りでなければ、こうしたことをする悪魔はほとんどいないのだろう。

 成熟するに従って、自然と大きく育っていくのに任せているのだけなのだ。もしかしたら、これは危険な行為なのかもしれない。下手に構い過ぎると、器自体が崩壊してしまうとか、そんなことがあるのかもしれない。

 だからまぁ、ゆっくりゆっくり慎重に広げていくわけだ。一日に並の上級悪魔の器の五分の一程度、それぐらいの速度で広げていけばいいだろう。

 感覚的にはもっと行ける気がするのだが、ちょっと怖いしな。最初の頃は、何も考えずにガンガン広げていったものだが、最近はちょっと控えめにしている。

 

 深呼吸してトレーニングを終える。一日中やっているよりは、毎日少しづつ広げていくのが良い気がするのだ。

 水と器でイメージしておいてなんだが、成長させていく過程はどこか樹木に似たところがあるのかもしれない。ちょっと水やりっぽいし、盆栽を育てているような感覚もある。

 

 ま、あくまで俺のイメージする魔力の在り方だ。ヒトによって、それぞれ違う感覚を抱いていることもあるだろう。

 

 

 

 

 魔力のイメトレを終えたら、朝食の時間だ。父上も母上も忙しいので、俺の手が空いているときはミリキャスと食事を取るようにした方が良いだろう。

 兄上も相変わらず忙しく、義姉上はメイドモードでは家族感出さないからな。それでなくても前魔王の残党が蠢いていて、義姉上は前魔王の側近である『ルキフグス』の出ってことでいろいろある状況だ。

 まぁ、父上と母上が忙しい理由の半分ぐらいは俺のせいなのだと思うが……ありがたいね。裏から手を回しておくのとか、苦手というかやったことないしな。事前に通告するくらいならいいが。

 

 メイドに聞いてみるとレイヴェルはまだお休み中のようなので、そのまま寝かせておく。ダウン状態にまで追い込んだのは俺なので、これは仕方がない。

 仕方がないので、この隙に義姉上を呼び出してみよう。今日の義姉上はメイドしているはずなので、次期当主さまの呼び出しには逆らえないのだ。

 

「お呼びでしょうか、リヴラクスさま」

 

 後宮を出たところで義姉上と合流、そのまま予定を尋ねておく。

 

「当主さまから、本日と明日は明後日のアグレアスでの会議に備えて準備を進めておくようにと──」

「ああ、あれか、分かった」

 

 六大派閥のトップが集う『王の駒』ならぬアドバンスト・クラウンについての話し合いは、中立派アガレス家の領内の名物都市アグレアスで行われることになった。

 空に浮かぶ空中都市アグレアスを初めて見たときは思わず「あったんだ、本当にあったんだ」とか言いそうになったものだ。

 あそこに集まるってのは、やっぱレーティングゲームに関わりが深い話題だからかね。アグレアスはレーティングゲームの中心地だからな。悪魔って、聖地とかメッカって表現を使い辛いから脳内言語が日本語だと結構困るね。

 

 義姉上は俺と眷属のスケジュール管理もしてくれているので、その辺りをサラッと聞いておく。

 

「ラティアの世界は来月半ばには着工できそうなのか」

「はい、取り掛かる前にどういったフィールドにするのか御意見をもう一度詳しく頂きたいとのことでした」

「前に渡したものではダメだったのか?」

「長期に渡って使用する予定ですので……。後からの変更も可能ですが、そうしますと余計な費用が発生することになります」

 

 使い捨てのフィールドなら適当でいいのだが、ラティアの住まい代わりだからなぁ。後で増改築可能とはいっても、サラリーマンがローン組んで一軒家建てるときの気持ちの百分の一程度には気を遣った方がいいか。

 一緒に「あんな世界にしようか」「こんな世界がいいわ」って話し合うのも楽しいからな。通信越しだとラティアの気持ちが読み取れないが、まぁ、楽しんでくれていると思う。

 マイホームを建てる前に相談し合う若夫婦気分みたいなものである。なお、マイホームの敷地面積は日本の北海道くらいだ。庭に池造る感覚で湖や川を配置し、岩感覚で山を置き、花壇代わり森を用意する。   

 うーん、お貴族様! 

