※この作品はR-18です。

めぞん一刻 二次小説 流れる季節の中で   作:今津晶

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第13話  本当の気持ち

今日も暑い。

風もほとんどない夏の日の昼下がり。

響子さんは音無家を訪れていた。

 

[本当にお久し振りねえ、響子さん]

冷たい飲み物を差し出しながら、義理の姉は言った。

 

[そうですわね・・・]

しみじみと周囲を見渡し響子さんは言った。

[あたし、本当にこの家で暮らしていたんですね]

[短い間でしたけど・・・]

 

[そうねえ・・・もうどれくらい前の話しかしらね]

[今は平成の14年]

[惣一郎が突然亡くなったのは・・・昭和の事ですもんねえ・・・]

[ふふ、せっかく家に嫁いでくれたのに・・・]

[本当に惣一郎は半年足らずであっけなく死んでしまった]

[でも、響子さんはその後に五代さんみたいな貴女の理解者で本当に優しくて良い人と巡り会えて良かったわね]

にっこりと義姉は微笑んだ。

 

[ありがとうございます、お義姉様。・・ええ、今あたしが本当に心穏やかに過ごせているのは主人の五代のおかげだと思っています]

色々と昔優しく義理の妹として可愛がってもらった女性に対して今でも過去の呼称を呼んで丁寧に接するのが響子さんという女性である。

 

音無家とは戸籍上すでにもう完全に縁が切れている響子さん。

それでも五代君と結婚した後も法事にも顔を出そうとしない両親と違い、音無家にも義理堅く、せめて法事にはと顔を出していた。

 

しばし昔話に花が咲く二人。

 

そして・・・。

 

[あ、そう言えば、郁子ちゃんはお元気ですか?]

と、響子さんはようやく郁子ちゃんの話を切り出した。

すると、急に義姉の顔が曇りだした。

響子さんは内心“触れてはいけなかったかな?”と心の中で後悔した。

 

[ふう、郁子の事ねえ・・・]

[あたしたち夫婦の悩みの種だわ・・・本当に]

どうも親子関係が上手く行ってなさそうな気配が義姉の態度から感じられる。

 

五代君との結婚で、どんどん遠のく音無家との距離。

郁子ちゃんもどんどんと高校生、大学生と成長し、一刻館に姿を見せる事は全く無くなってしまった。

自分自身の景色の中からも、郁子ちゃんの姿は消えつつあった響子さん。

“便りのないのは元気な証拠”と、勝手に思い込んでいたけど。

[郁子は一人娘でしょ?響子さんとこみたいに]

義姉の言葉に“はっとした”響子さん。

そうだ、自分と同じような家庭環境に育ったんだなあ・・・郁子ちゃんは。

 

[響子さんは、家の惣一郎と早い時期に出会って結婚したけど]

[結婚する事によって大人になるし、落ち着きも出るし・・・]

[逆に郁子は正反対の人生を送っているわねえ・・・]

義姉の発する言葉に力は感じられない。

 

[郁子ちゃんは・・・結婚・・・されないんですか?]

[たしか今年でもう34歳だと思いましたけど]

[・・・・・・・・・・・・・・・・・・]

 

響子さんの言葉に黙り込んだ義姉。

しばらく考え込んだ後、言葉を選ぶように話し始めた。

 

[郁子は・・・一人娘ということで、期待も大きかったし・・・]

[厳しくし過ぎたのかもしれないわねえ・・・きっと]

[それが郁子には耐えられなかったのかも知れない・・・]

[それと・・・]

ここまで話すとまた義姉は口をつぐんだ。

[それと・・・何ですか?お義姉様?]

訝しげな表情をする響子さん。

[ほら、郁子は五代さんのこととっても慕ってたでしょ?]

