「いで、いでででッ!? な、何なんだこのクソガキ!」
「失礼な人ですね。わたしはこれでも16……通りすがりの主任です。覚えてもらわずとも結構ですが」
くるりと魔導杖を振るい、あっさりと半グレを鎮圧した青髪白衣の少女が振り向き、怯えていた少女に優しく声をかけた。
「怪我はありませんか」
「は、はい、ありがとうございます。この人が、突然……」
エプスタイン財団本部、クロスベル支部主任ティオ・プラトー。少女への暴漢を行っていた半グレをあっさりと制圧してのけた少女の名であり、クロスベルの英雄とも呼ばれるうちの一人でもあった。
身体は少女らしく凹凸は薄いが、健康的な肌とその小柄が逆に愛らしさを感じさせる。猫耳型のデバイスもその愛らしさの手助けをし、よく似合っていると言っても過言ではないだろう――――そんな彼女だから、相応の地位にいながら可憐な少女だからこそ、狙われたのかもしれない。
「わかりました。とにかくこの人を警察に引き渡し――――へぇ?」
振り返り、制圧した男を見下ろしてティオは僅かに訝しんだ顔をして、そこで終わった。
訝しんで、また振り向けば未来は違ったかもしれない。嘲笑とも優越感とも表現しようか、そんな笑みを拘束されながら浮かべていた彼と、怯えた振りをしてティオに近づいて、肌に注射器を刺した少女の関係に気づけたかもしれない。
ティオの聡明さならば。ティオの慎重さならば。それらを上回る彼女の優しき心と慢心が生んだ一瞬で、ティオ・プラトーの人生は全て覆されたのだから。
◆
「ん……っ」
少女の思考が速度を増した、起床の証だ。まあ、身体を起こすことが起床という意味ならば、ティオは常にそれを叶えていたとも言えるだろうが。
「……な!?」
瞼を開き、自分の姿を視認した少女は絶句した。驚き以上にはしたなさ、ありえなさ、ティオの格好を選んだ人間たちのゲスさに言葉を失ったのだ。
まず、当然のように身体は裸に剥かれていた。最低限なのか猫耳はそのままだが、機能は遮断されている。だが、ティオが赤面して声を詰まらせたのは全裸の自分だけではない。そのポーズにもだ。
「っ……最低、すぎます!」
両手は天井から伸びた鎖と錠に結ばれ、揺らすことしかできない。そこまでは拘束という名目があるが、下半身の状態は拘束というには犯人の嗜好が見え透いて、思わず毒を吐き出すもの。
開脚バーや壁から伸ばしたロープで膝を硬く固定し、足首には距離の余裕を作らない鎖と錠で両手以上に完全拘束。それによって何が起こるかと言えば、ティオ・プラトーのガニ股ポーズ。どんな美少女でも股をおっぴろげでガニ股になれば無様で下品になる。事実、ティオは上半身の貧乳を揺らすか、辛うじて動きになる腰を揺することしかできないのだから。
ティオが辺りを見回してみたものの、状況は変わらない。殺風景な部屋と、使い道がまるでわからない〝道具〟の数々。一体ここはどこなのだろうか、と少なくない疑問を抱いたティオの前で扉が開いた。
「おはよー、ティオちゃーん。元気してた?」
「っ!?」
ぞろぞろと見知らぬ男たちが現れ、下卑た視線と声をティオに投げかけてくる。予想外の拘束に予想外の来客。思考が定まらないまま身体を隠そうと腕が動き、物理的に阻まれて鎖が激しく音を立てた。
「お、年に似合わない主任様も俺たちに裸を見られるのは恥ずかしいってか?」
「……すぅー、はぁー…………別に。あなた方は最低です。そう確信することはできましたが、それだけですね」
弱みを見せず、動揺を出さない。弱冠16にして主任の地位を得ているのは、ティオが本当に優秀であるためだ。声の上擦りを抑え、素面で皮肉を返す。しかし、うら若き乙女が下卑た男たちに素肌とガニ股を晒している状況というのは、どうしてもその肌に羞恥という赤みを差し込ませる隙を与えてしまっていた。
そんなことはティオもわかっている。わかっているが止められず、男たちのニヤニヤとした笑みに奥歯を噛み締め……ハッと目を見開いた。
「あなたは……!」
「よう、お嬢ちゃん。なかなかの演技だったろ?」
睨み返していた男たちの中に、ティオは自身が制圧したはずの男の姿を見た。そして、混乱していた頭がここに来る前の記憶を整理し終えたことで、ティオは即座に何をされ、何が起こったのかを理解したのだ。