 

 そういえば『ペット代わりに一部の領民を連れて行くから』ともラティアが言っていたな。

 

 縄張りでの活動もあるから慣れておきたいって理由で、空の色や空気の質などを人間界のものにしてあげるそうで。

 

「最初の世界形成は俺とラティアでやればいいんだったな」

「はい、そうした方がイメージに近いものになりますから」

 

 次元の狭間に新しい世界(フィールド)を創るときは、最初の工程である世界の形成に一番魔力が必要となるらしい。大きいフィールドを形成する際には規模相応に大きな魔力が必要になるので、そこのところを俺から『譲渡』を受けたラティアにやってもらおうってことだ。

 これでかなり費用が浮くらしい。若干ケチ臭い気もするが、ラティアの持っているイメージを反映させやすいって面もあるので、良しとしよう。

 居住用物件の購入にたとえるなら、宅地付で買うのではなく土地は自前で用意するような感じだろうか。その後のフィールド維持にかかる魔力は、まぁ、固定資産税的な? 世知辛いね。

 あとの細かいところは下級・中級連中の匠に任せる。せっかくの公共事業っぽいものだ、仕事をやって領民に金を落としてやらんとな。動物とか植物はそいつらが持ってきて配置していくことになるだろう。

 ただで金をバラ撒いたり、税を特別抑えたりはしないが、仕事には相応の対価を支払って金をぶん回していくのが我が家の流儀だ。

 良い仕事には良い報酬を。領民が稼ぎが増えればまわりまわって税収も上がるってものよ。

 

 そうやって話している間に、食事の場が見えてきた。最近は城内のどこかしらの庭園で食べることが多いな。ミリキャスの希望なのだが。

 

「それでは、私はここで──」

 

 用は済みましたと離れて行こうとする義姉上なメイド長の腕を掴む。

 

「給仕をしろ」

「しかし……」

「命令だ、グレイフィア。メイドの分際で、次期当主さまの命に逆らうのか?」

 

 ためらう義姉上を引っ張って、ミリキャスとの朝食に向かう。

 

「母さま!」

 

 ミリキャスよ、こっちに叔父さんもいるんだぞ。

 いや、昨今の事情もあって同じ城に住んでいるのになかなか会えないでいるから、気持ちは分かるけどな。

 

「ミリキャスさま、その呼び方はお控えください」

 

 義姉上に促されて、ミリキャスは俺にも挨拶をくれた。結構、次期当主な叔父さまである「リアス兄さま」にもちゃんと挨拶しないとな。

 御付きのメイドを次期当主様のご命令で無理矢理トレードさせ、ミリキャス付きのメイドにお世話してもらいながら朝食を済ませていく。

 俺はワガママお坊ちゃんなので、このぐらいはオッケーなのだ。父上からも母上からもダメとは言われないしな。

 なお、本来俺の世話をするはずだったメイドは、空気をちゃんと読んでくれた。気が利く娘は嫌いじゃない。あとで白く濁った「ご褒美」を上げようと思う。

 

 横や後ろに意識の向かいがちなミリキャスとの朝食を済ませ、さーてメイドを後宮のどこに引っ張り込んで褒美をぶち込もうかと思いながら歩いていると、義姉上に呼び止められた。

 

「リヴラクスさま、スケジュールの件ですが」

「なんだ、何か変更があったか?」

 

 訊ね返すと、義姉上がメイド服の隠しから何か帳面のようなものをチラリとこちらに見せてくる。あれは……例のスタンプ帖か。

 その後に義姉上は、魔力式スクリーンを宙に形成し俺ともう一人のスケジュールを並べて表示した。

 ふむ……なるほど、俺の予定がない日に、メイドのどなたかがオフ日、と。アグレアスで会議とかあるし、俺もきっと疲れてしまうだろうから……是非とも湯治する必要があるな! 

