公爵家次期当主好色物語 作:ルペッタ好き
会見でイライラしたので、クリスマスの夜にデートした後、朱乃を鞭でいたぶった。
女に暴力を振るってストレス発散とは、我ながら酷い奴になったものである。俺も随分とSっ気が育ってしまったものだ。
悪だな、ワル。俺は悪魔なのでまったく問題なし。朱乃も大喜びで悦んでいたので、こちらも問題なし。
最初に寒い教会内でイチャイチャ中出し三連射して温め合い、その後に朱乃の手足の自由を奪って冷水ぶっかけからの鞭責めで熱くして、後はお家に帰って風呂に入りベッドの上でぬくぬくラブラブプレイ。
俺は大変満足した。朱乃も大変満足した。
うむ、なんの問題もないな
まぁ、俺にはまだお外で裸わんわんお散歩プレイとか、小便飲ますプレイとかはレベルが高すぎて遠慮させてもらったが……。
放っておくと、どんどんハイレベルになってしまいそうなのが対朱乃戦の目下の悩みどころか。寿命長いのにこのペースで過激化していったら、そのうちトンデモないことになってしまいそうで怖い。
ゆるりゆるりと進めて行かないとな。なまじ死んでさえいなければどうとでもなる治療手段が安易に使用できてしまうというのも、プレイ内容の過激化に拍車をかけそうだしな……注意しておかないと、ホント。
「うーん、しかしエロい」
朱乃の部屋のベッドの上。俺は腕を広げて寝転がりながら、隣でつやつや笑顔で眠っている朱乃の身体に視線を這わせた。
グラマラス美少女の身体のあちこちに鞭の跡が残っている様子には、なんともエロスを感じる。それが俺自身の刻みつけたもので、なおかつ相手から「治さないで欲しい」と言われたものとなるとなおさらだ。
朱乃の言うことには、俺がくれてやった痛みの残滓を長く感じていたい──だから、すぐには治さずにいたいのだとか。
俺が刻み付けてやったものが残っているのがイイということなら、鞭の跡でなくてもあれだ……ラクガキとかでもいいのではないだろうか。
こう、腹の辺りから牝穴に向けて矢印を『↓』こう書いて、その上に『リアスさま専用牝奴隷穴』とかマジックできゅきゅっとみたいな。
ああ、でもそういう
他人に見られた際に、
はぁ、眠っちゃってるからヤれないが、また添い寝でもしに行こうかね。あれやると、ミスラさんなんとなく嬉しそうな雰囲気になるし。手を握ると、握り返してくれたりはするんだよな。
そう考えると、レイヴェルも方向性は違うが、あると言えばあるのか? ヤキモチ焼きだからか、他人のものが欲しくなる性格だからか、俺が他の女性と仲良くした後なんか特に張り切ってくれるしなぁ。
元々身体が
黒歌はその辺りは普通だな。普通にお互いが気持ちよくなるように動くのが一番感じるようだ。構って欲しいときには、自分から俺にちょっかいかけに来てくれるし、俺の機嫌が悪そうなときには寄ってこないし、なかなかこちらの機微を見抜いてくる。やっぱ、ナベリウス分家での眷属生活でその辺りのところを学んでいるのかね。お嬢様育ちとは違うってことだろうか。
そういえば、黒歌と朱乃は結構仲がいいんだよな。どちらも飢えに苦しんだ経験持ちだからなのかもしれん。俺は前世でもこの二人に比べたらぬるい生活だったから、頼る者もいなければ、金も、今日の食事もにも困る放浪生活経験者の心情は理解できないところがある。
「お腹が空き過ぎて、草を食べたことがありますわ」
「分かる。私もカブトムシの幼虫探して食べてたにゃん」
「貴重なタンパク源でしたね」
「カリっと焼くと悪くないのよねー」
とかやってるんだろうか。
いや、カブトムシの栄養価とか知らんけど……でも、前世で田舎の祖父は喰ってたな。意外とイケルらしい。というか、昆虫食は地域によってはいたって普通のことだ。
そんな黒歌だが……時々ふと暗い顔をするときがある。
理由は聞いても教えてくれない。そういうときはぐっと反応が上がるので「話せるようになったら教えてくれ」と言ってそのままだ。気になると言えば気になるが、無理に聞き出すほどかと言えばそうでもない。隠し事や秘密のある女というのも悪くないものだ。