「まさかあの子が……」
「そういうこと。アレは俺たちの女でねぇ。君なら必ず助けに入ると思ってたぜ、クロスベルの英雄さんよ」
要するにティオは初めから罠に嵌められていた。そもそもアレは少女を狙ったものではなく、少女を利用してティオを狙った作戦であった。
「結構苦労したんだぜ。ティオちゃんが通りそうな場所で、いい感じに声を出して君だけに気づかせるのは。迫真の演技だったろ、俺も……あいつもなぁ?」
「本気で軽蔑します。……目的は、わたしの身柄交換ですか。それとも……」
その先は口にしたくはない。ティオは修羅場に慣れているが、だからといって羞恥と同様に押し殺せないものはある。
下品に股を開かされた拘束と一糸纏わぬ自身の身体。金目的なら、もう少し丁重な扱いを受けてもいいだろう。そうでないのであれば、ティオの顔色が赤から青に変わるかもしれなかった。
「お、察しがいいねぇ〜。どっちも当たりでどっちも外れだ」
「? どういう……」
「身柄交換なんてしたら簡単に足がつく。それに、ティオちゃんの身体は手放し難いし、なら俺たちの言う通りに動けるようしちまえばいいと思わないか?」
「は?」
この瞬間、ティオは目の前の男たちを警戒すべき対象から侮蔑を向け、取り合う必要のない程度の人間なのではないか、と本気で思って冷たい声を発した。けれど男たちはティオが見せた冷笑を通り越した無の表情に対して、その態度こそ楽しいのだと言わんばかりに笑い声を上げた。
「あはは! もしかしてティオちゃん信じてない? 大丈夫、君の了承なしに俺たちは君を使ったりしないからさ。ただちょーっと、気持ちいいことしてあげるだけなんだ。君を嵌めたあの子は見たでしょ? 本人の意志で従ってもらえると本当に便利なんだ。だからさぁ……」
「ありえません」
長々と講釈を垂れる男を一瞥し、ティオは言葉で断ち切った。裸でガニ股拘束をされていようと、ティオの心はティオのものだ。
何が気持ちいいことをしてあげる、だ。そんなくだらないことのためにティオを捕まえたというのなら、もはや好都合とも彼女は考えていた。《D∴G教団》での記憶、苦しさ、絶望に比べれば何と安い連中だろうと。
「生憎、最低な方々に屈する考えは思っていないものでして。いえ、逆に決心がつきました――――どうぞご自由に。警察が……いいえ、ロイドさんたちが必ずあなたたち犯罪者を捕まえてくれますから」
ティオは仲間を信じて耐え、助けを待つ。何もできないのなら、それだけを信じていればいい。
「あひぃぃぃぃぃぃぃッ!?♥♥♥」
そう啖呵を切ったティオが〝気持ちいい〟という感覚に声を上げるのは、彼らの『拷問』が始まってほんの数時間のことであった。
殺風景な部屋に設えられていた〝道具〟の数々。初見では使い道が見いだせなかったそれらは、余すことなくティオに襲いかかった。
「『あひぃ』だってよ。可愛いねぇティオちゃんは」
「ひ、ひぃ♥♥ こ、こんにゃの、こんにゃあぁぁぁぁぁぁぁ♥♥♥」
ビクビクビクッ、と身体が痙攣する。しかし、ガニ股拘束が継続している脚は惨めに太股や足先を僅かに跳ねさせる程度しかできない。つまり、彼女の秘部に挿入された自動化ディルドバイブが膣内を貪り、吸引器がティオの小さな陰核を激しく吸い上げることを避けることができない。
「あ゛ぁッ♥♥ あ゛ぅ♥ あ、あーッ♥♥♥」
「胸は残念なくらい小さけど、乳首はなかなか大きいねぇ。ま、見えないけど」
ついでに言えば、乳首に装着されたブラシ内蔵型の淫具もティオの嬌声を加速させていた。ガラスの内側に内蔵されたブラシが、彼女の乳首を容赦なく擦り削ってある意味ではピカピカに磨き上げている。
「はっ……あぎぃ!♥♥ あッひィ、いあぁぁアアッ♥♥♥」
もちろん、磨かれる側のティオは敏感な乳首をブラシ回転で延々と刺激され、歯をカチカチと鳴らしながら吐息以上の官能を溢れさせてしまっているのだから、たまったものではないだろう。
だが、口を滑らせたのはティオだ。故に男たちは容赦しない。拘束して吊り上げた腕に複合タイプの即効性媚薬を絶えず注入しているのも、彼らの考え方がよく現れている。
