優香がサキュバスだと分かって、あれから一年近くが経った。
仕度を終えた拓哉がパンを頬張りながら玄関に向かうと、スマホを見ながら待っていた優香が顔を上げた。
「もー、拓哉遅いよ」
「自分だけさっさと
拓哉はそう不満を口にする。
それを聞いた彼女はニヤリと悪い顔で笑ったかと思えば、
「着替えてるアンタを見てるとフェラだけじゃ我慢出来なさそうだし、仕方ないよね~♪」
と言った。そんな優香に、拓哉は軽くチョップをする。
「調子に乗るな」
「あたっ。……酷いなぁ」
チョップされた所をわざとらしく押さえる優香。しかし拓哉は気にする素振りを見せず、家を出ようとする。
「ほら、行くぞ」
「あ、待ってよー」
なんだかんだと言いながら、彼は優香と共に登校する。
それが彼女がサキュバスになってからの拓哉の日常になっていた。
「それで、おじさんとおばさんは今日も遅くまでお仕事?」
優香が聞いているのは拓哉の両親の事だ。
「ああ、まぁな。相変わらず何やってるかは二人とも教えてくれねぇけど」
「お母さんも昔からお世話になってるって言ってたけど、詳しくは教えてくれなかったんだよねぇ……」
「ま、そのうち教えてくれるだろうから別にいいけど」
「いいの……?」
「……ずっと一人ってわけじゃないしな」
その声は小さく回りくどい言い方であったが、それは拓哉の本心だった。
「ふ~ん♪」
優香はこの言葉を聞き逃すはずもなく、満足そうに笑う。
そんな彼女の反応に拓哉はそっぽを向く。少し頬も赤くなっている。
「んんッ! そんな事より」
「もう、恥ずかしがっちゃって~」
表情を変えずに言う彼女を気にせず、拓哉は強引に話題を変えた。
「……
それは優香の妹の花奈の事だ。
先日、彼女もサキュバスとして覚醒した。拓哉が優香から聞いたところによると、その時は新実家で覚醒したらしい。
その覚醒は優香の時と違い、あっさりと終わったという。と言うのも、花奈が気付いた時にはサキュバスの身体的特徴である角や翼、尻尾が出ていたのだ。それで慌てて優香や母親の佳奈の元に来た事で、自分がサキュバスであると聞かされたそうだ。
「お前から話を聞いてから結構経つけど、その……大丈夫かと思ってな」
「なんでアンタが花奈の事も気にしてるのかはこの際、置いとくとして……そう言えば、あの子が覚醒してから精吸してるって感じがしないんだよねぇ」
「そういうのって分かるもんなのか?」
拓哉は何気なく聞く。
「匂いで分かるよ。ってかぶっちゃけると、これは別にサキュバスじゃなくても分かるかな」
「……つまり、花奈ちゃんからは
「そういう事。ま、花奈が精吸する回数を少なくしてるってなら、匂いがしないのも分かるんだけど……」
「他に何かあるのか?」
その問いに優香は頷く。
「私も慣れてきたから魔力が見えるようになったんだけど、花奈の魔力がね。段々減ってきてるの。お母さんも気付いてると思う」
先程までとは違い、彼女の表情は真剣なものだ。拓哉も、優香が覚醒した時に佳奈から精吸しないサキュバスの話を聞いていたから、このままだとどうなるかは知っている。
勿論、花奈が覚醒した時にも佳奈は優香にしたのと同じ説明をしていた。
「今はまだ大丈夫そうなのか……?」
「多分……だけど近い内に、花奈からも話を聞いた方がいいと思う。……その時は、拓哉にも来てほしい」
きっかけはどうであれ、二人は恋人同士の関係だ。優香も口にしたことだが、いくら彼女と同じく花奈を幼馴染として小さい頃から知っているとは言え、拓哉が妹を気にかけているというのは彼女として思うところがあった。
しかしそれと同じく、大切な妹の命を消させるわけにはいかないという当然の思いもある。
「……いいのか?」
「むしろ、謝るのは私の方かもしれないよ?」
それはずっと精吸をしていないであろう花奈の前に、拓哉を連れて行くとどうなるかを想像しての言葉である。だが拓哉の方も、それを承知の上で聞いたのだ。
「俺は別に、普段からお前に搾り取られてるからそれはいいんだけどよ……じゃなくて、優香は俺と花奈ちゃんがシちゃってもいいのかって……」
「それ聞いちゃうのってズルくない?」
「うっ……」
優香は自然とため息を漏らす。
「まぁ彼女としてはすっごく嫌だけど! でも、サキュバスの感覚で言っちゃうと生きる為には必要な事だし、正直に言うとアンタが他の女の子とエッチしたとしても、それってケーキに乗ってるイチゴを取られたーって感じなのよ」
――そういう感覚なのか……。
「彼女としてはすっっっっごく嫌だけど!!!!」
「わ、分かったって」
とにかく、と彼女は続ける。
「早めに花奈と話をしないとね」
拓哉も「そうだな」と言ったところで、二人が通う高校が見えてきた。
そこで他の友達を見つけて駆け寄っていく優香を見ながら、拓哉は改めて、彼女がサキュバスに覚醒してからの一年でずいぶん変わったなと感じていた。