[“おにいちゃん”って]

[家庭教師を無理に頼んだ事もあるし]

[就職浪人しているときもいつも気にしてたわよ、五代さんの事]

[大丈夫かなあって]

[郁子は内心ではどうも響子さんとご主人の五代さんとの結婚を本当はあんまり喜んでなかったみたいなのよね]

[今だから話せるけど・・・たぶん好きだったのねえ・・・五代さんの事が]

いつも“おにいちゃん”と呼んで五代君を慕っていた郁子ちゃん。

成績優秀な彼女からしたら全く不要なのに三流大学生の五代君を家庭教師に雇うなどの無意味な暴挙に出るほど。

義姉の言葉に、そう言われてみれば何となく思い当たる節があるなあと記憶を呼び起こす響子さん。

結婚の報告をしに音無家を訪れた後、遊びに来てくれるよう誘ったにも拘らず・・ぱったりと郁子ちゃんは一刻館に現れなくなった。

音無家から籍を抜いて消えていく自分に気兼ねして、一刻館の方に立ち寄らないのかと思っていた響子さんには意外な義姉の言葉だった。

そして響子さんは自分と惣一郎さんとの事を郁子ちゃんに重ね合わせた。

“純粋に好きだったのかなあ・・・・もしかしたら”

郁子ちゃんの当時の心境がわかるような気がした響子さんだった。

[まあ、それからは順調に何事もなく大学に進学したんだけど・・・]

[18,19とい言ったら色気づく歳だし、色々と誘惑なんかも多いでしょ?]

そんな話を響子さんに向ける義姉。

 

[はは、あたしは大学とか行かなかったし、よく分かんないですわ。お恥ずかしながら]

まさにその通り、純愛に生きた響子さんは女子高育ちでそのまま惣一郎さんと結婚。

その様な世界とはまるで接点がないのだ。

[ああ、そうね。ごめんなさいね、響子さん]

苦笑いの義姉。

[大学に入ったら色々とサークルだとか、アルバイトだとかで忙しいみたいで、それでお友達とかが増えるのはいい事だとは思うんだけど・・・]

[丁度夏前の事だったかしら?郁子が連絡も無く日付が変わる頃帰宅した事がきっかけになって・・・]

[お父さんと郁子が激しく喧嘩しちゃったの・・それからはもうあたしたち夫婦と郁子に溝が出来ちゃって]

[郁子は出て行きたいなんて言い出す始末だし、高校まで箱入り娘のように育てた反動が出たのかしらねえ・・・]

[それでも何とか丸く収まって大学生活を終えて就職したんだけど・・・社会に出てからがもう大変なのよ・・・響子さん]

一人娘ということで、色々と両親の監視の目も厳しかった郁子ちゃん。

それでも大学はつつがなく過ごしたという義姉。

が・・・社会人になってから、何やらあったような口振りだ。

ただ黙って義姉の話を聞く響子さん。

初恋が成就し、その相手の惣一郎さんは結婚して半年足らずで亡くなってしまい身を切るような悲しみに暮れたものの、

その後に幸い五代君という自分を本当に理解してくれる良い夫に巡り会えた響子さん。

亡くなった惣一郎さんを大切にしている響子さんの生き様や考え方を全く否定などせずに、そのままの響子さんを大事に包み込んでくれている優しさに溢れた夫。

未亡人ということに全く引け目を感じさせずに一途に愛情を注いで常に可能な限り一緒に過ごしてくれる夫の五代君には響子さんもすごく感謝していた。

こんなに心穏やかに過ごせているのは五代君のおかげだと先程義姉に伝えたとおり、その幸福を日々実感している。

何年経っても彼女の性格や生き方を全く批判することなく全てを受け入れて応援すらもしてくれている夫に対する愛情は結婚以来変わることは無いし、むしろ深まっている。

それに五代君は今でも時々どころか常々、響子さんが自分の妻であることが凄く嬉しいなと呟いたりして言葉にして言ってくれる。その度に響子さんも幸福になる気持ちを噛み締めている。

逆に淡い思いは実らずに、その後もなかなかいい男(ひと)と巡り逢えない郁子ちゃん。

紙一重のようでそうでないようで。

響子さんの心中は複雑だった。

 