「ご自由に、って言ったのはティオちゃんだからなぁ。安心しな、俺たち〝は〟君を使わないぜ」
仮にご自由に、という売り言葉に買い言葉がなかったとしても、男たちは同じことをした。だから、ティオの発言は男たちの言葉を一つ増やした程度に過ぎない。遅かれ早かれ、ティオは彼らの『拷問』に晒されていた。一秒一分、その差を彼女が埋めただけ。
「ふ、んんん……おぉ!?♥」
それ故、と言っていいのか、彼らの言葉に嘘はない。彼らは愛撫や楽しむという目的でティオの身体に触れることをしない。ペニスを見せびらかすことも、ティオの胸や女性器を楽しむこともしていなかった。その代わり――――不浄の穴に淫具を挿入することにさえ、一切の躊躇いというものがなかったのだが。
「おっ、そこ、ちがっ……おッ♥」
「はい、ひと〜つ」
咄嗟に尻穴を締めたティオだったが、内側の括約筋より外側の圧力の方が強く、彼女の常識では性交に使わないアナルに大きな球体をキュポン♥ と呑み込ませてしまった。
「ふた〜つ、み〜っつ」
「ふおぉッ、オオッ!?♥♥」
ティオにとってはいっそ性交渉の方がマシだったかもしれない。そうであれば、腹を圧迫する黒い玉をアナルで呑み込み、尻穴の不可思議な快感に口を窄めて無様な声を上げることもなかったかもしれないのだから。
ティオの知識はあくまで性交止まり。淫具での責めなど知るはずもなかった。肛門は肛門でしかない――――連なるパール型の淫具を直腸に入れられるなど、ティオがどれだけ優れていようと予測の範囲外だ。
「よ〜っつ――――五つ!」
「ん゛お゛ぉ゛♥♥♥♥」
「おー、このサイズが全部挿入れられるんだ。ティオちゃんのアナルはガバガバだなぁ」
「ぢがッ、お゛ぉ……っ♥♥」
反論しようにもアナルパールが腹を圧迫し、苦しさと快感から身悶えしてしまう。そもそも、アナルから飛び出した取っ手用のリングが垂れ、全てを呑み込んだ証拠を立てている時点でティオのアナルがガバガバという評価は覆しようがなかった。
「じゃあ引き抜くよー。ひと〜つ」
「な゛ッ、ま、っで……ぬ゛ほぉ゛!?♥♥♥」
ぬぽっ♥
玉自体の数は五つ。だがサイズは巨大と言い切れるもので、小柄なティオが挿入れられるものだとはとても思えない。しかし、引き抜かれた玉の一つにはべっとりと腸液が纏わり付いている上、引っ張り出す方が酷い声を上げてしまっている。
「お゛ぐぅぅぅ!?♥♥♥」
ぶぽっ♥
ケツ穴が捲れる。一つ抜かれる事にお尻がありえないほど広がり、球体が擦れながら出る感覚に虚脱と解放感が襲う。ティオを苛むアナルの快感は、彼女に鼻水をぶちまけさせ快楽に舌を出して喘がせるまでに至っていた。
「気持ちいいでしょ? 排泄もさ、出す瞬間は気持ちいい……それと一緒なんだよ、これは」
「は、ふ……っ、一緒に、しないで……っ」
まるで違う。自らの意志で排泄をするのと、無理やり異物を押し込められてそれを引き抜かれること、全く違うとティオは首を振った。
けれど、男の言葉に間違いはない。排泄の解放感は原初の快楽。誰もが持ち得る最高の瞬間なのだ。少女はまだそれを知らなかっただけ。一生知る必要がなかったものを、今ここで教えられる。
もちろん、〝今の〟ティオは、そのことに感謝などしないのだろうが。
「一緒だよ、一緒。ほら、残りを一気に引っこ抜いたらそれもわかるかな」
「は? やめ――――んぼぉ!?♥♥♥♥ おごっ、ひぐっ、ん゛おひぃぃぃぃ!!♥♥♥♥♥」
ぶぽぶぽっ、ぶぼぼぉ!♥♥♥
ティオのケツ穴から腸液を弾きながら勢いよく黒玉が引き摺り出される。アナルから酷い音を立て、首を反らした舌出し醜い舌出しアクメを見せつけ、ティオ・プラトーは生まれて初めてケツアクメを味わったのだ。
尻穴が丸く拡張され、玉が擦れ、広がったまま連続で引きずり出される擬似的な排泄感覚。解放感と安心感、虚脱感。それらに絶頂が合わさる甘美の味わい。尻穴から脳髄を焼かれるような感覚は、まさに屈辱としか言いようがなく、同時に自分が尻穴で感じる変態だと思わされた。
「うわ〜、ティオちゃんのアナルすごい拡がってるねぇ」
「これ見てよ。こんなのがティオちゃんのお尻に入ってたんだぜ。匂い、確かめてみる」
