※この作品はR-18です。

めぞん一刻 二次小説 流れる季節の中で   作:今津晶

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第01話  消えた惣一郎さん

時は停まらずに永遠に流れていく。時代は20世紀から21世紀へと。あの坂は・・時計坂と呼ばれた所は今どうしているだろうか?

 

[ママ~、ただいま~!]

 

[あら?春香、又まっすぐ帰らないでこっちへ寄って来たの?]

 

[ふふ、だってこっちへ寄るのがもう日課みたいなもんだから]

 

[しょうがない娘ね。この娘ったら。おやつ食べたら帰るのよ]

 

[ハ~イ、ママ。]

 

この会話。

ママと呼ばれているのは響子さん、そして春香と言うのはそう、響子さんの娘、春香ちゃんである。

今や15歳の中学3年生で生後間もない頃は父親の五代君そっくりだったが成長するにつれ母親の響子さんそっくりになりつつある。

無論今でも五代君の面影はあるが、なかなかの美少女に育っている。

ただ外見や声は母親そっくりだが内面は考え方など五代君に良く似ていて、特に響子さんへの甘え方は言い方だけでなく仕種などがぴったり同じで””春香は本当にパパの娘ね。遺伝子って凄いわ・・内面とかがそっくり同じよね””と溜め息と共に嘆かれている。

 

21世紀を迎えても、一刻館は健在であった。

老朽化が進み、取り壊しなどの話も持ち上がったが、補修を重ね何とか持ちこたえているのである。

管理人さんは・・・今でも響子さんだ。変人しか住んでいない一刻館を建物だけでなく住人をも管理するのだ。やはり彼女でなければ勤まらないであろう。

 

昔と変わった事と言えば、春香ちゃんが健やかに成長して来て管理人室も6畳一間なのでかなり手狭になり、旦那の五代君が遂に一念発起、一刻館の近くに7年前ローンでマンションを購入したことだろうか。

当初は家族水入らずの生活に、特に五代君は””ようやく一刻館の他の住人達に邪魔されない暮らしが出来る””と震える感動と感激と感涙を隠せず、当時小学生だった春香ちゃんも自分の部屋があるのが夢みたいと飛び跳ねて大喜び、

もちろん響子さんも夫と娘だけの3人での生活空間・・家族水入らずの住まいを大いに喜んだものだが、管理人の仕事は続けたために日中は一刻館へ必ず来るし、春香ちゃんも生まれてからずっと両親と暮らしていた管理人室に愛着があって懐かしいのか

学校帰りには習慣のように訪れていた。それに幼い頃からずっと、ここは両親である五代君と響子さんが初めて会った場所だと聞かされているので子供なりに浪漫を感じてもいた。

また今でも時々、変人の住人たちから当時の父と母の逸話も(心から笑える場合と全然笑えない場合があるが)耳にする機会もあり退屈はしない場所でもある。

 

 

 

“ガチャ”

 

[お帰り~春香ちゃん]

春香ちゃんが管理人室の扉を開けると開口一番、大きい声、ワンカップ酒、少し太めな体系。もしかして・・・。

 

[又居たんですか?一の瀬さんのおばさん。好きですね~、ここが]

 

そう、一の瀬さんがお出迎えだ。

あいも変わらず管理人室でカップ酒を手に油を売っていた。

 

[春香、リンゴ剥くけど食べる?]

 

[わ~い、リンゴ大好き!]

 

そう言うと、響子さんは馴れた手付きで綺麗にリンゴの皮を剥いていった。

 

[そう言えば一の瀬さん、賢太郎君お元気ですか?]と響子さん。

 

[ああ、あいつ?ここには寄りつかないけど元気だよ。]

賢太郎君も元気でいるらしい。

 

[ああ、あの背の低い人だね、ママ?]

とても失礼な春香ちゃん。

 

[春香!失礼じゃない。駄目よ、そんな風に言ったら]

春香ちゃんを嗜める響子さん。

しっかりと母親の顔です。

 

[わはは!いいんだよ、管理人さん。本当に背が低いんだから賢太郎は]

豪快に笑い飛ばす一の瀬さん。

 

[賢太郎君、ラーメン屋さんで働いてるんでしたっけ?]