我がハーレムでこれまで一番遊んできた女は、リュイで確定だ。それだけに色々と頼りになる。彼女を正式に眷属に迎え入れた暁には、ハーレムメンバーが男であり主である俺には話せない諸々にもきっと対応してくれることだろう。
レイヴェルは『女王』だが、現状では最年少だしな。同性の相談相手もいた方がいいだろう。母上相手だと言いづらいこともあるだろうし。その辺りもリュイには期待したいところだ。
先生役の『騎士』さま(予約)だ。『王の駒』とかいろいろあるが、そんなものはリュイを手に入れるためならばなんのこともない。……なによりテクニシャンだ。本気を出されると秒殺されるレベルの。これは絶対に手放せない。
本来は弱く儚い人間の少年を弄んで、大人になったら捨てる感じのオネショタプレイが大好きな女性貴族に『
俺が悪魔として成熟して、身体年齢を操作できるようになったら、子供の姿でシてみるのもいいかもしれないな。うん。
と、そろそろ一年も終わりなので今年を振り返っている内に、そろそろ起きた方がよい時間になっていた。
本当はこのまま朱乃の体温を感じながら微睡んでいたいところだが、本日も仕事がある。シトリー領の病院に行って、治療をしないといけないのだ。
名残惜しいが、朱乃にはこのまま寝ていてもらおう。
「風呂に入る」
「おはようございます、若さま」
「入浴の準備は出来ております」
部屋の外に待機していたメイド二人を伴って浴場へ──ミニスカメイド服風水着の股布ズラして、バックからそれぞれに一発ずつ。
うむ、大変よろしい。一日遅れだが、今夜はメイドたちを集めてミニスカサンタ服パーティーにするか。準備させておこう。
さて、すっきりさっぱりしたところで飯食って出発だ。
―○●○―
病院へと向かう車中、隣に座るレイヴェルがピタリとくっついてくる。
ちなみに黒塗りのいかにもな外観のこの車を運転をしているのは、義姉上だ。今はメイドモードなので、グレイフィアと呼んでいる。
俺の乗る車の周辺を警護の者を乗せた車両が取り巻くVIPスタイル──というか俺って普通にお偉いさんだ。でも、ここは冥界なので襲われるなら上空からなり地中からなりの攻撃も当たり前にあるので、わりと見た目だけの警護であったりもする。様式ってヤツだな。
この車に乗っている面子で一番弱いのはレイヴェルだ。だが、『不死身』の特性を有する彼女を倒すには魔王クラスの攻撃力が必要。魔王クラスが襲撃してきたとなると、周辺の護衛達など肉の盾にすらならない。
完全に邪魔な平民が出て来て俺たちが不愉快な思いをせずに済むようにってだけの人員なのだなぁ……コイツらは。
昨日の会見の内容について、父上や母上、義姉上からは特に咎めるような言葉は無かった。平民のために俺が無償で奉仕してやることなどあり得ないし、だからと言って有料でなければ治療しないなどと宣言して自らに縛りをかける意味もないので、まぁまぁ及第点だったのだろう。
ああ、でも……全国生放送で『聖書の言葉』はマズイと言われはしたな。あれだ、放送禁止用語連発みたいな感じだ。生でなければピー、ピピー、ピー、ピーって何度も鳴っていたのだろう。
「何か考え事でもしていらっしゃるのですか?」
右隣に座るレイヴェルの首の後ろに腕を通し、彼女の右側のクルクル縦ロールを手慰みにいじっていると、ややツリ目がちな大きな瞳がこちらを見上げてきた。
「昨日の会見のことだ」
「ああ……フェニックス家でも昔はいろいろあったようです。お父さまからよく言い聞かされてきました」
「『フェニックスの涙』の値段関係か……。たしか、義兄上も言っていたな」
「ええ、フェニックス家が台頭し始めたのは戦後、『ゲーム』で悪魔同士が戦い実力を見せ合うようになってからですわ」
不死身の特性を持つフェニックスは強い。現状のレーティングゲームでも、ルヴァル義兄上の活躍もあって最強クラスの特性の一つとして知られている。他のフェニックス一族にも上位につけている者が多い。グレモリー家の受け継いできた特性よりも、遥かに戦闘に向いた特性だ。