「っ……く、うぅぅ……♥」
眼前に垂れ下がり、見せつけられる巨大なアナルパール。こんなものを直腸で咥え込んだ挙句、引き抜かれただけで未だバイブディルドが甘く蠢く秘部から潮を吹いてイキ晒した。仮に乳首や秘部でイッたのだと宣言したところで、それは恥の上塗りでしかない。どの道、イッたという事実には変わらないのだから。
そうだ、ティオは男たちの前で性的絶頂を幾度となく見せつけている。乳首をブラシで擦られ、陰核を吸われ、マンコを振動ピストンで、アナルをパールによる挿入排泄で――――けれど、それだけだ。
「ごんな、ごどじで……なにが、だのじいん、でず、がっ!」
快楽で責め立てられ、涙と鼻水で顔面は見るに堪えないし、問いかけも始まる前に比べてキレなどありはしなかった。だが、ティオにはこの拷問の意味が理解できない。こんなことをしても、気持ちいいというだけで――――いつまで経っても、終わらない。
「楽しいよ? 俺たちはティオちゃんが言ってくれるのを待つだけでいいしね」
「こういう頭のいいガキをわからせるの、楽しいんだよなぁ」
「…………りがい、ふのう、でず」
だから、快楽拷問なのだ。言葉をティオに言わせるための快楽の拷問。ティオが救われる道は、拷問の果てに求められる答えだけ。それを言わない限り、ティオは延々と快楽だけに浸される。そして人の脳は、快楽に転がり落ちるように出来ている。そうでなければ、快楽を与えられすぎて狂ってしまうだけだ。
(わたし、耐えられます……だから、ロイドさん……!)
それをまだ知らない小娘は、この程度なら耐えられると確信を捨てなかった。
では――――どこまでか〝この程度〟なのか。
「お゛っお゛っ♥♥♥ お゛ぉ゛〜〜〜〜♥♥♥♥ とめ゛、どめ゛でっ、あ゛ッ♥♥♥ お゛〜〜〜〜ッ♥♥♥♥♥」
ハケ水車。読んで字のごとく水車に大量の刷毛が取り付けられた水車のことだ。下部に設置された媚薬液をたっぷりと絡め、ぞりぞりぞり♥ とティオの秘部とクリトリスを擦り続けながら媚薬を塗りたくる。
ちなみに、ティオの拘束は脚を完全に固定しているが、腰は前後になら多少は動かせる。前面から来る連続絶頂の波に抗うのなら、腰を後ろに引けばいいだけの話だ。
「ンオ゛オ゛オ゛オオッ♥♥♥♥ お゛じり゛、どめ゛でぇぇぇぇぇ゛♥♥♥♥♥」
まあ、そうなればアナル側のハケ水車が穴にくい込みながら擦り上げるだけなのだが。
中間で逃れられる塩梅など当然作られてはいない。ティオは自らの腰ヘコでどちらかを選ぶ他ないのだ。秘部とクリトリスか、尻穴か、あるいはどちらも敏感な連続絶頂に晒すか。
「あひっ♥♥♥ ひっ……イ゛♥♥♥♥ オ゛ーーーーーーッ゛♥♥♥♥♥」
野太い悲鳴だけが響く。連続絶頂に思考は必要ない。どちらかを選ぶことしかティオには許されていなかった。
ただ『止めて』と『イク』だけを繰り返し、自分の想定がどれだけ甘かったかを悔やみながら、ティオは一人で一日中、快楽の絶頂拷問に晒され続けた。
「おはよー、ティオちゃん。よく眠れた?」
「……ひゅー、ひゅー♥」
どこかで聞いたような、そうでないような言葉。彼女はそれを聞いてようやく夜が明けたのだと理解したし、眠れたわけがないとも思っていた。仮に意識が飛んでいたとしたら、それは絶え間ない絶頂による一時的な断絶だ。
久方ぶりに人間らしい呼吸をした。鼻につく匂いは自分の失禁と愛液が混ざった匂いであることを悟った――――そうして思考ができるくらいには、ティオ・プラトーという少女は理性を保っていた。
「……ま゛ん゛ぞぐ……は、ぁ。しました、か?」
無事ではない。媚薬を擦り付けられた陰裂は膣内まで疼き、陰核は空気に触れるだけで勃起する。尻穴は尻穴で、空気を吸い込む量が明らかに安定していない上、直腸の肉壁が膣内以上に疼いている。
だが、ティオは正気を保ち、叫びすぎて痛む喉を酷使して男たちに笑みを見せた。半ばヤケクソ気味とはいえ、諦めではない笑みに彼らは少なからず驚きの表情を浮かべているようだった。
「へー、一日で堕ちなかったのはティオちゃんが初めてだ。さすがはクロスベルの英雄様。ちょっとやそっとの快楽じゃ屈しない、ってわけか」