 

[ああ、そうだよ。“こんな貧乏な生活から抜け出してやる!”とか言って高校のときからアルバイトしてたラーメン屋のチェーン店にそのまま正社員で就職しちまったのさ]

[まあ家は父ちゃんの稼ぎが悪いから、大学なんかに進学させられなかったけどね]

しんみりとした表情を見せる一の瀬さん。

 

[まあ修行の成果があったのか、何か今度は自分の店出すみたいなんだよ、賢太郎の奴]

賢太郎君が独立して自分のラーメン屋を出すらしい。

一の瀬さんの顔にちょっぴり誇らしい笑顔が戻る。

 

[それはおめでとうございます]

響子さんもとても嬉しそうだ。

 

[じゃあ今度、みんなで応援というか、賢太郎君のお店に行きませんか?]

賢太郎の店に是非とも行こうと言う心の優しい響子さん。

 

[わ~い!あたしラーメン大好き!]

一緒にはしゃぐ春香ちゃん。

 

[誰を連れてくんだい?管理人さん]

みんなと言っても確かにそうだ。

 

[そうですね、え~と、そうだ、三鷹さん辺りどうですか、一の瀬さん?最近お会いしてないし]

 

[おお、いいねぇ!もしかしたら管理人さんの亭主になる予定だった人かい?]

 

三鷹さんの名前を出した響子さんに対して、待ってましたとばかりに冷やかしを入れる一の瀬さん。

 

[もう!一の瀬さん、春香が変に思うじゃないですか。そう言う誤解を招く表現は止めて下さい]

顔を真っ赤にして抗議する響子さん。

 

[何言ってるのよママ。たまにパパの愚痴を零しちゃう時に””あ~あ、ちょっとは三鷹さんみたいにはっきりしてくれたらな・・男なんだから強引なのもたまには良しよ””とか言ってるじゃない]

痛い突っ込みを春香ちゃんに入れられる響子さん。

 

[パパってばホント優柔不断だもんね、愛するママのこと以外はね]

[ママに対してだけはホント大好きって、一瞬で即答する位すっごくはっきりしているんだから呆れちゃうわ・・まあだから結婚が出来たんだよね?]

[パパのママを見る視線ってちょっと違うもんね・・ホントに大好きな女性を見詰めてるって感じ?]

((・・だけどママからの視線とか表情もそうだけどね。たまに愚痴るけど、ママってば結局パパを何だかんだ言ってもさ、””ふふ、もうしょうがないわね””とかさ・・”ママはパパがね、心配だから目が離せないの”って嬉しそうな感じで言ってるから、

結局はさ・・べったり甘やかしてるもんなぁ・・・。あ~あ、娘と愛する夫じゃ勝負になんないよ))

言いたい放題ですな。

 

[わはは!春香ちゃんは正直でいいわ]

[まあ、五代君のさぁ~管理人さんへのベタ惚れ具合って20年以上前から何にも変わんないくらいだからね。あの恋する眼差しは一緒だもんね~]

[大体さ、自分から尻に敷かれに飛び込んで行ってるから凄いよ。こうさ、寝そべって背中に”さぁどうぞ、響子さん”って感じでホントに文字で書いてあるみたいなんだからね。呆れるのを通り越してるよ]

春香ちゃんと一の瀬さんの強烈な攻撃に言葉も出ない響子さん。

 

[で、三鷹夫妻はいいとして、後はどうする?管理人さん]

 

[そうですね~、どうしましょうかしら]

人選に悩む響子さんと一の瀬さん。

 

[あのう、何か大事な人を忘れちゃおりませんですか?]

 

[きゃあ!びっくりした。四谷さんったらもう]

いきなり響子さんの背後から気配がしたと思ったら四谷さんだった。

 

[こんにちは~、四谷のおじさん]

いつもの事と何の驚きもしない春香ちゃん。彼女だけは生まれて間も無い頃からの付き合いだからか、この一刻館の変人達に対して免疫があるので全然気にならないようだ。

四谷さんは変わっていない。

元からが全くの正体不明なのでどう変わったのかも説明不能なのだが。

 

[私の事を忘れてもらっちゃ困りますなあ]

 

[あんたは呼ばなくても勝手についてくんだろ?]

