※この作品はR-18です。

公爵家次期当主好色物語   作:ルペッタ好き

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 この作品はフィクションの二次創作であり、実在する人物・地名・団体・宗教とは一切関係がありません。


 有名な裁判の結果から始まる短いプロローグ


魔女裁判のラ・ピュセル
聖書に名を記されなかったケダモノ


『ここに知恵が必要である。賢い人は、獣の数字にどのような意味があるのかを考えるがよい。数字は人間を指している。そして数字は六百六十六である』

 

『わたしが見たこの獣は、豹に似ており、足は熊の足のようで、口は獅子の口のようであった。龍はこの獣に、自分の力と王座と大きな権威とを与えた』

 

『これには、十本の角と七つの頭があった。それらの角には十の冠があり、頭には神を冒涜するさまざまな名が記されていた』

 

 光の無い漆黒の瞳が覗き込んでくる。

 身体の前面を殆どあらわにした幼い少女。『無限』があなたの魂を見詰めてくる。

 意識が深い闇の中へと沈んでいく。忘却された過去。暗黒の深淵へと落ちていくなか赤き龍の声が遠くから聞こえた気がしたが、何と言っているのかは分からなかった。

 

 

 岩だらけの丘の頂上に人の背丈の倍ほどの長さの木の杭が立っていた。その木杭は急いで作られたようで、まだ白い木肌が目立つ。夜明け前の光の中にそびえるその「磔台(はりつけだい)」は集まった見物人たちの心に鮮烈な印象を与えた。

 その処刑の丘を、男たちが登っていく。男たちは皆、その背に木材を背負っていた。その木材は丘にそびえる木杭と同じようにまだ白い地肌を晒していた。

 男たちの運ぶ木材は、十字架の横材だ。丘の上の杭は縦材。そこに彼ら自身が運んだ横材を組み合わせた後、磔刑が実行される。

 あなたはその様子を黙って見ていた。やれることはやった。総督はこの処刑を回避しようと多くの手間をかけてくれた。それでもなお、これを止めることは出来なかったのだ。

 

 もはや、どうしようもない。

 

 あなたの瞳は、処刑へと望む男たちの内のただ一人だけを見詰めていた。日の出とともに磔台にかけられたその男の頭上には、罪状を示す板が取り付けられている。王を名乗った、と。

 太陽が昇り、罪人たちの上にも時間が過ぎていく。男が十字架にかけられてから、もう四時間ほどが経過していた。

 あなたは男が苦しみに打ちのめされていく様子を見続けている。十字の横材には縄が巻かれ、男の手はそれによって縛られていたが、縄だけではなく釘も撃ち込まれていた。

 左のてのひらに、両の足首に、長い釘が突き立てられ、その傷から流れ出た血が今もなお流れ落ちている。早いうちに流れ出た血は既に固まって黒く濁り、そこにどろどろと後続の血がおちていく。

 

 やがて男が何事かをつぶやいた。この形式の磔刑は、呼吸を困難にさせる。口を開くのも苦しいだろうに、男はそれでも何か言っていた。

 あなたの耳には、男のそのつぶやきが「どうして、私を見捨てたのですか」と非難する叫びのように聞こえた。距離が離れているのだから、届くはずもないのに確かにそう聞こえたのだ。

 

 何もしなかったわけではない。そして、今ここで剣を振るって助け出そうとしたところで、どうなるわけでもない。

 

 もはや、どうしようもないのだ。

 

 それでも、見捨てたと言われたならば……そう、あなたは確かに十字架にかけられた男を見捨てたのだろう。

 愚かな男だった。弱者に寄り添おうなどとしたばかりに、こうして死んでいこうとしている。権威と伝統に逆らったがために、処刑されることになってしまった。

 強ければ、こうはならなかった。合理的であれば、生きて行けた。心情を無視できなかったがために、その男は死んでいく。

 

 そのうち、男はぐったりとして動かなくなった。そろそろ頃合いであった。

 この日は丁度祭りの日でもあったので、兵士も見物人たちも、その意識はこの処刑からそれようとしていたのだ。さっさと終わらせてしまおうと、そう考える者が多くなり──

 

「やれ!」

 

 磔台の周囲にいた兵士達の隊長が、一言で「死ぬまで待つのも時間の無駄だ、止めを刺せ」と命じた。

 指示を受けた兵士が長槍をななめに構えると、見物人たちの中から嘆きとも歓声ともとれるざわめきが上がる。

 

