公爵家次期当主好色物語 作:ルペッタ好き
レイヴェルの説得は順調に進んだ。使い魔にして常時使用可能にするくらいなら、自分の眷属に迎え入れた方がイイと何度も言ってくれた。
が、俺はもう白猫使い魔プロジェクトを思い描いてしまったので、これは取りやめない。ふふん、嫁さんに弱いと噂のグレモリー男児だって、ヤルときはヤルのだ。
今後、同じようなことを頼んだときにはきっと快く応じてくれることだろう。いや、それだとレイヴェルの「いやっ、いやー」を聞きながらイタすことがなくなってしまうのか……これは難問だ。
本日の俺の予定は、自宅学習である。しかも自習。
今生の俺の頭脳はハイスペックだったようで、学校のカリキュラムを無視して進める自宅学習(特例)をしていると必要な過程がサクサク進んで行く。
そうすると、ぶっちゃけヒマになるのだ。学校にありがちな行事のための時間とかもないしね……おかげで交友関係が狭いのだが。
レイヴェルはもう学校に行っているし、朱乃は現在義姉上に預けて教育させているので、ちょっとヒマが出来たからと呼び出すことも出来ない。義姉上にも、育成計画があるだろうし。
同年代はみんな学校で授業中、俺は暇。バアル大王家への訪問は、次の学校の休みの日と既に連絡・調整済み。
今まではこの空いた時間を使ってこれまでは魔力の増大に努めてきたわけだが──。
『なぁ、ドライグ』
『なんだ?』
『スタミナ付けるって、とりあえず走ったらいいのかね?』
『一人ならそうだろうな。相手がいるのなら、戦闘訓練をひたすら重ねるのも有効だったが。実戦向きに鍛えられるぞ』
我が相棒にして、歴代赤龍帝のトレーニング風景を見続けてきたドラゴンでもあるドライグ。
彼はちょっと、なんでもかんでも戦闘に直結させて思考してしまうところがある。いや、戦闘用神器に宿っている魂としては正しいのかもしれないが。
『最近ちょっと腹筋が割れて来たんだよな。腕とかも筋肉も付き始めたし』
筋トレをした覚えはないので、これはやはり寝室での闘争の結果だろう。腰振りまくったり、レイヴェルを上げたり下げたりしてズポズポ、朱乃の尻を叩いたり胸を揉んだりしてついた筋肉だ。
うーん、実戦的。興奮してると普段よりも力が発揮できる。つまり、いわゆる火事場のクソ力的な状態で「ふんぬぉおおお!」と頑張った結果なのだろう。体位によっては結構力要るしな。実際、昨晩膝上にのせたレイヴェルを上下しまくったせいなのか、あちこち筋肉痛である。
少し前までは貴族的優男だった俺。そんなヤツが、ワイルドセックスマシーンな肉体を手に入れる日は近いのかもしれない。
ということは……メイドたちを筋トレマシーンに見立てて、こうスクワット一回ごとにズポっとするとか、腕立てとピストンを連動させるとか、つるしたメイドの穴に向けて懸垂で挿し込むとか。そういう訓練をしたらはかどるのではないだろうか。腹筋も同じ要領でいけるかもしれないな。
筋肉ピクピクしてるギリギリの辺りは辛い。辛いが気合を入れて動かせば、そこにはメイド穴が待っている。そうなれば、忍耐の足りない次男な俺でも意外と頑張れるかもしれん。
うーん、バカらしい。
『で、結局走るのか』
レーティングゲームのフィールド作成技術と同じもので作られた、俺とその眷属用の空間を走る。
体力づくりを始めた俺の新たなる師匠は、二天龍の赤い方ことア・ドライグ・ゴッホ。魔力の師匠が初代バアルのゼクラム祖父さんで、ハーレム道の師匠がハレキン先輩ことライザー義兄上だ。実に豪華な顔ぶれと言えよう。山のような金積んでも、そうそう得られないだろう面子だ。
『ハーレム王になるためには、「まずはスタミナが必須ですわ!」って言われたからな』
精力はなんとかなるのだ、膨大な魔力のおかげなのか知らんが、どんどん絶倫になっていっている。魔力が肉体に作用して、俺のハーレム王願望を叶えようとしてくれているのだろう。たぶん。
だが、このスタミナの方はどうにも自力で鍛えないといかんらしい。一晩で眷属全員に三回はヤル。それもガッツリと。それに必要なだけの体力を付けねばならん。
ついでに白龍皇との戦いの役にも立つだろうし。あって困ることは無いのがスタミナってヤツなのだろう。
ヒョロヒョロ貴族を卒業するのだ。でも、サイラオーグみたいなムキムキマッチョはごめんだ。モテそうな感じの締まった肉体美になりたいものだ。いや、マッチョも需要はあるらしいけど。
『きっつ……、吐きそうなんだが、これ』
