公爵家次期当主好色物語 作:ルペッタ好き
「レイヴェルが食べたい」
グレモリーのお城、その中にあるリヴラクス・グレモリーさまの後宮。私の部屋のベッドの上。
通過儀礼の遺跡に行った日の翌日、昨晩もたくさん可愛がってくださった旦那さまがそう仰いました。
「たくさん召し上がったでしょうに、急にどうされたのですか?」
私は今日から学校。その前に私をもっと食べたいだなんて、嬉しい。
思わず胸板に頬を寄せてしまいますわ。初めての日より、どんどんと逞しくなっていくお身体。うっとりとしてしまいますわ。
「違った。レイヴェルの作った朝食が食べたい。無性に」
ええ、この少し甘えたような口調が嬉しいのです。
既に使用人たちは食事の準備を進めているのでしょうけれど、予定を急に変更しても食材が無駄になることはありません。使用人たちが美味しくいただくだけですわ。
「はい、ではそのように致しますね」
旦那さまに私の料理を食べたいと言われては、張り切るしかありません。
去年の今頃は淑女の嗜みとして学んでいただけの料理でしたが、こうして求めてくださり、喜んでいただけると思うと……胸がキュンとなります。
「それとな……」
ふわりと抱きしめられ、蕩けるような声が耳から入ってきます。囁かれた言葉の内容を考えると……頭がボーッとしてしまいそうですの。
「え、あ……わ、わかりましたわ。少し、お待ちくださいまし」
食事だけでは満足できないなんて……その欲張りなところ、素敵ですわ。
婚約の日以来、この方は私を優しく、激しく、ときに意地悪く可愛がってくださいます。
今朝も……そう。私の身体も……心も……幸せで満たしてくださるのですね。いやらしい気持ちと、喜びがこみ上げて来て……あぁ♡
「それでは、用意しますね」
「ああ、楽しみにしている」
着替え終えた私は、後宮内に用意されたキッチンに立っております。ここの設備を見に行った先で、ラティアさまと顔を合わせたこともありましたわね。
見られておりますわ……。私のお尻に座って待つ旦那さまの視線がジッと注がれていますの。
裸の上にエプロン一枚……、エプロンは身体の前側を隠してくれますが、後ろはほとんど見えてしまっています。
調理を進めながらときどき後ろを振り返ってしまうのですが、旦那さまは椅子に座ってこちらを見ているばかり。
いついらしてくださるのだろうと、そればかりが気になってしまい簡単な工程がなかなか上手く行きません。
視線を気にしていると、だんだん身体が熱くなってきましたわ。気温が高いわけでもないのに、汗の粒が肌にじわじわと浮き上がってしまいます。
「んっ……♡」
エプロンに乳首が擦れて……。このあとのことを考えてしまうと、もうツンと尖ってしまって……。
着替えているときから、湿り始めていた箇所からおつゆが垂れて……。
気付いていらっしゃるはずなのに、どうしてまだ来て下さらないのかしら。
「だんなさまぁ……♡」
思わず振り返りながらお尻をゆらゆらと揺すってしまいます。はしたない真似をしていると分かっていますが、もうお腹の奥がきゅんきゅんとしてしまっていますの。
「レイヴェル、手が止まってるぞ」
ああ、旦那さまが意地の悪そうな顔をしていらっしゃいますわ。あの表情、あの瞳、嫌いではありません。むしろ大好きです。大好きですけど……今は。
