4人の失踪(実際には殺害されているのだが)が明るみになったのは翌週の木曜日のことだった。
火曜日に帰ってきた工藤の両親が、水曜日の夜になっても連絡が取れないことを不審に思い、警察に相談したのだ。
工藤の両親は古角や戸川の両親とも仲が良く、聞いてみたところ、自分の息子も帰ってこないし、先週メールで、電波の届きにくい工藤の知り合いの家に行っていると伝えたことを知った。
学校からも来ていないとの連絡があったが連絡が取れないのだということは伝えたらしい。
いくら男子とはいえ、今まで無断で学校を休むなどしたこともないし、親の知らないところでそんな知り合いがいたのかは分からないが、兄の会社に連絡しても、先週の月曜日から連絡も無いまま会社に来ていないと言われたし、戸川、古角の二人も同じく連絡が取れない状況だということで、何か事件に巻き込まれたのかも知れないと判断した。
警察は捜査を開始した。
と言っても、スマホの着信履歴や位置情報の確認だ。
それをしてから事件性の有無を判断する。
家出と判断した場合は本人の意思が絡むため、実際のところ捜査などは殆どしない。家出人の登録を行い、何かのタイミングで本人を見つけた時に親に連絡する程度だ。事件に巻き込まれたと判断した場合は捜査を開始する。
そして、警察は事件に巻き込まれたと判断した。
古角と戸川が田舎町ではなく、工藤の家から親にメールを送っていることや、そのあと近くの一級河川に向かい、そこで位置情報が終わっていること。
工藤兄弟は山に向かい、山の中で位置情報が消えていた。
これを家出と判断するには無理があったのだ。
美琴達に幸いだったのは、警察が工藤の家を事件現場とせず、家を出て、又は家から呼び出されて事件に巻き込まれたと判断したことだった。
確かに、警察は美琴達を犯人とは思わなかった。
しかし、被害者とは思ったのだ。
スマホの情報は、警察署に全て送信される。
いつ、誰と通信し、どんな内容のメールを送ったのかだけではない。
ネットの検索履歴や動画、画像も筒抜けになる。
つまりは、強姦されている美琴と、麻美の姿が保存されていたということだ。
当然、二人のスマホに警察から連絡が入り、事情聴取のため呼び出された。
先に呼ばれたのは麻美だった。
女性警察官から強姦されている動画や画像があった為に呼んだのだと言われた。
「強姦は、昔は親告罪だったけど、今は違うのよ。あなたが親告しなくても罪になるの。動画を見た限り、とても合意しているとは思えないわ。つまり4人は犯罪者ということになるの」
ということを先に言われた。
その上で、どういう経緯で強姦されたのかを聞かれたのだ。
麻美は、車で拉致されたことや次の日に工藤に呼び出され、工藤兄弟に強姦されたこと、
「ばら撒かれても二度としない」
と言ったことまでを伝えた。
美琴の裸を撮る交換条件のことは言わなかった。
翌日に美琴が呼ばれ、同じことを聞かれた。
美琴は着替えの写真をネタに工藤に呼び出されたことを言った。
両親が旅行で居なくなるから毎日来いと脅されたが、それから連絡が来なくなったと伝えた。
警察は美琴と、麻美のスマホも本人の了解の上調べたが、事件に繋がるようなものはなかった。
工藤達の親には強姦の事実を伝え、工藤兄は未成年ではないため、発見されれば5年以上の懲役が待っていることを伝えた。
警察は当初は両親に同情し、できる限りの捜査をするつもりだったが、強姦の事実を知り、これは事件ではなく、強姦がバレることを恐れての逃亡ではないか?
と思うようになった。
そして、捜査の目的が犯人探しに変わったのだった。
事件に巻き込まれたのではなく逃亡したのだろうという、警察の判断により、美琴、浩一、麻美の安全は確保されることになった。
続く