『キツクなければ何の意味もないだろうが。戦闘に必要な肉体づくりには、緩急が必要だ。短距離を駆け抜けるつもりで全力で走れ、呼吸の限界まできたら緩やかに速度を落としつつ走る。だが止まらず走り続けろ』
『ういす……』
『そら、息が整ってきたな。もう一度全速力で走れ。これを倒れる限界まで繰り返せ』
死ぬ……、だがこれがハーレム王に必要と言われるとなんとなく理解できてしまう。一気に責めるときは責め、その後緩やかにして、しかし昂ぶりが落ち着く前にまた急激に責める。時には弱点を連続で責めさいなみ、その後イキ着く前に快感の弱い場所で焦らしてやり、そしてまた急転直下で責め立てる。
ドライグの言う、スタミナ? を付ける訓練法はたしかにハーレム王に続いているのだろう。
ハレキン先輩ことライザー義兄上なんて、鍛えていないなんて言ってるわりにはスタミナあるからな。レーティングゲームの試合を見ていると、ライザー義兄上はかなり被弾して不死身の特性を発揮させている。しかし、そうそうスタミナ切れで撃沈することは無い。
レイヴェルに聞いてみると、不死身の特性は魔力以上にスタミナを消耗するらしいので、ライザー義兄上のあの戦闘スタイルは相当なスタミナがなければ出来ないはずなのだ。でも、あの人、持久走はそう得意でもないらしいし、やはりベッドの上の戦争で付けた体力に違いない。
『ハーレム王にはスタミナが必要。やはりレイヴェルの言う通りなのか』
『こんな平らな場所ではなく、山などの方が効果が高いぞ』
『この上、足場を不安定にして、さらに勾配をつけるのか……』
あー、も無理。死ぬ、死んでしまう。息がもう、あれだ、心臓がおっそろしいことになっている。
膝をついて、ぜひぜひと息を吐いているんだか吸っているんだか。
『五キロも経たずに何をやっている。最低ラインとして、毎日二十キロはこれをやれるようになっておけ』
ドライグコーチ厳し過ぎない……? そんなの出来たら、俺はマラソン選手になれてしまう。
『人間如きでもやれていたことだ。肉体的に人間に勝る悪魔のお前が出来ないなどと言うなよ』
純血悪魔が人間如きに、と言われては何も言い返せない。魔力使えばどうとでもなるんだが。
『ドライグは、歴代の赤龍帝にもこういうトレーニングを頼まれたりしていたのか?』
『いや、なかったな。お前が術でドラゴンに変身するというから引き受けたが……そうだな、感傷かもしれん』
『感傷……?』
『お前はバケモノだ。今はまだまだだが、その身に宿る才能を育て上げれば、「赤龍帝の籠手」なしでも全盛期の俺とやり合えるだけの素質を持っている。話に聞く、サーゼクス・ルシファーの真の姿のようにな』
『まぁ、兄弟だからな。同程度の素質があってもおかしくないだろう』
『純血悪魔の赤龍帝というだけでもおかしいのだ。それが、悪魔の中の規格外である超越者だなどと、これ以上の赤龍帝はこの先出ないだろう』
『俺は寿命以外で死ぬつもりはないから、そうなるだろうな』
仰向けになって、息を整える。呼吸と関係なく会話できるのがドライグのいいところだな。これで俺が物語か何かの主人公で、ドライグが女性人格かつ献身的なタイプだったりしたら実体がないのでメインは張れないだろうが、なんだかんだ人気が出ちゃうサブヒロインの立ち位置だ。しかも、最終的に実体を得てかっさらっていきそうな感じの。
コイツはオスなのであり得ないが。男女で扱いは変わるのだ、悲しいことにな。
『その最大級の基礎能力を持った宿主が、ヤツを、白龍皇を封印するという』
『何度もやってられないだろう。普通に考えて』
『ならば、俺とヤツの争いもこれが最後かと思うとな』
俺にはライバルがいないのでよく分からない。前世では他者と張り合うほどの自信がなかった。今生では、強さで張り合ってくるヤツが今のところいない。仮想的として、いつか来る白龍皇がいるだけだ。
『最後なら、ぐうの音も出んほど圧倒的に潰してやりたいじゃないか!』
くっくっく、と悪そうな笑いが響いてくる。本当は自分の力で、拳で叩き潰したいって感じが伝わってくる。
その辺りの琴線に、ドラゴンモード覚えるぞーって俺の考えが触れたのかね。まぁ、ありがたいから良いが。
というか、ドラゴン変化するぞって考えの元が、『
シーグヴァイラのヤツは、全シリーズ肯定派などと言いつつ、UDのことを認めていない節があるからな。ハッ、UDの功績を認めろよリアル派閥め! 俺のプラモ歴はDD戦士から始まったのだ!
