公爵家次期当主好色物語 作:ルペッタ好き
エルメンヒルデ・カルンスタイン(14巻)
うっかりヤってしまいそうになったので、慌てて朱乃の部屋を後にしたのは午前の話。
今の俺は午後のベッドの上、端の背もたれに背を預け、両脚の間にレイヴェルを挟んで抱えているところだ。彼女のお腹に手を回し、その肩の上に顎を乗っけるスタイル。
この体勢は実に落ち着く、まずいろいろといじりやすい。次になんとなく甘えている気分にもなれる。さらに、こうがっしりと抱え込んでいることで、この女は俺のだぞ! と主張している感じがして、独占欲が満たされる。
欠点は相手の顔が見にくいのと、キスがやや窮屈になるところ。尻を撫でまわすのに苦労するところか。
ちなみにまだ服は着ている。生と生の肌の接触も良いが、張り詰めたテントに当たる布越しの尻の感触もまた良し。午前に味わったむっちりしたのも良かったが、この小ぶりのしまったものも良い。
「もう、お父さまに配慮なんてしなくても良かったのですわ」
よくよく考えると、前世基準ではまだ初等部に通っている年齢に当てはまりそうなレイヴェルに甘えているというのはヤバいのではないだろうか。前世年齢合わせるとオッサンなんですけども……もしや、これがうわさのバブみ! ファーストダンガムの仮面の王子様的な……きっと兄上も小さくなった義姉上相手にやってるに違いない。俺には分かる。
まぁ、でも、もうヤっちゃってるんだからいいよね。俺はもう悪魔なので、人間時代の倫理観など捨てたのだ。
「ライザーお兄さまもです。味方すると言っておきながら、裏から手を回して点数稼ぎなんてして」
さて、我が婚約者にして未来の正妻、ついでにこれから『女王』になってもらうレイヴェルだが。現在、若干不機嫌である。
それというのも、レイヴェルを俺の眷属にするにあたって、数年間は週替わりでグレモリー家とフェニックス家を行き来してはどうかとこちらから提案したからだ。昼勤夜勤の切り替えのごとく、帰って寝る家があちこちするレイヴェルには申し訳ないが、これも俺とフェニックス卿の欲ゆえのこと。我慢してもらうほかない。
フェニックス卿は娘可愛さに、そして俺は──まだ手をつけていない父上が用意してくれたメイドさんコレクションを堪能するためだ。ライザー義兄さんからの依頼は渡りに船だったわけだ。
別にレイヴェルが嫌いなワケではない。だが、それはそれとして、夫婦の寝室は一緒にしましょうとなったら、朝一のメイドフェラからのお楽しみタイムが厳しくなる。夜伽も奉仕風呂もそうだ。ということで、俺は週替わりで婚約者とのイチャラブックスと、メイドのご奉仕を両方堪能する道を選ぶことにしたのである。
フェニックス卿も大喜びで握手した手をぶんぶんと上下させていたので、義父からの評価も上方修正されたに違いあるまい。なにやら、今後の計画に修正が必要になったとお怒りのレイヴェルには申し訳ないが、俺はメイドさんで遊びたいのだ。
「レイヴェル」
そんな事情を素直に話せるわけもないので、俺は彼女をぐっと抱き寄せ、そのまま体重を後ろにかけさせた。
そうしてから、呼吸の波を合わせていく。何かの本で読んだのだが、こうすると相手が落ち着くそうだ。まぁ、人間の頃の話だが。
包み込むように抱きかかえ、腹を回した手で撫でながら感じる彼女の呼吸にこちらを合わせていく。果たして、最初は「なんですの?」ときょとんとした様子だったレイヴェルだが、しばらくするとふよっと力が抜いてこちらに身をゆだねてきた。
静かに、タイミングのあった息の音だけが室内に流れる。一緒に吸って、一緒に吐き出す、それをどれぐらい繰り返しただろうか。時計を見るのは無粋な気がしたので、それは分からない。
「はぁ」
うっとりと表現するような声がレイヴェルから漏れた。このやり方を実際に試してみたのは初なので、さて効果があるのかと思ったが、彼女には通じたらしい。
なんでも女は男がロマンへの「わかる!」を求めるように、多くのことで共感を求めているのだとかどうとか。たしか、そんなことが我が愛読サイトにあった気がする。
でも今の俺は彼女の不機嫌の理由に「そうだよな」「俺だってずっと一緒に暮らしたいよ」なんて嘘は言えない。自分でそうしたのだから。
ということで、合わせられるところを合わせてみたのだが、
「ふぅー」