「……何度、されても……同じ、こと……です。ロイドさんたち、なら……けほっ、あと一日も、使い、ません……」
ティオにとって幸運だったのは、ロイドたちが近くに来ているという連絡を直前に受けていたことだった。到着まで遅れるならまだしも、近辺であれば急報を聞き付け動き出すまで時間は使わない。ティオの予想では、あと一日足らずで彼らの足掛かりからここへ辿り着く。そうすればティオの勝ちだ。あまりに長く感じられるが、快楽の拷問ならば耐えられる。発狂して懇願しようと、時間が来ればティオの勝ちだ。
快楽に対しての欲求など一時的なものに過ぎない。本心からティオが彼らのような人間に従うなど、どんな甘美な快楽であろうとありえない話だ。
「なるほどねぇ。なら、そんなティオちゃんにボーナスタイムだ」
「……いっ!?」
ここで快楽に屈するような少女であれば、この先の地獄を味わうこともなかったであろうに。
敏感になった肌にチクリとした痛みが走る。一日中投与されていた液体が、新しいものに取り替えらたのだ。まだ無駄なことを続ける気なのだと辟易したティオの前に、男の一人があるものを取り出して彼女に見せつける。
「そしてこれはプレゼント」
「ひっ……な、なんですか、それは……!?」
下着にも見える形状だが、まさか鉄でできた下着はないだろう。しかもクロッチ部にはバイブ、パール、吸引器のおまけ付き。それらをどこに仕込むのかは、言うまでもないし聞くまでもなかったのだが、おぞましさのあまりにティオは声を上げてしまったのだ。
「何って、そのまんまだよ」
「やめ――――んぎぃぃぃっ!♥♥♥」
バイブが秘部に。パールがアナルに。吸引器は示し合わせたように陰核に吸い付き、鉄の下着……貞操帯にも似たそれの鍵が左右で閉じられたことで、ティオは全裸に鉄のパンツ一枚の恥ずかしい姿となった。そうでなくても、一日強制ガニ股をさせられた脚は限界を超え、小刻みに震えて無様ではあるのだが。
「こんなの、今さらああああああああああッ♥♥♥」
「はい、スイッチオン」
宣告より起動が早かったのはティオの反応から目に見えている。何度目か首を反らし、ティオは快感に喘いだ。バイブが膣内で蠢きながらピストンし、パールが微弱な振動で直腸を出入り、吸引器は肥大化し始めた陰核をチュウチュウと容赦なく吸い出す。
「は、あ、あっあっ♥♥」
だが、昨夜のハケ水車に比べれば耐えられる。悔しいが、味わった極楽の快感、つまりティオにとっての地獄に比べれば耐性が出来上がり、イクことを阻止できていた。
「おまけでこれも乳首に付けて、と」
「っっ!♥」
しかし、汗を垂らして濡れ勃起した乳首までは許容できそうにない。既にブラシを回転させている淫具を目にし、ティオは瞼を閉じて絶頂の衝撃に備える。そして、ブラシが乳首に触れた瞬間、口を開いた。
「イッ――――――くぅぅぅ…………へ?」
だが、来なかった。覚悟を決め、叫びを上げようとした。けれど昨晩延々と味わった極限の快感、脳髄を焼き尽くし頭を真っ白に染め上げるあの感覚が止まる。
「ひッ、いぃ!♥♥♥ おっンお゛ぉ゛♥♥♥ イッ、ぐ…………っ〜〜〜〜〜〜!?!?♥♥」
そう、絶頂の波が引くのではなく、止まっていた。子宮に快楽の熱が溜まり、直腸がジクジクと疼き、陰核と乳首が激しく責め立てられる。イキそうなのに、イケない。
――――ボーナスタイム。顔色を変えたティオがぐちゃぐちゃの面を上げると、昨日よりどこか上機嫌な男たちの笑みがそこにあった。
まるで、ここまで耐えてくれてありがとう。そう言っているかのようだった。
「一日中イキっぱなしで疲れただろ? その液体がティオちゃんの絶頂をいい感じに止めてくれるから、しばらく楽にしてるといいぜ、ひひっ」
「そ、ん……な……あ゛ぁ♥♥♥」
笑みが零れている。この薬を使いたくて使いたくて仕方なかった、という笑みが。
それはそうだろう。まず、ここまで耐えられる女がいない。気が狂うほどの快楽を与えられながら、彼らに正気を保って反抗していられる女が稀だ。その稀な女に彼らはようやく出会えた。
そして喜んだ。この脳への信号に干渉し肉体の絶頂だけを止める劇薬と、快楽絶頂を覚えたての愛くるしい少女が噛み合ったことを――――聡明な頭脳で自分が何をされるかを理解し、絶望に叫びを上げかけたティオ・プラトーに感謝の念すら感じていた。
