12月も末。
一刻館は間も無く年の瀬を迎えようとしていた。
先日過ぎた今年のクリスマス・イブは五代君夫婦にとって格別に素敵な夜となり、夫婦仲はますます良好で熱烈さが増してきた感がある。
会話の時間が増えるというよりも短い言葉で意思疎通が容易に行える感覚でスキンシップしながらだと余計に口数が少なくても平気だ。
挨拶のキスも唇だけでは終わらずに頬を摺り寄せて体が離れることを惜しむような気持ちが湧いて来てしまい、凄く時間を費やすものとなっている。
五代君からの響子さんへのご褒美である抱き締めて髪の毛を撫でる行為もキスを、それも舌を絡めたディープキスをしながらすることが多く延々と続けることが常になってしまっている。
娘の春香ちゃんからしたら、クリスマスが過ぎて余計に両親の仲が進展?してみたいで元々アツアツ振りには呆れていたから今更驚かなかったが・・・
””何かクリスマスに良いことが二人に有ったのかな?””とは思っている。
””まあ夫婦の間だけの大切な秘密には関わらないのが娘としてのマナーよね””とは考えているので興味が有りつつ、ここは聞かないでおこうと気を遣ってくれてはいるのだ。
実際に両親同士の会話ではお互いの表情が凄く愛情溢れるものであり、”娘のこと見えてるのかなぁ?ま、目には映るけど意識してないね、こりゃ”とほとんど諦めてる。
冬休みなのだが彼氏の居ない寂しい?独り身の16歳である春香ちゃんは祖母を誘ってリバイバルの映画を一緒に見に行き夕食も外食して実家の千草家に寝泊りしに行った日もあった。
そんなに仲良いなら又一緒に二人だけで外出じゃなくて自宅で過ごしたら?と春香ちゃんが提案して実施したのが27日のことだった。
もちろんその日は五代君夫婦の二人きりになり、より一層に熱烈な愛を交すことが出来て娘の気遣いに感謝感激の響子さんと五代君でした。
((この日、最初は五代君からの凄い熱意によるお願いで・・お互いに四半世紀ぶりの学生服!でのコスプレに興じてしまい・・・五代君は響子さんのことを『響子お姉ちゃん』と呼び、響子さんは夫のことを『裕作くん』と呼んで・・イケナイ火遊びのようで異常に興奮して
盛り上がり制服のままの所謂コスプレ・セックスにとことん没頭してしまった。
新鮮な刺激で猛烈に激しくて密度の濃いセックスを繰り返した直後のイチャイチャでは、響子さんも
『裕作くんってイケナイ男の子ね・・お姉ちゃんのパンティをずらすだけじゃなくて剥ぎ取ってしまって悪戯するなんて?』
『お姉ちゃんの大切な性器を弄り捲くるどころか・・裕作くんのぶっ太いオ×ン×ンを何度も突き刺して奥までこんなに一杯どろどろぬぬるになるまで射精しちゃうだなんて・・・お姉ちゃんを妊娠させる気なの?まだ学生なのに・・・』などと悪乗りして言うものだから、
五代君も『うん、おれ、響子お姉ちゃんの性器とかオッパイを舐めたり弄ったりするの大好きなんだ。エッチしてスケベなことをたくさんして、綺麗で大好きなお姉ちゃんを孕ませたいんだ。だから精液だって外になんて出さないから、絶対に中出しだよ』と更に過激に呟いて・・
響子さんから悪戯っぽい笑顔で『もう・・裕作くん・・責任取ってくれるの?・・お姉ちゃんをお嫁さんにしてくれるなら・・母乳も飲ませてあげるけど・・でもちゃんと養ってね?』などと鼻血ものの台詞を吐くので、
五代君も『うん、響子お姉ちゃんはおれのお嫁さんだから・・何度も孕ませるから、おれの子供をどんどん産んでよ』と異常に興奮した返答が止まらない。
コスプレエッチの終了後は・・行為の余韻に酔って二人ともまどろんでいたものの・・・段々と服を脱いでいき最後には互いに全裸になっていたのである))
((更なる続きとして、昔に映画であった無人島で男女二人きりで過ごすみたいだねと言った夫の言葉に乗せられて・・ほとんど一日中全裸ではなかったが半裸の状態で過ごしてしまった二人。寒い冬の日なので室内では暖房を全開の上で・・愛し合ってしまった))
((響子さんも普段は滅多に見せない裸エプロン姿を披露したりして・・ささやかなビールや水割り程度の晩酌にて応接間でお酒を注ぐ際に全裸でホステスみたいに振舞うコスプレならぬヌードプレイのような戯れ事をしたりなど五代君を大いに喜ばせて可愛がられたのである))
((もしかしたら・・最近の充実した性生活ならば・・この歳で、44なのに夫に第二子を孕まされるかも?と、ちょっぴり期待をしてしまった響子さんでありました。もっともその話題になった時に夫の五代君から・・・))
『もしもう一度妊娠したら産んでくれるの?』と五代君から尋ねられた。