温泉に浸かってほへぇーとなっているような声を聞く限りでは、とりあえず機嫌を取れたような気がする。俺の方も、いつの間にか噴火を待ちわびていた活火山が大人しくなり、テントの張りがなくなってこうなんというか、朝のまどろみの中で人肌が恋しくなって抱き着きたいときに丁度良い相手がそこにいて、ほへー幸せーとなっているような気分になってきていた。こう性欲とは別の幸福感的なナニかがある。
例の愛読サイトのおかげで、魔力も上がったし、嫁さんの機嫌もなおる。まったく、これがおかげさまさまというヤツか。
「なんだかいいですわね。これ」
二人してふにゃーとなってなっていると、レイヴェルの身体からゆらゆらと炎のようなオーラが出ているのをよく感じ取れた。普段は無意識のうちに気にしないようになっているのだが、悪魔はニュートラルな状態だと内在する魔力・オーラの量に応じた気配を周囲に放っているものだ。俺自身も紫と紅の混じったオーラを抑え込むことなく垂れ流しているのだろう。
つまり二人して緊張感がさっぱりない状態になっているということだ。
「だなあ」
悪魔の魔力の波動は、人間のなかでもその気配を感じ取る素質を持つ者──教会の戦士など──には第六感をピリピリと刺激する不穏なものらしい。恐怖感と不安感を増幅させ、ざわ……ざわ……と幻聴のようなものさえ聴こえてくるという。瘴気なんて呼ばれ方さえしているそうだ。教会に詳しい友人に聞いた。
だが、同じ悪魔同士であれば話は別で、かつこの状況になる相手となればむしろそのオーラも愛おしく感じる。だからだろうか、ふとオーラを絡めてみる気になったのは。
「ふえ」
と肉の快楽とは別の悦楽に浸っていたレイヴェルも、夢見心地にこちらに同調してくる。
くるくると二重螺旋のようにねじってみたり、じんわりと溶け合わせてみたり、量の多いこちらの気で飲み込んでみたり、逆に少量をレイヴェルの炎に食わせてみたり……。
身体と呼吸と気を合わせ、そのまま魂までも、ぐでぇーっと溶け合ってしまうようなこの感覚。後にとある者から聞いたところ、仙術使いのよくする房中術の一つと似ているのだとか。
「ふぅあー♡」
あー……なんだこれ、蕩ける。なんだかこう、射精とはまた違った多幸感に酔って溺れそうだ。
………………。
ふと気が付くと、部屋の入口脇に食事を載せたワゴンが置かれていた。
「……えっと」
「ああ……」
使用人か誰かが部屋に入ってきて、置いて出て行った。そのときにノックなり声をかけられたはずなのだが、さっぱり記憶にない。
「危険ですわね」
「危ないな、これは」
「でも、良かったですわ」
「言葉に出来ないものがあった」
なんとなく顔を見合わせて、頷き合った。
貴族たるもの暗殺には備えておくべし。なのだが、延々と一番良い感じが続いていたようなあの感覚には勝てない。幸いなことに、俺には用心棒の赤いドラゴンが憑いていて警戒してくれるので問題ない。
そろってベッドから降りて、向かおうとした方向も同じで、目的も同じだろうと悟った俺は、無言で先を譲った。
「はぁー……」
生理的欲求に従って、排出するものを排泄すると夢見心地だった頭が覚めてくる。
部屋に置かれたテーブルで、冷えた食事を無言で食べる。言葉は交わしていないが、雰囲気は良かった。時折、目が合うと表情がふにゃあと崩れるのを抑えられない。そんな感じだった。
俺はもはやデレデレである。
そして、腹が満たされると同時に別の欲求も蘇ってきた。もはや致さねば気が済まない。もとよりそのつもりしかなかったが、より強くそう思う。
抱き寄せてベッドに向かう途中、ふとあの香りが強くなっていることに気づいた。ムクムクと股間が硬くなってくる。一度薄れたそれを化粧室で足して来たのだとすると、あちらもスッカリその気が盛り上がっているらしい。
「これが上級悪魔には効かないというのは、やはり嘘かな」
「とても危ないので、時間があるときにしか使えませんわね」
ベッドの上、裸になって向かい合うように寝ている。顔の半分くらいまでシーツをかぶって、ひそひそと話すような体勢。
「レイヴェルは俺に何を望む」
ギンギンのままでなんだが、今日はレイヴェルに『女王』の駒を挿入するのだ。うっかり忘れてそのままパコパコし続けてしまうところだった。ひん剥いてから思い出したよ。
「望みですか?」
首を傾げて聞き返してくる姿に、笑みを浮かべてしまう。
「俺は前世の人間の意識があるから、なるべく悪魔らしくしようと思っている。だから、眷属……下僕としてレイヴェルをもらい受けるにあたって、契約をしておきたい」
