※この作品はR-18です。

公爵家次期当主好色物語   作:ルペッタ好き

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2-38 龍帝の契約(中)

『番狂わせの魔術師』リュディガー・ローゼンクロイツとの対面日時は、思ったよりも早くなった。

 というのも、連絡のあった次の日からこちらの予定が大幅に速く処理できるようになり、時間が空いたからだ。

 年末に空き時間が出来そうなことをルヴァル義兄上に伝えたところ、先方から一刻でも早くとの要望が帰って来たらしい。ということで、人間をやっていた頃ならば仕事納めとか言っていそうな日の午後から顔を合わせることになったのだ。

 

「助かったよ、ラティア。最初の予定では年を越すはずだったのに、年内に余裕を持って終えられた」

「シーグヴァイラでなくて悪かったわね」

 

 さて、結構な数の傷痍兵の治療を素早く終えられた要因は、このいつでも表情と雰囲気はクールビューティーなラティア・アスタロトにある。

 グレモリーとアスタロト、それぞれの家の車が待つシトリー領の病院の車止めで、俺とレイヴェル、ラティアの三人は少しだけ立ち話中だ。

 

「ベルゼブブさまから『時間』の操作ができる者を送ると言われたら、シーグヴァイラが魔王眷属になったと話題になったのはついこの間のことだから、思い浮かべるのは自然じゃないか?」

「わたくしの母も、アガレス家の出身よ」

 

 ベルゼブブさまから手伝いの人員を送ると言われたとき、最初は何事かと思った。

 こちらにも予定があるし、治療を受ける側にも予定があるだろうにそれを早(・)送(・)り(・)すると言われたのだから。

 そうなった理由は聞かされていない。どうも堕天使どもが占拠している領域との境界付近で小競り合いが起きたようだが、その辺りの関係だろうか。

 

「疲れましたわ……」

 

 アガレス大公家の魔力の特性は『時間』。それを利用して冥界標準時間速度の二十倍速で処置を進めた結果、当初の予定よりも大幅に早くお仕事が終了したことだけが確かなことだ。

 レイヴェルが疲れた顔を見せているが、俺だってそうだ。治療を受ける側は元々今か今かと治療の時を待っていたらしいので、当初の予定からの繰り上げに不満はなかったそうだが……。

 治療する側からしたら、一日で二十日分働いた気分だ。気分と言うか、実際働いた。途中途中で休憩を入れたが、疲労感はぬぐえない。

 それに、しばらく家に帰っていないはずなのに『時間』を元に戻すと一日も経っていないのだ。この感覚は、なかなか妙な気分になる。

 

 というか、二十日間分の『時間』が経過したのに……俺はその間ヤルことを満足にヤれていない。

 

 風呂も飯も睡眠も取れたが、そちらの時間はなかなかタイミングが難しかったのだ。手伝いに来てくれているラティアを放っておいて、休憩時間の間レイヴェルとベッドに籠っているわけにもいかなかったしな。

 まぁ、良かったこともある。これだけ長期間にわたってラティアと過ごす機会はこれまでなかったので、なんというかこう、アレだ……言葉にし辛い気安さが育まれたような気がしなくもない。

 レイヴェルとラティアの間にも同様のものが発生してきたように思えるな。これも、傍から見ていてなんとなく……といったものだが。

 

「だらしないわよ、レイヴェル」

「『時間』操作に慣れていらっしゃるラティアさまと一緒にしないでくださいまし」

 

 疲労が隠せていないレイヴェルに、ややキツめの澄まし顔でラティアが注意しているところを見ているとそんな気がしてくる。

 

「慣れていなかったのは、わたくしも同じよ。『赤龍帝の籠手』の『譲渡』を長時間に渡って受けた経験はなかったから」

「そういえば……そうでしたわね」

 

 レイヴェルはもう慣れたものだが、『譲渡』は受ける側にも慣れが必要だ。慣れていないとかなり疲れる。

 ドライグに聞いたところでは、俺は歴代の中でも『譲渡』先の者に与える負荷がかなり少ないらしい。まぁ、『譲渡』と反転して『譲り受け』さらにそれを『譲渡』するなんていう、相互『譲渡』前提の禁手を狙って作ったこともあって、自然とそちらが磨かれていたし、今も磨かれ続けているのだろう。

 なんなら、この人間界時間で一日、俺達の過ごした時間で二十日の間にも成長したはずだ。

 二十日間、ほぼ禁手状態のまま過ごしていたからな。

 これまでの赤龍帝は人間だったので、素の力が不足していた。そのためどうしても『倍加』の成長が優先しがちだったようだが、俺の場合は『倍加』の成長はもうじっくりとやっていくしかない状況だ。

 純血悪魔として持って生まれた力が大きかったので、歴代の中では『倍加』可能な回数が低い方なのだ。俺が『倍加』三十回とか出来るようになるには、かなりの時間が必要だろう。

 

