夏休み、グループ課題で僕の部屋を訪れた結城明日奈と桐ヶ谷直葉 作:黒胡椒サラミ
不思議な感覚だ。朝起きたら、頭のすぐ横に他人の寝息を感じるなんて。僕は僕の部屋で、下級生の桐ヶ谷直葉と朝を迎えた。全身が気だるい。流石に昨日はサカり過ぎた。朝っぱらから、やけに蝉がうるさく鳴いていると思ったら、少し目に入った時計は、もう10時半に届きそうだ。
僕と直葉の裸体は、シングルベッドの上で密着している。直葉の身体は暖かく、汗をかいた肌がじっとりとしていて、真夏の熱帯夜の中では不快なはずなのに、ぜんぜん不快じゃなかった。僕は安心したように、はぁっと息を吐いた。
僕の二の腕に乗った直葉の頭は、小さいのに確かに重い。髪の毛はしっとり汗ばんでいる。そんな色々が、ああ、ここに生きた女の子が居るんだなぁと、僕に思わせてくれる。
「せんぱい……」
「……直葉、おはよう」
「……おはようございます」
僕に続いて、直葉がぼんやりと目を開けた。お互いに起床の挨拶を交わしたけど、僕らはどちらもベッドから起き上がらなかった。
「……あたし、寝坊しちゃいました」
「あー……」
そんなやり取りの後に、さらに五分くらいの間が開く。喋ることが無いんじゃなくて、この無言の時を噛み締めている感じだ。少なくとも、僕はそうだった。
直葉はどうなのだろうか。眠りから目覚めて冷静になり、後悔に襲われて真っ青になっている――そんな感じには見えなかった。いそいそと立ち上がって、着替えて部屋を出ていこうともしない。直葉がそうできないように、僕が彼女の頭を抱え込んで、自分の胸に引き寄せたから、そうしないのだろうか。
直葉の柔らかい手のひらが、僕の心臓の上あたりに乗っている。二人の身体の上には、腰のあたりのタオルケット一枚だけしか、かかっていない。
「今日の夕方までには帰るからって、お母さんたちに言ってあるんです」
「……そっか」
じゃあ、夕方までは、直葉は僕のものだ。それを主張するように、彼女の頭を抱いた手に力を籠めると、直葉は「先輩」と言いかけて、悩まし気なため息を漏らした。
「先輩のここ、もう元気ですけど……」
11時を過ぎると、直葉がそう言った。彼女の右手は、僕の胸から股間へと移動している。直葉の指が、朝立ちしたチンポの裏筋に、そっと添えられた。昨晩あれだけヤリまくったのに、もうこれだけギンギンになるのかと、僕も自分で呆れていた。直葉もちょっと呆れ気味の様子で笑うと、僕の耳元で囁いた。
「ふふっ……もう一回、しますか……?」
「いや、もうちょっとこのまま……」
「はい、わかりました」
今日もセックスしまくってやろうと思っていたのに、相変わらず性欲は滾っているのに、この穏やかな時間を、もうしばらく手放したくないという気持ちもあった。僕らはそのまま、二人で寝落ちしてしまい。再び目が覚めたのは、昼の二時くらいだった。
「ん……♡ ちゅ……♡ せんぱい……♡」
「直葉……」
「ちゅ……♡ ふふっ、せんぱい……♡」
思う存分惰眠を貪ってから、僕らはベッドで、イチャイチャと互いを呼び合いながらキスをした。
「ちゅぅ……♡ はぁ~……今日も暑いですね……んっ♡ はむ……♡」
「ほんと、勘弁してほしいよな……」
「ちゅ……♡ はぁ……♡ シャワー、浴びますか……? ちゅるぅ……♡」
「まだ、もうちょっと……んっ」
「じゅるるっ♡ せんぱい……っ♡ ちゅぅう……っ♡♡」
一日で最も暑い時間帯に、相変わらずクーラーの出力が不安定な部屋で、僕と直葉はベッドに寝転んだまま、ますます密着していた。肌の触れ合う面積ができるだけ大きくなるように、両腕を相手の背中に回しているのはもちろん、両脚も絡み合っていた。
僕は、ガチガチのチンポを直葉の身体に擦り付け、彼女の肌にカウパーを塗り付けている。直葉のほうも股間を僕の太ももに擦り付けて、奥から溢れた液体でべっとべとに汚しているからお互い様だ。肌の多くが触れ合って、互いの体液が混ざり合って、さらに頭が暑さでぼーっとしているせいで、二つの身体のどこからが僕で、どこからが直葉なのかも曖昧になっていた。
「――んっ♡ ふぅっ♡ せんぱっ♡ んぅうっ♡ ちゅ♡ ンぅっ♡」
キスは段々と激しくなり、僕らの腰はカクカクとみっともなく動く。挿れてないのに、相手の身体に性器を擦り付けるだけで気持ち良くなってしまっている。どうせなら挿れたい。でも、そのために相手から一瞬離れるのも惜しい。そんな風に葛藤していると、僕らは同時に絶頂してしまった。