 

「分かった。用意しておく」

 

 表情は変えていないつもりだが、うっかり鼻の穴を大きくしちゃってないよな。あの顔って少しみっともない気がするんだよな、個人的に。 

 

 

 

 その後、自分の宮に戻った俺はルンルン気分で空気の読めるメイドをブチ犯した。

 前戯もなしに壁に手をつかせ、バックからガンガン激しくヤってしまったが……許せよメイド。でもまぁ、気持ち良さそうだったし構うまい。

 後宮メイドの第一の職務は俺の相手をすることなので、それっぽいときにはちゃんと股で俺の御道具を出迎える準備を済ませておくのも仕事の内だ。

 うん、我ながらヒドイことを考えているものだ。悪魔貴族っぽくてよろしい。

 

 メイドさんを可愛がった後、ちょっとドキドキしながらレイヴェルの寝ているだろう部屋に向かったところ、どうやら既に起床していて入浴中らしい。

 これは後で「起こしてくださいまし」とか言われそうだ。一緒に寝て、起きたときにも一緒にいるってのを喜ばれることは割と多い気がするので。

 だが、あのときレイヴェルを起こさず、寝かせておいてやろうと判断した俺は実にナイスだった。レイヴェルと一緒に朝食に向かっていたら、義姉上の方から誘ってくれることは無かっただろうからな。

 他の女とバリバリ寝ておいてなんだが、義姉上とのお出かけは嫁さんに隠れてこっそり浮気しているみたいでドキドキしてしまう。義姉上についてはレイヴェルから反対されているってところが、このドキドキ感の隠し味だ。いや、隠し味でもなんでもないか。

 これはどう考えてもレイヴェルの意見が正しいのだ。でも、我慢できない。

 なんか、俺ってクレーリアのことを馬鹿に出来ない気がしてきた。

 

 レイヴェルはお風呂タイムなので、皆の予定を思い浮かべ……黒歌のところに行くことにする。彼女は現在お勉強中のはずだ。

「勉強なんて嫌いにゃん」とか言いそうに見えて、ちゃんと学べるお姉さんなのである、黒歌は。

 黒歌のお勉強部屋は後宮ではなく、城内でもちょっと離れたところになるのでサクッと空間転移。

 

 

 そーっと扉を少しだけ開いて様子を見ると、黒歌はちょっとぐでっとしていて、白音はピシッと背筋が伸びた感じの勉強姿勢。姉妹の性格の違いがよく分かる光景だ。

 

「やっているな」

「主さーん」

 

 勢いよく椅子から立ち上がり抱き着いてきた黒歌を抱き返して、よしよし。

 

「あ……、おはようございます」

 

 白音とはまだちょっと距離があるが、まぁそこはおいおいこれからだ。

 

「若さまがいらっしゃると、黒歌さまの勉強がはかどりません」

 

 後頭部で髪を団子にし眼鏡をかけた女性教師が頭を下げてから、きつめの口調でそう言ってくる。

 俺も未だにお世話になっている家庭教師の彼女は、世界の様々な言語に詳しい悪魔だ。彼女は俺にも割と厳しいことを言ってくるのだが、女教師属性はこれで良い。

 俺の家庭教師である彼女の立場自体は黒歌より下で白音より上といったところだが、教える側なのでこういった口の利き方が許されるのだ。

 

「どんな具合だ?」

「白音はこの調子でしたら、駒王学園への編入は問題ないでしょう。黒歌さまは……もう少し頑張りましょうか」

「まぁ、黒歌は覚える内容が多いからな」

 