悪魔の取引の基本は、等価交換。基準はそれぞれの心の中での重さでいい。年収一億の人間にとっての百万と、年収三百万の人間の百万では重みが違う。
まぁ、人間界での縄張りで行う営業の場合は価値基準の統一がされているのだが。
「契約……。でしたら、私がなりたいと言い出したのですから、むしろ、こちらから何か差し上げた方がいいのでしょうか?」
「いいや、俺がもらう側だ。レイヴェルを欲しいと思っているから」
ふむ、と考え込む彼女の様を見ながら考える。
『はぐれ悪魔』という存在がいる。『悪魔の駒』で眷属となりながら、主の支配下から逃れて好き放題にする連中だ。
駒によって力を得て増長した者。主への不満を爆発させて逃走した者。元から悪魔の下僕になどなりたくなかった者。理由は様々だが、貴族にとって自身の眷属から『はぐれ』を出すのは大変不名誉なことだ。それなのに、『はぐれ悪魔』の発生は後を絶たない。
上級悪魔として駒を手に出来る者は限られているというのに、まったくどうしようもない話だ。
元々悪魔で、婚約者のレイヴェルが逃げ出すなんてことは俺がよほどの暴君でもなければあり得ないが、この先もある。
逃げられないように、他の眷属は納得の上で迎えたいのだ。そうしておいて、あとでレイヴェルにだけは『眷属化の対価』を聞かなかったなんて言われたくはない。
「でしたら……私の望みは、英雄を支える女になることですわ」
「英雄?」
はい、と言って続けられたレイヴェルの話は、なんともロマンに満ちたものだった。女のロマンというヤツなのだろうか。
この場合、彼女の未来の夫であり、『王』となる俺がその神話や伝説の英雄になる必要があるのか。何気にとんでもない対価だ。イキナリ難易度がルナティックである。英雄とは大体、その時代の常識を超えた異常者なのだから。
「リヴラクスさまは、現ルシファーの弟であり時代ごとに時折現れるという才に恵まれた悪魔として生まれ、なおかつ赤龍帝の籠手を宿した方。きっと平穏なだけの生を送ることはないでしょう」
それなんだよな。赤龍帝ドライグに憑かれた者は、波乱の道を行くしかないのだという。本人にその気がなくとも、騒動の方から寄ってくるのだとか。
少なくともこれまでの赤龍帝の籠手所有者たちの人間一人分の生の間は、そうだったという。
「どうせ波乱の大波が押し寄せてくるのなら、それに乗りましょう。あと、その……色を好まれるのですよね?」
俺のハーレム願望が見抜かれていた! これから『女王』にどう切り出そうかと思っていたのに、向こうから言ってくれるとは。
「まぁ、そうなんだ。なんというか、すまない」
「分かっておりましたわ。ライザーお兄さまとそういった話をしていらしたようですし。それに……あの、前のときに……」
まあそうだろう。ライザー義兄さんとあれだけ論を交わしていたのだ、そりゃあちらの身内には知られていて当然か。
「前のとき?」
「その……」
もじもじとするレイヴェルに続きを、と促すと彼女は顔を赤くしながら俺の股間へと視線を落とした。
「先日、その……一緒に過ごしたときに、理想のイメージは何十人もの女性を侍らせて、全員余裕で満足させる魔王だと……そう言いながら」
あれ? アレは俺が魔力を昂らせるためのイメージだったのだが、
「口に出してた?」
「はい……」
そうか、俺はそんなことを言いながら、レイヴェルの弱点をひたすら攻め続けてぐっちゃぐちゃのとろんとろんにしたのか……。
で、レイヴェルはそれをそのまま受け取って、俺を悪魔の英雄=魔王にすると。
「英雄色を好むと申しますが、色こそ英雄を好むもの。……この間、冗談でおっしゃっていた始皇帝の後宮には百では足りないほどの女がいたとか」
そうかー……眷属ハーレム十五人とかで夢を見ていた俺なぞとは桁が違う。歴史に残る偉人とは凄まじいな。
レイヴェルは俺にそれぐらいのモノを求めている、と。なるほど。英雄になったら、英雄になったなら、お妾百人出来るかな。
放っておいても白き龍皇はやって来る。ならば、レイヴェルの夢に協力するのも悪くない。まぁ、積極的に「俺は英雄魔王になる!」だなんて意欲はないが、「ハーレム王に、俺はなる!」の方が強いし。
「分かった。といっても、俺にはなんのプランもないし、そこまでやる気もないけれど。それでもいいのならレイヴェルの考えを聞こう」