じわりと涙があふれてしまいます。いつもいつもエッチのときに旦那さまにすすられるせいで、すっかり泣き癖がついてしまいました。だって、あの一番キモチイイ瞬間のあとに目尻に唇を落とされて、ちゅっと吸われるのがたまらなく幸せなのですもの。
朝は目玉焼きが良いな。以前そう聞いていたので、卵をフライパンに──焦がしてしまうとよろしくないそのタイミングになって、後ろから物音がしました。
椅子の動く音、足音が少しずつこちらへと近づいてきて。
大きな手のひらが私の髪に触れ、縦ロールにくるくると指を絡められます。梳く様にいじられたり、髪の流れに合わせて何度も撫でていただいたり。それだけで胸の奥がほわりと温かくなって、幸せな気持ちが湧き上がってきますわ。
「あの、髪が入ってしまいますから」
料理に髪の毛が入ってしまわないかちょっと心配ですわ。
「店じゃないんだから、少しぐらいは構わないけどな」
後ろから覆いかぶさるように、でも体重はかけないように抱きしめられました。いつの間にか服の前をはだけていらした旦那さまの体温が伝わって来て、とっても幸せですわ。
お尻に旦那さまの硬いモノが当たって……ああ。
思わず手を止めて振り返ると、頬を撫でられスッと顔と顔の距離が近づきました。
「……んっ……ん……ふ……♡」
軽く重ねられた唇の感触に、胸の奥からほわっとした幸福感が湧き上がってまいります。
私からも口を押し付けて行こうとすると、旦那さまはするりと距離を取ってしまいました。
「焦げるぞ」
「……ああん、いじわるしないでくださいまし」
手元を見れば、焼け具合が危険ですわ。焦がさないようにしないと……。
「ひゃっ……あっ♡ いまは、いまはダメですわ」
旦那さまの手のひらが、お尻とお腹を軽く優しくさすって、揉んで……♡
こうして手で悪戯されるのは心地好くて大好きなのですが、今は……これをされると料理が出来なくなってしまいますわ。
「あ、そこ……おなか……は……ぁ♡」
私のお腹は、旦那さまに開発されてしまってそっと撫でられるだけですぐに気持ち良くなってしまいますの。
「ああっ、そんな……とん、とんってされたらぁ……♡」
女の穴の一番奥から子宮に挿入していただいた『女王』の駒が、反応してしまっているのでしょうか。もう、そこにオーラを感じるだけで……大事な場所からじわじわってぇ。
「ふぁぁっ♡」
いけませんわ、いけませんわ。イきそうになってしまいましたわ。
私が必死に耐えていると、旦那さまの指が胸に……、クリに……、ああ、こんな、もうツンツンしちゃっていますのに、キュッて摘ままれたらぁ。
「はぁっうぅ……♡」
かるーく、あまーく、心地よい痺れが身体中を駆け巡るような心地。
「あーあ、焦げちゃったなぁ……」
ふと、気が付けば目玉焼きは焦げ焦げの失敗作になってしまいましたわ。
「申し訳ありません……。こんな簡単なことで失敗してしまった、ダメな『女王』にお仕置きしてくださいまし」
火を止めてジッと旦那さまを見詰めていると、その口元がイジワルに歪みます。
「お仕置きされたくてわざと失敗したんじゃないだろうな?」
「あぁぁっ、そんなことぉ……♡」
お尻を両手で掴まれ、足の間に旦那さまのモノがするりと入り込んできました。
──ずりゅ……じゅりゅ……。ぐち、ぶちゅぅッ……くちゅる……。
まだ入れてはもらえず、入り口とお豆をこすられて……。ああっ♡ いやらしい音が股の間から響いてくるようです。
