ゴミ(主にゴム)を片付けてラブホを出た俺達は、寄り道とかもせずに一直線に自宅に向かう。
「じゃ、じゃあまた」
「はい、また…」
ちょっと気まずい感じで、いつもの分かれ道でそれぞれの家路を歩き始める。
既に太陽は昇りきっており、これは一切の申し開きようのない朝帰りである。
…どうか、ヤったことが家族にバレませんように。
分かれ道で挨拶するまでお互い無言だったのは、多分、俺も玲さんもそれを願っていたんだと思う。
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・斎賀玲の場合
「た、ただいま帰りました…」
「お嬢様、おかえりなさいませ」
私が家に帰れば、使用人が出迎える。
…早朝から待ってくれていたのだろうか。いつものことではあるのだが、少し、申し訳ない。
「玲、戻りましたか。…少し、外しなさい」
「承りました」
今は、顔を合わせたくなかった姉が姿を見せる。
使用人が去り、玄関で二人だけで対峙する。
「玲、事情は把握していますが、朝帰りは風聞もあります。感心はしませんよ」
「はい…」
それは…その通りだ。
天気予報を見ていれば、そうでなくても折りたたみ傘等を普段から準備していれば。避けられたアクシデントなのだから。
「時に…ふふ、朝帰りですか。今度は彼と致したのですか?」
「致し…?…っ!!?そ、そんなことしてま!………………ま!…………ぁ………」
否定の言葉を口にしたかったが、シてしまったのは紛れもない事実である。熱く激しい一夜を思い出して否応なく顔が熱くなってしまう。
「おや?おやおや…ふふふ、よく成し遂げましたね、玲。斎賀の女としては快挙と言っても過言ではありませんよ?」
「はぁ…」
これを快挙と呼んで欲しくはない…
「これは、親類縁者に良い報告が出来そうですね?」
「しないでください」
そこは断固拒否させていただく。
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・陽務楽郎の場合
「ただいま」
「あ、おにーちゃん、おかえり」
玄関を開けてすぐ、運悪く妹とばったり。
これまた3ヶ月前を思い出すなぁ!
「ちょーどよかった。私もうすぐバイトだから留守番よろしくー」
「まぁ良いけど…父さんと母さんは?」
「いつもの」
いつものってことは、父さんは川へ魚釣りに、母さんは山へ虫捕りに、か。
「何か言ってた?」
「いや?特に何も。…あ、そうだおにーちゃん」
「ん?」
妹が小悪魔的な笑みを浮かべている。
「ゆうべはぁ…おたのしみでしたね?」
おっと妹よ。俺がその程度のカマかけに引っかかると思っているのか?
玲さんからの告白がモロバレしたあの時とは違う。俺のポーカーフェイスは進化した!
「あのなぁ瑠美、何もあるわけないだろー。突然の雨に振られたから帰れなくなっただけで、普通に2部屋取ってそれで寝ただけだっつの。連絡もしただろ」
「えぇ~?ほんとに~?斎賀さん美人だから、おにーちゃんがケダモノになっちゃったりしてないのぉ?」
「…なってほしかったのか?」
「だっておもしろそうじゃん」
順調に教祖の影響を受けているようでお兄ちゃん妹の将来が心配です。
これ以上外道汚染が進行していくとすれば、俺はペンシルゴンとの付き合い方を考えたほうが良いのかもしれない。
にしてもペンシルゴンのやつ、表じゃ本性出してないのにこれは…紙面には映らない外道オーラが漏れてますね間違いない。
「とにかく、俺は今慣れないベッドで寝て疲れてるからとりあえず寝る。すげー眠いから寝る。そこのけそこのけ兄貴が通る」
瑠美の横を通り過ぎて自室に向かう。家まで帰り着いた安心感からか急にどっと眠気がやってきた。
昨日ほんと何時までヤってたんだろう…
「なーんだ、つまんないの。おやす――」
***
この時。
陽務瑠美はすれ違いざまに気づいてしまった。
兄の首の横側。前からは見えなかった位置にある、小さな
それも、少し離れた場所に2つ。
本当の所、瑠美は兄が強引に襲うような真似をする手合ではないと思った上で、ちょっとからかっただけのつもりだった。
ではあれは?
キスマークということは斎賀さんがつけようと思わなければ付くものではない。
瑠美の知る斎賀玲の性格からはあまり考えられないが、無理矢理襲われたにしては兄はあまりにも平然としすぎている。
ということは…?…それで「疲れてる」?「すげー眠い」?…つまり?
(おにーーーぃちゃーーーーーん!!?!?!?)
兄の本性?を目の当たりにし、上の空が極まった瑠美はその日、バイト中に3回ミスをしてバイトリーダーに体調を心配された。
***
今作は以上になります。
ここまで読んでくださった方、誠にありがとうございました。