分かりきったことと言わんばかりに一の瀬さん。

 

[実は今日、大変お懐かしい人に偶然出会いまして]

四谷さんは誰か懐かしい人に遭遇したと言う。

 

[こっこれは!魚沼産のコシヒカリ!]

突然現れたと思ったら一体、何処見てんだ四谷さん。

 

[それはいいですから、だから、誰ですか!四谷さん!]

 

[あの、今月食費が苦しくって・・・]

お米を物欲しそうにじ~っと見詰める四谷さん。

 

[そっ、そのお米は主人の実家(商売繁盛の定食屋・五代)の方から送ってきたお米なので]

 

[さぞや美味しいんでしょうなぁ]

視線を外さない四谷さん。

 

[もう、四谷さんには負けました。後で分けて差し上げますから、誰なんです?その人]

根負けした響子さん。

 

[それはですねぇ]

誰か懐かしい人に偶然出会ったという四谷さん。

果たしてその人物とは???

 

[いんや~、惣一郎さんにそっくりな犬を]

自身満々に四谷さん。

 

“一同大きく溜め息”

 

[はぁ・・・]

 

[もう生きてるわけないよ、惣一郎さん]

呆れた顔の一の瀬さん。

 

[そうですわねぇ]

[惣一郎さんが忽然と姿を消してから15年は経ちましたものね]

響子さんが伏目がちに言う。

 

[ママ、惣一郎さんって、ママが飼ってた犬の事でしょ?]

春香ちゃんは惣一郎という犬の存在をよく知らないらしい。

 

[ええ、春香が産まれてこの一刻館に来た日からそんなに経たずに急に居なくなったのよ]

 

[死んだんじゃなくて、居なくなっちゃったんだ!]

響子さんの一言に驚く春香ちゃん。

 

[でもどうして???]

 

[もう自分の存在は必要無いって思ったんじゃないのかい?惣一郎さんは]

春香ちゃんの不思議がる言葉に一の瀬さんがそう答えた。

 

[必要無いってどういう事ですか?一の瀬のおばさん?]

身を乗り出して一の瀬さんに詰め寄る春香。

 

[それは直接ママに聞いた方が早いよ。]

と、詰め寄る春香ちゃんを少しばかり冷たく突き放す一の瀬さん。

 

[賢太郎がまだガキの頃、惣一郎さん散歩連れてって焼き鳥の匂いにつられて逃げちゃった事あったねえ。昔]

 

[ありましたねぇ。一の瀬さん]

しみじみと昔の事を思い出す響子さんと一の瀬さん。

 

[あん時はすぐに帰ってきたけど、次の時は帰って来なかったねぇ]

溜め息を吐く一の瀬さん。

 

[みんなして手分けして探したんですがね]

四谷さんもしんみりした表情。

 

[犬小屋だけはずっと残してあるんですけど]

と響子さん。

あの時は自分が可愛がっていた飼い犬が消えてしまったことに最初は冷静だったが・・・何故その犬に自分の亡くなった夫の名前を付けたの経緯を・・その記憶を思い出し

本当に必死で時計坂を探した。それでもなかなか見付からず涙まで零れて流してしまった響子さん。

そして捜索中だった五代君が見知らぬ家庭に拾われて保護され飼われようとしてたのを発見し連れ帰って来てくれた。

その時に響子さんは犬を連れて一緒に歩く五代君を目にして衝撃を受けたのだ。

その犬を響子さんの亡夫が拾って連れて帰って来た瞬間と余りにも光景が似通っていたから・・・・。

音無惣一郎という男性と五代君は顔や雰囲気など何も共通点など無かったのに。

 

[もういいんじゃないかい?管理人さん。犬小屋を壊したりしても惣一郎さんは恨んだりしないよ]と一の瀬さん。

惣一郎さんが消えて15年余り。

いつかは帰ってくる。

そんな気持ちが心の隅のどこかにあった響子さんは、犬小屋を当時のまま残していた。

主の居ない犬小屋をずっと。

[そう・・・ですわね。主人はそんな事一言も言わなかったけど、あたし・・・無神経だったのかも知れませんね]

躊躇いの表情を見せる響子さん

その様子を黙って見ている春香ちゃん。

[ふ~。何かお通夜みたいな雰囲気になっちゃった。さて、亭主の飯でも作るか]

 

[それでは私も]

 

[ああ、ラーメン屋の件、賢太郎に伝えておくよ]

そう言い残すと、一の瀬さんと四谷さんは腰を上げて自分たちの部屋へと戻って行った。

管理人室には響子さんと春香ちゃんの親子二人だけが残った。

[ねえママ、一の瀬のおばさんが言ってた事、どういう意味なの?]