 兵士は磔台の下に立つと、長槍を繰り出した。銀色の穂先が男の横腹に半分ほど突き刺さる。槍が引き抜かれ、兵士の手元へと戻ったとき、傷口から噴き出た血が兵士に降りかかった。

 磔にされた男の麻の衣が黒々と染まっていく。苦痛に歪むその顔があなたの脳裏に焼き付いた。

 

 見物人たちの間からうめき声が漏れ、しばしの静寂が訪れた。風の音もなく丘の周囲が静まりかえる。

 

 そのとき、明るかった空が急に薄暗くなり始めた。まだ黄昏がやってくるにはあまりにも早い。日が陰るはずが──

 

「見ろ、太陽が!」

 

 太陽は未だ高い位置にある。それなのに、日の光が弱まっている。夕暮れのように薄暗さが増して行く。

 空を見れば、なんと太陽が欠け始めているではないか。

 

「奇跡だ!」「まさか、神の裁きか!?」

 

 槍が男を刺し貫いた途端に訪れた黄昏に、誰もが驚き恐れ戦いた。

 叫び声が聞こえる。女の泣き声がやかましい。

 

 偶然、たまたま、槍が男を貫いたのが日蝕の発生する時だった。そういうこともあるだろう。

 だが、さらにあ(・)り(・)得(・)な(・)い(・)こ(・)と(・)が続けて発生した。

 

 ああ、こんなことがあっていいのだろうか! 

 

「おい!! 地面が!!」

 

 大地が揺れている。地震が発生したのだ。何度も、何度も暗くなった世界が揺れ続ける。天は陰り、地はどよめき、人々が泣き叫ぶ。

 

 そして、この死は神話となり──偉大な歴史の崩壊(ヒストリーブレイカー)へと繋がっていく。

 

 

 

 

 あなたはローマと呼ばれた国に生まれた。

 最上級とも上級ともいかないが、決して悪くはない生家。腹を空かすことなく十分な食事を与えてくれ、読み書き計算を身に付けさせてくれる両親に恵まれた。

 成長したあなたは、熊のように太い腕と、獅子の咆哮のような大きな声を持つようになり。頭はそこまで良くなかったが、決して悪くもなかった。

 少なくとも当時であれば、読み書きと計算、多少は戦術が理解できれば上出来の部類だったのだ。

 あなたには野心はそれほどなかったが、馬鹿にされるのは嫌いだった。なめられたくは無かったのだ。生まれた家と能力に応じた、それなりの立場を欲しっていた。

 

 仮に貧乏で、貧弱な者として生まれていたならば、あなたはきっと、それ相応の生き方をしていただろう。

 あなたがそこそこに良い家に生まれ、恵まれた肉体を持っていたが故に、ローマの歴史は壊れたのかもしれない。

 あなたは英雄ではない。あなたは大した人物ではない。だが、あなたが居たことによって、世界史は大きく動いたのだ。それはもう間違いなく。

 

 周囲にのせられて腕試しに挑んでしまったのは、そんな性格のせいだろう。

 

『パンテラ』──剣闘士試合に腕試しと称して乗り込み、ヘラクレスが獅子を殺したようにして、あなたは『豹』を殺した。それから、あなたは周囲から『パンテラ』と呼ばれるようになった。

 

 戦わぬ男に名誉はない。名誉が無ければモテない。

 あなたは軍に所属し、見事に旗の持ち手として選ばれた。素手でケダモノを殺した度胸を買われたのだ。

 軍において、旗手というのは重要な役目だ。軍勢は、旗を目印にして動くのだから。そして、重要な旗は当然敵からも狙われやすい。危険であり、名誉であった。ついでに給料も良いし、なんなら部隊の財政管理だって任されていた。

 歴史に名を残すような偉大な英雄ではないが、あなたはエリートではあったのだ。

 

 

 あるとき、あなたは軍務として赴いたとある土地で一人の女と出会った。

 当時、豹は獲物をその甘い吐息でおびき寄せて喰らってしまうと信じられていたそうだが、あなたの女癖の悪さはその腕っぷし以上にその呼び名に相応しかったのだろう。

 あなたはその女を、婚約者のいる女を、ちょっとした手間を用いてモノにしてしまったのだ。人はあなたをクズと呼ぶだろう、カスと罵るだろう。

 

 なぜなら、あなたに手を出されたその女は、身籠ってしまったのだから。女が婚約していた大工の男は、神に貞潔を誓っていたと言うのに……。

 

 生涯性行為をしないと神に誓い、後に聖人と呼ばれるようになった大工。その大工が誓いを破っているはずもない。だというのに、大工と婚約していた女が身籠ったとすれば……問題が起きるに決まっている。