音無家から自宅へと帰って来た響子さん。

郁子ちゃんもこの長い年月の間に色々な事があったんだなあと、義姉の話を思い出しつつ夕飯の支度をしていた。

 

結局郁子ちゃんが社会に出てからの話は、残念な事に響子さんはその後用事があった関係で、後ろ髪を引かれつつ音無家を後にして聞くことが出来なかった。

 

“”一度久し振りに郁子ちゃんと二人だけで話がしてみたいなあ・・・””

 

今日は中途半端に話を切り上げてしまったけど、またあそこからの続きを義姉に聞くのも何となく嫌だし。

機会があったら色々と郁子ちゃんと話してみたいと思う響子さんだった。

自分の娘の春香もそろそろ色気づく年頃。

高校生時、自分は惣一郎さんに巡り逢った。

そしてそのまま高校卒業後には結婚。

残念ながら惣一郎さんは半年という間も無くこの世を去ってしまったが・・・。

“”もし惣一郎さんが今も元気だったら・・・・””

“”あたしは今頃どうしてただろう・・・””

 

あのまま音無響子として生きていたら・・夫の惣一郎と仲良くそれなりにだがとても幸せな暮らしが続いていたであろうし、子供も一人か二人産んでいて、

男の子か女の子かがいたかも知れない・・・だがそれらはあくまでも想像でしかないし何も具体的ではないのだ。

 

でも仮にそうだとしたら・・・今の自分の愛する娘、春香は生まれていなかったことになる。

妊娠が判明して五代が笑ってしまうほど滑稽に喜んだ姿、お腹が大きくなっていく苦しみと喜び・・・出産は決して安産ではなかった・・・かなりの痛みと苦しみを伴ったものであったし・・・。

だが出産して最初に産声を耳にした喜び、あの声は・・あの大きな泣き声は絶対に忘れられない。

 

その後に初めてお乳を飲ませた時の嬉しさ、一刻館に夫の五代と帰宅してみんなに娘を披露した際に感じた信じられないくらいの幸せ・・初めて立って歩いた時の驚きや喜び、両親からの想像以上に呆れるくらいの祝福・・・。

初めてママと呼ばれた時の感激、自我が芽生えて抗議の涙を流して自己主張をし始めた時・・・お乳も離乳食も卒業して歯も生え揃って、会話も出来るようになるとそれこそ四六時中・・ママ!ママ!と甘えてきて。

絵本を読んであげるだけで大喜びして・・時には夫と一緒になって寸劇みたいに絵本を再現するだけで嬉しそうにして楽しんでくれて・・・つましくてささやかな生活が続いたが本当に娘と夫がいるだけで・・

””春香はね、ママとパパとずっと一緒にいるの!””と口癖みたいに呟いていた娘が本当に愛しくて・・・一緒に生きていければ他に欲しい物なんて何にも無かった。

 

それから無邪気で元気一杯に健康そのもので無事に成長して幼稚園、小学校、中学校、高校へ入学して行き、その式典や遠足や授業参観などの喜び・・・。

全て実体験として響子さんの脳裏に刻まれていて忘れることなど有り得ない。

春香ちゃんの生きてきた16年間は響子さんにとって幸せな時刻そのもので、娘のいない人生など本当に考えられない。

 

それに今の夫、五代とも過ごしてきた日々・・・23年にもなるが初対面では自分はアパートの管理人で彼はただの住人で浪人生でしかなかった。

それが徐々に徐々に・・・彼から泥酔して大声で告白され初めて男性として意識するようになり・・・自分も段々彼のことを知り・・・そして好きになり、なかなか二人の間はもどかしく進展しなかったが

それでもお互いに一途に好きな気持ちは途切れず、遂に結ばれて恋人同士になり・・結婚して、一人の女として大好きな男性に心から愛されて今現在もずっと幸せにしてもらっている。

とっくに新婚時代など過ぎ去ってしまったが・・世間一般で言われるような倦怠期とは無縁の仲睦まじい夫婦生活だ。毎日の挨拶では軽いどころか情熱的なキスは決して欠かしたりしないし・・夜の営みも互いに40過ぎだが今でも3日に2回前後で途絶えたりしない。