 

[うん。春香、あのね。私がパパとは再婚だって事は知ってるわよね?]

 

春香ちゃんの素朴な疑問。

娘の問いに静かに切り出す響子さん。

 

[うん、もちろん。だけどそれと犬とどんな関係があるの?]

[ず~っと昔から犬が居ないのに犬小屋あるのは変だと思ってたけど]

[ママの前の旦那さん。急な病気でママと結婚して半年も経たずにすぐに死んじゃったけど]

[名前が音無惣一郎って言うのは知ってるわよね?春香]

 

[うん。知ってるよ]

[音無家のおじいちゃんの家に小さい時に遊びに行ったの覚えてるよ、私]

[でも死んじゃったんでしょ?音無のおじいちゃん]

 

[そうね、春香がまだ3歳の時の春だったかしら]

音無老人はすでに故人となられていた。

[そこの辺りまでは春香も知ってると思ってたのよ。ママも]

響子さんと春香ちゃんの会話。

響子さんは過去と対話しているようです。

[どうして犬の名前を惣一郎って付けたのかは知らないわよね?春香は]

 

[うん、それはあたし知らない]

[ママの前の旦那さんと同じ名前を付けたんでしょ?犬に。でもどうして?]

[それはね、春香。惣一郎さん、他の名前で呼んでも全く反応しなくて。例えばシロとか]

[でも、“惣一郎さん”てその、前の旦那さんを呼んだら、同時に犬も反応したのね]

[そして、“人間の方”の惣一郎さんが死んで。私がこのアパートに管理人として働く事になった時にその名前を犬にもらったの]

優しく娘に語り掛ける響子さん。

 

[そうだったんだ。初めて知った私]

春香ちゃんは少し感動したようだ。

 

[でもそれじゃあパパ、面白くないよね。男として]

[毎日、毎日、“惣一郎さん、ご飯よ”なんて聞かされたら]

春香ちゃんが少しばかり呆れて言う。

 

[そうよね。いくら犬とは言っても前の男の人の名前じゃあね]

[例えそれがパパじゃない男の人だとしてもちょっと・・・ね]

[でもママはずっと死んでしまった人の生まれ変わりだと思って育ててきたのよ。惣一郎さんを]

響子さんが懐かしい思いを込めて言う。

[あ!それで分かった。犬の惣一郎さんが忽然と姿を消した理由]

[私が生まれてもうママは自分が居なくても平気だと思ったから自分から姿を消したのね。きっと]

[ママがパパと・・あんなにママのことが熱烈にね・・すっごく大好きなのは勿論だけど、この世で一番ママに優しい男の人ってパパだから、そのパパと結婚して、それから無事に娘の私が生まれたから、本当に間違い無く幸せなんでもう大丈夫って]

納得したように春香ちゃんが語る。

 

[春香もそう思う?そんな風に思ってくれる?]

響子さんは愛娘の言葉が嬉しそうだ。

 

[うん、そう思うし、そう信じたい。私]

 

[ありがとう・・・春香]

優しく春香ちゃんの頭を撫でる響子さん。

 

[さ、もうそろそろ夕飯のお買い物に行かなくちゃね]

 

[あっあたしも行く、ママ]

 

[またお菓子ばっかり買うんでしょ?春香]

 

[ばれちゃったか]

そして春香ちゃんと響子さんは夕暮れの時計坂商店街へと買い物に出掛けて行くのであった。綺麗で優しい母親が大好きな春香ちゃん。一緒に買い物をするのは楽しい親子の交流だ。小さい頃から友人たちに羨ましがられたものだ。

”春香はいいよね。あんなにとっても優しくてすっごく綺麗なママが居るから。ウチとは全然違うよ、いいなあ・・・”と何人からも、本当に大勢から言われて幼心にも自慢だったし、それは今でも同じだ。

