公爵家次期当主好色物語 作:ルペッタ好き
R18なネタが出て来たけど書かないうちに忘れちゃうと困る。でも、書き上げると保管しておけなくてすぐに投稿したくなってしまうんだ。
HD×D Universe 堕天の狗神 -SLASHDØG- から七滝詩求子
『はぁー? お腹壊して行けないって、ウッソでしょあんた。修学旅行だよ!? 信じらんない!』
「うっぐぐ……おなかいたい」
『海外旅行! しかも、豪華客船! だってーのに、また落ちてたものでも食べたの? ほんっとあんたって見た目と違って食い意地張ってるんだから』
「またって、拾ってなんか……ううう」
『前に落ちてた柿拾ってさぁー……って、ほんと大丈夫?』
人生一度きりの大事な高校の修学旅行出発当日、原因不明の腹痛によって
あんなに楽しみにしていたのに、と無理をしてでも玄関に向かおうとすると、お腹が物凄く痛くなる。
「うん……だいじょうぶじゃない」
『ええ、うわ、どうしよ? あんたって一人暮らしだったよね? どうする? 救急車よぶ?』
「そ、そこまでしなくても……た、ぶん、寝てれば治ると思う」
『うわ、困ったな。声がマジでヤバそうじゃん。あー……っと』
「だいじょうぶじゃないけど、だいじょうぶだから、気にしないで、時間、間に合わなく」
ベッドの上で大人しく横になっていればそれほどではないのに、出かけようとするともう耐えられない。
昨日の夜に食べ過ぎたなんてことはないはずなのに、今日だけはどうしてかズキズキジクジクとどうにもならなかった。
いつもは、どれだけ食べても平気なのに……。
『あー、ホントだ! えっとさ、うちのおかーさんに見に行ってもらうから、番号、おしえちゃうからね』
「あ、うん……ありがと」
どうして今日という日に限ってこんなことに……。
『お土産、お菓子とかいっぱい買ってくるから。それまでに治しとくのよ』
「うん、いってらっしゃい」
そう言って電話の向こうの同級生を修学旅行に送りだした、その四日後──。
シグネは、テレビの前で呆然としていた。
緊急のニュース番組に映るのは、ヘリから撮影された海の様子。その映像の中心にあるのは、煙を上げながら海へと沈んでいく豪華客船の姿。
画面右上には、『ヘブンリィ・オブ・アロハ号、謎の海上事故!』と表示され。
流れてくる音声は、『乗船していた修学旅行中の
「うそ……」
両親は、もういない。親類も皆いなくなってしまった。
そして、学校の友達も、同級生も、みんな海の中に……。
高校二年生の五月初旬、シグネはひとりぼっちになった──。
学校の友達、同級生、教師、皆がいなくなってしまったあの船の事故から一か月ほど経った頃、シグネは転校の手続きを進めていた。
「駒王学園……か」
体調不良などで修学旅行に行けなかったがために生き残った僅かな生徒たちは、事故後にマスコミの取材攻勢にさらされた。家の外を見れば誰かがこちらを伺っている……そんな生活がしばらく続き、やがて世間の関心が薄れてそれが納まり始めたタイミングだ。
もう、先月まで通っていた陵空高校には通えない。同級生のほとんどと、教師全員がいなくなってしまったので二年生の授業はもう不可能だ。
「見学できるんだ」
独り言が増えてしまったと思う。
家族もいない。友人は死んでしまった。出かけることも難しい。どこから知ったのか、シグネのケータイにかかってくる知らない番号はマスコミや
人と話すことが苦痛になり、誰かと会うことがほとんどない。そんな一か月の中、シグネにはいつの間にか独り言のクセがついていた。
「条件は、いいんだよね」
いくつかある転校先の候補の中からシグネがその私立の学園に目を留めたのは、
本来ならば、途中からの入学は試験が必要なのだけれど、シグネの
寮では食事も出るし、周囲は女性ばかりなので
「派手なんだよね」
そう呟いてシグネは鏡を見た。鏡の中に映るシグネの姿は、美少女と形容してなんら問題のないものだ。
シグネの容姿で最も特徴的な部分は、右が青く、左が黒いオッドアイだろう。その左右色違いの瞳は、彼女を見る者に不思議な気分を呼び起こす。
日本と西欧の血を引く彼女の眉目は麗しく、暗めのブロンドには艶がある。そのスタイルも「なんであんなに食べてるのにそんなスタイルいいのよ! おかしいでしょ!」とよく言われていた。
修学旅行のあの日まで、『陵空高校のなかでも一番の美少女』と学内、学外問わず同年代の学生たちから呼ばれていたことは、シグネ自身も知っていたことだ。
秀でて派手な容姿は、異性を惹きつけ、同性に羨まれる。シグネのこれまでの人生において、その手のトラブルは何度も発生していた。