より女性らしくなった容姿は勿論だが、何より性格がそうだ。
「初めてサキュバスだって分かった時はあんなに恥ずかしがってたりしたのに……それが今じゃ、すっかり慣れただけじゃなくて人をケーキのイチゴ扱いかよ」
複雑な心境でそう呟く彼を
――ああいうのは相変わらずなんだけどな……。
彼女のそういう変わらない部分に、拓哉は安心感を覚えるのだった。
× × ×
昼休み。
昼食を終えた拓哉は一人、誰もいないはずの空き教室を訪れる。
「あっ、やっと来た!」
そこで待っていたのは優香だ。
「もっと早く来てよー。これじゃあ時間なくなっちゃうじゃん!」
「これでも急いで来たんだから大目に見てくれ」
「ふーん……」
拓哉の言葉に、彼女はむすっと不機嫌な表情を隠すことなく、彼の手を取ると廊下から見えにくい位置にまで引っ張って行く。
「お、おい!」
戸惑う声を優香は気にしない。そのまま拓哉を――あまり力を入れずに――壁に押し付けてキスをする。
「んっ……」
ただの唇同士のキスでは終わらず、彼女の方から舌を絡めていく。
「ちゅぅ……はぁ、ん……れぁ……」
彼の方も慣れているもので、最初こそ戸惑っていたが、すぐに優香のキスを受け入れていた。
それから少しして二人の唇が離れる。彼女の表情はまだ不機嫌なままだ。
「私、ちょっと怒ってるんだからね」
「……遅れたのは悪かった」
「それだけじゃなくて……今朝の話、覚えてるでしょ?」
「あ、ああ……」
登校中の話だというのは拓哉にも見当が付いた。
「あれね、もちろん拓哉にも怒ってるけど……何より、私自身にもちょっとムカついてる」
「ちょっとかよ……」
「ごめん」
サラリと言う。
しかし彼女が自分に怒っているのは本心である。そこに間違いはない。
今朝の会話の中で、大切な妹をわずかでも他の女という枠の中に入れて扱ってしまった事。拓哉から心配されている花奈への嫉妬。そして拓哉にも、その人たちと交わろうが構わないと軽い扱いで言った事。
そんなのを考えてしまう自分に、腹が立つ。
「……とにかく、今はその八つ当たりで今こうなってると」
「う゛っ……」
拓哉の言う通りだった。怒りや嫉妬、二人への申し訳なさといった様々な感情が入り混じった気持ちをどうする事も出来ず、優香は彼に八つ当たりをしてしまったのだ。
「あーもう! いいから早くおちんちん出して!」
そう言いながら、彼女は膝立ちになって拓哉のズボンに手をかける。
「あっ、おい! ったく……人払いしとかなくていいのかよ?」
「今からしようと思ってたの!」
優香はすぐさまサキュバスの姿になると、この空き教室の前を人が通らないように、人払いの魔法を発動させた。
「これでいいでしょ」
「って言われても、俺には見えないから分からないんだけどな」
人払いを済ませたのをいい事に、彼女はさっさと拓哉のズボンのチャックを下ろす。そこにそのまま手を突っ込むと、下着の隙間から半立ちになっている彼の肉棒を引っ張り出した。
本来であればキスをすると、唾液に含まれる催淫効果でペニスはすぐに勃起するのだが、それはサキュバスの姿になっている状態で放たれる気と相乗させなければ効果は薄い。今回はサキュバスの姿になる前にキスをした為、催淫効果は発揮されなかった。
しかし優香はそんなのに頼らずとも、拓哉のペニスを勃起させるのはこの一年で随分と手慣れたものである。
「すんすん……すぅ~……はぁ……♡」
その匂いを堪能して、うっとりとした表情になる。それから先端部にキスをしていく。
「ちょ、それくすぐったいから!」
「にひひ♪」
彼女はそう笑うと、今度は亀頭を
一度、亀頭から口を離すと、
「ここも……れぅ……」
上目遣いで彼の反応を見ながら、優香は右手で剛直を少し持って裏筋を舌先で舐め上げていく。さらに空いた左手を睾丸に伸ばして、痛くしないように全体を優しく揉む。
「っ……!」
鈴口からはカウパー腺液が溢れ出て、強くなったオスの匂いに彼女の方も下腹部が
「仕上げに――」
優香は大きく口を開けると、ガチガチになった拓哉の肉棒を奥まで一気に咥え込んだ。そのまま唇と舌、喉奥で陰茎にまんべんなく唾液を塗りたくる。
射精させないように気を付けながら口と喉でペニスを濡らしていると、拓哉が「優香、もういいから……っ!」と言いながら彼女の頭に手を置いた。
その様子に優香は満足そうな表情を見せ、限界まで硬くなったモノをゆっくりと引き抜いていく。
「私ももう我慢できないからぁ……ほら♡」
彼女は自身の下着をずらしながら後ろを向いて、既に愛液が零れる秘部を拓哉の眼前に晒す。誘うように尻を振る優香の腰を掴んだ拓哉は、その蜜壺に震える肉棒の先端を宛がう。
「早く来て♡」
今から挿入されるのを心待ちにする彼女は