「いやっ――――ん゛ごぉ!?」
「そろそろ喉が叫びすぎて痛いでしょ? これ付けておきな」
喉奥まで押し込まれたペニス型のボールギャグ。口が閉じられず涎が穴から垂れ流しになるギャグボールと、喉奥を突く擬似ペニス。これで、ティオは絶頂への懇願を封じられた。
「おいおい、それだと息が苦しいだろ? ほら、ティオちゃん」
「ぶごッ♥」
妙に芝居かかった別の男からは、鉤が鼻孔を引き上げる鼻フックを。どんな美少女でもガニ股で無様になるが、これで可憐な面まで鼻穴を引っ張り上げられ、鼻水垂れ流しで中までしっかりと見える形になった。
口枷に鼻フック。涎も鼻水も垂れ流しで、ティオは乙女としてとてつもない恥と屈辱を抱いていることだろう。これでもし、男たちに屈するような言葉を吐いた時は、間違いなくその屈服は〝本物〟だ。
「じゃーねー、ティオちゃん。頼みのお仲間さんが来るまで、ゆっくり休憩してるんだよ」
「う゛ごッ♥♥♥ お゛ンンッ゛♥♥♥ お゛、ごぉ゛ぉ゛♥♥♥ お゛ッ、お゛ぉ゛ーッ゛♥♥♥」
人間が豚の真似をするより品のない声を荒らげ、ティオが立ち去る男たちに何かを訴えている。腰をヘコヘコと前後に動かし、首を横に振り涙と鼻水と涎を飛ばしながら無様に懇願している。
だが男たちは振り返らない。まだ早い。摘み取るには、もう少し間を置くべきだと知っている。心の底から、あの少女が浅ましく醜い誓いを立てるまで。
「ん゛ぶお゛――――――」
くぐもった悲鳴が防音の扉に阻まれて、消えた。
それから男たちがまともにティオと取り合ったのは〝六時間後〟であり、実に三回目の訪問のことだ。
「やぁ、ティオちゃん。ゆっくり休めたかな?」
「ぶ……ぉ゛♥ う゛ぉ゛ぉ゛!!♥♥」
二時間経過の一度目は冷やかしだった。四時間経過の二度目は口枷を取るフリをして彼女の目に絶望というものを教えた。
そして三度目。鉄のパンツから失禁と寸止めによる愛液を垂れ流し、広げられた鼻で息を荒くし、腰を残った体力全てを使い果たすようにヘコッ♥ヘコッ♥ と振り乱し、ダミ声になることも厭わず口枷から涎を飛ばして必死に訴えかけるティオを前に、彼らは笑った。悪魔のように笑っていた。
全身から汗が吹き出し異様な痙攣が見て取れる。綺麗な薄青の髪が張り付き、目の焦点だけで発狂の具合が見て取れる。
「ん゛ぉ゛ぉ゛……っ♥♥」
そんなティオからペニギャグボールを取り出せば、凄まじい量の唾液が絡み付いたそれが糸を立てて引きずり、否、吐き出されていった。六時間ぶりに喉が自由な言葉を取り戻した。
「イ゛がぜでッ゛、ぐだざい゛ぃ゛♥♥♥」
その第一声が、あまりにも無様極まる絶頂懇願であったのは、ティオが心底屈服したことを如実に露にしていた。
「イ゛げな゛い゛ぃ゛♥♥♥ だずげでぐだざい゛ぃ゛♥♥♥ ごん゛な゛、ひどい゛ぃ゛ぃ゛♥♥♥ も゛う゛やべで、ゆる゛じで、だずげでぇ゛♥♥♥」
知性というものをかなぐり捨て、体液の痕が酷く残った顔面に滂沱のような涙を流して助けを乞う。今も彼女の身体は最高に気持ちがよく、最ももどかしい一瞬の感覚が常に渦巻いている。でなければ、あのティオがこんな浅ましい懇願をするはずがないだろう。
「えぇー、せっかくのボーナスタイムで諦めちゃうの?」
「もうあと半日とちょっとで、ティオちゃんの大切なお仲間が来てくれるんじゃないのかな? そうすればティオちゃんはもうイかずに済むし、俺たちは全員逮捕! そっちの方がいいんじゃないの?」
しかし、男たちはまだティオの反応を見ていたいらしい。絶頂を懇願し、心が快楽を求める方向に折れてしまった少女の姿を、その嗜虐心が求むるままに。
「ぢがう゛♥♥♥ ぢがいまずッ゛♥♥ む゛りぃ゛♥♥♥ もう゛、どう゛でも゛い゛い゛がらぁ゛♥♥♥ イ゛がぜでぐだざい゛ーーーーーッ゛♥♥♥」
ティオもきっと心のどこかで彼らの嗜好を理解はしていた。理解をしていながら、彼らが望むような懇願を叫び上げることしかできない。どんなに手を尽くしてもイけなかった。絶大な快楽絶頂を教えられ、気が狂う直前までイかされ続けた少女が、今度はその味を知った状態で寸止めを続けられる。