響子さんは料理上手なので春香ちゃんが幼稚園の頃はちっちゃくて可愛らしいお弁当を・・食べるのが惜しいくらいに見た目も良い内容でホントに美味しいし毎日が楽しみで仕方なかった。

小学生の頃は給食があったから弁当は遠足の時だけだったが、それでも凄くキレイで華やかで美味しくて羨ましがられた。

中学生から弁当が復活したのは母親の響子さんからしたら負担が増えたようでも実際は夫の五代君に毎日愛妻弁当を作っていたのだから手間隙は大して変わらないし、張り切るわよって母親に言って貰えて春香ちゃんは”ありがとう、ママ!”と素直に喜んだものだ。

中学高校のお昼休み、友人たちと弁当を囲む際にもおかずの取替えっこをしたり味の品評会を繰り返しているけれど、そこでも見栄えと味の良さに感心されているのだ。

もともと元気一杯で無邪気な春香ちゃんは幼稚園や小学校低学年の頃は学校から帰宅すると真っ先に母親の響子さんの背中や胸に飛び込んで”ママ、ただいま~!”と抱き付いて甘えたものだ。

その瞬間から、とっても良い匂いと温もりに包まれたのが嬉しくて、はしゃぎながら喜ぶ娘を優しく慈愛を込めた瞳で見詰めてくれた響子さんが本当に春香ちゃんは大好きで15歳の今でも時々抱き付いて昔みたいに甘えたくなってしまう。

幾ら同じ女性同士で実の母娘とは言っても人前ではちょっと自分の行動が幼く思われるであろうから流石に最近は恥ずかしいので人前ではしないようにしているが家の中では結構抱き付いている。

現在でも甘える娘を”あらあら、仕方ないわね・・春香は甘えん坊さんなんだから・・”と口では嗜めるが愛する一人娘と仲良く過ごすことに響子さんも大きな幸福を感じているので常に微笑んでくれる。

だがそれも父親である五代君が帰宅するまでの話だ・・・。娘が母親を独占できる時間とは五代家では長くはなくて短いのだ。

春香ちゃんにとってパパの五代君は幼い頃はずっと自分の遊び相手で大好きな存在で、いや、今でも父親は好きだが両親の仲の良さは半端ではないから大いなる疎外感を味わう破目になるのだ。

父親と母親は夫婦なんだから、そういうものだと思い込んでいた春香ちゃんは成長するに連れて自分の両親が目の前で何の遠慮も無く披露していた行為が実は、ちょっと世間では滅多にはお目に掛かれないくらいの強烈な熱愛振りだと悟った時は物凄く衝撃的だった。

だから中学3年生の娘としては・・ちょっぴり恥ずかしいなと考えてはいるのだ。もちろん両親が不仲であるのは不幸であるから仲が良いには越したことがない。それはそうなのだが・・・・・やはり限度と・・・その節度は・・必要なのでは?・・と考えてしまう。

母娘で仲良く並んで坂道を歩きながら春香ちゃんは自分の両親・・五代君と響子さんの仲睦まじいどころではない凄まじいまでのラブラブ夫婦振りを回想していた。

 

((だって毎朝毎晩あんなに熱烈にキスして抱き締め合って”いってらっしゃい”と”お帰りなさい”の挨拶してるんだもの。今でも本当にラブラブ夫婦だもんね))

((ママの手料理って手が込んでてとっても美味しいんだけど、そのご褒美だからって・・パパがいっつもママを抱き締めて髪の毛をずっと丁寧に撫でてあげてるの知ってるよ!そうされるとママがすっごく喜んでて嬉しそうだし、ずっとうっとりしていることだってね))

 

((一昨年の6月だっけ?パパが珍しく風邪で三日間も寝込んだ時、ママの完全看護ってホント凄かったからね。全身全霊を掛けてたもん。パパもベタ惚れだけどママも負けない位にベタ惚れだからお互いに完璧にさ、相思相愛だよね))

((もっとも頑張り過ぎてママも逆に倒れちゃったから、反対に直ったパパに看病して貰ってたもんね。ママも結構どころか・・遠慮無くかなり甘えてたよね?それもすっごく!・・だってパパがママの長くて綺麗な髪の毛をベッドでとっても器用に上手に洗ってあげたりとかさ、

流石にパパってば手先だけはホント器用だから・・着替えも全部手伝ってたでしょ?パジャマどころか下着まで、ね。手伝うどころかパパが全部脱がせて裸にした上で汗を丁寧に拭くとかさ、ブラもパンティも着せてあげて・・愛するママの着せ替えをやってあげてたよね?

