※この作品はR-18です。

壊れるくらいに、離したくない   作:東雲。

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一夜の夢から覚める時

玲さんに薬を飲んでもらい、少し経って。

…無論ハートラベルの瓶のヤツではない。

椅子に座って部屋の窓から外を眺める。昨夜の反動で、多分気だるさに負けているのだと思う。

 

俺は必死に脳を絞っているからだが。

 

夜の内に雨は上がり、日光が差し込んでいる。チェックアウトの時間も近い。

2人きりでいられる内に、切り出さなければ…

 

「玲さん」

「は、はい。なんですか?」

「その…本当に、ごめん。昨日は…雰囲気に流されて、玲さんに色々と酷い真似をしてしまって…」

「い、いえそんな!雰囲気に流されたのは私の方です…!楽郎くんは自制してくれてたのに、私が誘ったから…!」

 

玲さんはそう言ってくれる。その優しさはありがたいが、俺の責任も確かに存在する。

玲さんに一切の責任を押し付けるのは…有り体に言ってクズじゃない?

 

「…だとしても、玲さんが流されても、俺がしっかりとしないといけなかったんだ」

 

玲さんの手を取る「ふび!?」

真っ直ぐに見つめる「ぴゃぁ…」

 

「だから、今後について、俺なりに考える。もしものときは責任を取る。今日を……無かったことにはしない」

 

果たしてこれが正しい選択なのか、俺にはわからない。

選択肢は、幾つか考えた。しかし、完全な正解は何処にもないように思えた。それだけの間違いを、俺は犯している。

…別に言葉遊びがしたかったわけではない。

 

「どう、かな…玲さん」

 

何故か顔を反らしている玲さんに、俺の考えをぶつける。

ここまでは俺の選択。玲さんがどう思うかはまた別だ。

 

「………」

 

数秒、考えていたのだろう玲さんが俺に向き直る。

 

「実は…私も、楽郎くんと同じことを考えていたんです」

 

え?そうなの??

男と女じゃその…行為に伴う諸々が違う――基本的に女性の方が何かと危ない――し、まさか同じ考えに至るとは。少し呆気にとられる。

俺に負担をかけまいと合わせてくれているのか、とも考えたが、玲さんの眼を見る限り、その線は薄いように思えた。

 

「確かに、今日その…し(・)て(・)し(・)ま(・)っ(・)た(・)ことはとてもいけないことで、私達両方に責任があるんですよ…ね?」

「でも、だからって私達の関係を、今ここで変えるのも何か違う気がして…」

「今後何がどうなるかは、なってみないとわからないので、その時に考えても遅くはないかなー…と…」

 

玲さんは「優柔不断、ですよね…」と自嘲気味に笑う。

見る人が見ればそうかもしれない。だが俺たちは結局の所まだ高校生で、その肩に乗せるには今回の出来事は重すぎる。

 

だったらやらなきゃよかったと後悔が湧き上がるわけで……

 

だが!

まあ!

起きたことは仕方がない!過去はやり直せない!

忘れこそしないように留めていくが、そこに囚われてはいけない!と思う!

 

ので、

 

「じゃあまあ、行きあたりばったりで今後とも宜しくということで!」

 

強引に締め括る。これ以上考えても唸るだけの問題に頭を割くべきではない。

世の中なるようになるものだ。そう例えばスタートダッシュで大コケして、そのまま予想を裏切ること無く一年と保たずにフェードアウトしたクソゲーのように。おっと脱線。

 

「は、はい!改めて…よろしくおねがいします!楽郎くん!」

「宜しく、玲」

 

あっ昨日の勢いでつい。

 

途端玲さんの顔が急に真っ赤に染まる。いかん思い出させてしまったか。

腕を思い切り振って遺憾の意。あの、握られてる俺の腕どころか身体がひっぱられうべべべべ。

 

「きゅ、きゅうな呼び捨ては、ずるいですよ!卑怯ですっ!」

「うっかりなのでご勘弁を…でも卑怯と言うなら玲さんも呼び方変えてみれば良いんじゃない?」

「むぅ~!」

 

むくれっつらの玲さんも可愛いなぁ。

 

「………あ、『あなた』」

「ぬ゛っ!!!!!」

 

突然の爆弾を処理しきれずテーブルに頭を叩きつけてしまう。

痛てぇ…いや反則でしょそれはぁ!

 

「玲さんそれは段階越えすぎじゃない!?それするならこっちだって『ハニー』とか呼ぶぞ!」

「だ、だったら私だって『ダーリン』って呼んじゃいます!」

 

…これはぁ…互いにダメージを負うだけの無限ループじゃな?

 

「…部屋、出ようか」

「…そうですね」

 

無駄な体力の消耗の後、俺達は立ち上がった。




楽玲は無限にいちゃつかせて良いと古事記にも書かれております。
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