硬く精力に満ちたペニスの感触とそこに滾るオーラが、旦那さまの興奮の度合いを伝えて来ているのに──
「あんっ♡ だんなさまぁ……♡ しました、わざと焦がしました。だから、はやく、んぁ、はやくぅ……くださいまし♡」
いつも、こうして私の方から求めさせようとなさるのですから……。旦那さまのこういうところ、もう、本当に、可愛い。
「まったく、こんなに欲しがってるところに挿れたんじゃ、全然お仕置きにならないなぁ」
可愛いなんて思ってしまったのがバレてしまったのでしょうか。膣の入口に先っちょだけ入った旦那さまが、そのことを咎めるように浅いところで暴れまわります。
こんな、こんな風にされてしまったら、すぐに……♡ おちんちん、奥まで、一番奥までハメ込んで欲しく……♡
「ひゃっあぁっ♡ あっ、んんっ、ふぅぅぅん……♡ おく、もっと、おくまで……ぇ♡」
「ハハッ、可愛いのはレイヴェルの方だな」
背中、翼のところ、舐められて。耳に息が……頭が蕩けそうですわ。
「ぁ……きゅうん♡」
あ……はいって♡ 奥まで、入れてもらえるのですね。私の、『王』さまの、熱くて硬いおちんちん。
そう思ったら、エプロンに擦れてる乳首が……もう限界まで尖ってたはずなのに、もっと腫れあがって……ぇ♡
沸騰した鍋みたいに愛液をこぼしてしまている膣内が、ぐらぐらって泡立って。
ず、ずずず……っって、ゆっくり形を教え込むみたいに、ゆっくりと私の中に埋まっていく存在感。
ああ、もう、こうなってしまったら、これ以外のことが何も考えられなくなってしまいますの♡
おちんちんの広がったところから、ヒダの一枚一枚が悦んでしまいますわ。だらしなく、いやらしく、アソコから汁が垂れて、太ももを伝って、床に落ちて……。
「んぁぁ……っ♡ あぅ……ぅぅん♡ 旦那さまぁ、旦那さまの、あ♡ 奥まできて、熱いっの♡」
「ああ、レイヴェルの中も熱いぞ。お前のこの燃えるような熱さがいい。溶けそうだ」
入口から、子宮まで、みっちりと私を気持ち良くするための形で埋め尽くされて、快感の波がそこから広がって……。
ああ、リヴラクスさま、リアスさま、旦那さま、『王』さま、ご主人さま。私は、この方の婚約者で、将来の妻で、『女王』で……
擦られなくても、こうして埋め尽くしていただくだけで気持ちよくて、とっても。これだけで、中だけでなく、身体中がきゅぅぅんってなってしまいますわ。
「ぁ……はっ♡ あ……っ、あぁぁア……ッッ♡♡」
「もしかして、もうイッてる?」
「ふぁい……♡ あふぅ……っ、旦那さまにこうしていただくと、すぐに……んっはぁっ♡」
私は旦那さまのもの。ですから、旦那さまは私をどうするのも自由自在。好きなときに、好きなだけ、好きなように……。
なかなかイかせてもらえず、一気にとても強い快感で意識を飛ばされてしまうときもあれば、こうしてゆるりとした悦楽をくださるときもあります。
昨晩は、ふわりと甘い絶頂を延々と味わい続けたので……それがまだ身体に残っていて、あぅ♡ こんな風に簡単に……何回も続けてぇ♡
「いいな、やっぱりレイヴェルの中は最高だ。ずっとこうしていたくなる」
「ふぁああああっ♡ あっ、ああっ♡ あふぁっ♡」
ぶちゅっ、ずちゅっとおちんちんが出入りするたびに、掻き出されたおつゆが恥ずかしい音を立てて吹き出していますわ。
「ここもこんなにして……、裸エプロンって言ったらこれだよな。バックから突きまくりながら、胸をこうして」