『譲渡』の方は……うん、まぁ、主にエロい方面で使いまくっているので持続時間やら強化できるモノの種類やらがガンガン成長しているのだが。

 これまでにいた歴代の赤龍帝は、ドラゴンのオーラが呼び寄せる争乱の中で成長していき、俺はモテオーラでもあるそれが引き寄せる美女・美少女とのエロのために成長する。どこかで聞いた「争いとエロが技術を発展させる」とかいう言葉は本当だったようだ。

 

「さて、帰るか。今日はもう休みたい気分だ」

「ええ、それではラティアさま、お手伝いありがとうございました」

 

 後片付けは俺たちのするような仕事でもないので、治療が終了した時点で解散だ。

 俺とレイヴェルはグレモリー領へ、ラティアはアスタロト領へと帰る。

 

「リアス」

「なんだ?」

「少し調べたのだけれど、赤龍帝と白龍皇の対峙は双方がバランスブレイカーに至った後に発生することが多かったそうよ」

「ああ、そうらしいな」

 

 ラティアの言う話は、俺もドライグから聞いている。

 赤と白の激突がどちらも禁手に至る前であれば、所詮は元は人間の力だ。宿命の対決と言えども規模の小さなものになる。

 また、どちらか片方だけが禁手状態であれば、勝負は一方的なものになるので短時間で決着するだろう。

 だが、何故かこの神器に封じられる以前から争い合う理由すら忘れてぶつかり合って来た二頭の龍の神器の所有者たちは、双方が禁手に至ったのちに対決することが多かったようだ。その上、禁手の先にあるとも言える『覇龍(ジャガーノートドライブ)』などまで使用することも多かったようで、周囲に大被害をまき散らして来たらしい。

 戦いの因果を生むドライグやアルビオンも、そして二天龍を神器に封じた聖書の神も、迷惑なことこの上ないな。

 

「もし、貴方がまだ力が足りないと考えているのなら、わたくしに頼ってくれてもいいわよ」

「ん?」

 

 いつもよりも若干キツい目付きでこちらを睨むように見てくるラティアの様子に、俺は少し首を傾げそうになった。

 たぶん、心配してくれているのだろう。だが、そこに何か別のものも混ざっているような感覚だ。肌を触れ合わせていれば、グレモリーの魔力によってもう少し汲み取ることができるのだろうが。

 

「純血悪魔は齢を重ね成熟することで自然と力を増していく。白龍皇との戦いの前に、少しでも時間を積み重ねて置いた方が良いのではないかしら?」

 

 我々悪魔は、一定の年齢に達して成熟しきるまでは年経るごとに力を増していく。主にそれは魔力量と魔力の瞬間出力の成長として現れる。

 年若くまだ成熟に至っていない悪魔の場合、これまでに集められた年齢ごとの魔力量のデータや、成長のペースから判断して『成熟したら、〇〇クラス』などといった評価を受けるものだ。

 俺もそれを基にして魔力成長の鍛錬に付き合っているマグダランに『将来は最上級悪魔クラスになれそうだな』などと言っていたりする。

 

「なるほど……そうだな、そのうち頼みたい」

 

 三十年分くらい『時間』を加速して成長しておけば、魔力量で兄上に追いつけそうだ。今回は二十倍速だったが、『倍加』と『譲渡』を駆使して強化してやってもらえば、人間界時間の一日で一年間を過ごすことも可能になるだろう。

 うーん、しかし俺の身を心配して協力を申し出てくれるとは、やはりいいヤツだな。白龍皇に負けるな、と言われてるってことだ。俺も死ぬつもりはないので、折角の申し出を拾わない手はない。

 ……とはいえ、現状そこまで切羽詰まってはいないので、ときどき今日のように加速して延長してもらうような感じになるだろうか。

 

「なら、ときどき家にお邪魔させてもらってもいいだろうか?」

 

 半日お邪魔させてもらえれば、それだけで半年分くらい成長できるってことだ。食料やら諸々の準備は使用人たちに任せてしまえばいい。

 ついでに『倍加』で重力を上げてやれば、あれだ『ドラグ・ソボール』に出てきた修行部屋みたいになるな。

 

「構わないわ」

 

 そういえば、アスタロト本家にはよく顔を出しているが、ラティアの家にはあまり行った覚えがない。

 ラティアには『悪魔の駒』関連でベルゼブブさまに話を通してもらったりと世話になっているのに、会うのはいつも本家の方だった。

 

「この頃は世話になってばかりですまない。ラティアも何かあったら言ってくれ、俺で良ければ力になる」

「ええ、そのときはお願いするわ」

 

 と、レイヴェルに腕を引かれた。

 

「さ、リアスさま、帰りましょう!」

 

 グイグイと我が家の車へと俺を引っ張るレイヴェルは、なんだか子供っぽい。その振る舞いは年齢的にはそうおかしくないものだが、普段の貴族っぽさが薄れてしまっている。

 他人が多い場所ではあまり出さない仕草が出ている辺り、レイヴェルから見たラティアとの距離感は随分と縮まったのだろう。

 