「はっ――あっ、ぐぅ……!」
「あ゛ーっ♡♡ んぅ~~っ♡♡ ~~~~っ♡♡」
直葉のお腹に、僕の精液がたぱたぱと降りかかる。直葉は僕の太ももにマンコとクリトリスを擦り付けながら、切ない顔でアクメしていた。
「え、えへへ、あたしイっちゃいました、先輩」
「あ、ああ、僕も……ううっ!」
「わぁ……まだ出てる……。先輩のおチンポ、跳ね回ってる……。あたしのおなかに、白いのがいっぱい……」
「はぁ……はぁ……」
「射精するのって、やっぱり疲れるんですか……? 先輩、苦しそう……え? 何ですか?」
「直葉、挿れたい。マンコで射精したい」
「……はい♡」
やっぱりナカでイかないと、本当に射精したという気になれない。僕の要求に、直葉は柔らかい微笑みで答えた。直葉は僕の顔を両手で挟むと、キスをして僕の口内の唾液を吸い上げる。そうしてから、いったん離れてベッドを降り、そこらへんに落ちていた未開封のコンドームを手に取った。
「あたしが付けてあげますね。あ、でも……」
直葉はそう言うとカーペットに跪いて、ベッドに仰向けになった僕のチンポに顔を近づけ、そこに舌を這わせ始める。
「れぇ……♡ れろぉ……♡ おチンポに、せーえきがついてるから……♡ じゅるぅ……♡ 先に、綺麗にしますね……♡ あむ……♡」
「や、ヤバいよ直葉っ、それっ、イったばっかりだから敏感でっ」
直葉に主導権を奪われて、僕は情けなく腰をガクガク震わせた。直葉はチンポに付着したザーメンを舐めとり、その代わりに自分の唾液でベタベタにすると、うっとりとそれを見てから、コンドームを嵌める。
はじめてフェラチオさせたのも、それどころか、コンドームをはじめて見たのもついこの前なのに、この子は本当にエッチに積極的になった。それくらい、セックスにドはまりしたということなのだろう。
それに、初めて男の部屋に泊まったことで、彼女はまた何かの垣根を飛び越えたのかもしれない。それとも、また一段と深い崖に堕ちたというのが正しいか。とにかく直葉は、妖艶にも見える微笑みを浮かべたまま、ベッドに這い上がると僕の腰に跨ってきた。
「先輩は、そのまま寝ててくださいね。今日は、あたしがしてあげます。ふふっ♡ 先輩のおチンポ、やっぱり元気なまま……♡ ――んっ……♡ ハぁん……っ♡ 」
「うああ……直葉……っ!」
直葉は騎乗位の格好で、僕のチンポを自分のマンコの奥深くにまで飲み込んだ。熱くざらついたヒダが、竿全体を強く擦りあげる。僕は思わず、両手でシーツをぎゅっと握っていた。
「先輩、感じてくれてるんですね。昨日あんなにしてもらったから、今日はあたしが、先輩にお返しします。――んっ……♡ んっ……♡ んっ……♡ あっ♡ んっ♡ んっ♡ んっ♡ んっ♡」
鼻にかかった甘い声を漏らしながら、直葉が腰を振りたくる。最初は遠慮しがちにゆっくりと、それから徐々に動きのペースを上げていく。夏休みに入る前は間違いなく処女だった女の子が、今はもう、立派な「女」に成長していた。直葉のあどけない顔立ちは何一つ変わっていないだけに、それがなおさら僕の劣情を煽る。
「あっ♡ あっ♡あっ♡あっ♡ はぁっ♡ これっ、あたしもスゴいですっ♡ いつもと、当たる角度が違って♡ せんぱいのがっ♡」
直葉は膝立ちのような姿勢で、腰の上下運動を繰り返す。確かに、いつもとチンポの先が当たる場所が違う。そうやって、直葉はまた僕の前に、自分の弱点を晒してしまっている。
彼女の両手は僕の胸のあたりに置かれているけれど、そこに体重はかかっていない。ただ純粋に僕の胸を触りたいかのように、さわさわと表面上を這い回っている。二の腕に挟まれ寄せられた直葉のおっぱいは、より一層巨乳に見えた。それが彼女の腰つきにあわせてぶるぶると揺れるから、エロいなんてもんじゃない。見ているだけで射精しそうだった。
「あっ♡ せんぱいっ♡♡ せんぱいっ♡♡ せんぱいっ♡♡ せんぱいぃっ♡♡」
直葉は何かを堪えるように、眉根を寄せて目をつぶり、時折首を振ったりする。膣内のざわつきから、彼女もこの行為で、今まで得たことのない快楽を得ているということが、僕にも伝わってきた。
彼女の声に含まれる糖分は、初めはコーヒーカップに入った角砂糖一個くらいだったのが、今は瓶ごとシロップをぶちまけたみたいになっている。感覚全てが直葉に包まれて、その何もかもがどろりと濃厚で、思考すら麻痺していく。