禁手の魔王モードから、紅のブラッドドラゴンへの変化。サタンダンガムを知っていたら、やってみたくなるものだろう。籠手なし→籠手あり→禁手→ドラゴン化、四段階なんてこう如何にも悪役チックで、悪魔らしいじゃないか。あの悪霊というか、残留思念共は消し飛ばしたことだし。敵が白銀色というのもピッタリだ。
『潰すと言えば……「ドラグ・ソボール」だったか』
前に一度、人間界に行った時のことだ、俺は知らなかったのだが、あのシリーズの続編がいつの間にか始まっていた。ダンガムとは別の、俺の子供時代を染め上げたあのアニメの。
それで続編と共に最初からおさらいで観たのだが、ドライグはあれが結構気に入ったらしい。こういうのがやりたかったとかなんとか。好きそうだもんな、ガッツンガッツン殴り合うバトル。
『ああ、あれお前に付き合って三回は観たな……』
俺は再放送含めると、相当な回数こなしているぞ。
『あれの修行方法にあっただろう』
『修行方法?』
『ああ、お前にかかっている「重力」に「譲渡」してみたらどうだ?』
うっそだろ、このドライグ。その発想が出るのかよ! マジか……アレが出来てしまうのか? おれわくわくすっぞ!
―○●○―
死ぬかと思った……危うく最強の赤龍帝が圧死するところだった。調子に乗ったら危険信号だな。
さわやかな運動の汗が、冷や汗になってしまったので、今日はこれで終了とした。
動く気力がまったく湧かないので、メイド風呂に浸かってそのまま部屋で休憩・昼寝。起きてから食事を取って一般上級悪魔子息たちの下校時間を待つ。
そろそろ良かろうという時間帯になったので、ディオドラに通信をかけた。
『よう、同志シスタスキー』
『やあ、同志メイドスキー』
当たり前だがこんなアホな会話は使用人には見せていないし、聞かせていない。
『実は折り入って頼みがあるんだが』
『奇遇だね。ボクの方も少し相談事があってさ』
『ああ、それは都合がいいのか』
『こっちも、そうなるのかな?』
『俺の方はベルゼブブさまにお願いしたいことがあってな。アスタロト家から頼んでもらえないかと』
『ボクは、あーと……大王派というか、ゼクラムさまか。ちょっと問題があってさ。あんまり叩かれたくないんで、上手いこと言っておいて欲しいんだ』
俺はディオドラに、エダーギ・ナベリス殿から来た手紙の話をし、その中の『僧侶』二駒を使っている眷属を俺の変異『僧侶』一駒で引き取れるようにしてもらいたいことを伝えた。
『ベルゼブブさまなら、一度駒を抜き出して差し替えるなんてことも出来そうに思えるんだが……』
『確かに、片方が変異『僧侶』の二駒と、ナベリウスの通常『僧侶』二つじゃ釣り合わないか。特に君の場合は』
『ということで、なんとか頼んでもらえないか?』
『そうだね。ボクよりもラティアからの方が聞いてもらえそうだけど……どうにかしてお願いしてみるよ』
『いやー、助かる』
悪魔の男性は、そこそこ年齢を重ねてくるとどうにも親類の年下女性に弱くなる傾向がある気がする。
ディオドラがわざわざ名前を出したということは、
『で、ボクの方なんだけどさ……』
『ああ、ゼクラムさまに話を通しておきたいことだったか』
『実は、ボクさ……転生悪魔と結婚しようと思ってるんだ』
『はっ!?』
『いや、君が結構な純血主義者なことは知ってるけどさ。ボクにもボクなりのどうにもならない事情があってね』
『いや、でも、お前……アスタロト家の次期当主が……』
『実はさ……』
そう言うと、通信映像の中のディオドラは顔を俯かせた。
『勃たなかったんだ……』
『はあっ!? いや、おまっ……えっ?』
『ああ、いや、勃つことは勃つんだけど、なんていうか……純血悪魔のお嬢様が相手だと、無理だったんだ』
『その、あれか? シスターとかなら、イケると……?』