 

 紆余曲折を経て、女は大工と結婚した。そして、最初の子に続いて幾人かのその弟と妹を産んだ。

 夫は生涯童貞を貫き、それでいて夫婦の間には多くの子があった。

 つまり、そういうことである。あなたは彼女の夫ではなかったが、恋人ではあったのだ。

 

 

 その女との間に出来た最初の息子が死んだ。三十を少し過ぎたくらいの年齢で処刑された。

 

 その処刑から10年ほど生きて、あなたもまた死んだ。軍の務め終え、引退した後のことだ。

 

 過去を振り返れば色々とあったが、旗を手に駆け抜けていた頃が一番スリルに満ちていた人生だったと思う。

 

 そして、あなたの魂は冥府へと下っていく。凡人の魂は、地の底に下っていくと信じられていたからだ。

 こうして、あなたの魂はローマの神話とほぼ重なることになったギリシアの神話の冥府神の管轄下となった。

 

 

 さて、それからしばらくのときが過ぎると、ローマの軍が『赤い龍の旗』を用いるようになった。その赤い龍の旗は後にウェールズへと伝わり、ウェールズの赤い龍の原型となっていくことになる。

 

 

 

『我が知るなかで、最も大きな力を得た人間よ』

 

 高速で流れる夢が終わると、無限の龍神のものらしき声が聞こえてきた。

 

『人間の魂のまま、さまざまな悪魔を名乗り、ドライグから力を与えられている者よ』

 

 そこの無い闇色の瞳が視界を埋め尽くす。飲み込まれそうな終わりのない闇が広がっている。

 

『汝は何になる? グレートレッドを……』

 

 

 

 

 

 ―○●○―

 

 

 

 

「リアス! リアスッ! 起きなさい!」

『おいッ! 起きろ兄弟! 起きろッッ!』

 

 目覚めろと声が聞こえてくる。すぐ近くから鼓膜を振るわせて、ぼんやりとした頭の中から魂を通じて。

 

「ラティア……?」

 

 目を開くと、ラティアの顔がすぐ近くにあった。どうやら俺は彼女に抱きしめられているらしい。

 

「起きたみたいね。頭は大丈夫?」

 

 いきなり罵倒された気分だが、彼女は俺のことをとても心配してくれている。そのことが身体から伝わってくるので、嬉しくなってくるくらいだ。罵倒されて嬉しいとは、これはちょっとマズイような気もするが。

 

『よぉ兄弟。目が覚めたようだな』

 

 ドライグの声も聞こえてくる。

 ふむ、ラティアにも聞こえるように音も出しているようだ。

 

「あれ? ここは、どこだ……?」

 

 ここは何処? 俺はリヴラクス・グレモリー。

 いつの間にやら禁手化していたらしく、身体の中にさまざまな力が渦巻いていた。魔力だけでも、グレモリー、バアル、フェニックス、アスタロト、アガレス、ベルフェゴール……さまざまな冒涜的な力が駆け巡っているのを感じる。

 記憶が混乱している。どうにも前後関係が分からない。

 周囲を見渡すと、なんというか全く見慣れない光景が広がっていた。ラティアの目ばっか見てないで、さっさと周りを見なきゃいけなかったな。

 

「ここ、次元の狭間か……?」

「ええ、そうよ」

「ああ、そうか……たしか、世界を創りに来て……」

 

 ふむ、そうそう。俺はラティアと一緒に例の加速術式用の世界を創りに来たんだ。この『次元の狭間』に。

 

『オーフィスと会ったことは覚えているか?』

「ああ、だんだんと思いだして来た」

 

 今日の朝からの出来事を思い出していく代わりに、さっきまで見ていた『夢』の記憶が急速に薄れていく。なにか大事なことだったような気がするのだが……もう思い出せん。

 

 そうだ、そうだ。

 

 今朝は早起きして、レイヴェルに裸エプロンしてもらったんだった。で、その後にラティアと合流して……。

 

 

 







捏造独自設定アレコレ:本当は文章内で分かるようにした方がいいのでしょうが、書いているとオリ主不在で長々と続けることになりそうなので空白を添えて。





































オリ主:設定モリモリ。
 原作主人公さんも途中から素材グレートレッドで製作者オーフィスな超スペックボディに乗り換えるのでこれぐらいはしておかないと……ついていけなくなる。
 オーフィスが知っている中では最も大きな力を得た『人間』。
 人間の魂に、悪魔の身体、龍の神器。