「はしたないわよ、レイヴェル」

「ラティアさま、そのときは私もご一緒させていただきますので!」

 

 どうやら、レイヴェルも俺と一緒にラティアの時間加速の世話になるつもりらしい。

 人間だったら同い年の皆が十代のなか、自分だけ四十代、五十代なんて浦島太郎状態はキツイだろう。だが、悪魔は生きるのに飽きるほど寿命が長く、成熟すれば肉体年齢を自在にできる。数十年程度の先行はどうということもない。

 

「じゃあまたな」

「ええ、また会いましょう」

 

 こうして我が後宮(ハーレム)城へと帰った俺は、自分の主観では久しぶりに会う朱乃や黒歌を呼んで、がっつり楽しんでから休んだのであった。

 

 

 

 

 ―○●○―

 

 

 シトリー領の病院内にある、VIP用談話室にて、俺は大変困っていた。

 

「頼む、頼みます……どうか息子を助けて欲しい。金でも利権でも、なんだって差し出す! だから……」

「いや、金は特に必要ありませんね。半端な遊びではなかなか使い切れない程度には手元にありますから」

 

 俺はかなり意外な想いを抱きながら、リュディガー・ローゼンクロイツを見下ろしていた。『ゲーム』その他の場面で観た彼の印象は知性が勝り、怜悧に働き、隙を見せない人物のように思われたのだ。

 その下級悪魔から功績を積み上げ、最上級悪魔にまで登り詰めた男が、公爵家の次期当主とはいってもまだただの上級悪魔でしかない俺の前で地に頭をこすりつけている。

 

「どうしても、か……」

「三日ごとに、貴方のご子息のために時間を取るなんて真似はごめんですね。それに、その情に訴えかけ、願いを聞き届けないことが悪いような感情を発生させようとする態度は好きではありませんので……『番狂わせの魔術師』殿でしたら、俺のそういった性格ぐらい把握していらっしゃるでしょう?」

 

 それでもそうせずにはいられないほど、息子を愛しているということか。事前に抱いていた印象とかなり異なるので、ギャップを感じてしまう。

 しかし、先日の平民と違って相手が最上級悪魔となると扱いに困るな。

 

 

 

 さて、何故俺がまたもやシトリー領にある病院の一室でこんな話をリュディガー・ローゼンクロイツとしているのかと言えば、その始まりは数時間前にさかのぼる。

 

 ローゼンクロイツとはシトリー領のとある病院で会うことになった。傷痍兵の治療を行ったところとは別の場所だ。

 用があるのなら、そちらから来い! と思わなくもなかった。が、迂闊に動かせない状態の者がいるということだったので、わざわざ俺が足を運んだわけだ。相手が最上級悪魔だからということもある。

 最上級悪魔には、有事に際してその位階に見合った活躍を求められる代わりに、貴族家などに働きかけ協力を求めることが出来るなどの権利があるのでこちらとしても配慮が必要なのだ。

 上級悪魔になると得られる爵位に関しても、俺のそれよりこれまで功績を積み上げてきたローゼンクロイツの方が上。あちらは転生悪魔なので一段低く見られるが、それを含めてもなお俺より格上なので仕方がない。

 まったく、権力を振りかざしやがって……と自分のことを棚に上げた気分で赴いた先で待っていたのは、ローゼンクロイツとその眷属。ここまでは別になんということもなかった。

 これまでの試合で買った恨みの返礼を細かく刻み込まれていた彼の眷属たちに治療を施し、代金を受け取って終了だ。簡単な取引である。

 問題は彼と彼の眷属以外の人物にあった。

 

「お話にあった、動かせないほどの重体の方はどちらでしょうか?」

 

 悪魔の『王』は、『女王』もしくは『騎士』を連れ歩くものなので、まだ『騎士』の候補しかいない俺のお供は今回も『女王』のレイヴェルである。

 相手が爵位持ちの悪魔で、かつ私的な交流がまったくないとなると礼儀というか、マナー的なところも結構気にしなければならない。

 

「私の息子です」

 

 病院の特別室にその子供は眠っていた。年の頃は、幼稚舎に通っていそうなくらいに見える。

 ただ、あまり健康そうには見えない。病院のベッドで眠っているのだから当たり前だが。

 

「この子にも同じ治療でよろしいのですか? 見たところ、大きくどこかが欠損しているようには思えませんけれど」

 

 レイヴェルが言うように、見た目に大きな怪我は見当たらない。

 外傷を時間をかけて治すだけならば、魔力でも可能だ。病気についても、よほどのものでもない限りは同様。

 そして、そのために必要な医療費は、俺が不死身の特性を『譲渡』する行為に付けられている値よりも低い。そうでなければ医療が崩壊してしまう。

 

「この子は……神器に身体を蝕まれている。生まれつき神器への抵抗力が弱く、神器に宿る神秘の力に抗うことが出来ず……日々弱っていくばかり」

 

 神器持ちということは、ローゼンクロイツとの間にこの子供を成した女性は人間ってことだな。神器は本来人間に宿るモノなのだから。

 俺のようなバクもあるし、何故か人間と他種族とのハーフにも宿っていることがあるようだが。

 