自分にとっても夫にとっても習慣ですらなくて、食事や睡眠に近い形で生きていく上で必要不可欠な行動が夫婦としての愛し合う営みなのだ。心の底から愛する男性である夫、五代裕作との性交渉・・赤裸々で艶めかしいセックスは響子さんにとって正に大切な生き甲斐である。

熱烈に愛し合い自然に繋がる度に、その都度、自分たち二人は赤の他人ではなくて掛け替えの無い夫婦だと実感できて幸せの極致に居るとすら思ってしまう。

そして常々、夫は”俺って響子のことが本当に好きだなぁ・・”などと呟いたり囁いたりしてくれるし、それは自分も全く同じ思いだ。

 

何も特別な出来事もない平凡な日々・・家族それぞれの誕生日や正月などではない毎日を愛する夫と娘と暮らし、食事を作り会話をする穏やかな日々こそ自分が望んでいたもの、欲しかったものだ。

もちろん嬉しい大事な記念日はそれこそ凄く幸せだ。

それは夫の五代との結婚記念日であって何年経っても特別な日だ。今でも嬉しくて仕方がない気持ちになれるし、特に1周年の時は最高の幸せを味わえた記憶が・・思い出がある。

結婚して2ヶ月で妊娠し翌年に娘を出産し退院して自宅で迎えたあの日。愛する夫と結婚して無事に1年を迎えることが出来て傍らには生後間も無い可愛い娘がいる光景・・夢心地とはあのような状況のことであると思えた。

最初に結婚した惣一郎とはわずか半年で死に別れ、ただの一度も結婚記念日を迎えることが出来なかったのだから・・・。

本当に今の夫である五代と結婚して記念日を迎える都度、常に最高の幸福感を噛み締めている。五代からも娘からもこの日は本当に飛びっ切りの笑顔だねと言ってもらえている。

振り返ってみれば最愛の夫である五代裕作と言う男性がいない人生こそ、自分にとって絶対に考えられないし考えたくもない。

 

今となってはほとんど無いが、前夫の惣一郎が急死した時のことを思い出してしまい・・・傍らに夫や娘が居るのに急に寂しさを感じてしまい胸がズキンと痛んで苦しくて堪らなくなってしまう時がある。

またその記憶そのものではなくその葬儀の時の感情だけが甦って悲しくなり涙ぐんでしまい、そんな時は何も言わず何も言えずに夫の背中や身体に抱き付いてしまうことがある。

 

だがその行動に驚いたりせずに黙って寄り添い気持ちが落ち着くまでずっとその体勢を保ち、気分が晴れるまでずっと待っていていくれる本当に優しい・・・自分という面倒な女を心の底から愛して大切に、いつも大事にしてくれる夫・・・。

こんなに我が侭な感情で自分が抑えきれず・・どうしても甘えたい時に思う存分、好きなだけ甘えさせてくれる五代という男性・・・。

 

普段は娘からママはパパばっかりを甘やかし過ぎで過保護だと半分は冗談で苦情を言われることがあるが・・・実は本当の意味で甘えているのは自分だと思うし、はっきり言えば自分は夫に依存し切っていると断言できる。

だから・・もう自分一人だけは生きていけないし生きていく自信が無い。否、生きていたくないのが本心だと考えている。

もしも五代という夫に巡り逢えなかったら今現在、絶対にこんなに幸せで心安らかに暮らせていないはずだとの完全な確信が自分には有るのだ。

 

本当に人の人生とは偶然の重なりであり、ままならないものよねと思ってしまう。

もちろん、五代を人生の伴侶として決断し選んだのは自分の判断であって偶然ではない。しかしそもそも出会えなければ何も起こらなかった。

本当に不思議な出来事の積み重ねが・・・・

 

などと考えていたら・・・。

 

#ブクブク・・・シャアア~~!#

 

[あ、大変、お鍋が!]