『うん・・40も半ばで少し恥ずかしいけれど・・もし身篭ったら・・あなたの子供だから産みたいわ・・・駄目かしら?』と美しい全裸姿を何も隠さず披露しながら、少し頬を赤く染めながら返答する響子さんが可愛くて・・・再び挑んでしまった五代君であった。
響子さんをうつ伏せにさせて腰を高くした姿勢をしてもらい背後から貫く五代君。繋がって腰を思い切りくねらせてから本日何度目かの射精をして己の精を吐き出した後も・・合体したままでその甘美な余韻を楽しみながら・・・
『春香を妊娠していて身重の響子が懐かしいなあ・・お腹が大きい臨月の時って・・聖母みたいで綺麗だったなぁ・・・もう一度、響子の臨月姿が見たいよ・・・』と呟くものだから、
響子さんも『・・ぁ・・・んもう、身重の時って大変なんだから・・・・。でももしそうなったら・・・昔みたいに・・その・・・・・色々と協力してね?・・・』とうつ伏せの体勢から背後の五代君に振り向いてかなりの甘々な返答をしてくれる。
確かに可能性は20代30代の時と比較すれば低いが・・ゼロではない。何かこう本当に新婚時代にどんどん逆行してしまっている気分を二人は味わっている様子。
情事の後に五代君は賞賛の意味で響子さんの乳房や恥骨の上、恥毛の周囲に何度も接吻してキスマークをたっぷり残してしまうが・・愛しい夫からの愛する証であるため、響子さんも最近は恥ずかしがらずに全て受け入れている。
起床と就寝の挨拶として唇同士のキスは昔から繰り返していたが、近頃は五代君が響子さんの乳房と乳首にキスすることを求めていて・・頬を染めながらも見事に美麗な膨らみを晒してから、夫の求めに応じてくれている健気な妻である響子さんを五代君もますます溺愛している。
元々とても上品で慎み深い優雅な女性である響子さんが妻として夫である自分からの性的欲求に必ず応じてくれるだけでなく、日々の雑事で色々と尽くしてくれている幸福な生活に五代君は心の底から酔いしれているのだ。
そして明けて12月29日・・。
[それじゃあ一の瀬さんは明日の30日から田舎へ帰るんですね?]
昼下がりの管理人室。
いつものように、いつもの如く、響子さんと一の瀬さんは世間話に興じていた。
[ああ、父ちゃんの実家に正月までね]
ほぼ毎年のように年末年始は帰省をする一の瀬夫妻。
今年もどうやら帰省するようだ。
[四谷さんも“いつものように”何処かへ行かれますしね]
[ホントあの人はどこで何してんのかねえ?]
四谷さんも毎年年末年始は行き先も告げずに何処かへと帰ってゆく。
そんな訳で、ここ数年一刻館は年末年始住人が全く居なくなってしまうため、鍵を掛けて閉鎖状態にしてしまうのであった。
管理人とって楽な事は楽ではあるが、少しばかり淋しい気分もするのである。
[あんたたちはどうすんの?]
[旅行にでも行くのかい?]
[いえ・・・特には]
[近くに居る母を家に迎えるくらいですわ]
五代家はいつもと変わりない年越しを迎えると響子さんは言う。
春香ちゃんも祖母の律子さんが昔から大好きで高校生になった今でも慕っているし、律子さんもたった一人の孫である春香ちゃんをとっても可愛がっているので
普段から行き来しているとは言っても一緒に過ごせる年末年始はお互い楽しみにしている。
今回は年を越してから律子さんが五代家に来る予定だった。
日も暮れて、響子さんは一刻館を後にし、夕食の買い物に時計坂の町へ向かった。
[ふぅ、昔と比べたら今は楽よね]
[スーパーも元旦から開いてるから買い溜めしなくてもいいし]
坂を降りる途中、夕飯と年末年始の食材の購入に思いを巡らせていた響子さんの足元に・・・。
“ワンワン!”
首輪を付けた白い雑種犬が尻尾を振りながら走って来た。
[あら?あなたはどこの犬なの?飼い主は?]
突然現れた犬に驚く響子さん。
[可愛いわねえ、ほら、帰りなさい]
辺りに飼い主らしき人は見当たらない。
響子さんは犬の頭を撫でながらも、飼い主の元へと帰るように優しく語り掛けた。
“クウーン、クウーン”
が、犬は淋しそうに鳴くだけで、響子さんの元から離れようとしない。
[あらあら、お腹空いているのね?]
[困ったわねえ・・・]
どうしたものか困り果てた響子さんは、仕方なく一旦一刻館へ引き返す事にした。
犬は黙って響子さんの後をついて来た。
“コト”
[惣一郎さん用の食器残して置いて良かったわ]
響子さんは昔突然居なくなってしまった飼い犬の惣一郎さん用の食器を大事にしまっておいたのだった。
その食器でついて来た犬に餌をやる響子さん。
犬は余程腹が減っていたのだろうか?
凄い勢いで出て来た餌を平らげてしまった。
[あれ、どうしたんだいこの犬、管理人さん?]
犬の鳴き声を聞きつけ、一の瀬さんも玄関先に現れた。
[ええ、途中でついて来られちゃって・・・]
[首輪つけてるねえ・・・飼い主はどうしたんだい?]