我慢ができない、我慢をしたくない。心の底からそう願ってしまう寸止めの地獄はティオを容易に狂わせた。
「本当に俺たちに従ってくれるの? ほら、ティオちゃんの可愛いお鼻をこんな豚みたいにした奴らなんだぜ?」
「した……がい゛、ま゛ず♥♥ 言うこど、ぎぎまずッ♥♥ ぶひっ、ぶひぶひっ、ふごっ、ぶひぃ♥♥♥」
言葉を尽くすだけでは不十分と思ったのか、豚という単語からティオが媚を売るように豚の鳴き声を真似始めた。ここで絶頂を許してもらえなければ、また寸止め地獄に逆戻りさせられる。それだけは、と笑顔を作って鼻フックをかけられた豚鼻を鳴らして屈服をアピールする。
「くくく……いいねぇ。頭の良い子は好きだぜ、ティオちゃん」
どうすれば男に媚を売れるか。どうすれば男たちを喜ばせ、自分の絶頂を許してもらえるか。快楽拷問は、有能な女の思考を保たせたままでその使い方を男に媚びるだけのものへと変えられる。
ティオの屈服度合いが本物だと判断したのか、淫具を含めた道具が鼻フック以外全て取り外され、一日以上同じ体勢を強制維持させられていたティオが腰砕けに倒れ込んだ。
「あぶっ♥」
ベチャリと顔面を、広がった鼻孔に自身が吹き散らかした雌汁を打ち付ける。脚がガニ股から戻らず、潰れたカエルのようにティオは男たちに頭を垂れた。
「よーし、それじゃあティオちゃんに最後のチャンスをあげよう。君のものを返してあげるから、好きに使ってここから逃げるか」
ぴちゃっ、ぱちゃっ。ティオの所持品が液体塗れの地面に無造作に放られる。持ち慣れた魔導杖、何かの体液がぶちまけられ、それが乾いてカピカピになった衣服や下着の数々。
「それか、この解毒薬ですぐイるようにしてください、って俺たちに頼むか。まあ、俺たちみたいな最低な男に屈する考えを持ってないティオちゃんなら、どっちを選ぶかなんて――――」
当然ティオは――――身体を丸めて、土下座した。
「イかせてください!♥♥♥」
プライドもへったくれもなく、寸止め快楽からの解放を求めて、小さな身体をより小さく畳み、顔面を愛液と小便混じりの汚水に擦り付けて土下座をした。
「あなたたちの……皆様の肉奴隷になります!♥ いえ、一生肉便器で構いません!♥ 雌豚ティオを今すぐイかせてくださいお願いします!♥ もう無理なんですっ、アソコもケツ穴も陰核も乳首も、耐えられないんです!!♥♥ 生意気なことをいってごめんなさい! 逆らってすみませんでした! だから、わたしをイかせてください!!」
クロスベルの英雄。開発主任。あと半日耐えればその立場にティオ・プラトーは戻れる。それを捨て、刹那的な快楽を求めて男に薄青の髪で頭を垂れてケツを振って服従する。肉便器ティオ・プラトーとしての人生を、たった今少女は選んでしまった。
「イかせてください、イかせてください、イかせてください、イかせてください♥ イかせてイかせてイかせてイかせてイかせてイかせてイかせて――――何でもします、わたしをイかせてください、お願いします♥♥」
頭を擦り付けて絶頂だけを懇願する。そんなティオの裸体に、ちくりと針で刺された痛みが走った。
「あへっ♥」
「歓迎するよ、ティオちゃん。ああ、でも気をつけた方がいいかもね――――この薬、絶頂の信号を止めてるだけで、消してるわけじゃないからさ」
「へぁ?♥」
聡明なティオなら、たったそれだけの説明で自分の身体に何が起こるかを理解し、素っ頓狂な声を上げた。
「お゛ン゛ぉ゛ぉ゛――――あ゛あ゛あ゛あ゛あぁあああああああああああああああああッ♥♥♥♥♥♥♥」
そう。実に六時間分の絶頂が、ティオの身体と脳に叩きつけられる、ということだ。這いつくばっていた下半身を掲げ、秘部と〝アナルから〟飛沫が吹き出した。潮吹き、そしてキュッと締まった肛門から我慢に我慢を重ねた絶頂の叫びが腸液の溜りとなって吹き上がる。二穴から二本の絶頂液でアーチを描くティオの顔は、脳が刺激で回路を破壊され、表情を引き締めるという動作を無くしたかのようにだらしなく、下品に、淫らなものであった。