火をつけっ放しの鍋から勢いよく中の汁物がこぼれだしてしまった。

~夕飯時~

 

本当に珍しく、少々むくれた顔をした響子さんがいた。

今は学校が夏休みの時期。

もちろん春香ちゃんの高校も休み。

それだけに響子さん夫妻の心配事も増える。

便利になった現代。

通信ツールのパソコンや携帯電話も普及している。

響子さんが学生の時はそんな物はなかった。

その携帯から響子さんに電話があった。

 

春香ちゃんからで、

“[ママ!ごめんね、今日は友達と一緒にいるから遅くなる]”

“[だから晩御飯はね要らないから]”

というものだった。

 

“今日昼過ぎに出かける時はそんなことは言ってなかったのに。”

少しばかり自分の娘の行動に疑問を抱いた。

友達もみんな持っているし、便利だからと、春香ちゃんに携帯を買い与えた事を少しばかり後悔した響子さんだった。

夫婦二人だけでの夕食。本来であれば楽しい宴となるはずが・・・。

響子さんは一日の出来事を簡単に五代君に話した後、夏休み期間中、春香ちゃんにどう接したらいいかと真剣な表情で夫に投げ掛けた。

響子さんとしては、ひとり娘の春香ちゃんを厳しく躾るのか、それとも本人の意思にある程度任せて、自主的に過ごさせるのがいいのかずっと悩んでいたからだ。

自分自身は・・・。

同じ一人娘だったけど、父はやたらと甘く、母は表向き厳しかった。

でもやっぱり甘い両親だったなあと、当時を思い起こした響子さんだった。

とても素直な良い娘で、これと言って大きな喧嘩なんかした事も無い仲良し親子の響子さんと春香ちゃん。外見や声がそっくり同じであるし周囲からも美人母娘で仲が良くて羨ましいとよく言って貰えている。

門限なんて設けなくても夕飯時には大体きちんと帰宅していた。

しかし、ここ最近、やたらと携帯でコソコソ誰かと話しているようだし、家に帰って来ても自分の部屋に閉じ篭る事が多くなった。

[もう少し様子を見てからどうするか決めようよ、響子]

五代君も年頃に育った自分の娘とどう向き合っていいのか、大切に思う余り正直に言えば戸惑うばかりだった。

結局春香ちゃんが帰宅したのは未成年の女子高校生にしては遅過ぎる夜の10時を回った頃だった。

[ただいま~]

春香ちゃんはそれだけ言うと、自分の部屋へと消えた。

“コンコン”

 

[春香、今日はどこへ行ってたの?]

春香ちゃんの部屋をノックして、響子さんは午後どうしていたのか春香ちゃんに聞いた。

 

[・・・・・・・・・。]

返事は無い。

 

“ガチャ”

 

[春香、ちゃんと返事しなさい!]

全く返事が無いのに業を煮やした響子さんは強行突破!

春香ちゃんの部屋へ入った。

 

[あ、また後で電話するから!]

と、響子さんの侵入に春香ちゃんは慌てて掛けていた携帯を切った。

 

[何で慌てて電話を切るの?春香!]

その姿を見た響子さんは珍しく春香ちゃんを叱りつけた。

 

[・・・・・・・・・・・・・・・・・・・]

それでも春香ちゃんは響子さんと視線も合わせずに黙ったままだ。

 

[何かやましい事でもしてるの?]

[ママに話せないようなことでもしてるの?春香?]

心配なせいで必死に娘に訴えかける優しい母親、響子さん。

 

[何も悪い事なんてしてないよ、ママ・・・]

[でも、今は話せないの]

春香ちゃんはそれだけ言うと、また黙ってしまった。

 

[どうしてママに話せないの?]

[ねえ、春香?]

それでも執拗に食い下がる響子さん。

そして・・・。

[もう・・しつこいなあ、出てってよ、ママ!]

遂に春香ちゃんが実力行使で響子さんを部屋から追い出した。

 

“バタン!”