「ローゼンクロイツ殿のことですから、既に取れる手立ては全て試みた後なのでしょうね?」

「むろん、フェニックスの涙を含め、悪魔の妙技、魔法使いの術、その他あらゆる手段を検討した。だが、どの道の研究者、医師に診てもらっても同じ答えが返ってくる──」

 

 何らかの術か薬品の影響だろうか、眠る子供を見つめながらローゼンクロイツはその顔に悔しさを浮かべていた。

 

「──『ご子息の命は長くない。十歳を迎える前に……』と」

 

 ふむ、俺も神器持ちだ。他人ごとではない、か。

『赤龍帝の籠手』を顕現し、我が身に宿る神器に封じられたドラゴンさまに訊ねてみる。こういうときは、神器生を長くしているヤツにも聞いてみるものだ。

 

「その辺りどうなのか、ドライグは知っているか?」

「おそらくだが、神器に早く覚醒しすぎたのだろうな」

 

 ローゼンクロイツの目が、声を発した俺の左腕の籠手に向けられる。

 

「赤き龍の帝王ア・ドライグ・ゴッホか……。早く覚醒しすぎた、というのはどういうことだろう?」

「察しは付いているのだろう、魔法使いの小僧。通常、神器は所有者がその神器の力に耐えられる状態になってから現れる。だが、その子供はなんらかの要因でそれ以前に神器が覚醒してしまったのだろう。神器の発する力に肉体が耐えられず崩壊しているのだ」

 

 俺の場合は、あの年齢が『赤龍帝の籠手』の力に耐えられる最低ラインだったってことか。

 そういえば──。

 

「ドライグ、それは『覇龍』を使った後の赤龍帝のようなものか?」

 

『ドラゴン系神器』使いの奥の手、『覇龍』。

『赤龍帝の籠手』のそれは、一時的に神器に宿るドライグの力を暴走させて強大な力を得るが、制御しきれず暴走することが多く、大概が周囲を盛大に巻き込んで自滅。よくても、寿命というか生命力の根幹をボロボロにしてしまって、余命僅かな状態になってしまうと言う……まぁ、自爆技のような代物だ。

 

「あれも結局は、己の分を超えた力を神器から引き出したがために肉体が耐えきれずに死に至るもの。似ていると言えば似ているか。お前の場合はその魔力を生命力の代わりにすることも可能だろうがな」

「まぁ、使うつもりもないが。禁手状態の方が強そうだしな」

 

 眷属の特性を得られる禁手の方が、俺としては使いやすく強力に思えるのだ。

『覇龍』は封印される以前のドライグの力を引き出しているみたいな話も聞いた覚えがある。だが、俺がきっちりと成長した場合、戦闘経験はともかくとして素の『力』そのものの総量だけで、かつてのドライグにそこまで劣るものではなくなりそうということだしな。

 

「リアスさま、ドライグさま、お二人とも話がそれていますわ」

「ああ、すまない。となると……ローゼンクロイツ殿のご子息の症状は、まだ神器の持つ力に耐えられない身体なのに、神器が出てきてしまったことが原因。だとすると、身体や魔力が成長して神器を扱えるだけのスペック……神器に抵抗する力を得られればいいわけか」

 

 俺とドライグの話を黙って聞いていたローゼンクロイツは、「やはり……そうか」と呟いたのち、俺に頭を下げた。

 

「『紫紅の赤龍帝』リヴラクス・グレモリー殿、息子の神器の力に対する『抵抗力』を上げることは出来ないだろうか?」

「ああ、なるほど……少し待っていただけますか? レイヴェル、少し神器の中に潜ろうと思う。空いた部屋を借りて、結界を張ってくれ」

「承知いたしましたわ」

 

 ということで、病院の別室を借りた俺は、レイヴェルとドライグに外部の警戒を任せ神器の内に精神を沈めた。

 

 かつて、歴代の怨念のような連中が蠢いていた場所。今はそれらは『消滅』し、ただドライグの魂の強大な力だけを感じる空間に俺はいた。

 魔力はイメージだからな、超越者クラスの滅びの魔力をもってすれば人間如きの残留思念や怨念などサクッと消滅よ。

 

「ああ、これか……」

 

 これまでは意識せずにいたが、たしかに自分自身の本来の『力』と神器がもたらす『力』とがせめぎ合っている感覚がある。

 これが神器への『抵抗力』か。このバランスがなんらかの要因で神器側に大きく傾いてしまうと、所有者の身体が崩れて行ってしまうわけか。なんとも、まぁ聖書の神もろくでもないことをしてくれる。

 白龍皇と戦うときに『白龍皇の光翼』側にブーストをかけてやったらそれで倒せないものかな。いや、一時的に相手を強化してやるようなものだからマズイか。よくて時間差相討ちになる可能性がある。

 

 ……一応、『譲渡』かけ逃げして相手の生命の根本にダメージを与えて、寿命を削って倒す手があることは覚えておこう。

 