もっともそれが知れ渡るようになったのは、ゲームが流行りだしてから──長寿の悪魔にしてみればごく最近のことになる。
「戦前も戦争中もあまり前戦に出ることがなかったと聞いているが」
「はい、後方で『涙』の生産に従事させられていたのです。そのせいで『強さ』を披露する機会があまりなく、軽んじられていた」
不死鳥は強い。現在よりも実戦が身近だった時代、『強さ』を示すことは今よりもずっと大きく権威の向上に繋がったことだろう。ただし、それは力を披露する戦場を与えられてこそ。
だが、前の魔王さま方はフェニックスを前線の戦力として運用するよりも、強力で即効性のある回復効果を持つ『涙』の生産要員として使うことを選んだ。
「まぁ、治療は重要だ。戦時の役割としてはおかしくはないな」
「ええ、そこは理解しております。ですが、戦後にもその頃と同じような要求をしてくる方々がいらっしゃったようでして」
フェニックス家の財政が潤い、経済的にも力を付け始めたのは戦後からのこと。
それ以前は、前政府からの要求に従ってほぼ無償で『涙』を差し出すような形だったらしい。
「戦場に出ない、弱い一族。そう思われていたころは、『涙』を強請られたわけか」
「そういうこともあった……と聞いておりますわ。ルヴァルお兄さまをはじめとした一族の方々のゲームでの活躍、そして当主であるお父さまの様々な圧力を受けても譲らない対応、それらがあって今日のフェニックス家があるのです」
見上げてくるレイヴェルの手が俺の胸にそっと添えられた。
「なに、心配するな。悪魔は利己主義で合理主義が基本。昨日も宣言したように、自分の中で利と理を見いだせないことはするつもりはない」
武力も金も権力もある他の貴族家からの圧力を跳ね除け御家を隆盛に導いたフェニックス卿に比べたら、俺に対してどうこう言っているのは武力も金も権力もなく数だけは多い平民どもだ。
個人ごとの武力の差が少ない人間社会では上手くいかないかもしれないが、平民の万軍よりも俺一人の方が圧倒的に強いのだからどうということもない。文句は物理的に踏みつぶしてやるだけのこと。
「でしたら、よろしいのですけれど。リアスさまの前世は……」
「まぁ、そうなんだがな──」
前世の俺が受けた教育は、聖書の神の教えというか教会が人間社会に広めた倫理観の影響を大きく受けている。日本への教会の影響は他国に比べると直接的には少なかったが、それでもアメリカ、ヨーロッパ諸国との付き合いの関係でかなりあちらの考え方が流れ込んでいたはずだ。
今の俺の現状だと、一夫多妻制とかそのあたりがそれらしいな。たしか、開国後明治になってからいろいろと変わっていったはずだ。大正時代が舞台の何かの漫画で読んだ覚えがあるが、明治後半だか大正初期までは日本ではお妾さん持ちが合法だったと思う。
やっぱ、聖書の神を信仰している国々からいろいろ言われて変わっていったんだろうなぁ。詳しいことは知らんが、そんな気がする。
だが、今の俺は『悪魔』である。前世で植え付けられた倫理観などにいつまでも縛られてはいられない。なんとなく微妙にだがハーレムに、『悪い印象』を覚えなくもない部分が未だに残っているが、悪魔社会では、どうということもないのだから、俺はこの魂と下半身から来る欲求に従うまでよ。
というか、平民連中がかなり人間の倫理みたいなものに毒されているんだよな。いわゆる『古い悪魔』と呼ばれている方々はそうでもないのだが、上流階級でも『若い』とされる世代にはかなり浸透してきている感があるし。
やっぱり、悪魔が人間の欲望を糧として生きている関係で、人間の精神性から影響を受けているのだろうか。転生悪魔の元種族として最も多い種族が人間ってことも、原因の一つかもしれないな。
まぁ、時代に合わせてある程度変わっていくことも必要なのだろうとは思う。