 

力一杯に閉じられたドア。

その前に言葉も無く呆然と立ち尽くす響子さん。

[とりあえず今日はそっとしておこう・・・ね?]

五代君がそんな響子さんに優しくそっと声を掛けた。

[春香ももう年頃なんだし・・もう小さな子供じゃないからね・・高校生には高校生の世界があるんだよ・・・きっと春香なりにね]

[だから誰にも知られたくないし言いたくない事もあるんだと思うよ]

[例えそれが父親のおれや母親の響子だとしてもね]

[さ、もう時間も遅いし・・取り敢えず寝ようか]

五代家の夜は思いも掛けない展開で更けて行った。

ベッドに入っても考え込んでしまい眠るに眠れそうにない響子さんを見兼ねた五代君は・・・・優しく妻を抱き締めて、お休みのキスをすると響子さんが目を瞑り寝息を吐くまでずっと髪の毛を撫で続けてあげることに決めた・・・。

娘のことが心配で上の空に近いので、今宵は夫婦の営みは五代君は求めないことにしようと思った。別に無理して行わなくても明日も明後日もあるさと考えたから・・・・。

 

でも響子さんが『あなたと愛し合って・・身篭って・・あたしのお腹を痛めて産んだ娘なのに・・・段々と離れていってしまうのね・・・』と嘆いて、とても残念そうに寂しがってしまい・・

更に五代君に『いずれ春香もお嫁に行ってしまうし・・・ずっと一緒に居てくれるのはあなただけなのよね?』と呟きながら、それこそ泣きそうな表情で『このままだと眠れそうにないわ・・・あたし寂しいの・・・・・ねえ・・・・だから(可愛がって?)・・・』と

訴えるものだから、結局今宵も夫婦の営みは激しくも艶めかしく繰り広げられることとなった。

最愛の妻から求められて正直嬉しい五代君だが同時に心配でもあった。

『ああ、もちろん頑張るよ。だけど、おれ、春香だけじゃなくて・・響子が心配だよ。思い込みもそこまで・・それ以上は待とうよ。でないと君が病気になっちゃうから・・・』

夫にそう言われて響子さんも『うん・・・それは、そうなりそうなの分かっているんだけど・・・。あたしって、どうしてもその・・・考え出すと偏ってしまって・・・』と俯いてしまう。

『響子・・おれは医者じゃないけど・・・病気になりそうな奥さんを介抱するのなら出来るよ。だから・・・少し安心してよ・・』

『・・・ええ・・ありがとう。・・でもあたし、ホントに患者で・・あなたが診察するお医者さんみたいね・・・・身体の隅々まで全て・・触診したりして・・・直してくれる・・・のよね?』

ドキリとさせる表現で夫を・・そして彼女自身をも昂ぶらせる艶やかな言葉を口にする響子さん・・・普段は慎み深くて上品な女性が愛する男性にだけ見せる赤裸々な一面・・・・。そんな戯れに喜んで加わりたくなった五代君も所謂・・お医者さんごっこに戯れたくなった。

 

情熱的なキスから始まり、舌まで絡め出すと響子さんから『はぁ・・・診察なのに患者の唇を奪うなんて・・・それに舌まで絡めるだなんて・・イケナイお医者様ね?』などと吐息混じりに呟かれると・・・五代君も興奮が収まらない。

『イケナイことだけど・・唇や舌の感触も大事だからね・・・確認したいんだ。・・パジャマも脱がすね?下着も一緒にね・・・生の乳房を触診するから・・・』と五代君も悪乗りが止まらない様子だ。

発言と同時に響子さんのパジャマを脱がし始めてブラジャーまで慣れた手付きで脱がしてしまう。手の平で美麗な乳房を揉み、その素晴らしい張り具合と大きさと滑らかな肌触りを堪能すると今度は乳首やその周辺も舐め回し味も確かめる。その余りに甘美な行為に五代君は