 さて、大体把握した。ローゼンクロイツの子供の中にある、これを『譲渡』で強めてやればいいわけだ。

 

 で、ちょいと試してみたところ──ローゼンクロイツは俺が神器に潜っている間に嫁さんと話し合っていたらしい──医者の診断では、『譲渡』の効果が続いている間は容体が安定し神器の力を抑え込むことが出来ているらしい。

 ちなみに、あまり強くしてもやりすぎになるかもしれないので不足していた抵抗力は4倍強化にした。

 リュイの性感強化みたいに500倍くらいだと長めのプレイ時間用の半日程度が現在の『譲渡』持続時間だが、4倍なら三日は保つだろう。

 

「三日……」

「ええ、三日間です。俺が一度の『譲渡』で抵抗力の強化を持続させられるのは」

「なら、三日ごとにお願いすることは……」

「いや、それはさすがに……俺にもやりたいことがありますので、ローゼンクロイツ殿のために拘束されるわけにもいきません」

 

 あちらとしても厳しいとは思っているのだろう、だがローゼンクロイツにとっては子供の未来がかかっている。

 だが、俺としても三日ごとにローゼンクロイツの子供のために時間を取るとなると、旅行にも行けなくなってしまう。いや、これが自分の子供だったらそれぐらいなんてことはないのだが、赤の他人の子供のためとなると……ちょっと無理。

 

「息子が成長して、十分な抵抗力を身に着けるまでの期間だけでも」

「いや、俺が隠居の身とかでしたらあり得なくもないですが、まだ学習過程の途中ですので」

 

 といったやり取りがあった結果──土下座でもなんでもする。財産も権利もなんだって差し出す、だから息子を助けてくれ! と最上級悪魔のリュディガー・ローゼンクロイツから頼み込まれている、上級悪魔のリヴラクス・グレモリーくんの図が出来上がってしまったのだ。

 

 最上級悪魔からの要請があったらなら、各貴族家はその要望になるべく応えてあげよう。なんて話は確かにある。

 だが、俺だって長期間お出かけしたりしたいのだ。仮定だが、ローゼンクロイツの子供が女の子で将来有望そうだったならば……まぁ、光源氏的なアレでアリだったかもしれないが、息子ではな。

 

 俺、まだ若いから遊びたい盛りなので、いくら最上級悪魔からの頼みと言えども外出三日縛りとか……困る。いろいろ、色々もあるし。

 位階も爵位も実績も上なランキング七位からどう言われようとも、さらに対価も十分に払うと言われようが、俺の時間は俺のために使いたい。

 

 もう、アレでいいんじゃないか? 秘密っぽい話だが、リュイから引っこ抜いてもらう予定の全能力を数十倍から百倍に高めてくれる例の『駒』ぶち込めばいけるんじゃない? 

『番狂わせの魔術師』リュディガー・ローゼンクロイツが頼み込めば、ベルゼブブさまも「オッケー!」て言うんじゃないかな? 全能力が上がるってことなのだから、抵抗力だって上がるだろ……たぶん。

 

「ならば、私がグレモリー家の身内になるとしたら……どうだろう?」

 

 そう言ってくるローゼンクロイツの目は据わっている。こわ。

 

「それは、どういう意味でしょうか?」

「私からマモン家に願い出て、トレードに出してもらい、そちらの眷属……下僕に加えて頂けないだろうか」

 

 まぁ、グレモリー家は『情愛深く、身内に甘い』と評判で、それが売りの貴族家だ。家訓であり、血に宿る呪いでもある。

 たしかに、リュディガー・ローゼンクロイツが俺の下僕になるというのならば、まぁ、面倒をみてもいいような気分にはなる。二十年ぐらいか、たぶん。

 ローゼンクロイツの子供はハーフ悪魔だから、どうなるのか分からないが、魔力が育てばそれで生命力の代替えも出来るだろうし、もう少し早いかもしれない。

 だが、しかし──

 

「申し訳ないが、俺は女しか眷属に加えるつもりはないので──」

 

 リュディガー・ローゼンクロイツは男だ。仮に嫁さんを差し出されようとも、ハーレム眷属作ると決めたところに男は入れられん。男色もいけるとか思われたら嫌だし。無駄にイケメンだしな、この魔法使い。

 と、つんつんと袖を引かれた。何かとそちらを見ると、レイヴェルが見上げてきている。

 ふむ……ふむ、ふむ。彼女の瞳が語っている「お任せくださいまし」と……何か考えがあるようだ。

 

「──ただ、眷属の眷属でしたら……まぁ、妥協しましょう」

 

 お前なんか欲しくもなんともないんだからね! でも、どうしてもって言うのなら、仕方がないから下僕の下僕にしてあげてもよくてよ。と心の中で似非ツンデレお嬢様風味の言葉を思い浮かべつつ、俺はローゼンクロイツの申し出にそう返した。

 

「それはつまり、私がレイヴェル姫の眷属になれば……息子のことをお願いできると?」

 

 で、いいんだよなレイヴェル? 