[さあ・・・分かりませんけど]
飼い主らしい人は現れる様子もなく、犬の処遇に困った響子さん。
[しばらくここに置いて様子見たらどうだい、管理人さん?]
[このままほっといたらこの犬間違いなく保健所に連れて行かれちゃうだろうし]
[管理人さんが連れて帰ろうにもマンションだからペットはダメだろ?]
[餌ならあたしがやるから心配しなくていいよ]
[幸いにも惣一郎さんの犬小屋も残ってるしね]
[ただし、年末年始は帰省していないから、そこは何とかしておくれ]
困り果てている響子さんに、一の瀬さんが助け舟を出してくれた。
しばらくなら自分が代わりに面倒見てもいいと。
一刻館に日中しか居る事が出来ない響子さんにとって、何よりも嬉しい一の瀬さんの申し出だった。
惣一郎さんの犬小屋を取り壊さずに残しておいた甲斐があったというものだ。
[とりあえず名前を決めないといけないねえ]
[ん?こりゃオスか・・・]
[どうする、管理人さん?]
[・・・惣一郎さん・・・じゃ、ダメでしょうか?]
犬は惣一郎さんと同じオス犬だった。
一の瀬さんは犬の名前をどうするのか響子さんに尋ねたら、少し恥ずかしそうに響子さんは惣一郎さんがいいと言った。
[そりゃあいいけど、でもこの犬、惣一郎さんには似てないけどねえ?]
惣一郎さんがいいと言う響子さんに対して少しばかり首をひねった一の瀬さん。
確かに犬の風貌は似ても似付かない感じで、敢えて共通点があるとすれば色が白いという事だけだった。
[変・・・でしょうか?]
[やっぱり・・・]
[いや、居なくなった惣一郎さんに思い入れがあるかとあたしは思っただけだから]
[管理人さんがいいっていうんなら、あたしはそれでいいよ]
犬の名は取り敢えず惣一郎という事になった。
そして一刻館の玄関と壁に、
※迷子の犬預かってます※
と張り紙が出されたのだった。
[それでどうするのさ、響子]
[もし飼い主が見つからなかったら?]
家へ帰った響子さんは、事の顛末を五代君と春香ちゃんに話した。
[そうなったら・・・一刻館で飼おうと思うの]
[ここだと犬は飼えないし]
[かといって、またどこかに放したら保健所に連れて行かれてしまうだろうし]
[運良く引き取り手でも見付かればいいんだけど・・・]
響子さんはもし飼い主が見付からない時は、“新しい惣一郎さん”を飼うつもりでいた。
[あ、あたし大賛成!]
[犬も猫もあたし大好き♪]
春香ちゃんはその話を聞き、とても喜んだ。
[パパはどうなの?]
と、春香ちゃんが父に尋ねたら、
[ああ、いいんじゃないかな?]
[ただし、飼い主の人が見付からなかったらね]
父親の五代君は飼い主が見付からなかった事を条件にOKした。
[良かった、これで家族が増えるのね]
[明日見に行かないと]
五代家に新しい家族が増える。
兄弟姉妹の居ない一人っ子の春香ちゃんはまだ見ぬ犬に心ときめかせていた。
~翌日~
冬休み中の春香ちゃんに急かされ、急いで一刻館へと向かう響子さん。
春香ちゃんは新しい家族となる可能性がある犬が見たい一心だった。
が、しかし・・・。
犬小屋に犬の姿は無かった。
犬小屋の前にはただ一人、一の瀬さんの姿があった。
[おや、管理人さん今日は早いねえ]
[春香ちゃんも一緒なのかい?]
[ははあ、さては春香ちゃんは“惣一郎さん”を見に来たんだね]
いつもより早い管理人の登場に驚く一の瀬さん。
[“惣一郎さん”?]
突然聞いた事もない名前を出されて悩む春香ちゃん。
[犬の名前よ、春香]
[昨日仮に決めておいたのよ]
まだ響子さんは春香ちゃんに犬を“惣一郎”と命名した事は伏せていたのだ。
自分の家の犬になるとまだ決まった訳ではないし、そうなって欲しくないと、心の中で響子さんは願っていたのだ。
[あの、それで・・・どうしたんですか・・・“惣一郎さん”は?]
[ああ、“惣一郎さん”なら、今さっき張り紙を見た飼い主さんが引き取りに来られたんだよ]
なんと犬は偶然一刻館の張り紙に気付いた飼い主に引き取られていったと一の瀬さんは言う。
[春香ちゃん、残念だったねえ]
一の瀬さんはがっくりと肩を落とす春香ちゃんを慰めた。
[でも、良かったですわ・・飼い主の方が見付かって]
[これで・・・良かったんです。これで・・・]
[春香には少しばかり期待持たせて可哀想な事しちゃいましたけど]
響子さんはとてもサバサバとした表情で、これで良かったんだと冬晴れの空を見て言った。
束の間の家族はサヨナラも告げずに足早に去って行ったが、これからも幸せにこの街のどこかで飼い主と共に生きていくだろう。
以下、次回