 黒歌は元妖怪の転生悪魔。白音は今もただの妖怪だ。二人は元々妖怪なので、試験も勉強もない暮らしをしていた。まぁ、つまり学校に行っていないのである。

 前の主の下で黒歌は戦闘能力の向上をメインに鍛えられていたし、白音は小さい頃から冥界暮らしで日本語よりも悪魔言語を話して聞いていた期間の方が長い。

 黒歌には日本の駒王学園で理事長夫人をしてもらうし、白音は学校に通うのだから日本語のお勉強は必要なことなのだ。

 

「白音はいいわよね。初等部レベルまでの知識だけでいいんだから」

 

 さすがに理事長夫人となると、日本語と英語と、あと人間の大学を卒業した程度の知識は最低限欲しいところだ。欲を言えばキリがないが。

 

「まぁ、黒歌は四月までに二十年あるから、それまでに覚えればいい」

 

 間に合いそうにないので、足りない『時間』はラティアのところで用意することにした。俺も勉強しないといけないしな。

 

「若さま」

 

 甘やかすなって先生に怒られてしまった。

 

「いや、すまない。だが、あちらでもよろしく頼む」

 

 黒歌の語学に関しては、悪魔の『どんな言葉も理解でき、理解させられる』という会話能力がネックになっている。一対一で話す場合はいいのだが、一般の人間がいる場ではきちんとその言葉を話せないとマズイのだ。

 というのは、英語しか話せないAさんがいたとする。そして、日本語しか話せないBさんもその場にいたとする。

 そこで黒歌がAさんと何も気にせず会話してしまうと、Bさんにも黒歌の話している言葉の意味が分かってしまうのだ。するとBさんは、黒歌が日本語でAさんに話しかけていたと思うことだろう。

 だが、後日AさんとBさんが出会って会話しようとすると、Aさんは日本語が分からないのでBさんの話す日本語が理解できないってことになる。これはよろしくない。

 Bさんからしたら、Aさんは黒歌の日本語を聞き取って英語で返事をしていたように思えているわけなので、「あれ?」となってしまうのだ。

 

 あとは、滅多にお目にかからないレアな言語で話しかけられたとして、それに普通に受け答え出来てしまってもよろしくない。かなり目立ってしまう。人間のフリをしているときには要注意だ。

 

 こういったことを聞かされたとき、俺は人間界に縄張りを持ってやっていくのは思いのほか大変なのだなと思ったものだ。

 人間の中に混じらず人外異形としてだけやっていくだけなら大変便利な悪魔の会話能力だが、人間のフリをするとなると有用過ぎて逆に人外バレするリスクが高まることになるとは思いもしなかった。

 ラティアの提案のおかげで二十年時間が取れて良かった良かった。脳みそスペック高いから、大丈夫だっただろうとは思うけれど。

 

 黒歌に仙術やら火車の力のことで相談があることを伝え、ささっと退散。これ以上邪魔していると、先生に睨まれてしまう。

 

 

 レイヴェルとミリキャスとでライザー義兄上を話題にしつつ昼食を取る。

 今回は義姉上を捕まえられなかったので、しょんぼり気味のミリキャスくんだ。まったく、義姉上ときたらメイドの癖にどこに行ったのやら。

 

 昼食後、ローゼンクロイツを呼びつけた。もちろん後宮の方にではない。レイヴェルとの婚約前に使っていた一角にだ。

 

「調子はどうだ?」

 

 俺が聞いているのは、ローゼンクロイツの子供のことだ。

 どうやら経過は順調らしい。

 彼と彼の子供もラティアの世界(フィールド)で二十年を過ごすことになるので、一応だが意見を聞いておく必要がある。

 

「人間界に近しい環境と言うことでしたら、問題はないかと思われます」

 

 ローゼンクロイツの子供は、転生悪魔のローゼンクロイツと人間の魔女との間に生まれた子だ。なので、悪魔と人間のハーフということになる。

 悪魔なら冥界に近い方が過ごしやすいだろうし、人間ならば人間界の環境の方が良いはずだ。

 堕天使/人間ハーフの朱乃はどちらでも苦にならないようだったが、ローゼンクロイツの子供はどちらよりなのだろうか。

 健康ならば気にするほどの事でもないが、何分まだ病弱な身だ。俺としても眷属の眷属の子供のことなので、多少は気にしてやらないことも無い。

 