今じゃ貴族してるバアルの祖父さんも、若い頃は蛮族してたらしいし。数千年から一万年前の人類の精神から影響を受けていたら、そりゃそうだよなって話だ。その頃は、冥界も土器とかで生活していたのだろうか……竪穴式住居で? うーん、石器や土器使ってゼクラム祖父さんが暮らしている場面を想像するとちょっと笑える。毛皮の腰巻して、うっおうっおと踊ってたりしてな。
まぁ、現代では教会勢力の広めたそれらもかなり崩れているのだろう。離婚がさほど非難されなくなったのがデカイのかな。
前世の知り合いに、人当たりの良いその筋の人みたいなオッサンがいたが、あの人なんて結婚と離婚を繰り返して元嫁さん五人、子供二十人とかいたし……。女性遍歴聞いた時はビビったわ。最終的に五十でJK孕ませてそのまま中退させて結婚、JKが三十歳になるまでに五人産ませたとかさぁ……。
子供全員の養育費払えて、しかも別れた元妻とも会ってて、ついでにその元JKとも離婚して、全員独身で実質ハーレムとか凄まじ過ぎた……。やはり金があって、ベッド戦に強い、肉食俺様ちょい悪男はツエーよ。
あれを聞いた時は一夫一婦で離婚厳禁な制度は、モテない男の救済策として生み出されたとか言う説に納得しそうになったものだ。人間の男女比率でモテ男に女が集まる繁殖形態だと、子供残せない男が多くなりそうだものな。戦争とかで男の数が減少しやすい時代なら問題なかったのだろうけれど、ある程度平和になると余った男からの怨嗟がすごいことになりそうだ。
悪魔と違って人間は寿命が短いから、時期を外すと厳しいしな。
「……リアスさま?」
いかん、またヘンなことを考えていた。
「あー……あれだ、先日、駒王学園の国語の教科書に目を通したら『智に働けば角が立つ、情に棹させば流される、意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい』なんて言葉もあった。利己と合理優先を肯定される悪魔社会の方がむしろ生きやすい」
知性合理が過ぎれば冷たく映り非難される、他人に同情してばかりで流されていては己のための行動が消える、ぶつかっても意見を曲げなければ嫌われることも増えて交流が狭くなる。
建前の多い人間社会の苦労と比べれば、我欲を通すことに肯定的な悪魔社会の方が住みやすいくらいだ。
ただし、我を通せるだけの『強さがあれば』だが。
「俺は、誰からも好かれようなんて思ってはいない。レイヴェルのような俺が好かれたいと思っている相手からさえ好かれていればいいんだ」
「リアスさま……」
右手でレイヴェルの肩を抱き、左手を俺の胸に添えられた彼女の手のひらに重ねる。
「だが、心配してくれたことは嬉しい。これからも、こうやって俺を支えてくれ。これから先も、ずっと頼むぞ……」
「はい、お任せくださいまし。……んっ」
自然と見つめ合う形になり、顔が近づく。そうして唇が重なる寸前で、コホンとわざとらしい咳払いが聞こえた。
そちらの方向に視線をやれば、バックミラーに映る義姉上からの生暖かくもちょっと羨ましそうな視線。
まぁ、義姉上は最近兄上と会えてないようだからな。うん。
でも、俺は義姉上からの圧力になんて負けない。だって、レイヴェルがキス待ち顔してるのだから。ということで、ディープなのは控えて軽く触れ合わせておく。
……やや日和ったかもしれないが、レイヴェルはほわほわと嬉しそうだから良いとしておこう。昨日の昼みたいにこのまま盛り上がっておっぱじめるワケにもいかないしな。さすがに。
さて、ここから病院につくまでどうしていようかな、などと考えていると丁度良いタイミングでレイヴェルに通信が入った。
通信魔方陣からにょっきり現れるように映し出されたのは、ルヴァル義兄上の上半身。
ついさっきのフェニックス家が台頭していく過程の話の中で活躍していた、期待の次期当主さまである。すでに家業でも実績を上げ、レーティングゲームでも結果を示している男ってやつは、実に自信に満ち溢れていらっしゃるものだ。