 視線で問いかけると、うちの嫁さんがうんうんと頷いてくる。

 ダメだ、分からん。たぶん、条件付けが必要なはずだ。あとで上手く行かなくて違約金とか賠償とかならまだいいが、恨みを募らされるとたまったものではない。

 

「その可能性も無きにしも非ず……と言いますか、ご子息のことで熱くなっていらっしゃるのでしょうが、お互い少し時間を置いて、それから話し合いませんか? ローゼンクロイツ殿も簡単に移籍などできない立場でしょうし、眷属や家族の方たちと相談する必要もあるのでは?」

「……たしかにそうですな。失礼、息子が助かる可能性が目の前に現れたので、慌ててしまったようです」

「では、とりあえず二時間後に別室ということでよろしいですか?」

「ええ、それでは、二時間後に」

 

 ローゼンクロイツは子供の眠る部屋に向かい。俺とレイヴェルは、また別の部屋を借りた。

 しかし、シトリー領の病院で好き勝手しているような。まぁ、貴族ってそんなものだが。

 

 さて、別室でレイヴェルと二人きりになった俺は……父上に通信を繋げた。

 ミスラさんの件で母上から折檻を喰らったからな。他種族や下級悪魔を拾ってくるくらいなら問題ないだろうが、さすがにレーティングゲームランキング七位の最上級悪魔となると、父上に相談が必要だ。

 

「──ということで、リュディガー・ローゼンクロイツ殿を我が家の陣営に加えられそうなのですが、どうしましょうか?」

「リアス……お前は本当に……」

 

 父上が困惑しておられる。まぁ、俺だってどうしたものかと思っているのだ。当主として諸々の表舞台に立っている父上にはそれ以上のものがあるだろう。

 

「お義父さま、このような機会はそうそうあるものではありませんわ!」

「ああ……レイヴェルくんは乗り気なのか」

「ええ、正直断ろうかとも思ったのですが、それで子供が後に亡くなって恨まれても困る……と迷っていたときにレイヴェルに押されまして」

「お前もグレモリーの子なんだなぁ……やはり」

 

 グレモリー家の男は代々嫁さんに弱いからね。仕方ないね。

 

「それで、レイヴェルとしてはどうするつもりなんだ? 先に言っておくが、俺は三日縛りを受けるのは嫌だぞ」

「そこは問題ありませんわ。私としては少々複雑ですが、ここはラティアさまを頼らせていただきましょう」

「ラティア……? ああ、そうか、『時間』か」

 

 なるほど、たしかに俺が気にしているのは時間の問題だ。『時間』を操作できるのならば、これはなんとでもなる。

 

「ローゼンクロイツさまのご子息には、普段は時の経過を減速した結界内で過ごしていただきましょう。そうすれば、私たちが二十日過ごす間にあちらでは一日しか経過しません」

「三日の間隔が、六十日に延ばせるわけか」

 

 二か月に一度でいいのなら、まぁ、たしかに問題ないな。グレモリーの城、あるいは領内の病院の一角を結界で切り取って使うとして、さすがに二か月に一度なら顔を出せるだろう。

 アガレス家の血に宿る『時間』の特性は、加速も減速も可能だ。魔力操作に長けた者なら停止もいける。今は亡き初代アガレス卿には『逃亡者を元に戻す』力があったと聞くが、これはおそらく『時間』の逆転だろう。時を戻せば、逃げ去った者も手元に戻ってくる。

『月日は百代の過客にして、行かふ年もまた旅人なり』などと人は言うが、過ぎて行った客も行ってしまった旅人も、アガレスの魔力は元に戻してしまう。

 そしてここまでくれば、俺でも先は読める。

 

「それでは子供の成長が遅くなってしまうのではないかな?」

 

 父上も面白がって聞いているな。

 

「はい、そこはどこかで時間を作っていただいて、まとめて一気に『時間』を加速した結界内で過ごすことでクリアできますわ」

 

 ラティアが言っていた、白龍皇に備えて素早く成熟して力を高めてしまおうって話と繋がるわけだ。

 この話を父上に伝えたときは、すごく困ったような顔をされてしまったが、理由はまぁ分かる。

 

「その間は俺とレイヴェルも時間の加速した結界内にいるわけだから、たしかに問題ないな」

 

 ローゼンクロイツの子もそこに一緒に連れて行ってしまえば、人間界の時間速度に合わせている冥界基準時間と比較して考えると、かなり早く成長させられる。学校の長期休暇のときに合宿気分で三十日も使えば、結界内では三十年経過させられるから、来年中には片が付くかもしれんな。

 

「あとは、成長して力を付けてなお症状が改善しなかった場合ですが……」

「それは仕方がない。事前に説明しておくしかないだろう」

 

 さすがにハーフ悪魔の寿命が尽きるまでは面倒みきれんからな。まぁ、保険としてリュイから『王の駒』を抜いていただいた際に、ベルゼブブさまに事情を説明してこちらの手元に確保しておけるようにするくらいか。