旦那さまの手が、おっぱいをぐにぐにって、あっ♡ 乳首、キュッて苛められたら♡
「昨日からあれだけヤったのに、レイヴェルのメス穴はまだまだ欲しがってるみたいだな」
「あんっ♡ だって、こんあ、恥ずかしい格好して……、そんなの、こうなるに決まっていますわ……ぁ♡」
裸の上からエプロン一枚だけ着けて料理してみせるなんて、旦那さまの以外、誰にも見せられない恥ずかしい姿ですもの。そんな格好をするのだと思ったら、着替える前からおちんちん欲しくなってしまいますわ。ずっと、焦らされているような気分でしたのに、それが、ようやく。
欲しい、欲しい。身体に必要なものが足りていない。そんな感覚が、こうして空いたところにハメていただくことで満たされて……幸せですわ♡ ああ、本当に、もう。
「あっ、あは……ッ♡ うぁ……あ──っ♡ はぁぁぁぁン♡♡!」
さっきのアクメ、まだ続いてたのに、また重ねてイってしまいましたわ。
官能の波が重なりあって、身体の中で響き合っているみたいですの。女の悦びで頭のなか、いっぱいになって……あっ、これ降りて来られなくなる♡
「おっ、イキっぱなしになってるな」
「はひぃ♡ ああっ、すごいですわ♡ また、んあっ♡ すご、あふぅ♡ やぁあん……こんな、このありょ、がっこ、ですのに……ぃ♡」
髪の毛の根元が、毛穴が全部開いてるみたい。全身に甘い感触が、ヴァギナはもうぐつぐつと煮え滾っていて、気持ち良すぎて、声がどんどんおっきくなっちゃ……う。
「そうだ、学校休んじゃえよ。な、そうしよう? そうしたら、午前中いっぱいシてられるぞ?」
「あぅぅ、ダメっ、ダメですわっ♡ がっこ、いきます。いかないと……ダメになってしまいますわぁぁ♡♡」
旦那さまと早く結婚するために、飛び級したいのにこんなの♡ あひッ、あ、また、ン♡
「そんなこと言って、レイヴェルの腰はもっともっとっておねだりしてるぞ」
「あああッ……♡♡」
腰がクイクイと動いてしまいます。エッチなおねだり止められませんの。
「ずるいですわ、ずるいですわ♡ 旦那さまに、こうされたら、わたしっ、わたしぃ……♡♡」
逆らえなくなってしまいますわ。
二十年が、二十日間……私がいない間に、他の女と、何年も……んあっ♡ でも、結婚、一番に……。
「ほら、な、いいだろ? 今日だけじゃなくて、今月いっぱい休んじゃってさ、一緒に過ごそう? な?」
「ああン、だめぇ、だめですわぁ♡」
いっつも、旦那さまに、これを、されると、負けちゃう。
勝てなくて、言うこと聞いてしまいますのぉ♡
んんぅ、でも、でも、でもでもでもぉ……そう言って下さるの、嬉しいっ! 嬉しいッ! 嬉しいですわぁッ♡!!
「んおッ! ……レイヴェル、そろそろ」
ああ、おちんちんがドクドク脈打ってるぅ……♡
私を支配する『王』さまが、おっきくなってる。擦れて、溶けあって、ひとつになってるみたいでぇ。
イキっぱなしの身体に、頭の中に、心に、もうすぐ来る快感への期待が走り回って、もっと気持ちよくッ♡
「ああっ、出して、出してくださいましっ! かけて、たくさん、奥に、赤ちゃんの部屋、いっぱいにぃ♡ 旦那さまの、たくさん……くださいましぃぃっ♡♡!」
ひゃぁっ、っんあっ、来るうぅっ♡ 来ちゃう、精液、ザーメン、中にぃ♡ あっあっ、駆け上って来てるの分かりますわ。
あっ、もう、もう……くる、くる、くるくるくる──……!