最悪でも、我が家にはミリキャスがいるしな。
「私にもまだ具体的なものはありませんわ。ですが、現状の悪魔に足りないものは分かっています」
「領地……というより、『縄張り』か」
『縄張り』というのは、人間界における悪魔の営業活動範囲のことだ。この縄張りの中で、悪魔は人間相手に願いを叶えて対価を受け取る営業活動をしている。そうやって、悪魔という種を存続・繁栄させるために必要な人間の精神エネルギーを得ているのだ。俗にいう『欲望』という代物だ。神々が人々の信仰心を糧とするため迷える子羊を導くように、悪魔にとっても羊たる人類は必要な糧だ。
願いを叶えて対価として何かを受け取る。ただ対価となるものが欲しいだけなら奪えばいい。ドラゴンのように略奪するだけでいい。
そうではなく、対価を支払えば欲を叶えてくれる存在として認知されること。悪魔がエネルギーを人間から得る手段は、人々の神頼みを叶えずとも信じられていさえすれば良い神々とは違う。悪魔はちょっと世知辛いのだ。
そんな種の存続に必要なエネルギー入手活動を行う縄張りだが、今すぐ足りなくなるわけではない。だが、数百年、数千年で見るとこの縄張りが不足することは必定。
なにせ最近は大きな戦争もないので、縄張りを得て活動しようとする新しい上級悪魔は増え始めている。死なないのだから少数ずつでも増えていくのだ。
現在は断絶・没落した元七十二柱の家の縄張りなどを吸収し生き残った貴族家が、それぞれの家から出る上級悪魔に縄張りを分け与えているが、それもやがてどこかで行き詰る。
どんなにたくさんの田畑を持つ大地主であっても、子や孫、さらにその下の世代の分家にまで土地を分け与えていてはいずれ分けるものすら無くなり没落する。田を分けるたわけの例えではないが、縄張りにだって限りはあるのだ。
「冥界での領地はまだいいのです。開拓できていないところの方が多いのですから、そちらを治めさせればいい。ですが……」
「人間界はもう縄張りの空白地帯はない、か。人間の人口はかつてより増えた。それにその政治形態・経済活動は欲にかられやすい形へと移行している」
「ええ、信仰は薄れ、人間たちは金銭に支配されるようになりましたわ。欲を叶えるためならば、とたやすく悪魔との取引を受け入れるようにもなりました」
「それでも……か。強大で有名な悪魔の名の下に軍勢を形成しまとめて養う形ではなく、少数精鋭の形態を選んだ弊害かな」
「そこは今でも議論はされておりますが、どちらが良かったかとは一概には言えませんわね。ただ、こうして現在悪魔という種が存続しており、私たちの世代ではかなりの数が生まれて来ている。これは魔王様方の功績であることは確かですわ」
この辺りの話題は、学校などでも議論の授業のお題としてよく使われるらしい。悪魔というのは、議論好きの多い種族だ。最終的に暴力に訴える結論に至るとしても、とりあえずぶん殴ってから考えるドラゴンとは違う。考えてから殴る。
「そうなると、レイヴェルの求める英雄にはこの問題を解決するとなれるかな。その場しのぎでも」
「うふふ、ちょっと楽しいですわね」
亜空間から冥界の地図を取り出して宙に浮かべて見せると、我が『女王』はニンマリと嬉しそうにする。やっぱりこういう話好きなんだね、悪魔だし。
「堕天使だよな」
「それしかありませんわ。他所の神話にちょっかいをかけられるほど、悪魔の戦力は戻っておりませんし」
朱乃の父親バラキエルの種族である堕天使は、悪魔からすると非常にいやらしい種族である。まず、同じ冥界に拠点を置いている。これだけでうざったい。冥界の主たる種族は悪魔だけで良いのだ! なんて主張はよく聞く話だ。
次に人間界においても、独自の支配領域を持っている。人間を上手く使って教会を維持するわけでもなく、悪魔のように取引をするでもなく、外から見る分には神器や技術をいじくりまわして遊んでいるようにしか見えない連中だ。
さらに、これが一番イラつくのだが、堕天使はその存在に必要とする人間の
「なにが堕天使ルシファーだ」
「本当にそうですわ! 悪魔が元々は天使だったなんてことにして、堕ちた天使たちと同じ種族に見られているなんて」
ルシファーは悪魔の王だ。堕天使の長ではない。だが、前世における俺はルシファーというのは元々は天使の長、あるいはそれに近い存在であったが驕り高ぶった末に天より堕ちた堕天使であると認識していた。他の悪魔にしてもそうだ。