 

「リアスの時間についてはそれでよいとして、マモン家との交渉はどうするつもりだ?」

 

 マモン家は『強欲』を司ると伝承される一族。その名のマモンも聖書において『富』を意味する言葉から来ていると言う。

 強欲なマモン家とどう交渉するのか、そこが父上の聞きたいことだろう。正直、「父上にお願いできませんか」と言ってしまいたいところだが、それもなんだか情けない。

 と言うことで、俺は未来の眷属の眷属に頼ることにする。下僕の力は主のもの、下僕の下僕の力もまた主の主のものなのだ。

 

「ああ、それは全てローゼンクロイツ殿に任せます。こちらからは働きかけず、彼の自由な意思のみでこちらに来ていただきましょう」

 

 俺的には、このトレード話が成立しようがしまいが別にどちらでもいいのだ。

 なぜなら、リュディガー・ローゼンクロイツは男なので。これが美女だったなら俺ももっと前のめりに取りに行くところだが。

 息子を助けたかったら自力で来ていただこうじゃないか。俺は一銭も出さんぞ。

 

「分かった。それもいいだろう、下手に交渉に出ると毟り取られるところだ」

 

 あちらは、聖書にも記されし強欲の化身。俺程度が下手に商談など持ち掛けたら、父上の言うようにケツの毛まで持っていかれそうだ。

 

「それで……ですね、トレードが成立したとしてどのような立場についていただきましょう?」

「なんだ、レイヴェル。そこは考えていなかったのか?」

「いえ、それは……だって、ランキング七位の実力者を配下に加える機会でしたので……。レーティングゲームでの活躍だけではなく、上級悪魔へと昇格するまでに様々な実績もある方ですし、将来グレモリー領の統治にきっと貢献していただけるだろうと」

 

 まぁ、それは分かる。俺だって上位ランカーの美女悪魔を引き抜ける機会があったら、突っ走りそうだ。今回は、男だから「別にいらんけど?」みたいな気分なだけで。

 実際、リュディガー・ローゼンクロイツの上級悪魔昇格までの功績は大したものだ。多くの転生悪魔出身の上級悪魔は、主の下でレーティングゲームに参加し、そこでの活躍を認められる形で功績を積み上げていく。だが、彼の場合は主であるマモン家前当主の下、魔法の研究やその他の金になる研究成果によって功績を積み上げた。

 そうして上級悪魔になった後は……まぁ、確かに強いのだが貴族家からのヒンシュクを買いまくりのあの戦い方でランキングを駆け上がっていったのだ。

 レイヴェルの言うように、出来る男なのは確かではある。だが、少なくない数の上級悪魔の精神をへし折って悪魔全体の戦力を低下させた男でもある。

 

「そうですね。俺としては、ローゼンクロイツ殿を傘下に加えたのならば、まずはレーティングゲームから引退してもらおうかと思っています」

 

 父上に向かってそう言うと手振りで続きを促された。

 

「俺はこれまで社交にあまり出ていませんが、それでも彼は多くの貴族家から恨みを買っていると聞き及んでおりますので……」

 

 うーん、ここは俺ではどうにもならんな。情けないが父上に頼るしかなさそうだ。

 

「この機会にそこをこう、上手く使ってグレモリー家の評判につなげられないかと」

「ふっ、言いたいことは分かる。たしかに、まだお前では無理だろう。分かった、今回は私とヴェネラナで対処しておくから、お前たちはそれに話を合わせなさい」

「ありがとうございます」

 

 これ、絶対あとでそっちのお勉強させられるヤツだ。俺には分かる。

 ぶん殴って言うこと聞かせるのが手っ取り早いってのがドライグの教えで、俺的にはその方が手間がかからなくて良いのだがな。はぁ……これからは、そうもいかないところも出てくるか。

 最終的には力で叩き潰して押し通すにしても、一応、最初に話をするつもりは見せていく必要もあるだろう。

 

「その後ですが、まずは主な仕事として二つほど任せてみようかと、さっきの今ですので、ただの思い付きですが」

「言ってみなさい」

「まずは神器の研究ですね。特に神器を安全に魂から切り離す方法の確立。これについてはローゼンクロイツ殿の子供にも関係のあることですし、俺も神器を宿す身ですから何かしらの役に立つでしょう」

「二つ目は?」

「メンタルヘのケアですね」

 

 今回のことがあったので、俺はリュディガー・ローゼンクロイツの試合と、心をへし折られて潰されたとされる上級悪魔のその後をざっと調べてみた。

 すると分かったのが悪魔社会における心の健康、メンタルヘルスへの関心の薄さだ。ローゼンクロイツと戦い、徹底的に心の隙を突かれ、へし折れ「もう戦いたくない」となってしまった貴族悪魔達。