「んっ──」
あっ──きた……♡
「あぁぅぅっっぁぁあ……ッ♡♡゛ ふっあッ♡ あああああああぁッ♡♡♡」
どぴゅっ、ぐぶぷっ……!! ぶぴゅりゅりゅっ……っ! って、お腹の中で爆ぜてますわ。旦那さまの、白いドロドロしたの、跳ね回ってますの♡
ああ温かい♡ 熱い♡ 愛しい♡ 愛おしい♡
んあっ、これぇ、これぇ……。これですわぁ、これをいただくと、わたし、いろいろなものを簡単に流されてしまってぇ……♡
「出されながら、ここ撫でられるの好きだよな」
「ひやぁっう~~~~っ♡♡♡」
中出しされながら、お腹も一緒に優しくされちゃうと……幸せ過ぎて、何も考えられなくなってしまいます。もう、イッてることしか……分からない。
バカになりゅ、気持ち良すぎてバカになってしまいますわぁ♡
放出が止まっても、旦那さまは私を掴んだまま離れようとはされません。
優しく首からお尻までを撫でてくださったり、あちこちにキスをしてくださったり。
子種を受け入れた歓びのなか、こうして労わるような後戯れをしていただくと……ああ、もう、とろんと心が蕩けてウットリとして──
「ふっぁん♡ ひぃん♡ あっ、ああッ♡ だんあしゃま……いまは、まだッ、ああっン♡♡」
余韻のなかでウットリといていたのに、また、それも、こんな、激しくなんて……ぇ♡
「イッてますのぉ♡ まだ、まだぁ、やめっ、行けなくなっちゃいますわぁ♡」
「イケないのは大変だ。頑張ってイカせまくってやらないとなぁッ!」
「んんっ、ちがっ、違いますのっ♡ 時間、このまま、つづけ、がっこ、まにあわな……ぁぁああ♡」
「学校よりこっちのほうが好きだろ!?」
「ああんッ♡ 好き、好きですけどぉ♡ あっ、やめっ、んあッ♡ 堪忍してくださいましぃぃ♡♡」
あっ、また、またイッちゃ……あっ、ああああああッ♡♡♡
と、夢中になっている間に、目玉焼きは炭のようになっておりました。
それでも、旦那さまは「こういうのがいいんだよ」と食べてくださいましたけれども……。えっちに耽って失敗した料理が好みだなんて、仕方のないヒトですわ。
こういった物が良いのでしたら、また作って差し上げたいですわね♡
「で、結局学校に行っちゃうのか」
「さすがに、初日は……ご理解くださいまし。冬休み中のことで、いろいろと活動もしなくてはいけませんので」
ううう、なんとか新学期初日の登校は勝ち取りましたが、負けてしまいたくて仕方がない自分が居ることを認めるしかありませんわ。
ああ、ですけど……結婚早くしたいですし……。でも、他の女と何年も差がついて……あああああっ!
決めたのに、決めておりましたのに、旦那さまは、私の『王』さまは、もう、もう、もうっ! いつも、こういったギリギリになってから、わがままを仰るのですから♡
「まぁ、いろいろあったから学校で聞かれるか」
「ええ、勉強というよりも社交の場ですからね」
私の通う首都の名門学校は、勉学の場というよりも同世代の方々や教師陣とのコネクション作りがメインの場所です。
「いつも、すまないな」
「いいえ、あなたの『女王』にお任せくださいまし」
学校の制服に着替えた私を、旦那さまは名残惜しそうな瞳で見送って下さっています。
ただ、その愛しい旦那さまのお姿に気になる点がひとつ。
「これか?」
「はい、昨日までは着けていらっしゃいませんでしたよね?」
何やら見慣れないアクセサリーを首にかけていらっしゃいます。これまでに見かけたことの無いシンプルなデザインの首飾りなのですが……不思議とどこかで見たような気も致しますわね。
「レイヴェル」
そう仰ると、旦那さまは亜空間の収納から何やら取り出されました。
何でしょうかと見れば、それは旦那さまの着けていらっしゃるものと同じデザインのペンダントで、それを私の首に……。
「くださるのですか?」
かけて頂いたペンダントのトップからは、旦那さまのオーラが感じられます。
「禁手のときの宝玉なんだが、外したあとに解除しても残るようだったから加工させてみたんだ。大きさは俺の意思で変えられるみたいでな」
どこかで見た覚えのある色合いのだとは思いましたが、これはあの宝玉だったようです。
うふふ、お揃いだなんて……嬉しい!