「せんぱいのっ、ビクビクしてますっ♡ 出したい、出したいって♡ いいですよせんぱい、出してくださいっ♡ ナカで思いっきりっ♡ 直葉のナカで出してくださいっ♡」
「あ……っ! ううう……っ! 直葉……!」
「我慢しないで♡ 出しましょ♡ いっぱい♡ い~っぱい出しましょ♡ あっ♡ あっ♡あっ♡あっ♡あっ♡ ああっ♡」
自分でも気づかない間に、僕の両手は直葉の両手と繋がっていた。指のあいだに指を絡ませて、ちょっとやそっとじゃ解けないようになっていた。繋がった手を支えにして、直葉の腰の動きはさらに奔放になった。チンポがマンコを往復するたびぐちょぐちょと音が鳴り、僕の恥骨と直葉のお尻がぶつかり合うパンパンという音も、大きさを増していた。
耐えられるはずが無かった。直葉のナカで、僕の欲望は爆発した。
「あ、ぐぅっ!! うああっ!!」
「んっ~~~っ♡♡♡♡ んぅ~~~~~っ♡♡♡♡」
唐突に訪れた絶頂に見えたけど、僕の射精にあわせて、直葉もちゃんとイっていた。僕は口を大きく開けて、そこからどうにか酸素を取り込みながら、過呼吸すら引き起こしそうな腰のガクガクに流されまいと踏ん張っていた。直葉は直葉で、目をつぶってうつむき、背骨から脳天まで駆け上がるような電流に耐えていた。
普通のセックスでこんな風に感じられるものなのだろうか。それとも、僕らの身体の相性が奇跡的なくらい良すぎるのだろうか。分からないけれど、ここにあるのが、他の何にも代えがたい快楽だということだけは明確だった。
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「ふふっ」
「どうした直葉、何か可笑しかった?」
「ううん、ただ、これって何ご飯なのかな~って思っただけ」
時計が差す時刻は、午後の五時だった。もぐもぐとカップラーメンを食べながら、直葉は妙に楽しそうな顔をしていた。昼食には遅く、夕食には早い時間だ。
そもそも、昨日の午前から今日のこの時間にかけて、僕らが何かを食べたのは、今を含めて二回だけだ。セックスを最優先にしたせいで、完璧に生活のリズムが崩れている。直葉はしっかりしてそうだから、こういう堕落した生活は経験したことが無かったのだろう。僕としても、食事だけはちゃんと提供するつもりだったのに、結局こんな栄養補給のことしか考えていない感じのメニューになったのは、少し彼女に申し訳なかった。僕は肌着のシャツとトランクス、直葉は僕から借りたTシャツだけという服装も、堕落とか退廃とかいう表現が相応しい。
一応は使用済みコンドームの類は片付けたし、二人してシャワーを浴びたから、身体も綺麗になっているはずだ。でも、直葉の身体にたくさんかかった僕の精液の匂いは、きっと石鹸くらいじゃ、こびりついて落とせないに違いない。
僕らはまだ、お互いの思春期の性欲を解消するための、都合の良いセックスフレンドでしかないのかもしれない。だけどこうしているあいだにも、桐ヶ谷直葉という女の子が、着々と僕の「女」に変わっていっているような気がして、僕の心には、暗い満足感がふつふつと沸き上がってきていた。
「ふぅ~、ごちそうさまでした」
「お粗末様」
食べ終わった直葉が手を合わせると、僕は敢えて優しい笑顔を浮かべ、そう言った。タイムリミットは近かった。直葉は立ち上がると、ここに来た時と同じ、薄い青のワンピースに着替え始めた。彼女が着替えるのを、僕は止めようとしなかった。
「じゃあ……さようなら」
「うん」
バッグを持った直葉を、僕は立って見送ろうとした。ドアを開ける前に、僕は直葉に顔を近づけ、一つだけ尋ねてみた。
「楽しかった?」
「あ……っ」
平静に戻っていたように思えた直葉の顔が、ぽうっと赤くなる。大きくてきれいな瞳も潤んでいる。その一言だけで、およそ一日と半日かけてこの部屋で行われたことが、彼女の頭の中でフラッシュバックしたのだろう。
直葉は僕の胸に額を押し付けるようにしなだれかかると、熱い吐息を漏らしながらつぶやいた。
「はい……楽しかったです」
「またおいで」
「はい……――んっ♡」
キスをしたのは僕のほうからじゃない。バッグを床に落とした直葉は、僕の首に手を回し、かかとを少し上げて、名残を惜しむように唇を押し付けてきた。
「……また、来ます」
そして、耳まで真っ赤になってしまった直葉は、その言葉を残し、バッグを胸に抱えて小走りで逃げるように去っていった。