まあ長年連れ添った夫婦なんだから他人じゃないし、構わないのかも知れないけど・・お熱いことで・・・だって、エッチはともかくキスは目一杯ずっとしてたでしょう?ママが発熱してたから検温する度にね・・”キスしてくれないと検温、イヤ・・”な~んて、ママのね・・

甘々な発言・・しっかり聞こえちゃってたわよ。知っている人が見たらママのイメージが崩壊しちゃうよ・・あんなに普段はしっかり者で優しいお姉さんタイプの美女なのに・・パパにだけは小さな女の子みたいに甘える時があるなんて、ね。びっくり仰天するわ。

まあ・・・パパにしか見せない面だろうけど、さ。・・パパだって喜んでるし・・喜色満面とはこのことよね。”今はちっちゃな響子ちゃんだからさ、何でも言ってよ。我が侭をね?”ってさ、当時中学生の娘にも言わない台詞を堂々と言ってるもんね。呆れて物が言えないよ!

ホントにもう、あたしが登校する前に、一応念の為にママの様子を見に行ったらこれだもんね~。茶々丸の朱美さんとかが”春香ちゃんのパパとママって昔からママゴトが好きだからね~”とか言ってるのは正しかったんだね。最初は意味不明だったけど・・・。

あのね・・二人してさ、確か40台をとっくに越えてるよね?・・なのにね、本当に仲睦まじいなんてレベルを軽く突破してるからさ、新婚の時と実はあんまし変わってないでしょ!))

 

**この後に事実、登校前の慌ただしい娘の目を盗んで、五代君が「じゃあ体温計じゃなくて、俺の身体で検温してあげる」って最初は普通に掌で響子さんの額に触ってからパジャマを捲り上げて乳房やお腹を撫で始めて、徐々に大胆に恥毛や性器まで撫でて弄り始めてしまい、

春香ちゃんの”いってきま~す”の声が聞こえていたとはいえ、響子さんも『あぁ、あなた・・イヤ・・あん・・駄目よ・・・春香がもし登校の途中で戻って来たら・・その、聞こえちゃうわ・・』と口では拒絶するも、実際に瞳では夫に可愛がられることを期待し始めていて・・

五代君も調子に乗って、響子さんの目が拒絶していないことを悟り、戯れのはずが本気になっていって『大丈夫。うん、少しだけ汗掻いてるから、ついでに拭いてあげるね・・その後で我が侭なおれの管理人さんの体温は・・おれの身体で直接内面から確かめるよ』と、

暗にどころか性行為を宣言して・・濡れタオルで汗を滲ませた響子さんの全身を勿論たわわな乳房や乳首、なだらかな腹部、臀部だけでなく最大の目的地である恥毛と性器をもタオルで拭きながら指でも弄り始めて、汗だけでなく愛液も分泌されたことを確認すると・・

頃合いと判断しズボンやトランクスを脱いで勃起したイチモツを露わにして、パジャマ姿の響子さんに覆い被さり・・・麗しい女体を思う存分に堪能して、お互いの欲求不満を解消することとなる4日振りの営みを開始してしまったのである。

その行為で五代君も溜まりに溜まった4日分の精液を思い切り響子さんの体内に吐き出して、自分も寝込んだ時の疲れを吹き飛ばした。一応言い訳として響子さんの『キスしてくれないとイヤ』に刺激されて数分待つ時間も我慢出来なくなったなどと戯言を抜かしていた・・・。

だが真面目な意味でも響子さんが本当に体調が悪くてぐったりしていたら五代君も性行為など絶対に求めたりしない。少しだけ熱はあったが、可愛い我が侭なお願いを連発していたから大丈夫と判断したからこそ行為に臨んだのだ。