もっとお話ししていたいのですけど、ちょっと……いえ、かなりお休みしてしまいたくなってしまいましたけど……、もう出かけないとダメですわね。
「では、行ってまいります!」
ああっ、ちょっと、こう、背中から火の粉が飛んでしまいますの!
護衛の方々は火傷しないようにお気を付けくださいまし!
―○●○―
どうやらオーフィスにナニカされたらしく、どうにも今日の記憶がぼんやりとしてしまっている。
起きたところから思い出そうとすると、うん。
朝は早起きしてこんな感じでレイヴェルを見送って――それから。
ああ、そうだ。
昼前にラティアが来て、それでローゼンクロイツも交えてフィールド創りの打ち合わせをしたんだった。
なんだかもう半分くらい忘れそうになっていたが、一応、名目としてはローゼンクロイツの子供の治療用に時間制御フィールドを創るって話だったんだよな。
おお、だんだんと思い出して来た。
いや、しかし、ローゼンクロイツも思い切ったことをしたものだ。
嫁さんを転生させる分の駒を確保できるように、眷属をトレードしたらどうかって勧めていたんだが……まさか、全員放出するとはなぁ。思い切りのいいやつだ。
『王の駒』ではなくて、アドバンスト・クラウンなしの『王』をトップとして七位まで行ったローゼンクロイツの眷属は冥界の最精鋭の一角と言っても過言ではない。
それを、ミリキャスが全員引き受けるとかさぁ……。もうこれ、うちの甥っ子がレーティングゲームデビューしたら速攻で駆け上がっていくこと間違いなしだろ。
というか俺が眷属集めの許可もらったのは去年のことだと言うのに、ミリキャスくん、早すぎない……?
って俺が勧めたんだけど。
旧政府の残党に堕天使、どちらの勢力からも兄上と義姉上の子供であるミリキャスは狙われる可能性がある。
そこにレーティングゲームでのこととは言え、魔王クラスとも呼ばれるトップ10内のランカーを相手にして、勝ち星を上げることもあったローゼンクロイツ眷属ってのは丁度良かったんだろうな。
なかなかこの強さの護衛はいないだろうし。
ミリキャス・グレモリー眷属:
『王』のミリキャスは30年後には超越者(原作設定)。
眷属は『王』の駒無しで7位まで行って引退したリュディガー・ローゼンクロイツの眷属のメンバーを全員引き受ける。
将来のトップランカー有力候補。
おまけでイリューカ・グラシャラボラス:
名門と呼ばれる学校は二校ある。ボクやレイヴェルが通っている首都の学校と、兄さんがすぐに行かなくなっちゃったアスタロト領の学校。
元人間の転生悪魔たちからすると、冥界における悪魔の支配地域はだいたい人間界の北半球くらいあるのに二校だけなんて少ないって思うらしい。
でも、悪魔の子供って人数が少ないから学校の数を増やしても生徒数が足りなくなっちゃうんだよね。親が中級悪魔の子は一応貴族の子供扱いだから、お金さえあれば通えるんだけどそれにしたって数は少ないんだ。
だから魔王サーゼクス・ルシファーさまのお城のある首都と、魔王アジュカ・ベルゼブブさまの生家であるアスタロト家の領内の二校だけ。うちのグラシャラボラス家も魔王輩出の御家なんだけど……ルシファーさまとベルゼブブさまが超越者だからなのかな?
首都とアスタロト領に置くのが位置的に丁度いいってこともあったみたいだけれど、ちょっとねー。シトリー領にもないけどさ、貴族や平民の富裕層向けの学校って。
「お久しぶりです、イリューカさま」
通っている首都の学校に着くと、すぐに周りを取り囲まれる。「イリューカさま」「イリューカさま」って挨拶が多い、多い。いちいち返すのも大変だけど、礼儀正しいボクはちゃんと応えるんだから偉いよね。
ボクから学校での話を聞いた兄さんが「ウゼェ……」って言って行きたくなくなっちゃうのも分かる気がする。たぶん、兄さんだったら無視してさっさと行っちゃうんだろうな。姉さんはこういうのも楽しんでたらしいけど……ボクにはどっちも無理かな。
いわゆる取り巻きってヒトたちだ。ボクってさ、魔王輩出の名門グラシャラボラスの本家当主の娘だから、こういうヒトたちが自然と周りに出来るワケ。
この学校に通っている生徒たちっていうか、子供を通わせている親の目的は子供を通してコネを作ることだからね。
でも、これ冬休み前よりちょっと減ったかも?