『そうそう! いいよね! 聖女とか、あっちならビンビンなんだけどさー。あー……なんていうか、この間、君みたいに見合いがあってさ、それで相性も大事だろう? 結婚したら先が長いんだから』
『まぁ、長いよな。正直、一万年以上とかよく分からなくなる』
『で、相手がどうにもこう、いわゆる「わがままプリンセス」な性格でさ」
『まぁ、純血悪魔の貴族令嬢ならだいたいそうだよな』
悪魔は子供がそうそう生まれない。兄弟姉妹がいても何百歳差になるのが普通だ。なので、かなり甘やかされがちだ。特に女子の場合は物凄く可愛がられることが多い。なんというか、年下の血縁女子に甘い悪魔が多いのだ、本当に。特に百歳越えたあたりからの男性悪魔。
で、結果として性格はかなりワガママになる。ライザー義兄上が「わがままプリンセス」と評したレイヴェルは相当マシな部類で、うん、まぁヒドイ子はとても酷い。
『ボクもさー、ラティアとかソーナくらいの性格なら我慢できるんだけど、いや、アレは無理だったね』
ラティアは、かなり良い方だ。ソーナについては個人的には結構な強欲さだと思っているが、平均からすれば滅茶苦茶マシである。俺が言うのだから間違いない。
というか、ソーナはどうしてああも欲張りなのか、「そんなに一度にできるわけないだろうが、過労死するぞ」と何度言っても聞いてくれない。おかげで先日また喧嘩になってしまった。
ホントになー。レーティングゲーム頑張る! 当主業務も頑張る! 学校も作るんだ! とかさー、もうね。順番に一つずつ手を付けなさいと何度言ったことか。
特に学校の話はキツイ、下手なことするとシトリー家が他領の平民を私兵化しようとしてるって思われてしまうかもしれん。場合によっては暗殺されるなんてこともあるかもしれんし。そんなことになったら、俺がそいつの領地を吹っ飛ばしてしまうだろうが!
シトリーのおじさんは、「あと十年ぐらいで引退したいなー」みたいなことを言っていたので、そうなるとソーナは当主だ。なら、まずは領地経営に専念しろと。それで五百年くらいきっちり勤め上げて、引退。レーティングゲームはそこから本格的に開始して、そこで結果を残して、それから「あのランキング上位のソーナ・シトリーがレーティングゲームの学校を!」みたいな感じにした方がいいだろう。個人的にはそう思っているんだが、ソーナは一気にやりたいって言って引かんのだよな。お前は寿命の短い人間なのかと、ほんとにもうなー。
それに学校作るにしても、シトリーが作って、シトリーが教えてってそれもうシトリー流の教育が染み付いた、シトリーの教官の命令に従う、シトリーの兵隊じゃないかって、そう思われそうなんだが……どうなのかね。
俺としては、魔王さま方に主導してもらって、まずは下級悪魔リーグとかを作るところから始めた方がいいと思うのだが……。転生悪魔はいいとしても、平民がレーティングゲームの学校出ても、上級悪魔から『駒』をもらえなきゃ現状のレーティングゲームへの参加はできないよな? 違ったんだろうか……あれだけ言うのだから、何か俺のよく分かっていないところがあると思うのだが、ほんと頭のイイ奴の考えることは分からん。
もっとこう、気長に行こうよソーナちゃん。未来計画が短いスパンに詰め込み過ぎだと思うんだ。過労でやつれるぞ。
だいたい「どうして分かってくれないのですか!?」とか言われても分からんわ。俺は読心能力者じゃないんだよ。つっこんでもイイってことなら、下の口から聞ききだしてやるが。しかも、最後に「おにーさまのバカ!」と来やがる。そこは「おたんこなす!」だろうが、自分でもおバカだとは思っているが、改めてソーナから言われると傷つく。だから、オブラートに包んでください。
でも、久しぶりに「おにーさま」呼びで少しうれしかった気も……。
『あーっと聞いてる?』