 そんな彼ら彼女らのその後は……うん、結構キツイ。

 破れ潰された貴族悪魔の家族、一族は、「身内を壊された、おのれリュディガー・ローゼンクロイツ!」となる。これはいい。

 だが、その一方で「あの程度で潰されるとは情けない。一族の恥だ!」とも言いだす。これは負けて凹んでいる者にとっては相当キツイだろう。

 

「メンタルケア……? 心の治療をさせるのか」

「ええ、壊した本人に、それを治させようかと思いまして」

 

 いや、そこはもう一度なんとかして立ち直らせようぜ。と俺でも思ってしまったのだ。

 俺が人間をやっていた頃は、スポーツの分野で根性論が否定され始めていた時期だった。労働者的には、過労死、ストレス、ハラスメントなどが色々と問題になりその手のカウンセリングがどうこうとかニュースでやっていたりもした。

 それの詳しいところについて、俺は良く知らない。だが、せっかくの貴重な純血悪魔だ。戦力になる人材を潰れたまま放置しておいては勿体ない。

 悪魔と人間では、精神構造が異なってくるのでそのまま流用は難しいだろう。転生悪魔ならばともかく、純血悪魔となるとより一層異なる。生まれながらに寿命が違うというのは、途轍もない違いだ。

 だが、そんな純血の悪魔達の精神をつぶさに調べ上げ、えげつなく破壊していったのがリュディガー・ローゼンクロイツという男だ。

 その知識と経験を活かし、今度は逆のことをしてもらおうって寸法だ。優秀な破壊者が優秀な再生者になれるかは分からないが、やってみて悪いってことは無いだろう。時間はあるのだから、とりあえず思いついたことをやってみたらいい。

 

「上手く行けばよし。また上手く行かなくとも、上手く行かないということが分かりますから」

 

 ま、上手く行けば御の字ってヤツだ。とりあえず詳しい奴に任せてみようって話だな。

 

「分かった、やってみなさい」

「はい、それでは」

 

 さあて、それでは『番狂わせの魔術師』殿に引退を迫ってくるとしようか。愛息子の命を人質にしてな。

 

 

 

 ―○●○―

 

 

 

 結果から言うと、マモン家前当主はこのトレードに同意した。

 ローゼンクロイツに全て任せたので、どうやって説得したのか俺は知らない。案外、あちらでも持て余し気味だったのかもしれないな。

 ただ、その交渉過程でローゼンクロイツはほぼ無一文になってしまった。すっきりさっぱり毟り取られてしまったのだ。

 寿命の分だけ気の長い強欲の悪魔との交渉を、息子の治療のために速攻で済ませたかったローゼンクロイツがそれで済まして来たのだ。

 

「薔薇十字の上級魔術師のひとりに過ぎなかった頃を思い出しますよ」

 

 今やレイヴェルの『僧侶』一駒眷属となった彼は、なにやらスッキリとした顔でそう言っている。

 まぁ、金は手元にあるし、身内の治療に支払いを要求したりはしないので構いはしないのだが。それで良かったのだろうかね。

 

「長い間に知らず溜め込んできたものが、全てなくなった。これからは息子のことに集中できます」

 

 たぶん、良かったのだろうな。

 下僕の下僕となったので、最上級悪魔なのにローゼンクロイツは俺に対して丁寧に話す。

 まぁ、兄上の眷属たちもそうなので、特に違和感は覚えないが。

 

「まぁ、給料はレイヴェルが払うからそれで生活はできるだろう」

 

 レイヴェルにお金を渡すのは俺だし。

 

 新聞やテレビでは、ローゼンクロイツの突然の引退と、電撃的なトレードについて盛んに報道している。

 

『フェニックス家のレイヴェル姫、リュディガー・ローゼンクロイツ氏を眷属に』と。

 

 大晦日のことである。

 

 ちなみに、俺が彼のことをリュディガーと呼ばないのは、名前の最初の方がリュイと被る感じがして嫌だからである。

 今後もきっとローゼンクロイツ呼びだろう。

 

『なぁ、ドライグ』

『なんだ?』

 

 しかし、特に探そうとしたわけでもないのに、神(・)器(・)に(・)つ(・)い(・)て(・)研(・)究(・)し(・)て(・)く(・)れ(・)そ(・)う(・)な(・)魔(・)法(・)使(・)い(・)がやって来るとは、俺は案外コイツのことを考えていたらしい。

 これはきっと、グレモリーの運命に干渉する魔力の特性の発露だろうから。

 ま、神器を介して魂が繋がっているレベルの身内だ。身内の中の身内と言っても過言ではない。

 

『「自由」が欲しくないか?』

 

 種族の仇敵に封印され、力を貸してくれてアドバイスもくれる魂に近いところにいる存在。

 これでコイツがメスだったら、メインヒロインなのにな。まったく困ったものだ。

 

 








この作品中の設定の大半は、捏造と妄想で出来ています。




リュディガー・ローゼンクロイツさんには、ラティアちゃんの出番のために犠牲になってもらった。今後は口実が出来たのでちょくちょく会うことでしょう。
DX2におけるオリ主の魔力量の設定を変更しました。いきあたりばったりですので。
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