上の兄が優秀過ぎて、ライザー義兄上がさほど悪くないのに領内での評価が低めになってしまっているところはちょっと可哀想ではある。俺もなー、兄が魔王筆頭なんてやっているから、ライザー義兄上の気持ちはちょっとは分かるんだ。アジュカさまの弟のディオドラだってきっとそう。セラフォルーさんの妹のソーナにも多分、そういうところはある。
「忙しいところすまないが、昨日の会見のあとに急ぎの連絡が入ったんだ」
挨拶を交わし、レイヴェルとルヴァル義兄上とのやり取りを眺めていると、こちらにも話が飛んできた。家族の会話だけではなかったのですね。まぁ、俺もルヴァル義兄上から見ると妹と結婚する予定の男だから身内と言えば身内ではある。
「治療の件で、ですか?」
「ああ、実はリュディガー・ローゼンクロイツ殿からの仲介の依頼があったんだ」
「なるほど、あの『
ローゼンクロイツ殿への俺の話しぶりから何かを感じ取ったのか、ルヴァル義兄上は少し困ったような顔をした。爽やか系イケメンの困り顔スマイルである。モテるだろうなルヴァル義兄上。
「リアスは、リュディガーが苦手だったかな?」
「まぁ、あまり良い印象はないですね」
レーティングゲームで現在ランキング第七位に付けているリュディガー・ローゼンクロイツは、トップランカーの中ではただ一人の転生悪魔だ。上位層で見ても転生者の『王』は少なめなので、転生悪魔の星と言える人物だろう。
ただ、貴族の中での評判はすこぶる悪い。彼に『僧侶』の駒を与えて眷属とした番外の名門マモン家前当主の後ろ盾がなければ、闇からの刺客によって潰されていたのではないかと思う。
マモン家、ベルフェゴール家、アバドン家、あとはメフィスト・フェレス卿のような『
現在も、そして前四大魔王の時代も、七十二柱を主な構成員とする悪魔社会からある程度距離を取って、政治に関わらずにやっていけている家でもある。
群れずとも一家だけでやっていける。そして、兄上たちは置いておくとしても、前四大魔王に臣従せず要求を全てとは言わないが跳ね除けてこれたのは、それだけの『強さ』があるからだ。
マモンは七つの大罪の内、『強欲』を司るとか言われてるんだよな。伊達に人間の中に伝わっている伝承において魔王の一角扱いされているわけではないのだ。
まぁ、つまり、ローゼンクロイツは悪魔社会の上流階級からは嫌われていて、しかし後ろ盾が強いので手が出し辛い人物ということだ。
ただ、転生悪魔や平民からは結構人気がある。やはり立身出世を成し遂げたってのは大きい。でも、彼のやり方を真似した後続の転生悪魔は報復で潰されてしまうことが多い。というか、元七十二柱の御家の主を持っている転生上級悪魔なら、まずやる前に止められる。
「一応、理由を聞いてもいいかな?」
「やり口が俺の好みではないですから」
悪魔よりも悪魔らしいと評されるローゼンクロイツは、盤外戦からの精神攻撃なども用いる狡猾なタイプの男だ。単純火力、基礎能力を上げまくって圧し潰せを基本にしていきたい俺とは合わない。
あとはまぁ、レーティングゲームにも暗黙の了解というか、言葉にされない不文律のようなものがあるのだが、その辺りをかなり無視しているしなぁ。やっても尾を引かないことと、それをやったらもうダメだってことは、悪魔社会でもあるものだ。
彼の戦い方は、狡いと言われる。対戦相手に「もう戦いたくない」「非常にやりづらい」と言わせるものだ。毒を持った小さな蛇や蠍のようなスタイルだな。
俺が目指したいのは、戦った相手に「勝てるわけがない」「負けて当然」「悔しさすら浮かんでこない」と思わせるような勝利である。俺は蟻を踏みつぶす巨人になりたい。
と、いろいろ考えたが、まぁ、祖父さまの影響も大きいだろう。
「リアスは彼の戦い方が好ましくないのか」
「いや、それはそうでしょう。想像してみてくださいよ、俺はともかくとしてレイヴェルが『番狂わせの魔術師』に精神的に潰されて引き籠りになってしまった場合を」
「む……それは、うーん……」