「イグイグイグ、イ゛ッでるぅぅぅぅウゥゥゥウゥウゥゥゥゥッ゛♥♥♥♥♥♥ あは、あはは、あへ、あ゛ぁ゛♥♥♥♥ あ、ああああああああああああああああ――――――――ッ゛ッ゛♥♥♥♥♥♥」
◆
「ティオ先輩、本当にもう大丈夫なんですか?」
「ええ。というより、わたしは何もされていませんから」
「それでも心配なものは心配なんです! もう少し休んでいてもいいのに……」
不安げな顔をする年上の〝後輩〟にティオは柔らかい笑みと言葉を返す。
「心配には及びません。なので、ユウナさんにはこの研究の手伝いに集中してもらいます。頼りにしていますから」
ティオ・プラトー主任の誘拐事件。大事件に繋がるかと思われたこの一件だったが、事態は急転直下で解決した。ティオが命からがら敵のアジトから脱出し、その間に犯人たちは行方を眩ませたのだ。こうして情報を並べると、解決というには少々語弊があるかもしれない。が、ティオが持ち帰った情報から犯人逮捕もそう遠くはないだろうというのが、ティオの証言を鵜呑みにした警察の見解だった。
結果、大した外傷も見られず、本人も健康そのものだと告げ、数日間滞っていた開発主任の仕事を再開。彼女を先輩と慕うユウナ・クロフォードを連れて、数日間のフィールドワークに向かったのだ。少し休んだ方がいいんじゃないか、護衛も付けた方が、という意見はユウナを伴うことで納得させた。無論、尾行や隠れた護衛などは情報を担当するティオには通じない。
人里離れた場所で、何の警戒心も抱いていないユウナと、ティオは二人きりになることができた。
「はい、任せてくださいティオ先輩! ……けど、さっきから変な音してませんか?」
「そう、で……すか?♥ わたしは何も……聞こえません、がっ♥ ――――ふふっ♥」
新たに捧げられる贄の前で、ティオはスカートの下に僅かな金属音と振動を頬の熱で隠しながら、淫靡な微笑みを浮かべていた――――肉便器ティオ・プラトーの雌汁を、その太股に煌めかせながら。
「……う、え!?」
目を覚ましたユウナが驚いたのは自身の状況と目の前の光景に対してだった。
壁に嵌め込まれた自分の身体。着込まれた上半身と、やけにスースーと風が当たっている壁の向こう側の下半身。所謂〝壁尻〟というものだが、そんな余計な知識をユウナが持っているはずがない。
「あっ♥ おはようございます、ユウナさんんんッ♥♥♥ よく、眠れた、みたいっ♥ で、よかった、ですっ、あぁん♥♥♥」
「……ティオ、せん、ぱい?」
パンッ♥ パンッ♥ パンッ♥
そんなことより、ユウナの眼前には信じられないものがあったのだ。
ティオ・プラトーが対面駅弁で性行為をして、さも当たり前のように喘ぎながらユウナに語りかけている。壁に向かって咄嗟に込めていた腕の力が全て抜け落ち、呆然としてしまうほどの衝撃だった。
「ごめん、なさいっ♥ 新しい〝雌〟を連れてきたら、おちんちん挿入れてくれるって約束だったんです♥ ユウナさんなら、わたしをきっと信じてくれる、からぁ♥♥」
「へへ、後輩を誑かして薬を盛るなんて、ひっでぇ先輩もいたもんだよなぁ」
「あ……」
思い出した。ユウナがティオから提供された食事を摂った直後、強烈な眠気が彼女を襲って――――ティオは確かに、今男に向けている笑みをユウナに見せていた。
「だって、おちんぽ欲しい、からっ♥♥♥ これ、すき、だいすき、イク、イッ……っっ〜〜〜〜〜〜♥♥♥♥♥」
待望の肉棒をその身で受け止め、足と手を男の腕に回して多幸感に満ちた雌の笑みと同じ意味の、微笑を。
「――――あん、たが……おまえたちが、ティオ先輩を! 絶対、絶対に許さないから!!」
「おいおい、勘違いするなよ。これが欲しいって選んだのはティオちゃんだぜ? 俺たちは変なことはしてねぇって」
「嘘だ! 卑怯な手を使ってティオ先輩を……待っててください、ティオ先輩! 必ずあたしが正気に戻してあげますから!」
そうして啖呵を切った、かつてのティオと同じ正しい志を抱く少女――――その怒りの表情とは裏腹に、間抜けなほど剥き出して晒された下半身に男たちが集っている。
「あたしは絶対、負けな――――」
その言葉が途切れるまで、あと数瞬。その決意が挫けるまで、今度は何日、あるいは何時間だろうか。それを想像して幕を引くのも、悪くない結末であろう。