ゲームとかやっているとよく出てくる名前なので、その程度のことは知っていた。どっぷりオカルトに浸かって居なくてもそれくらいは、まぁ知れ渡っていたのだ。
つまり、結構な数の人間が悪魔と堕天使の区別がついていないことになる。
堕天使共は、悪魔がお客さーん、今日もありがとうございますー! なんてセコセコペコペコして稼いだ『欲望』エネルギーを、何もせずに横からかすめ取っているのだ。
「ペ天使どもめ」
「堕ちても元は天使なんて言って、教会の信仰も奪っているようですし。本当に薄汚い種族ですこと!」
アイツら、ホントにもう。なぜか教会を追い出されたような連中は、堕天使に吸収されていることが多い。そして、天使の仲間のようなフリをして、とっくに神との縁なんて切っているはずなのに、悪魔を殺しにくるのだ。契約者の人間だって殺されてしまうことがある。そうやって実はイイヤツなふりをして神への『信仰』すら、抜き取っているのだ。
過去の恨みを抜きにしても、朱乃へのヘイト値が高いわけだよ。
「だから、足りない分を取ってくるのならここだろうな。天使を巻き込まれないようにして、堕天使だけを滅ぼせればいいな」
俺は地図上の堕天使領域を指でぐるりと示した。
堕天使を駆逐できれば、レイヴェルも大喜びで、朱乃の逃げ出す先も物理的に消滅する。一石二鳥とはこのことだ。
問題は、戦争必須なことか。『欲望』稼ぎもしない下級悪魔なぞどれだけすり減っても問題ないが、折角増えてきた上級悪魔とその眷属が減るのは困る。かといって、レーティングゲームなんてものは、結局のところ戦力の維持増大のためにやっていることで、使わなければ意味もない。
「そうですわねー」
「といっても、上手いこと政治の流れをそこに持っていく道筋も思いつかないけど」
「そうなんですよね」
大戦経験者の年寄り連中の戦功自慢。これほど戦の機会を得ていない若手にとってイラつくものはない。特にレーティングゲームで高いランクにいるのに、戦争経験がないばかりに古い悪魔から実戦経験がどうこうと言われている者などギリギリとしている。
実力に自信がある。だが、所詮ゲームはゲームよ、とバカにされて苛立っている世代。そこの辺りをつつけば暴発くらいはしそうだが。
「危ないですわよね」
「こっちから少数で突っ込む形になるとな。いっそ、本当にバラキエルが釣れるといいんだが」
「どういう話ですか?」
俺は朱乃をバラキエルから引き離す企みの中で思いついたことを話した。
「娘を虐待して、孕ませて、その写真などをバラキエルに送りつけて、釣りあげて首を獲る……悪魔のような計画ですわ」
「いや、悪魔だから。けど朱乃は俺に虐げられると快感を覚えて悦ぶし、孕みたがってもいたから、別に悪魔でもないか」
バラキエルなんて、敵勢力の大幹部だ。首を獲って晒してやれば間違いなくその功績を称えられることだろう。
「でも、捨てられた娘なんですよね?」
「そういったことに詳しそうな友人の話によると、そうらしい」
「では、気長に準備して待つのが一番でしょうか。龍の神器が招くというものを」
「千年計画くらいで頼みたいな」
人間の精神性が強く残ったまま長生きすると、心だけが死んでいくと生き急ぎ気味の転生悪魔連中は言うそうだ。
長い悪魔生、目標は遠くに置いてゆったり楽しみたいものだ。ハーレム飽きちゃったなって頃に、レイヴェルの計画が進み始めるとベストかもしれない。
さて、話もひと段落ついた気がするので、そろそろ『女王』を挿入するとしようか。
「レイヴェル、俺の『女王』になってくれ」
「はい!」
片手をビシッ! と上げて喜びを表現する彼女に、『女王』の駒を取り出して見せる。
そして、その駒でレイヴェルの今だ慎ましく、しかし確かに主張している突起をツンとつついた。
「あん♡」
「一生に一度の機会だから、な」
そう言いながら、駒の頭でくりくりといじってやると、
「『悪魔の駒』で、こんなことぉ♡」
と、彼女は半分ほど開いた口内で舌をペロリと蠢かせた。
戦記物で、ベッドの中で軍略とか話してる夫婦大好き侍
あんな風に上手く書けませんが
ところで堕天使って、どこから『信仰』エネルギーみたいなの摂取してきているのか分からなかったので、適当に設定してしまいました。原作で出ていたら教えてください。
エロを描くつもりだったのに、気が付いたら前振りで8000文字、うーん