「どちらの方が良さそうなのか、確認はしたのか?」

「はい。神器のことを考えると、あの子の魂の在り方は人間としての比重が大きいようでして」

「そうか、なら問題ないか……ああ、そうだ。奥方のことだが、今月中に結論を出せ」

 

 別にローゼンクロイツの嫁さんに手を出そうって話ではない。ローゼンクロイツの妻は魔女とはいっても人間なので、子供と一緒に加速世界で二十年を過ごすと周りから見たら一気に老けることになる。人間界の知り合いには驚かれるだろう。

 といって、子供の成長を見守れないのはそれはそれで嫌だろう。

 俺としては、ローゼンクロイツが眷属をトレードに出し、空いた駒を得て妻を転生悪魔にしてしまうのが良いと思うのだが。

 

「お前の眷属なら、欲しがる者は多いだろう。待遇も悪いものにはならないはずだ」

 

 なんと言っても、元レーティングゲームランキング7位の眷属だ。精鋭中の精鋭である。

 俺としては、ちょっと早いが兄上からミリキャスに駒を渡してもらって、護衛にでもしておきたいところだ。このご時世だからな。

 それが無理なら、ソーナのところなんかがオススメだ。ソーナはローゼンクロイツをゲームのお手本のように思っているところがあるしな。しかし、そうなるとソーナが(戦術的に)いやらしい子になってしまいそうだ……。

 いくつか候補を伝えると、ローゼンクロイツが深々と頭を下げてきた。

 まぁ、ローゼンクロイツの眷属は、俺から見て眷属(レイヴェル)の眷属(ローゼンクロイツ)の眷属なので、別に俺が動かしてしまっても良いと言えば良いのだが。

 

「ありがとうございます」

「話は以上だ。資料を置いて下がれ」

 

 用が済んだらローゼンクロイツはすぐにオサラバだ。子供のところにでも行っているがいい。

 俺にはこの後、ローゼンクロイツに持って来させた魔物封印系神器の資料をミスラさんの寝顔を眺めつつ読む仕事があるのだからな。

 

 









悪魔の「音声言語」能力について


「悪魔になった特典のひとつに『言語』があるの。悪魔になった瞬間から、あなたの言葉は全世界で通じるわ。あなたの声を耳にする人間は一番聞きなれた言語として受け入れるの。アメリカ人なら英語。スペイン人ならスペイン語としてあなたの言葉が聞こえる。逆にあなたが日本語以外の言語を耳にしてもすべて日本語として変換されて聞こえるわ」

by1巻リアス


そう、その通りだった。
英語の授業、俺は英語が全部日本語として変換されて耳に届いた。驚いたね。
英語の先生に「読みなさい」とさされたので、英文をなんとか読んだのだが、周囲のクラスメートが驚愕していた。
だろうな。突然、俺が英語ペラペラになればクラスの連中は驚くさ。
先生もあまりのことに固まっていた。

by1巻イッセー



リアスの説明の通りなら、思考言語が日本語のクラスメートにはイッセーの読んだ英文は日本語に聞こえたはずで、
でもこの場に英語で思考している人間がいたら、イッセーの言葉はそのまま英語として聞こえているはずで……


えーい、よく分からん!


となったのでここでのイッセー君は先生から「英文の日本語訳を言いなさい」と言われていて、教室内の全員が日本語が一番聞きなれていたって思うことに。
それなら、「あのイッセーがスラスラと翻訳しただと!?」って感じにできそうですので
なんとか読んだ英文が流暢な発音に聞こえてしまうってのも、ニュアンスを伝えられなくなりそうですし

やはりよく分からないので、ココではそんな感じってことで

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