そして、彼女のその容姿は『修学旅行の惨事の生き残り』として、世間に彼女のことが知れ渡って以来、あまり良くない人物を招き寄せることにも繋がってしまったのだ。
「はぁ……」
ため息をつくと、シグネはこの一か月の間に幾度か食料を求めて外出した時の恐怖を思い出す。
マスコミの対応は──まだ良かった。問題は、これまで会ったこともないのに心配するような声をかけながら近づいてくる男性だ。話をすぐに打ち切って逃げ出したらけれど、ずっと後を追いかけられたこともある。
一時期マスコミが張り付いていたので、どこに彼女の家があるかなど近隣の人たちにはすぐに分かったことだろう。そして、そこから情報が広がって……。
今のところ何も起きてはいないけれど、ああいった人に家の場所まで知られてしまっていることが怖くて仕方がなかった。
「もう、ここには住めないよね」
それを考えると、離れた地で高校、大学と女子寮住まいというのは悪くない選択に思えた。学園の敷地内にあるので外部の者は出入りできないし、通学時も外部の人と会うことがない。
さすがに、買い物などに出かけるとなるとそうもいかないけれど、通学と違って時間を見定めて張り込まれることはなくなるはずだ。
「行ってみようかな。見学」
シグネが連絡すると、駒王学園の対応は素早かった。
一時期に比べて少なくなったとはいえ未だマスコミに張り付かれていることを伝えると、迎えの車まで出してくれると言う。
そのときには、とても目立つ人物が同乗するのでまず間違えることはないだろうとも伝えられた。
「紅い髪に、紫の目の、北欧系の人って話だけど……って、え、理事長先生?」
気になって少し調べてみると、その人物は幼稚園から大学までを揃える駒王学園全体のトップになる理事長本人のようだった。
駒王学園は、北欧のとある国の貴族家が経営している学園で、迎えに来てくれるその人は貴族家の御曹司らしい。
「なんだか、とんでもないことになっちゃった……あ」
シグネのお腹がグーっと鳴った。彼女の家系は代々大食いで、燃費が悪い。
特にシグネは、そんな家系の中でも随一の大食いハラペコ少女らしい。
それは彼女の内に宿る存在の影響も大きいのだが──シグネはまだこの時、そのことを知らなかった。
駒王学園の見学に出かける日、シグネは迎えに来てくれた車から現れた人を見てポカンと口を開けてしまった。
その人の背は高く、身体つきは引き締まっていて、所作は綺麗。
顔立ちは冗談のように整っていて、本当に同じ人間なのだろうかと思えてしまう。
髪の色は、聞いていた通りのストロベリーブロンドよりもなお
そして神秘的な色合いを見せる紫の瞳。その瞳には、他者に命令することに慣れた支配階級の者だけが持つ傲慢な輝きが宿っている。そんな印象をシグネは覚えた。
彼のその瞳にシグネが覚えた印象は決して好意的なものではない。それなのに何故か強く惹きつけられて目が離せない。
シグネの青と黒の瞳をひたと見つめてくるその紫に、心が吸い込まれてしまうよう。
「あ、え……えと」
シグネも年頃の女の子だ。こんな人外めいた美形の男性を目にすれば、頭が回らなくもなる。
漫画的に表現すれば、頭からプシューと蒸気が噴いているような状態だ。
「行こうか」
「は、はひ……」
低く艶のある彼の声を聞いて、思わず返事を噛んでしまったシグネ。彼女はそのことに赤くなっていた顔をさらに真っ赤に染め、うながされるまま車に乗り込んだ。
「ここが駒王学園だ。……その、大丈夫か?」
「だいじょうぶじゃないけど、だいじょうぶです。はい」
車中でどんな会話をしていたのか、シグネの頭にはさっぱり記憶が残っていなかった。
心臓がバクバクと鳴っている。このまま死んでしまいそうだ。
その上、彼女のお腹はこんなときに、きゅるーと鳴ってしまった。
「あ、もう、しんじゃいそう……」
恥ずかしさに震えるシグネを、理事長はさりげなくエスコートしてくれた。
聞かなかったフリをされるよりも、笑ってくれた方が気が楽なのに。でも、やっぱり笑われたら辛いかもしれない。
「ここが質問のあった学生寮だ。共学になってまもなく、男子学生も少ないから、今のところは女子寮だけになっている。男子学生は近隣からの通学者が多いから、おそらくは今後もそのままだろう」
周りを見る余裕もなく、案内されるままに理事長について歩いたシグネの目の前には、新築の色合いを見せる女子寮の建物があった。
「新しいですね」
「ああ、すぐ近くの中学校でのぞき被害が多発していると報告があったから、セキュリティの向上のためにも新しくさせたところだ。向こうに見えるのが、前の建物になる」
示された方向にシグネが目を向けると、なるほど確かに目の前のものより年季の入った建物がある。
「近くで、のぞき事件があっただけで寮を新しくしたんですか?」