「イリューカさま、あちらを……」
ボクの周りを囲んでいるヒトの内の何人かが、そう言ってその理由を教えてくれた。
ああ、レイヴェルのところに行ったんだ。そっか、そっか。うん、うん。レイヴェルも大変だよね。
ボクの周りからレイヴェルの方へと移ったのは、パッと見た感じだと富裕層の平民の子が多そうかな? 中級悪魔の位は政府への献金って形の功績で買えるから、魔力は少なくてもお金があればここに通えるんだよね。
ま、そういうところの子は元々フェニックス家にすり寄ってる子が多かったんだけどさ。去年までボクのところに来てた子たちも、年末からの騒動を見た親に言われてあっちに寄って行ったのかな。
別にいいけど、ふーんって感じ。
「あら、あの教師……いやですわね」
ああ、学校の教師の中にもそっち行くヒトがいるんだ。
ここの教師って生徒相手には偉そうにしていることが多いけど、ボクやレイヴェルからするとかなり格下になるんだよね。結局、生徒とコネを作るのがお仕事みたいなものだからさ。
そのコネを使って別のヒトにかつての生徒を紹介するみたいな? たくさんの生徒と繋がりのある教師と仲良くなっておけば、将来役に立つよーみたいな?
で、コネの欲しい親御さんたちからお金をもらうっていうのが先生たちの本当のお仕事。だけど、ボクみたいな元七十二柱本家の子は、そういうのいらないんだ。むしろ、教師たちの方から寄ってくるから。
学校ってつまり、そういうところ。社会勉強だよね、これも。上手く扱えるようになりなさいって父さんからも言われてるしね。
兄さんや龍帝さんは通ってないけどさ。
……ちょっと羨ましいような気がしたりして。んー……でも、こういう経験って今の内しか出来ないから、これはこれで貴重なのかな? 姉さんは、もっと学生やっていたいって言ってたしね。
「おはよう、レイヴェル」
それじゃ、この学校の同級生でボクが一番気に掛けないといけない相手のところに行きますか。
周りの子たちは、なぜだかボクとレイヴェルを対立させたいみたいな感じなんだけどさ。いや、理由はわかるけどね。
でも、この子たちとレイヴェル。どっちがグラシャラボラス家にとって重要なのかって、そんなのレイヴェルの方に決まってる。
ということで、今日もボクは周りは置いておいてレイヴェルに話しかけるんだ。
「おはようございます、イリューカさん」
うん……今日のレイヴェルは、ちょっと気持ち悪い。いや、なんだろ? こう顔がニヤニヤっとしちゃうのを我慢してて、でも我慢しきれなくて漏れちゃってる感じの顔してる。
レイヴェルは内心がすぐに顔に出ちゃう子だから、とっても分かりやすい。取り巻きが増えてご満悦ってワケではなさそうだけど。
この子の周りは、お休みの間にいろいろあり過ぎだったから、この顔の理由はちょっと分からないかな……?
「うふふ」
あ、分かったかも。
「どうしたのそれ?」
視線がちらちら胸元に行ってるよ、レイヴェル。分かりやすすぎるよ、レイヴェル。
「あとでお話ししますわ」
そろそろ教室に行かないとかー。あれ、何の石だろ? ボクの知ってるどの宝石でもないみたい。
レイヴェルの様子からして、安物ってことはないだろうけど。
うーん? 気になるなぁ。