悪魔にも親族の情はあるし、家の面子もある。それらを潰されて黙っていては沽券にかかわるってものだ。
正直、マモン家が後ろに居なかったらローゼンクロイツは今生きていないと思う。
ランキング一位の『皇帝』ディハウザー・ベリアルは、会見などでローゼンクロイツの『番狂わせ』を歓迎する発言をしているが、果たして親族の精神を潰されても同じことが言えるのかどうか。……まぁ、皇帝がテレビなどで見せている親族想いの顔が偽りの仮面ではないのならば、無理だろうな。
「昔のように軍団を維持することが難しくなったので、『悪魔の駒』を用いて少数精鋭の眷属を揃えて戦力とする。その戦力が鈍らないようにするためにというのが、レーティングゲームの始まりと言うか、建前でしょう。それなのに全力で潰しに行っているところがどうにも……」
精神面ではあるが、再起不能多数だからな……悪魔の戦力維持的に考えてもローゼンクロイツのやり方はよろしくない。
ルールには明記されていないが、一応故意に殺しに行ったり、再生不可能な怪我を負わせるのは御法度なのだ。それを精神面とはいっても、やられてしまっては……な。
戦力落ちてるんだよ、貴重な純血悪魔が引き籠りにされているんだ。おのれ、リュディガー! となるのも仕方ないことだ。
まぁ、何事にも
「となると、彼からの依頼は受けたくないだろうか」
「いえ、受けますよ。ルヴァル義兄上からの紹介ですから」
気持ち的にはあまり会いたくない御仁だが、俺がこれを断っては仲介を引き受けたルヴァル義兄上の顔が立たん。
身内は大事にってのは、グレモリーの家訓だ。なので、俺が懇意にしているところからの紹介があって料金さえきちんと払ってくれるのならば、相手が好かん人物でもそこは問題ない。
「すまないな、助かるよ。社交の場で何か言われたら、こちらの名前を出してくれて構わないから」
どうしてあんな男の治療依頼を引き受けたんだ! とか被害者のいる貴族家の方から言われちゃうのかね。
そのときには自分の名前を出してもいいだなんて、ルヴァル義兄上は男前だな。いや、紹介者ってそういうのも含めて引き受けるものだが。
「俺はあまり社交に熱心ではないので……とはこれからは言えなくなりますかね?」
「今回のことがあったから、親交を結びたいといった話は増えてくるだろうね」
正直、かなり面倒くさい。はぁ、引き籠ってパコパコし続けていたくなる。
「リアスさま、私がついておりますわ」
うん、レイヴェルが頼りだ。情けないが、彼女にこうやって甘やかされるとついついデレっとなってしまう。顔には出していないと思うが。
俺は身内に甘く、自分にも甘く、他人には厳しい男なのだ。
「さて、それでは邪魔するのはこれぐらいにしておくよ。日程などの調整についてはまた連絡したい。リュディガーがかなり焦っているようだから、政府案件が終わった後の年明けにすぐお願いすることになるかもしれないが」
「ええ、分かりました。ちょうど俺のスケジュールを管理しているグレイフィアもすぐ近くにいますので調整しておきます」
ルヴァル義兄上は、俺の呼び方から今の義姉上がメイドモードであることを察したようだ。通信では見えていなかったのだろう、運転席の義姉上には特に何も言わずに通信を終えた。貴族はいちいちメイドにまで挨拶するものではないからな。
すごく複雑な表情をしていたので、おそらくルヴァル義兄上としても大変やり難いのだとは思うが、今後ともグレモリー家と関わる以上は慣れていただくしかない。
「ローゼンクロイツ殿からの依頼か……意外なところから来たな」
「いえ、そうでもないかもしれません。ローゼンクロイツさまは敵の多い方ですから、ゲームでご眷属が治療の困難な怪我を負わされることも多いでしょう」
ああ、そうか。目には目を歯には歯をではないが、いくらマモン家がバックにいるとしても仕返しは当然起きるか。
同じように精神攻撃は出来ないにしても、眷属を使い捨てて捨て身でローゼンクロイツ眷属を肉体的に再起不能にすることはあり得る。