666:『その数字は人間を指す』と黙示録にあるので、人間。
 でも七頭十角で、神を冒涜するさまざまな名が記されていて、冠も十あったりする。
 豹に似ていて、熊のような足で、獅子のような口をしており、龍から力と王座と権威を与えられているらしい。
 頭の内のひとつは、致命的な傷を受けてもすぐに治るのだとか。

トライヘキサ:最強クラスの邪龍よりもずっと格上のはずなのにいいように操られていた黙示録の皇獣。
 あまり物を考えている様子はない。十の冠もなければ、神を冒涜するさまざまな名も記されていない。たぶん、あれでも不完全体。きっと、はやすぎたんだってヤツ。
 それでもグレートレッドといい勝負になるらしい。

大工の義息子の母:ナニがあったのかは作者名の由来をご存知の方はお察しください。ここにR18シーンはないです。

大工:生涯エッチしねーと神に誓った聖人。
なんとなく貧乏そうなイメージがあるが、当時も今も大工は技能職。読み書き計算が出来て、図面も書けたので割と余裕はあった。

大工の義息子:ただの人の子。
「処女が妊娠するわけがないでしょうが!」とどこぞの書物にも書かれているので、あくまでも人の子。聖書の神はゼウス神みたいなことはしなかったということで。
 人里離れた場所で修行する団体に属していたが、三十過ぎたくらいで機会を得て社会に出てくる。そこで見かけた弱者や虐げられている人たちを見捨てるとどうにも寝覚めが悪いなって活動開始。アンチクリストの著者からは無政府主義者とか書かれている。教えの中に「ひとを裁くな」とか「妻が浮気しても離婚はするな」とかあるとかどうとか。
 丘の上で磔にされ、最期はお祭りに行きたいからと手早く終わらせたくなった兵士長の命令によって、兵士の槍で横っ腹を刺されて死亡。
 死亡直後にあり得ないことが二つも重なったこともあって、後に弟子たちによって神格化されていくことに。

豹の男:婚約者のいる女を孕ませて、そのまま結婚させたヤツ。
 あらすじ参照。大工の義息子の助命を総督に頼んだらしい。
 参考・ティベリウス・ユリウス・アブデス・パンテラ

総督:かなり頑張ってくれたけどダメだった。

裏切りの弟子:最後の晩餐で13番目の席に座ったという弟子。
 彼があり得ない選択をした結果、師は死後に神子とか救世主などと呼ばれるようになっていく。その流れの中で、偉大なる帝国の歴史がブレイクしてしまうことに。

『究極の羯磨(テロス・カルマ)』:忌み数とも呼ばれる13番目の神滅具(ロンギヌス)。
 あり得ない選択肢を無理矢理発生させ、あり得ない事象を引き起こし、あり得ない結果を発生させるトンデモ神器。
 神滅具に認定されたのが13番目なだけで、紀元前から存在はしていた。というか、「死神の鎌を整(・)備(・)不(・)良(・)だ(・)っ(・)た(・)」ことにしているので、過去の改変も可能。
 ヒストリーブレイカーとか呼ばれることもあるらしい。
 
『黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』:神子を貫いた槍。最初の神滅具。
 聖書の神の遺志が宿っているらしいが、神器の製作者は聖書の神。

聖書の神:神器の製作はアザゼルの堕天前には既に行っていたようなので、紀元前にはもうバリバリと製作していたはず。
 長らく唯一神としてやって来たのに、いつのころからか神子と聖霊と合わせて三位一体がどうこうとか言われ始める。
 聖書の三大勢力の決戦で死亡したがそのことはトップシークレット。
 なお、死亡するよりもずっと前に『黄昏の聖槍』は製作済み。死亡直前に造ったのは、二天龍の神器のはず。
 とすると、聖槍に宿る遺志は、刺されて亡くなった神子にされてしまった人の子ののものなのかもしれない。
 
グレートレッド:夢幻の龍。赤龍神帝。
 黙示録には、ミカエルが率いた軍勢が龍と戦って勝利する場面があるが……D×D世界でこれは無理そう。

ドライグ:赤い龍の帝王。
 聖書の三大勢力による大戦に乱入して、ミカエルを含む軍勢に倒されてしまった赤い龍。なんならその後に神器という名の獄に囚われているまである。

ヨハネの黙示録:新約聖書の最後にある。
 D×D原作でも一部引用されていたりするので、存在しているらしい。
 ものの本によると、その内容はいわゆるお筆先とか幻視のようなものなので、文章の前後関係とか時系列とか気にせずに読めばいいんだよってことらしかったので、適当に読んでみる。
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