響子さんも最初だけはもしも娘が戻って来たら、恥ずかしい嬌声を聞かれてしまうことを心配していたのだが、実は内心でちょっぴりどころか、本音では逞しく抱かれたいとも思っていたので禁欲状態から開放されたことにより気分的に爽快であった。

幸いにして軽い風邪と寝不足による過労であった響子さんは大汗を掻いた為に体温調節が出来るようになり、また夫との営みで欲求不満が解消されて精神的に落ち着いた為ぐっすり安眠が出来たので、翌朝にはほぼ全快するに至ったのだのである**

 

((二人して一人娘を完璧に蚊帳の外にしてるんだから娘としては腹が立つよりも正直呆れるわよ))

((エッチしてるのだけは流石に見たことないけど・・邪推かも知れないけれど、その後なら多分あるよ。この前ママが夕食の準備をしていて、包丁で刺身か何か切っていた時・・あたしとパパが居間でテレビ見ていたけど、あたしがすっごく好きな歌手の単独独占インタビューに

熱中して夢中になってた30分間くらいってさ、パパが知らない間に台所のママの所に行っていたよね?その時間ってあたしの記憶からして空白の時間なんだけど・・ママも調理を中断してたでしょ・・あれ、後になって冷静に考えてみるとパパとママ、二人だけで家のどこかで

何か・・してたよね?絶対にそうよ。だって、あたしがテレビを見終わって台所に行ったらパパが食卓で座っていて、ママが調理を慌ててしてたけど・・かなり遅くの夕食になっちゃったよね。あれ・・何であんなに遅くになったのかって推理すると・・多分だけど寝室でね・・

イチャイチャと絶対エッチしてたでしょ?・・・だって夕食の間さ・・ママがね、ホントうっとりしてて上機嫌で・・ハートマークが見えそうなくらいパパを愛しげに眺めてたし・・全身が何か充実している感じで、すっごく綺麗にね・・・見えたし、そう感じたんだ))

((だから同じようにエッチした後ってね・・・そんな時って・・ママ、パパに物凄く優しいし、ね。・・まあエッチと言いますか、夫婦で愛し合った直後って・・・ママがパパを見詰める表情とか幸せで超絶に嬉しそうで普段とちょっと違うもの))

((ママって娘から見ても・・自慢できるくらい身贔屓無しで、今でもすっごく綺麗だし優しいし・・スタイルも大人の女性らしくて抜群だから、雰囲気からして・・そう、全身がね・・唖然呆然とするくらいに美人だもんね~・・・))

((だからパパがさ、ママをとっても大切に溺愛してて何かにつけ、何でもかんでもね・・メチャクチャ優しくしてあげてるのも・・まあ納得できるし分かるよ・・・当然よね))

((あ~でもパパってば呆れるくらいの愛妻家でマイホームパパだけれど、ママが更にもっと輪を掛けた・・すご~く旦那様を愛する奥様でマイホーム主義者だしね))

((ママも実は相当に独占欲が強くて嫉妬深いから・・パパがいつも構ってあげないと寂しそうになって・・段々拗ねて不機嫌になっちゃうからなぁ・・物凄いヤキモチ妬きってことがね・・一目瞭然と言うべきかな?パパもママも二人して時々さ、娘の存在を忘れてるけど・・・))

 

時計坂商店街の入り口付近に差し掛かり、響子さんに向かって春香ちゃんがちょっとしたお願いを囁く。

[ね、ママ?今日の晩御飯もう決めてる?準備とかしてなければ、パパも好きだけどあたしも好きなあれ、”麻腐茄子”とかその類の料理が食べたいなあ・・あと一緒に”鰯とかのツミレ団子とか”・・駄目かな?それとも面倒かな?]

 

[ううん、面倒じゃないけど。じゃあそれにするから買い物して、ツミレとか手伝ってね?]

 

[やたっ!うん、手伝う手伝う]と喜色満面の春香ちゃん。食いしん坊の彼女は今夜の夕食メニューを父親の好みという有効打を出すことで響子さんを篭絡して自分の提案を叶えることに成功した。

最近は少しずつ母親の調理を手伝うことに興味を覚えて参加をしている。もっとも摘み食いをしてしまう悪い癖をいつも咎められるので、それは流石に控え目にはしているのだが・・・。

 

 

 

以下、次回

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