言葉を発することも忘れ没頭している。

『あぁ・・あん、そんな・・診察で乳房とか乳首にキスなんてするお医者様なんて居るのかしら?』響子さんからの咎める台詞にも全く五代君は怯む様子が無い。

『ここに居るんだよ・・・下もね、脱がしてあげるよ。アンダーへアーとか見たいし性器もね・・・診察だからこれは・・犯罪じゃないよ・・・』と性懲りも無く露骨な発言を五代君は繰り返す。

そんな夫を慈愛を込めた眼差しで見詰め、何も拒否はしない響子さん・・・。とうとうパジャマの下もパンティも剥ぎ取られて恥ずかしい箇所は全部丸見えの全裸にされてしまう。

そして五代君は響子さんの股に顔を埋めて恥毛の感触を楽しんで、とうとう性器にまで舌を使って舐め始め、指でも弄り始めてしまう。

『あ・・んん・・・。こんな・・診察なんてあるの?・・・信じられないわ・・・』と言いつつも妖艶な瞳で触診に名を借りたペッティングに酔いしれる。

『あるさ・・・少し濡れてるね・・・・だから、こう・・するともっと・・・』と五代君は人差し指と中指の二本を響子さんの膣穴に差し込んで恥骨まで刺激をし始めてしまう。

『う・・ぁぁ・・うん、ああ・・・気持ち・・イイ・・わ』響子さんも段々とこの戯れによって愛液の分泌が盛んになって来ているのを自覚して快感を隠さない。溜め息まで熱くなる。彼女の瞳は夫に性行為の続行を求めるものだ。

もう頃合で我慢も出来ないと五代君は感じてパジャマのズボンやトランクスまで脱ぎ捨てて、固く屹立した己の分身を響子さんの膣穴付近に宛がいつつ『挿入するよ・・・響子の姫筒の触診もするからね・・・・』と呟くや、ずぶりと遠慮無くイチモツを差し込んで

奥まで貫こうと突き立てる行為に移行する。五代君は尚も『ううん・・響子の膣の中は感触が最高だ・・・凄くイイよ』とドンドン破廉恥な台詞と行為を続行する。

『あん、ああ・・・診察なのに・・・・あたし、嵌められちゃってる・・貫かれて・・エッチしてる・・・セックスしてる・・ぁぁ・・・た、逞しい・・のね?・・あぁ、奥まで入って・・・来るのね・・・』

響子さんもこんな戯れによって耐え切れないくらいの悦楽を感じつつあり、しなやかな両脚で五代君の下半身を絡めて離さない。

遂にきっちり合体し奥まで繋がったことを悟ると激しいピストン運動で響子さんを喜ばせてあげようと五代君のピストン運動も勢いを増している。

『うん、凄い気持ち良いよ・・おれも・・・・だから後で、中にたっぷり・・・・うん、うん、射精するよ!注射なんだよ・・介抱だから、診察だからね!』

五代君の腰の動きは止まらない。

『あん・・いやん・・・ううん、イイの・・凄く・・・イイ!!・・ぁぁ・・あなた・・・あたし、もう・・もう・・・ダメ・・・イクの、イキ・・そう・・・』

『ああ、おれも!・・うう、イクよ、うん、うん!』

相思相愛の二人の睦み事は激しさを増すばかりだ。響子さんも流石に限界を感じていた。

『あっ・・あっ・・・ぁぁ・・ダメ・・・ああ、ホント・・素敵・・・ああ、イク!・・・あなた・・ねえ、一緒、一緒に・・・くぅぅ!!!・・あ!あぁぁ!』

遂に絶頂を感じてイッてしまう響子さん。美しい妻の痴態に酔いしれていた五代君も限界だ。

『うぉ!・・おれも、イク・・よ!・・うおっ・・出すぞぉ・・うおっ!』

”どぴゅう・・どぴゅどぴゅ・・どぴゅっぴゅっ・・・”

五代君のイチモツから白濁した熱い精液が放たれ響子さんの膣内に遠慮無く思う存分に注ぎ込まれていく・・・。

『あぁ・・あなたの・・ああ、熱い・・凄いの・・・あん、あんっっ・・・』

響子さんは快感と夫からの愛情に嬉し涙を零しながら、男の精を一滴も残さずに受け入れていく。

 