『眷属を大事にする』とことあるごとに口にしているローゼンクロイツだ、それで戦力が落ちたとしても切ることは難しい。
「なるほど。そういえば昨日、腕が治らなかった兵がいたがローゼンクロイツ殿がそこまでされていたらどうしたらいいのだろう」
「こちらが提供できるものは、フェニックス家の不死身の特性の『譲渡』だけです。ですので、それで無理でしたら代金を受け取った上でお帰りいただくしかありませんわね」
ある種の強力な呪いを受けた結果、もしくは契約の代償などとして差し出したものはフェニックスの特性でも回復できないらしい。
件の兵の場合は、大戦時に力を求めて腕を代価として強力な魔獣と契約していた。契約の代償として差し出した腕はすでにその魔獣のものなので、勝手にこちらで回復させることはできないってことらしい。
神話が異なるが、有名どころではオーディン神の片目なども無理だろうな。あれもまた代償として差し出したものだから。
「まぁ、そうなるか。ローゼンクロイツ殿の要件が、そういったものでなければ何も問題ないわけだしな」
「ええ」
「しかし、腹に風穴が空いてもフェニックスの涙で治るのに、腕や足、眼球や耳鼻などが完全に失われている場合は無理なのはどういう理屈なんだか」
俺が消滅魔力でパァーンして消えてしまったゼファードルの腹は、『涙』で治った。ゲーム中に剣で切り落とされた腕も、原型が残っていれば繋ぐことは出来る。
だが、何故だか焼かれたり消し飛ばされたり、潰されたりしてしまった身体部位は『涙』でも治せない。謎である。
「それについては、失っても命を繋ぐことの出来る、死に至らない怪我の場合は、元の腕の形がほぼ残っていることなどの条件があるようです」
「ゼファードルの場合は、腹が丸々なくなって放っておけば死亡する状況だったから『涙』で治せた、と?」
「ええ、消滅したのが腕や足でしたら、無理だったはずですわ」
謎である。さすが『
ああ、でもそうか……ファンタジー、神話や伝説を起点に考えると理解できなくもない、か。
片腕の神や隻眼の神、片足を無くした英雄なんてのはそこそこいるものだ。だが、人間基準で
腕や足、眼や耳鼻などは失っても死なないでいることを
だが胴や頭の大怪我や消失は、ほぼ致命傷だ。少なくとも神話や伝説が生まれた頃の人類にとってはそうだったことだろう。
胴体は、治せないと死んでしまうと思われていたから不死鳥の涙で治せる。腕や足は、治せなくとも生きていられた者がいたので、不死鳥の涙でも治せない場合がある。
うーん、なんだか不思議だ。でも実際そうなのだから、そう考えておくことにしよう。
フェニックス家=強い:
二巻でレーティングゲームで最強クラスの筆頭と言われていて、実際アザゼル杯で不死鳥チームが大活躍しているので間違いなく強いはず。
でも、台頭したのはゲームが流行してからということなので、それ以前は涙生産で後方勤務していて活躍出来ていなかったということに。
リュディガー・ローゼンクロイツ:
作者は別に嫌いではないですが、原作で描写されている悪魔の貴族たちからは蛇蝎の如く嫌われていそうなので、そちら側からの視点だとこんな感じに思われいるのかなと。
番外悪魔=強い:
政治とあまり関わらずにいられるって、半分くらい独立国家状態なのかなって。
アバドンとかベルフェゴールとかマモンとかメフィストフェレスとか、名前も大物感バリバリですし。
HDD世界の治癒:
一巻でイッセーの腹は、ドーナシークの光の槍を喰らってジュッと焼失して大穴が空いたような覚えなのですが、リアスの魔力で普通に治った。
でも、四巻でカテレアの自爆で吹き飛んだアザゼルの腕は治せない。
リアスの魔力治療よりは、神器やフェニックスの涙の方が効果が上のはずなのに、和平後でもアザゼルは治っていないし、666にやられたセラフの怪我も治せていない。
ということに適当に理由をつけました。
幼児ゼファードルは腹パァーンだったから助かったということで。