「ここには俺の身内も通っている。だから、その手の被害が起きる可能性は出来る限り潰しておきたい。と、まぁ、半分は俺のワガママだ。元々古くなってもいたから、丁度いい機会でもあったが」
「そうなんですか」
どうせ住むなら、古い寮より最新式の方が良い。シグネの中では、もうほとんどこの学校に来ることが決まりかけていた。
というよりも、学園までの道中の車内でほぼ陥落していたようなものだ。
「さて、中も見たいだろう?」
「あ、はい」
男子禁制だから、俺が入ったことは秘密にしてくれ。そんなセリフを冗談めかして言いつつ、理事長は入り口横の装置に手をかざし、慣れた様子でドアを開いた。
「寮の食事についても気になるということだったので、実は用意させているのだが……食べるよな?」
と最初にシグネが覚えた印象を覆す、からかうような笑み。さっきの「お腹きゅるー」を時間差で攻撃されて、シグネはまたもや真っ赤になった。
「ひどいよ、理事長先生」
でも、何故か不快感はない。むしろ……。
(私って、こんなに……うう)
食堂に用意されていた食事を一口食べたシグネの感想は、「美味しい……」の一言だった。
思っていたよりも、全然上だ。シグネはたくさん食べるが、味にそこまで煩いわけではない。でも、出来ることなら美味しい方が良いに決まっている。
「先生、私ここに通います」
「うん、それは嬉しいが……まだ他も見て回るからな」
食事後に少し休憩を挟むと、今度は高等部の敷地に入った。
「そういえば、理事長先生は、その、ずっと私の案内をしていただいてますけど……良かったの?」
シグネがそう言うと理事長は少し困ったような顔をした後、彼女と目を合わせた。
「あまり思い出させるのもどうかと思ったが、キミの事情は少し特殊だろう?」
「あ……はい」
「それと、俺はマスコミが嫌いだ。七滝もあれから随分と迷惑をこうむっただろうと思うと、少し、な」
「ほんとうに大変で。学園の理事長先生もああいうことがあるんですか?」
「いや、俺はこの国の人間ではないのだが……」
「貴族でしたっけ?」
「自国では有名人だから、色々とあるんだ」
この一か月、マスコミに大変悩まされて来たシグネ。彼女は理事長のそのどこか疲れを滲ませた言葉に、ひどく親近感を抱いた。
こんな凄そうな人でも、やっぱり困っていることはあるんだ、と。
「それでは、来週からお世話になります」
学園内を見終わったシグネは、送ってもらった自宅前でそう言って理事長に頭を下げた。
「そうか、歓迎するよ。……こちらに来るまで、気を付けるんだぞ」
「はい」
嬉しそうに笑う理事長に、ドギマギとしながら挨拶し彼女は自宅のドアを閉めた。
―○●○―
「この辺りにいる鬱陶しい奴らをどうにかしておけ」
「ハッ、既に処置させております」
「仕事が早いな」
「ありがとうございます」
帰りの車内で、運転手をさせていた部下に偉そうに話す俺はリヴラクス・グレモリー。
日本で、連日報道されているニュースがあったので気になって調べてみたところ、なかなかの美少女が転校しなければならない事態になっていた。
これは確保するしかない。そう思い急ぎ手を回したのだが、日本の各所に影響力を持つグレモリー家でも、そのうちの一人しか確保できなかった。
どうやら何処かしらの勢力が、海難事故を逃れた生徒を確保しようと動いた節がある。
『なぁ、ドライグ』
『なんだ?』
『あの七滝詩求子だが、神器の気配がしなかったか?』
『ああ、あれはおそらく……
ドライグと同じように、聖書の神によって神器に封じられてしまった者はかなりの数に上る。
『四凶の一だったな』
『そうだ、その中でも最強にして最悪と恐れられる、概念すらも喰らう食い意地のバケモノだ』
『美少女にして、四凶最強の怪物。いいじゃないか』
亜空間から未使用の『悪魔の駒』を取り出し、それらを宙に浮かべてくるくると回す。
『眷属に加えるつもりか?』
『俺とレイヴェルだと、眷属集めは俺が担当した方が容量の関係で有利だからな』
トレードで入れ替えることも簡単だから、こういった良い機会があれば狙っていきたいものだ。
『扱いの難しいヤツだぞ』
『ふむ、俺の駒だと「戦車」が好相性か。……だが、強い。そうだろう?』
『ああ、それだけは確かだ』
他の生徒たちも気になるが、俺の邪魔をしたのがどこの勢力か探らないとマズイか。
実は悪魔同士でやりあっていました、なんてことだったりすると目も当てられん。
まぁ、饕餮のシグネは俺がいただくがな。
オリ主:
TSリアス部長なので、見た目は非常に良い。
それに加えて、ドラゴンオーラとグレモリーの(エロ)魔力を搭載。
裏の世界も知らない(まだ)一般女性ではな……。