それから後も恥ずかしい、凄まじいまでに甘美な二人だけのお医者さんごっこが続き・・・・・

正常位や背後位や騎乗位など様々な体位で合体し、その都度激しく美しい妻の乳房を鷲掴みで揉むことを忘れず、合体部分もピストンの如く五代君も頑張って3度も響子さんを絶頂までイカせてあげて、射精も2度は膣内へ、もう一度は口内にて注射と称して行い

・・もっとも口内射精の後で響子さんから『患者にフェラチオさせて・・口内に射精してごっくんさせるなんて・・・それに・・か弱い患者を手篭めにして性器にも・・避妊しないで中に出すなんて・・あなたって、酷いお医者様ね?・・』などと俯きながら恥ずかしそうに

軽口を叩かれたものだから、五代君もつい乗ってしまい『当然だよ・・おれは響子の主治医だからね』などと更に調子に乗って言い返してしまった。

(ところで・・尿検査もしたいんだけど・・紙コップに小水を取るんじゃなくて、おれの目の前でオシッコすればいいよ。・・尿道を舐めて検査するからねって・・言いたいけど寝室だからなあ・・今度風呂場で言うことにするかな)と不届きなことを内心では思っていた。

最後に五代君が『今夜の診察結果だけど・・君には入院が必要だね』と呟くので、響子さんが『え?・・入院が必要なの・・どれくらい?』と聞き返すと・・『うん、少なくとも33年だね』と断言をした。

『え・・33年?・・・随分と長いけれど・・端数が中途半端ね・・・何故なのかしら?』と少しだけ不思議そうに年齢を感じさせない美貌の妻が尋ねる。

『ああそれは・・そうすれば丁度、結婚して50年が過ぎるから金婚式だしね。その残りだよ・・・それに入院とはね、おれのずっと傍で一緒に過ごすことなんだ。だから退院なんてさせないし、認めないよ・・』と悪乗りした目的を夫は述べる。

『・・・・もう・・ママゴトみたいに・・馬鹿な冗談・・・言わないで・・・・』響子さんは口では咎めながら表情では嬉しさを隠せない感じで少しだけ恥ずかしそうだ。

『うう~ん・・本気なんだけどな。今夜みたいな診察だって、毎晩しないとね。触診とか子宮への射精とかが絶対に欠かせないよ・・・』

『ぁぁ・・・患者さんを裸に剥いて・・毎晩・・子作りエッチするなんて・・入院させて・・手篭めにするなんて・・・そんな宣言をする、お医者さんって・・・あなたは・・破廉恥で・・変態・・本当に極悪非道な・・酷い医者なのね?』

『うん、そうだね。でも言ったろう?おれは響子の専属の主治医だからね・・だから目の前では服も下着も着せないよ・・・響子の綺麗な乳房とか乳首・・性器も何もかも全部を・・診察に必要だからきちんと晒してくれないと困るんだ・・』

 

まあ、何だかんだで熱烈に交尾して精液もたっぷりと注ぎ込んであげたので・・何とかそれら性行為による心地良い疲労で響子さんもようやく眠りに就くことが出来たのである。

五代君が激しい情事の後に『響子はおれの大切な奥さんだから、おれはどこにも行かないよ』と告白して安心してもらい、その証拠として響子さんの乳房に何度も接吻してキスマークを花模様の如く付けたのだが、いつもなら恥ずかしがる響子さんも

今夜は夫にされるがままであった。後始末でも両脚を大きく開脚させて性器を綺麗に優しく拭き上げる時も甘えたい気分でいっぱいの響子さんは全て五代君に任せてお願いし、下着と寝巻きも着せて貰ったのである。

春香ちゃんのことが気掛かりではあるものの、もちろん五代君も夫として、愛して止まない美貌の妻である響子さんにとことん頼られて男として満足感でいっぱいになっていた。

 

 

 

以下、次回

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