『いや、すまん。この間、ソーナと言い合いになったことを思い出してた』
『ああ……。というか君とシトリー家って仲良すぎじゃないかな? この間、グラシャラボラス卿が気にしてたよ。ほら、ボクらも結構仲良い方だろ? アスタロトとグレモリーもってなるとさ』
『いや、ゼファードルの件があったから、グラシャラボラスは……どうにも寄り付きにくい』
グレモリーの次期当主が魔王派閥代表の四家の内、グラシャラボラス家とだけ疎遠ってのは良くないよな。しかし、なんともね。頭を下げてごめんね、なんてことは出来んしな。
『ま、話を戻そうか。とにかく、貴族令嬢相手じゃボクのモノが勃たないんだよ。女の子ってさ、もっとこう純真で、純粋で、控えめで、献身的っていうかさ』
『言いたいことは分かるが……その、つまり元聖女かシスターの転生悪魔と結婚するつもりなのか?』
『実はね! いい子を見つけたんだよ! これがホントに理想的な感じでさ! その子を上手いことハメて堕として、結婚しようかなって思ってるんだ』
まだ眷属にもしていないのか。さすがのディオドラ。
『結局、そこは変わらないのか……』
『ボクは女の趣味に嘘をつけない男なんだ! ま、無理矢理思い込んで、わがまま令嬢とヤれないこともないけどさ、なんていうかなー、それってボクもキツイし、相手にも失礼じゃない?』
『オーラで分かるからな……』
レイヴェルとの行為でよく分かったが、お互いに気持ちよくなりたい気持ちよくしたいって感情のあるなしは重要だ。あれがないと、魔力が意志や想いに反応する性質からして……まぁ、ハッキリ分かってしまうよな。
『ボクは貴女のことがまったく好きではありません、むしろ嫌いです。でも子作りは義務なので仕方なくヤりますね。って感じで後継者できるまで何百年とか、どんな地獄なのかって思うとね』
『それは……キツイ』
『だろ? それに一度、敬虔な教会女の味を知っちゃうと、ちょっとね。彼女たちってさ、もちろん処女なワケだけど、食事も貧しいことが多いんだ。贅沢はダメみたいになってて。そんな儚い人生の楽しみのほとんどを捨てちゃってる娘たちに、色と美食を教え込むのがさ……たまらなくてさ。ほんと、転げ落ちるってああいうのを言うんだろうね』
おお、優し気フェイスが崩れて本性が出ている。コイツほんとに悪魔っぽいな。ちょっと憧れてしまう。
『それで、ゼクラムさまにはどう言っておけばいい?』
『実態はそれなんだけど、さすがに名目がないと大王派から叩かれていびられそうで困るから。転生悪魔たちのガス抜きってことで、伝えておいてくれないかな? アイツら結構不満を溜めてたりするでしょ? 反乱起こされても困るし、そこにこう、魔王輩出の名門アスタロト家の次期当主が、転生悪魔、それも元は教会出身の者を正妻にしました! とか良い感じに受け取られそうじゃない?』
『ああ、俺とは反対な感じか』
『君とは逆にさ、上から降りていく感じにすると人気が出るんだよね。大概』
生まれながらの完全な純血の上級悪魔なのに、人間からの転生者にも理解のあるアスタロト家次期当主さま、か。
『不満分子から、上手いこと情報を引き出すとか出来そうか?』
『ああ、接触してくるかな?』
『もしあれば……だな。そういうことなら、たぶんゼクラムさまも一応執り成してくれるとは思う』
『ま、実際に出来るかできないかは別だけどね!』
ま、何事もそう上手く行くわけがない。しかし、一応のポーズというヤツは必要なのだろう、頑張ってますよーと。
『それじゃあ、多少なりとも叩かれておいた方がいいんじゃないか?』
『ああ、それはしょうがないね。本気で来られなければいいだけだからさ。口だけなら言いたいことを言わせておけばいい』
『では同志シスタスキー、ベルゼブブさまによろしく頼む』
『ああ、同志メイドスキー、そっちもゼクラムさまによろしく』